承認欲求とは?強い人の特徴やビジネスシーンでの付き合い方を解説

目次
承認欲求とは、誰もが少なからずもっている感情です。
しかし、承認欲求が強すぎると、さまざまな問題につながってしまうことがあります。
この記事では、承認欲求とはなにか、承認欲求が強い人の特徴やビジネスシーンでの付き合い方などについて解説します。
承認欲求とは
承認欲求とは、他者に認められたい、評価されたいと感じる心理的な欲求のことです。
他者からの肯定的な評価を通じて自尊心を高めたいという願望にもとづいています。
承認欲求が満たされると自己実現につながるなどのポジティブな影響がありますが、満たされない場合は不安や孤独感につながるおそれもあります。
承認欲求と自己顕示欲の違い
自己顕示欲とは、自分の能力や成果、存在などをアピールしたいという願望のことで、他者からの承認を求める承認欲求とは欲求の対象が異なります。
また、承認欲求は「認めてもらいたい」という受動的な欲求であるのに対し、自己顕示欲は「注目されたい」という能動的な欲求である点も違いといえるでしょう。
承認欲求の種類
承認欲求にはいくつかの種類がありますが、ここでは代表的な「社会的承認欲求」と「自己承認欲求」について解説します。
社会的承認欲求
社会的承認欲求とは、自分が所属する社会や集団から認められたいという欲求を指します。
たとえば、職場では仕事での成果を評価されたときなどに社会的承認欲求が満たされます。
友人や同僚、家族などからの評価を求める気持ちであり、他者とのつながりやコミュニティへの貢献を通じて満たされる欲求といえます。
自己承認欲求
自己承認欲求とは、自分自身を認め、肯定したいという欲求を指します。
他人からの評価ではなく、自分の価値や努力に満足し、自らを受け入れることで満たされる欲求です。
目標を達成した際に「自分はよくやった」と思える瞬間や、自己成長を実感したときに感じる満足感が自己承認欲求にあたります。
承認欲求が強い人が増えている理由
現代では承認欲求の強い人が増えているといわれています。
ここでは、「時代や価値観の変化」「SNSの発達」という2つの観点から理由を解説します。
時代や価値観の変化
かつての時代には、「有名な大学を卒業している」「高い給料をもらっている」など、多くの人の評価にあたいする共通基準がありました。
しかし、現代では価値観が多様化し、一人ひとりが自分らしさを追求することが重視されるようになっています。
価値観の多様化は、他者から評価を得るための方法や基準を複雑化させ、誰かに認めてもらうことが以前より難しくなった反動として承認欲求が強い人が増えたという理由が考えられます。
SNSの発達
SNSでは、投稿への「いいね」やコメントといった形で、自分がどれだけ他人に評価されているかが可視化されるようになりました。
またSNSでは他人の成功や華やかな生活が目につきやすく、自分と比較してマイナスな感情を抱いてしまうケースも見られます。
その結果、自分の存在を認めてもらいたいという欲求がさらに高まるようになりました。
マズローの欲求5段階説
承認欲求はマズローの欲求5段階説がベースになっているといわれています。
マズローの欲求5段階説は低次のものから高次なものへと、以下の5つの要素で構成されています。
- 生理的欲求
- 安全欲求
- 社会的欲求
- 承認欲求
- 自己実現欲求
たとえば、1次の生理的欲求が満たされると次の第2次である安全欲求を満たそうとし、以降の欲求についても同様のことがいえます。
生理的欲求
生理的欲求とは、人間が生きるために必要不可欠な欲求のことです。
たとえば、食べ物や飲み物を摂取する、睡眠をとるなど、生命活動の維持に必要とされる本能的な欲求を指します。
安全欲求
安全欲求とは、心理的・物理的な安全を求める欲求です。
この段階で生じるのは、生命の危険から逃れたい、収入源を確保したいなどといった欲求です。
社会的欲求
社会的欲求は、他者とのつながりや帰属意識を求める欲求のことです。
社会的欲求が満たされると孤独感が解消され、人間関係も円滑になるとされています。
承認欲求
承認欲求は、他者から認められたいという欲求です。
社会的な地位や成功、他者からの尊敬を得ようとする欲求です。
承認欲求が満たされると自己肯定感が高まり、心理的な安定感を得ることができます。
自己実現欲求
自己実現欲求とは、個人が自己の潜在能力を最大限に発揮し、自己の理想的な姿を追求しようとする欲求のことです。
たとえば、芸術や研究、自己啓発に取り組むこと、または自分の価値観に基づいた生き方を選ぶことがこれに該当します。
自己超越
自己超越は、マズローの欲求5段階説をさらに発展させた概念です。
個人が自己の枠を超えて、他者や社会全体の利益を追求しようとする欲求を指します。
承認欲求が強い人の特徴
承認欲求が強い人は、他人の評価に大きな影響を受け、自分の存在意義や価値を他者の反応から判断する傾向があります。
具体的な特徴として、以下のような点が挙げられます。
- 自己評価が他人の評価に左右される
- 過度に他人の期待にこたえようとする
- 目立とうとする
- SNSでの評価を気にする
- 他人からの批判に敏感
このように、承認欲求が強い人は外的な評価に依存しがちな傾向があります。
承認欲求が強いことのメリット・デメリット
承認欲求が強いことにはネガティブな印象がありますが、メリットもあります。
承認欲求が強いことのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
承認欲求が強いメリット
承認欲求が強い人は、他者からの評価を得ることを、自分を改善し成長するための動機づけとする場合があります。
他者から評価されることを重視するため、周囲のニーズや期待に敏感になり、良好な人間関係を築きやすくなる側面もあります。
承認欲求を適切に活用することで、周囲にポジティブな影響を与え、自信を高めることが可能となるケースがあります。
承認欲求が強いデメリット
過度な承認欲求をもつと、自分の意志や価値観を失いやすくなります。
他者からの承認を得ようとして、自己中心的な行動や自己アピールばかりが目立ち、周囲との関係が悪化してしまうこともあります。
また、他者からの評価が得られないことが自信喪失や不安感に直結してしまいやすい点もデメリットといえるでしょう。
ビジネスシーンで承認欲求が強い人と付き合う方法
ビジネスシーンで承認欲求が強い人と接する必要がある際、どのように付き合えばいいのかを解説します。
承認欲求を理解する
承認欲求は誰にでもある欲求です。
そのため、承認欲求が強い人を特別視しすぎないほうがスムーズにいく場合があります。
また、「この人は承認欲求が強い人だ」と事前に理解しておくだけでも対処がしやすくなります。
適度な距離を保つ
承認欲求の強い人と必要以上に関わると、過剰に評価を求める相手の姿勢に振り回されることになり、自分の仕事に集中できなくなります。
反対に、距離を置きすぎると、冷たく見られたり、仕事上で協力を得られなくなる可能性もあるので、適度な距離を保ちましょう。
相手の気持ちに配慮する
承認欲求が強い相手に対しては、感情的な話や評価を求める姿勢を可能な限り受け止め、共感を示すと効果的です。
相手の努力や成果を認め、評価してほしいという気持ちに配慮することで安心感を与え、良好な関係を築くことができます。
部下の承認欲求が強い場合の対処法
続いて、自分の部下が承認欲求の強い人物であった場合、上司としてどのように対処したらいいのか解説します。
部下の意見や考えを尊重する
承認欲求が強い人は、他者からの否定に敏感に反応し、傷つきやすい傾向があります。
そのため、まずは部下の意見や考えを尊重するのがよいでしょう。
一方的に否定するのではなく、共感を示したうえで、必要な指導をおこなうことがおすすめです。
適切なフィードバックを実施する
フィードバックをおこなう際、業務上の具体的な成果や部下自身の努力を認め、ほめたり感謝を示したりすると効果的です。
フィードバックのタイミングや言い回しにも注意を払い、部下が受け入れやすい形で内容を伝えることが大切です。
適切なフィードバックによって部下が自己肯定感を高めることができるだけでなく、信頼関係の構築にも役立ちます。
責任や裁量をもたせる
部下の承認欲求が強い場合、責任や裁量をもたせることが効果的な対処法となります。
自分の仕事に対して責任を感じ、重要な役割を果たしていると実感することで、承認欲求が満たされるためです。
過度な負担をかけないように配慮しながら、一定の責任や裁量をもたせてみましょう。
適切な目標を設定する
達成可能な目標を明確に設定することで、部下は自分の成長を実感しやすくなります。
目標を達成できた際には部下の努力や成果を認め、評価を伝えるフィードバックをおこなうと、部下の承認欲求を満たすのに効果的です。
部下の能力に合わせて現実的かつ挑戦的な目標を設定し、承認欲求を満たす手助けをしましょう。
適切な評価や賞賛を実施する
承認欲求が強い部下には、本人の成果や努力を見逃さないようにし、その都度フィードバックをおこなってみましょう。
部下は自分の姿勢ややり方が認められていると感じ、モチベーションの向上が期待できます。
さらに、どのような点がよかったのかを具体的に伝えることで、部下は自身の強みや得意分野を実感しやすくなります。
承認欲求を理解して適切なコミュニケーションをはかろう
承認欲求とは、他者に認められたい、評価されたいと感じる心理的な欲求のことです。
承認欲求が強いことには、ネガティブな側面だけではなくポジティブな側面もあります。
ビジネスの相手や部下など、身の回りに承認欲求が強い人がいる場合、適切な距離感を保ち、ポイントをおさえて接することでうまく付き合えるようになるでしょう。
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