「滅相もない」の正しい意味とは?使い方を例文付きで解説
目次
「滅相もない」は、ビジネスシーンで、上司や取引先などの目上の人に使える言葉です。
「滅相もないです」「滅相もないことです」と、自分の行動を謙遜する表現として、活用したことがある方も多いのではないでしょうか。
「滅相もない」の意味や使い方、言い換え表現を、例文を参考に見ていきましょう。
「滅相もない」の正しい意味
「滅相もない」は、「とんでもない」「程度がはなはだしい」「恐れ多い」という意味がある言葉で、仏教用語の「滅相」という言葉を語源にもちます。
仏教用語の「滅相」は、物事や生物の移り変わる姿を4つに表した「四相(しそう)」という考えが語源になっています。
「四相」とは、生まれる「生」、存在する「住」、変化する「異」、なくなる「滅」の理を表しており、「滅」は「死」を意味します。
生きることを願う人間にとっては、「滅(死)」は「あってはならないこと」「とんでもないこと」のため、「滅相もない」は「とんでもないこと」などの意味で使われるようになりました。
「滅相もない」を使う際の注意点
「滅相もない」を使う際に、「滅相もありません」「滅相もございません」と使うケースがありますが、これは誤用のため注意が必要です。
「滅相もない」は、これで一語のため、「滅相もありません」「滅相もございません」ではなく、「滅相もないことでございます」が正しい表現となります。
「滅相もありません」「滅相もございません」は、言葉のつくり的には間違いである一方で、一般化している使い方のため、ビジネスシーンで使用しても、大きな問題にはならないと考えられます。
しかし、「滅相もありません」「滅相もございません」を誤用と認識している人もいるため、かしこまったシーンや目上の人に対しては、「滅相もないことでございます」という、正しい表現を使用するようにしましょう。
ビジネスシーンにおける「滅相もない」の使い方と例文
「滅相もない」は、ビジネスシーンで問題なく使用できる言葉です。
謙遜の意味で使われることが多い「滅相もない」ですが、実は、否定や謝罪の返答としても使用することができる言葉です。
ミスコミュニケーションを防ぐためにも、「滅相もない」の3つの使い方について、それぞれ例文を参考にみていきましょう。
謙遜の「滅相もない」
「滅相もない」は、上司や先輩など、目上の人から褒められた際に、謙遜の意味で使用することができます。
先輩:仕事手伝ってくれて助かったよ、ありがとう。
自分:滅相もないです。またお手伝いできることがあれば仰ってください。
上司:仕事の覚えが早くて、優秀で助かるよ。
自分:滅相もないです。○○さんのご指導のおかげです。
相手からの褒め言葉を「いえ、そんなことないです」と否定してしまうと、相手の好意や気持ちも否定することにもなるため、不快感を与える恐れがあります。
一方で、「滅相もないです」と謙遜する言葉を使えば、相手を否定するわけではないため、お互いに気持ちよいコミュニケーションを実現できるでしょう。
強い否定の「滅相もない」
「滅相もない」は、強い否定を示す際にも使用することができます。
取引先:納品がとても早いけれど、外注しているんですか。
自分:滅相もないことでございます。自社で一からとりくませていただきました。
上司:事務所の鍵がなくなったらしいけど、まさか君がなくしたわけじゃないよね。
自分:滅相もないです。わたしは鍵に触っていません。
上司や取引先など、目上の人から疑われた際などに、「滅相もないです」「滅相もないことでございます」を使えば、物事に対して強い否定の意思を表すことができます。
謝罪の返答の「滅相もない」
「滅相もない」は、謝罪の返答の言葉としても、使用することができます。
取引先:お待たせしてしまい申し訳ございません。
自分:滅相もないです。私もいま来たところです。
取引先:予定時間を過ぎてしまい、誠に申し訳ございません。
自分:滅相もないです。とても充実した時間を過ごせました。
たとえば、取引先が、自分よりも遅れてきたり、打ち合わせ時間が延びたりして相手から謝罪をうけた際に、「滅相もない」を返答に使うことができます。
相手の謝罪に対して「滅相もない」を使用した際は、申し訳なく思う相手を安心させる一言をつけ加えると、気持ちの負担を軽くできるでしょう。
「滅相もない」の言い換え表現
「滅相もない」は、謙遜の意味以外に、否定や謝罪の返答としても使われるため、ミスコミュニケーションを防ぐためにも、言い換え表現を適切に使う必要があります。
使い方別に「滅相もない」の言い換え表現を紹介します。
謙遜の意味の言い換え表現
謙遜の意味の「滅相もない」は、「恐縮です」や「恐れ入ります」という言葉に言い換えることができます。
- お褒めいただきまして恐縮です。
- お褒めの言葉、恐れ入ります。
「恐縮」とは、「身が縮まるほど恐れ入ること」を意味し、相手への申し訳ない気持ちや、感謝の気持ちを伝える際に使える言葉です。
「恐れ入ります」も、「恐縮」と同様の意味で使える言葉のため、謙遜する際には、「滅相もない」の代わりに使用することができます。
強い否定の意味の言い換え表現
強い否定の「滅相もない」の言い換えとしては、「とんでもない」を使いましょう。
- 改ざんだなんて、とんでもないことでございます。
- とんでもないです。落としていません。
「とんでもない」は、「途方もない」や「あるべきことではない」という意味をもつ言葉のため、「滅相もない」と同様に、強い否定を示すことができます。
また、「とんでもない」は、「とんでもない」で一語のため、「滅相もございません」と同様に、「とんでもございません」と誤用しないように注意しましょう。
謝罪の返答の言い換え表現
謝罪の返答の「滅相もない」は、「大丈夫です」「お気になさらないでください」などの言葉で言い換えることができます。
- いま来たところなので大丈夫です。
- お気になさらないでください。
「大丈夫です」「お気になさらないでください」は、相手に対して、問題ないことを表せる言葉のため、謝罪をうけた際には、相手を気遣った言葉を添えるようにしましょう。
>ビジネスシーンにおける「大丈夫です」の使い方に関する記事はこちら
「滅相もない」への返答方法
相手から「滅相もない」と言われた際は、無理に返答する必要はありません。
一方で、自分が本心で伝えたことに対して「滅相もないです」と返されると、賞賛や感謝の気持ちが伝わっていないと感じられるかもしれません。
その際は、「本心ですので、ご謙遜されずに」などと返答すると、自分の気持ちをより伝えられたり、相手にも喜んでもらえたりして、気持ちが晴れやかになるでしょう。
ビジネスコミュニケーションには「Chatwork」を活用しましょう
「滅相もない」は、謙遜の意味以外にも、強い否定や謝罪の返答といった意味で使用される言葉です。
複数の意味をもつ言葉は、誤った使い方をしてしまうと、ミスコミュニケーションに発展しかねないため、正しい使い方や言い換え表現を覚えておくことが大切です。
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