「とんでもないです」の意味や正しい敬語とは?ビジネスでの使い方や言い換え表現を解説

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「とんでもないです」の意味や正しい敬語とは?ビジネスでの使い方や言い換え表現を解説

目次

「とんでもないです」という表現を聞いて、相手がどのような意味合いで使っているのか迷った経験がある人も多いのではないでしょうか。

「とんでもないです」は、複数の意味をもつ言葉ですが、ビジネスシーンにおいては、謙遜する際に使用されることが多い表現です。

また、目上の人に対して「とんでもございません」という表現をする人もいますが、これは文法上では誤用であり、正しくは「とんでもないことです」と表現します。

「とんでもないです」の意味やビジネスでの使い方、正しい敬語や言い換え表現を確認していきましょう。

「とんでもないです」の意味とは

「とんでもないです」は、主に以下の3つの意味をもつ言葉です。

  • (1)思いがけない・意外である:予想外の出来事が起こったとき
  • (2)もってのほかだ・けしからん:あってはならないことを非難するとき
  • (3)決してそうではない・滅相もない:否定や謙遜をしたいとき

ビジネスシーンにおいては、取引先や上司など目上の人から褒められた際の謙遜表現として、「(3)」の「滅相もございません」という意味合いで使われる場合が多いでしょう。

また、「いえいえ、とんでもないです」のように、「とんでもないです」と併用されることが多い「いえいえ」も多くの場合、謙遜の意味合いで使用される言葉です。

ビジネスシーンでスマートに使い分けができるように、状況に合った「とんでもないです」の使い方を覚えましょう。

「とんでもございません」は間違った表現なのか

「とんでもないです」や「とんでもございません」は、目上の人に対して使う敬語として、一般的に浸透している表現です。

しかし、文法上では「とんでもございません」は誤用であり、「とんでもないことです」が正しい敬語表現です。

「とんでもないです」は、形容詞の「とんでもない」に、丁寧語の「です」を組み合わせた言葉であり、「とんでもない」で、ひとつの完成した単語であるため、「とんでも」+「ない」に分解して使用できず、「とんでも」+「ございません」は、文法上では誤りとなります。

ただし、「とんでもございません」という表現も現在では一般的になっているため、相手や状況に合わせて、使用しても問題ないとされています。[注]

なお、「とんでもないことでございます」は使用シーンによっては、相手の言葉や対応が「とんでもないこと」であると非難する意味合いに伝わってしまう場合がある点には、注意が必要です。

「とんでもないことです」や「とんでもないことでございます」を、冗長表現ととらえる人もいるため、相手や状況にあわせた使い分けや、言い換え表現を活用していきましょう。

「とんでもないです」の使い方や例文

前述の3つの意味をふまえて、ビジネスシーンにおける「とんでもないです」は、以下のように3つの使い方をすることができます。

  1. 褒め言葉に対する謙遜を込めた否定の使い方
  2. 目上の人からの謝罪に対する否定の使い方
  3. あってはならないことを非難する使い方

場面に応じた適切な使い分けができるように、それぞれの意味の使い方を確認していきましょう。

使い方(1):感謝や褒め言葉に対する「とんでもないです」

謙遜の表現として「とんでもないです」を使用する際は、以下の例文のように、取引先や上司など、目上の人から褒められたときに適切です。

相手:あなたの作る資料は非常にわかりやすいですね。
自分:とんでもないです。お役に立てたようで嬉しいです。

相手:今月の実績はすばらしいね。
自分:とんでもございません。いつもご指導ありがとうございます。

なお、マナーとして謙遜する人は多いですが、褒められてうれしいときは、「ありがとうございます」などの直接的な言葉で、気持ちをストレートに伝えると、より心が通いやすくなり、関係性を深めることができます。

謙遜の気持ちをもちながらも、時には素直に気持ちを伝えてみましょう。

使い方(2):目上の人からの謝罪に対する「とんでもないです」

目上の人から謝罪された際に、「謝罪の必要はありませんよ」という意味を込めて、否定する表現としても、「とんでもないです」を使うことができます。

相手:○○の件では、申し訳なかった。
自分:とんでもないです。お気になさらないでください。

謝罪を否定する際は、「とんでもないです」のあとに相手を気遣う一言をくわえると、「謝らなくていいですよ」という意味が伝わりやすくなります。

使い方(3):相手の言動を非難するときの「とんでもないです」

「とんでもないです」は、以下の例文のように、相手の言動を非難するときにも使用できる表現です。

  • とんでもない態度ですね
  • あなたのしたことは、とんでもないことですよ

直接的な言葉で相手を非難すると、その後の関係に悪影響を及ぼす恐れがあるでしょう。

強いトーンの表現を避けて「とんでもないです」と間接的な言葉を使うと、非難の気持ちを伝えることができます。

「とんでもないです」を使用する際の注意点

「とんでもないです」という言葉は、使い方を誤ったり、配慮が足りなかったりすると、相手に不快な思いをさせてしまう可能性があります。

「とんでもないです」を使用する際には、以下のような点に注意しましょう。

  • 感謝や謝罪の言葉とあわせて使用する
  • 目上の人に対しては「とんでもないことです」を使い分ける
  • 過度な謙遜は避ける
  • 異文化の相手に使用する際は配慮する

それぞれの注意点について、解説します。

感謝や謝罪の言葉とあわせて使用する

相手の言葉に対して、「とんでもないです」だけで返答すると、冷たい印象を与えたり、誤解が生じたりする可能性があります。

使用する状況にあわせて、「ありがとうございます」や「申し訳ございません」などの言葉を添えて、印象がよくなるようにしましょう。

目上の人に対しては「とんでもないことです」を使い分ける

「とんでもございません」は正確な敬語ではないため、目上の人に対して使用する場合など、相手の立場や状況によっては不快に捉えられるケースがある表現です。

相手との関係性にもよりますが、正しい敬語表現である「とんでもないことです」や「とんでもないことでございます」を使用するなど、必要に応じて使い分けるようにしましょう。

過度な謙遜は避ける

日本では、謙遜することが美徳とされる文化がありますが、過度に謙遜してしまうと、かえって印象が悪くなる可能性があります。

過度に自己を卑下するような言い方をすると、相手を不快にさせたり、誤解を与えたりする場合があります。

とくに、ビジネスシーンでは「自信がない人」と受け取られてしまう可能性があるため、過度な謙遜にならないように注意が必要です。

異文化の相手に使用する際は配慮する

相手からの賞賛に対して、「とんでもないです」と謙遜することは、日本特有の美徳を表しています。

しかし、海外の人とのコミュニケーションをとるシーンでは、日本特有の文化だけでなく相手の文化的背景や感覚を尊重し、適切な表現を心がけることが必要です。

「とんでもないです」の言い換え表現・類語

「とんでもないです」は、前述したとおり、正しい敬語表現ではないため、時と場合に応じて、言い換え表現や類語などで、言い換えられるようにしておきましょう。

「とんでもないです」の言い換え表現・類語には、以下のような表現があります。

  • 恐縮です
  • 恐れ入ります
  • 滅相もないです(滅相もないことでございます)
  • 光栄です
  • 幸甚(こうじん)に存じます
  • そんなことないです(そんなことありません)
  • お気になさらないでください
  • 問題ありません
  • ご心配に及びません

それぞれの使い方を例文とともに紹介します。

恐縮です

「恐縮です」は、「相手の厚意に身がすくむ思いや様子」という意味がある言葉で、以下の例文のように使用できます。

相手:会議では厳しいことを言いましたが、今後も期待しています。
自分:いつもご指導をいただき恐縮です。ご期待に応えられるよう頑張ります。

また、感謝を伝えたいときは、以下の例文のように「ありがとうございます」をあわせて伝えると、感謝の気持ちをより伝えることができるでしょう。

相手:○○の件、社内でも高評価です。あなたに依頼してよかったです。
自分:お褒めの言葉をいただき恐縮です。ありがとうございます。

なお、立場が上の人に使用するときや、より堅い表現にしたいときは、「恐縮に存じます」を使用するようにしましょう。

恐れ入ります

「恐れ入ります」は、「感謝や申し訳ない気持ち」のニュアンスをもつ言い換え表現で、目上の人に対して使用するのが一般的です。

以下の例文のように、上司や取引先からの褒め言葉を謙遜する際に使用できます。

相手:あなたはプレゼンが上手だね。わかりやすかったよ。
自分:お褒めいただきありがとうございます。恐れ入ります。

また、以下の例文のように、謝罪に対する申し訳ない気持ちを伝える表現としても適切です。

相手:○○の件では、大変失礼いたしました。
自分:恐れ入ります、ご丁寧にありがとうございます。こちらも確認が足りずに失礼いたしました。

>「恐れ入ります」の意味や使い方に関する記事はこちら

滅相もないです(滅相もないことでございます)

「滅相もないです」は、以下の例文のように「そんなことはない」と謙遜する意味合いで使用できる表現です。

相手:○○のプロジェクトは、あなたのおかげで成功したよ。
自分:滅相もないです。△△さんのご指導のおかげです。

また、「滅相もないです」は、「あるべきではない」と否定や断る意味合いで、以下の例文のように使用することもできます。

相手:きみにプロジェクトのリーダーを任せたい。
自分:リーダーなど滅相もございません。プロジェクトに参加できるだけでも光栄です。

どちらの意味合いも、「とんでもない」に近い敬語表現として使用することができます。

>「滅相もない」の意味や使い方に関する記事はこちら

光栄です

「光栄です」は、「感謝や名誉に思う気持ち」を意味する言葉で、目上の人に限らず、同僚や部下にも使用できるため、相手を選ばずに使える表現です。

実際に使用するときは、以下の例文のように活用し、目上の人に使用するときや、より丁寧に言いたいときは「光栄に存じます」を使用するようにしましょう。

相手:あなたのおかげで、○○が看板商品になりました。
自分:身に余るお言葉ありがとうございます。お役に立てて光栄です。

幸甚(こうじん)に存じます

「幸甚に存じます」は、「大変うれしく思う」ことを意味する表現で、目上の人に対する使用が適しています。

実際に使用する際は、以下の例文のように活用しましょう。

相手:今度のプレゼンで、プロジェクトの代表として発表してくれませんか。
自分:このような貴重な機会をいただき、幸甚に存じます。

なお、「幸甚に存じます」は、ビジネスメールでの使用が適切なため、口頭での使用は控えることも覚えておきましょう。

>「話し言葉」と「書き言葉」の違いに関する記事はこちら

そんなことないです(そんなことありません)

「そんなことないです」は、以下の例文のように、褒め言葉などをやんわり否定する際に使用する表現です。

相手:今月の実績がよかったのは、あなたのおかげです。
自分:そんなことないです。○○さんのご指導のおかげです。

上司など、目上の人に対しても使用できる表現ですが、立場や関係性によっては、軽く見られていると誤解が生じる可能性もあるため、注意が必要です。

お気になさらないでください

相手からの謝罪や配慮に対して、返答する際に「お気になさらないでください」という表現が使用できます。

相手:大変、申し訳ございませんでした。
自分:誰にでも失敗はありますから、あまりお気になさらないでください。

相手を気遣う表現として、安心してほしいシーンで使いやすいでしょう。

問題ありません

「お気になさらないでください」と同様に、相手から謝罪があったシーンなどで使用できます。

大事に至らないことをはっきりと伝えられる表現です。

相手:この度は、こちらの手配不備でご迷惑をおかけいたしました。
自分:大事には至りませんでしたので、問題ありません。

「問題ありません」のみで使用すると、冷たい印象にとらえられてしまうおそれがあるため、「問題ありません、大丈夫ですよ」と一言添えると、相手もさらに安心できるでしょう。

ご心配に及びません

相手の心配が不要であるという意味で、敬意や配慮を示す際に「ご心配に及びません」という表現ができます。

相手:ご案内が至らず、失礼いたしました。
自分:スケジュールは調整できますので、ご心配に及びません。

「問題ありません」と同様、「ご心配に及びません」のみで使用せずに、その後に「ご配慮ありがとうございます」などと添えると、相手に温和な印象を与えられます。

「とんでもないです」の英語表現

英語には「とんでもないです」と謙遜する直接的な表現がありません。

しかし以下のフレーズを活用することで、「とんでもないです」のニュアンスを伝えることができるため、覚えておきましょう。

【褒められたとき】

  • Thank you.(ありがとうございます)
  • I'm glad to hear that.(そう言ってもらえてうれしいです)

【感謝されたとき】

  • Don't mention it. (どういたしまして/感謝をいうほどではありません)
  • Not at all. (とんでもないです、お礼をいうほどではありませんよ)

【謝られたとき】

  • No problem.(大丈夫、問題ないですよ)
  • Don't worry about it. (気にしないでください)
  • That's okay. (大丈夫ですよ)

「とんでもないです」は、褒め言葉への謙遜や目上の人からの謝罪の否定、非難をスマートに伝える際に活用できる表現です。

ビジネスを円滑に進めるためには、良好な人間関係の構築が重要ですが、そのためには、正しい言葉で、正しく自分の意思を伝えることが大切です。

正しく意思が伝わらないと、相手に誤解や不快感を与える恐れもあるため、相手や状況に応じて、感謝や謝罪の言葉を補足する、言い換え表現や類語と使い分けるなどを意識し、適切にコミュニケーションがとれるようにしましょう。

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[注]文部科学省「敬語の指針」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf

※本記事は、2024年10月時点の情報をもとに作成しています。


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