「かねてより」の意味とは?正しい使い方や注意点を例文付きで解説
目次
「かねてより」は、「以前から」という意味がある言葉で、ビジネスシーンにおいては、進捗状況を共有するときや企画を発表するときなどに用いられる表現です。
正しい意味と使い方を覚えておくと、ビジネスシーンで便利に活用できるため、類語表現とあわせて、確認していきましょう。
「かねてより」の正しい使い方、注意点を例文付きで解説します。
「かねてより」の意味とは?
「かねてより」は、「以前から」という意味をもつ言葉です。
「前から」という意味をもつ「かねて」に、動作や作用の起点を意味する「より」を組み合わせた表現です。
ビジネスシーンにおいては、「以前から物事を進めてきた」といった意味合いで使われるケースが多いです。
「兼ねて」「予て」との違いについて
「かねて」は、漢字だと「兼ねて」または「予て」と表記しますが、ミスコミュニケーションを防ぐためにも、基本的には、ひらがなで表記するようにしましょう。
「兼」と「予」は、どちらも「前もって」という意味をもつ言葉ですが、「兼ねて」は、「前もって」という意味のほかに、「ふたつ以上のものをあわせもつ」という意味をもつため、「前もって」という意味を伝えたい場合に、相手に正しく意図を伝達できない可能性があります。
ビジネスシーンだからといって、漢字表記にする必要はない用語のため、コミュニケーションエラーを起こさないためにも、ひらがなを用いた表記がおすすめです。
「かねてより」の使い方と例文
「かねてより」の使い方を、例文を参考にみていきましょう。
進捗状況を共有するとき
「かねてより」は、取引先や顧客、社内の社員に向けて、仕事の進捗状況を共有する際に使用できます。
- かねてより進めておりましたプロジェクトは、予定どおりに進んでいます。
- かねてより準備していたプロジェクトは、順調に進捗しています。
また、進捗状況を相手に聞く際は、以下の例文のように活用してみましょう。
- かねてより依頼しておりましたプロジェクトの件、進捗状況はいかがでしょうか。
- かねてよりお願いしておりました請求書の件、いかがでしょうか。
企画を発表するとき
「かねてより」は、企画を発表する際にも使用ができます。
この活用方法でも、進捗状況を共有する際と同じく、「以前から」という意味合いをもちます。
- かねてより計画しておりましたイベントの件、来年夏ごろの開催が決まりました。
- かねてより進めてきたプロジェクトの詳細を発表いたします。
依頼するとき
「かねてより」は、取引先や顧客、また社内の社員に向けて、仕事を依頼する際にも活用する表現です。
- かねてよりお世話になっております○○さまに依頼させていただいた次第です。
- かねてよりお伝えしておりましたプロジェクトの件、いかがでしょうか?
「かねてより」は、「以前から」という意味をもつ言葉のため、過去形の動詞と組み合わせて使う表現です。
「以前から」よりも、丁寧な印象を与える表現のため、ビジネスシーンで活用しやすい表現でしょう。
「かねてより」の類語・言い換え表現
「以前から」という意味をもつ「かねてより」は、ビジネスシーンでも活用しやすい丁寧な印象を与える言葉です。
類語や言い換え表現をあわせて覚えておくと、より円滑なコミュニケーションを実現できるため、確認していきましょう。
以前より
「前から」という意味を伝えたい場合は、「かねてより」ではなく、「以前より」と言い換えると、より強調した表現ができます。
- 以前よりお伺いしておりました件、進捗状況はいかがでしょうか。
- 以前よりお世話になっておりました○○さんに、新規のプロジェクトをご依頼させていただきたいです。
「以前より」は、意図を強調して伝達できる一方で、直接的な表現のため、やや強い印象を与える表現でもあります。
たとえば、相手に進捗状況を確認する際などに、「以前より」を使うと、やや高圧的な印象を与える可能性もあります。
丁寧な印象を与えたい場合は、「かねてより」を用いる方が、適切でしょう。
あらかじめ
「あらかじめ」は、「前もって」という意味をもつ言葉です。
「あらかじめ」は、先のことを考えて、行動を起こす場合に用いる表現のため、「かねてより」の言い換えには使えませんが、類語に当てはまる表現です。
ビジネスシーンにおいては、相手に断りを伝える際などにも用いる表現です。
- ○○の件に関して、お手数をおかけいたしますが、あらかじめご了承ください。
- ご不便をおかけいたしますが、あらかじめご了承いただきますようお願い申し上げます。
>ビジネスのお断りメールの書き方と注意点に関する記事はこちら
従来
「従来」は、「これまで」という意味をもつ言葉で、過去から現在、また未来を含めた意味合いで使われる表現です。
「かねてより」は、過去から現在の物事に関して用いる表現ですが、「従来」は、過去・現在・未来まで続く物事にも活用できます。
- 従来のとりくみ方ですが、問題点が多いため改善を図りました。
- 従来の方法に改良をくわえて、品質向上をはかりたいと思います。
常々
「常々(つねづね)」は、「いつも」「普段」という意味をもつ言葉で、「かねてより」とは異なるニュアンスをもつ言葉です。
「かねてより」が、過去から現在の物事を表すのに対して、「常々」は、「いつも」や「ずっと変わらない様子」を表します。
- ○○の件について、常々お伺いしております。
- プロジェクトの詳細については、上司から常々伺っておりました。
旧来
「旧来」は、「昔(以前)からおこなわれている」「以前から続いている」という意味をもつ言葉です。
たとえば、「旧来のやり方」や「旧来の友人」などの使い方ができます。
- ○○の製品について、旧来の使用方法で問題ございません。
- 旧来の考えをアップデートできていない。
「かねてより」を使うときの注意点
「かねてより」は、使い方によっては重複表現になるため、注意が必要です。
たとえば、「かねてから」という言葉は、「かねて」に「以前から」という意味があるため、「から」をつけると重複してしまいます。
また、「かねてより」も、「かねて」と「より」が、どちらも「以前から」という意味をもつ言葉のため、重複表現に当てはまるという見方をされる場合があるかもしれません。
しかし、「かねてより」は、平安時代から使われている言葉のため、ビジネスシーンで使っても、問題ないと考えられている表現です。
「かねてより風にさきたつ浪なれや逢ふ事なきにまたき立つらむ」[※1]
「......御腰結には、太政大臣をかねてより聞こえさせたまへりければ......」[※2]
[※1]引用:古今和歌集 巻第十三 恋歌三 歌番号627
[※2]引用:源氏物語 若菜上
重複表現に不安を覚えるシーンにおいては、「以前より」や「従来」などの言い換え表現と使い分けるようにしましょう。
「かねてより」は以前からという意味で使える
「かねてより」は、ビジネスシーンにおいて「以前から」という意味を、丁寧に伝えたい際に活用する表現です。
仕事の進捗状況を共有する際や、企画を発表する際などに使いましょう。
また、漢字表現にしてしまうと、ミスコミュニケーションの原因になりかねないため、基本的にはひらがなで表記するようにしましょう。
ビジネスシーンで円滑なコミュニケーションを実現するためには、ビジネスチャットの活用がおすすめです。
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