「メンタルタフネス」とは?実践するメリットや鍛える方法、必要とされる背景を解説
目次
メンタルタフネスとは、何か困難な状況が起きたときにも、解決に向けて前向きに行動できる能力や考え方のことです。
メンタルタフネスが高い人は、ストレスがかかる状況になったときでも、前向きに対応しやすくなります。
ネガティブな感情に支配されにくくなるので、仕事においても最大限にパフォーマンスを発揮し、生産性を高められるでしょう。
本記事では、メンタルタフネスとは何か、メンタルタフネスが高い人・低い人の特徴や、鍛える方法を解説します。
メンタルタフネスとは?
メンタルタフネスとは、困難やプレッシャーに直面した際や、ストレス環境下においても、前向きに行動し続けることできる能力や考え方のことを指します。
メンタルタフネスが高い人は、ネガティブな感情に引きずられないという傾向があります。
自分の感情をコントロールできるので、ストレスがかかる状況でも能力を発揮できるでしょう。
また、メンタルタフネスは生まれつきのものではなく、トレーニングや経験を通じて強化することができます。
メンタルタフネスとレジリエンスとの違い
レジリエンスとは、困難を感じる体験をしたときに「心の回復力や柔軟性がある」ことを表す言葉です。
一方、メンタルタフネスの場合「問題解決に向けて前向きに行動できる考え方」を意味します。
レジリエンスは、逆境における心の捉え方を意味するときに使い、メンタルタフネスの場合は、問題解消に向けて前向きに行動できる考え方という意味で使います。
メンタルタフネスが求められる背景
近年、メンタルタフネスが注目されている背景として、ビジネスの環境変化や社会的ストレスの増加があげられます。
メンタルタフネスが求められるようになった背景を紹介します。
ビジネス環境の変化
現代はVUCA時代と呼ばれ、グローバル化や技術革新により、ビジネスにおける環境変化はますます激しく、また競争も激化しています。
このような環境では、ストレスやプレッシャーに冷静に対処し、持続的に高いパフォーマンスを発揮できる人材が必要となるため、メンタルタフネスが求められるようになりました。
ウェルビーイングの重視
現代社会では、情報過多や社会的なプレッシャー、経済的不安など、さまざまなストレス要因が増えています。
これに対処するためのスキルとして、メンタルタフネスがますます重要視されるようになりました。
また、メンタルタフネスは、従業員の精神的な健康やウェルビーイングにも寄与します。
ストレスやプレッシャーに対処する能力が高い従業員は、燃え尽き症候群やメンタルヘルスの問題を防ぐことができ、長期的に健康で生産的な働き方を維持することができます。
メンタルタフネスを高めるメリット
メンタルタフネスを高めることで、「生産性の向上」「メンタル不調の予防」など、企業と個人の両方にメリットがあります。
それぞれのメリットの詳細を見ていきましょう。
生産性を高めやすくなる
メンタルタフネスを高めることで、従業員のパフォーマンスが向上して、生産性を高めやすくなります。
ストレスがかかる場面においても、感情に振り回されにくくなるので、作業に取り組む際の集中力が向上します。
また、注意散漫になる状況を防げるため、仕事のミスを減らすという効果が期待できるでしょう。
個人においても、仕事をコントロールできている感覚を実感できるので、作業に没頭できているという充実感を得やすくなります。
メンタル不調の予防になる
メンタルタフネスを高めることで、従業員のメンタルの不調を予防しやすくなります。
仕事のストレスがあるときでも「何とかなる」とポジティブにとらえられるので、ネガティブな感情に支配されにくくなるでしょう。
心理的に追い詰められてしまうことが減るため、社内の離職率や休職率を下げる効果が期待できます。
個人においても、仕事で起きた出来事をプライベートに持ち込みにくくなるので、充実した時間を過ごしやすくなります。
メンタルタフネスが高い人の特徴
メンタルタフネスが高い人には、以下のような特徴があります。
- 自身の強みと弱みを理解できている
- ポジティブ思考である
- 自分軸で行動できる
それぞれの特徴を見ていきましょう。
自身の強みと弱みを理解できている
メンタルタフネスが高い人は、自身の心の動きや思考において、強みと弱みを理解しています。
- ストレスに感じやすいシチュエーションは何か
- ネガティブな感情にとらわれた際に、どのくらいの時間で回復できるのか
- 気分転換を図る方法は、何が効果的なのか
上記のような項目についての自己理解が深いため、ストレスがかかる場面においても、客観的に状況を把握して対応できます。
そのため、ネガティブ思考や感情に引きずられず、気持ちを上手に切り替えられます。
ポジティブ思考である
ストレスを感じる場面でも、物事をポジティブにとらえられます。
たとえば、仕事で緊張を感じる場面が多くても「管理職にステップアップするためのメンタルを鍛えられる」というふうに、未来に目を向けられます。
万が一ミスが発生したときでも「何がミスの原因になったのかを把握して、次は絶対にミスをしないようにする」と気持ちを切り替えて、臨機応変に対応できます。
自分軸で行動できる
メンタルタフネスが高い人は、他人軸ではなく、自分軸で行動できます。
周りの目を気にしすぎないので、職場の人間関係で悩んで気分が落ち込んでしまうことが少ないです。
「自分と他人は違う価値観がある」ということを理解できているので、積極的に人間関係を構築できる人が多いでしょう。
仕事においては、周りの仲間と一緒にコミュニケーションを図りながら、チームワークを発揮して連携できるという強みもあります。
メンタルタフネスが低い人の特徴
メンタルタフネスが低い人には、以下のような傾向があると言われています。
- 自分自身を低く見てしまう
- ネガティブ思考で気持ちを引きずってしまう
- 他人軸で行動しすぎてしまう
それぞれの特徴を解説します。
自分自身を低く見てしまう
メンタルタフネスが低い人は、自分に自信が持てないと感じる機会が多いです。
仕事でミスがあったときも「自分なんてダメだ」「仕事ができない自分は恥ずかしい」など、ネガティブな感情に支配されやすい傾向があります。
実際はできていることが多い場合でも、自分を低く見てしまうことで、周りと自分を比べて落ち込みやすくなります。
ネガティブ思考で気持ちを引きずってしまう
物事をネガティブにとらえやすく、気持ちの切り替えが苦手な人が多いです。
たとえば、過去の仕事の失敗を思い出してしまい、長い間ネガティブな感情が続いてしまうという例があげられます。
ほかにも、上司から仕事の進め方を褒められたとしても「お世辞で気を遣われているだけだ」とマイナス思考でとらえがちです。
自分を責める機会が多くなってしまうので、自分をコントロールする能力が低下してしまい、本来の能力を引き出しづらくなります。
他人軸で行動しすぎてしまう
メンタルタフネスが低い人は、自分軸よりも、他人軸を重視して行動しがちです。
周りの目を気にしすぎてしまうので、気疲れしてしまい、仕事においても精神的な疲労を感じやすくなります。
主体的に行動するのが難しくなるため、会議で意見が言い出せないことや、上司の指示がないと動けないという状況に陥ってしまいます。
メンタルタフネスを鍛える方法
後天的に身につけることができるメンタルタフネスの能力ですが、以下の方法で鍛えることができるといわれています。
- 自分の思考のクセを理解する
- 呼吸を整える
- SOC(首尾一貫感覚)を意識する
- ストレスの解消方法を見つける
従業員のストレス耐性を高めるためにも、メンタルタフネスを鍛える方法を見ていきましょう。
自分の思考のクセを理解する
メンタルタフネスを鍛えるには「自分はどのような思考のクセがあるのか」を理解することが重要です。
たとえば「ミスを指摘されたときに慌てやすい」という特徴があったとします。
自分が苦手なシチュエーションを把握しておくことで、ストレスを感じる場面が発生したときでも「こういう部分が苦手だから、仕方がない」と冷静に対処しやすくなります。
呼吸を整える
呼吸を整えることで、体の緊張をほぐせるため、心をリラックスさせる効果が期待できます。
深呼吸するときは、鼻から息を吸って口からゆっくり息を吐くことを意識しましょう。
集中して取り組む場合は、目を閉じて数分程度呼吸を整えることで、不安や緊張感を和らげることができます。
SOC(首尾一貫感覚)を意識する
SOC(Sense of Coherence)とは「首尾一貫感覚」とも呼ばれ、人生の困難における納得感を意味する言葉です。
人生で起きるストレスについて、ネガティブな思考や感情に陥っても「筋がとおっている」という納得感があると、心の健康を保てることがわかっています。
首尾一貫感覚では、以下の3つの感覚を大切にすることで、心の安定感を得やすくなります。
- 把握可能感:自分の状況を把握、予測できること
- 処理可能感:何とかなると思うこと
- 有意味感:やりがい、生きる意味を感じられること
ストレスの解消方法を見つける
心の健康を維持するには、日々のストレスを上手に解消することが大切です。
たとえば、趣味や運動、人と話して言語化することで、自分のネガティブな気持ちを整理しやすくなります。
仕事以外のプライベートの時間は、自分が好きなことに取り組むなど、気分転換を図ってストレスを抱え込まないように工夫してみてください。
企業側から従業員のメンタルタフネスを鍛える方法
従業員の健康維持のためにも、企業側から従業員に対し、メンタルタフネスの重要性を伝えていくことが重要です。
企業では、従業員のメンタルタフネスを鍛えるためにできる方法として、メンタルヘルスに関わる研修を実施することができます。
たとえば、新入社員や管理職などに向けて、マインドフルネスやハラスメントに関わる講義をおこなうといった取り組みもよいでしょう。
また、従業員がひとりでおこなえるセルフケアの方法を教えるなど、仕事のストレスを抱え込まない技術を学ぶ機会を作りましょう。
メンタルタフネスの向上は組織にとって重要
メンタルタフネスを向上させることで、メンタルの不調を予防しやすくなります。
ストレスがかかる出来事が起きたときでも、ネガティブな感情を引きずらずに済むので、冷静に対応できる機会が増えるでしょう。
気分の切り替えが上手になると、仕事に集中しやすくなり、社内の生産性を高めやすくなります。
また、従業員のメンタルケアに働きかけるには、社内で気軽に相談できる体制を整えておくことも重要です。
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