コンセンサスゲームとは?5つの具体例や進め方、とりくむメリットを解説
目次
コミュニケーションスキルやチームビルディングのスキル向上に効果的として、ビジネスの研修や採用で実施されることが多い「コンセンサスゲーム」ですが、聞いたことはあるでしょうか。
近年、組織での大切な力を身につけられるとして、さまざまな企業で実施されています。
コンセンサスゲームの概要やメリット、進め方を、ゲームの具体例を交えつつ、確認していきましょう。
コンセンサスゲームとは
「コンセンサスゲーム」とは、与えられた課題について、チームで協力しながら答えを見つけていくもので、合意形成について学ぶことのできるゲームです。
他人との価値観の違いを発見し、異なる意見が交じりあう対人関係で、どのようにコミュニケーションをとっていくかを学ぶ目的でおこなわれるもので、企業の研修や採用などで活用されています。
コンセンサスゲームを経験することで、複数人で答えを導きだすことのメリットや、ひとつの目的に向かって複数人で協力すべきときに求められる振る舞いなどを学ぶことができるでしょう。
コンセンサスゲームの活用シーン
実施する企業が増えているコンセンサスゲームですが、どのようなシーンで活用することが効果的なのでしょうか。
コンセンサスゲームの活用シーンをみていきましょう。
人材採用
人材採用でコンセンサスゲームを活用すると、その人が実務でどのような働きをするのかをみることができます。
コミュニケーションのとり方や、組織内での振る舞い、課題に対する向き合い方など、実務での動き方を、ゲームを通して擬似的にみることができます。
筆記テストや面接では、個人の処理能力やどのような価値観や思考をもっているのかなどを確認することができますが、それを実際に組織のなかで活かせるのかまではわかりません。
しかし、コンセンサスゲームをとりいれることで、コミュニケーション能力や他者と協調しながら課題を解決していける人物かどうかを明らかにすることができるでしょう。
人材研修
人材研修にコンセンサスゲームを活用することで、メンバーと馴染む機会を設けることができ、アイスブレイクにすることができるでしょう。
コンセンサスゲームの回答は、その人の大事にしている部分や価値観が色濃く出るものです。
メンバーの考えを聞くことによって、人となりを理解できることにくわえて、複数人でひとつの課題達成に向かって話しあいを進めれば、相互理解を深めることもできるでしょう。
コンセンサスゲームのメリット
コンセンサスゲームのメリットについて確認していきましょう。
採用活動や人材研修をおこなう際の課題が、コンセンサスゲームで解消できるかもしれません。
チームビルディングに効果的
コンセンサスゲームは、与えられた課題について、チームで協力しながら答えを見つけていくものです。
そのため、チームで最もよい成果をあげるためには、どのように課題に向きあえばよいか、どう周りとコミュニケーションをとればよいかを工夫するようになるため、チームビルディングに効果的です。
自分の考えを述べながら、うまく周りと意見をすりあわせるといった経験は、実際の業務でもそのまま活かせるでしょう。
論理的思考力のトレーニングになる
コンセンサスゲームでは、相手の考えや意見を理解したり、自分自身の考えをどのように説明したら納得してもらえるだろうかと思考を重ねたりする必要があるため、論理的思考力のトレーニングになるでしょう。
複数人で合意形成をおこなうためには、前後の話の文脈一致や整合性について考える必要があるため、論理的思考力が必要不可欠となります。
実際の業務においても、社内での情報共有や顧客にセールスをおこなう際など、納得感のもった説明をできることは重要です。
コミュニケーションスキルのトレーニングになる
コンセンサスゲームは、複数人で意見交換をしながら、ひとつの意見をまとめる必要があるため、コミュニケーションスキル向上に役立ちます。
自分以外の人と、協力してよいものをつくりあげるためには、お互いに気持ちよく仕事をする必要があるため、自分の意見を押しつけないことや、相手の意見を否定しないことといったコミュニケーションが大切になります。
コンセンサスゲームでは、共感力や調整力、交渉力など、コミュニケーションに関するさまざまなスキルを身につけることができます。
自分と異なる価値観の受容につながる
コンセンサスゲームをおこなっていると、自分の価値観や考えとはまったく異なる意見をもっている人がいることに気づくでしょう。
コンセンサスゲームでは、その考えにいたった理由や背景を聞くことができるので、自分とは異なる意見や考えをひろく受容することにきっかけになるでしょう。
自分の意見をまとめるトレーニングになる
コンセンサスゲームでは、さまざまな人の意見を聞き、自分の考えを発表しながら、作業を進めていきます。
ほかの人の意見のまとめ方を参考にしたり、周囲にわかりやすく説明するためにはどのように説明するべきかなどを考えたりしながら進めることができるため、意見をまとめるトレーニングにもなるでしょう。
また、限られた時間のなかで、要点をまとめてわかりやすく説明する力もつきます。
コンセンサスゲームの進め方
コンセンサスゲームの具体的な進め方についてみていきましょう。
進め方(1):チーム決めをおこなう
コンセンサスゲームの効果を最大限高めるためには、親しい人や普段の部署の人で固まることを避けながら、3〜6人でグループを作る必要があります。
チーム決めをおこなう際は、あらかじめ接点がないメンバーを運営側で選定しておく、またはくじ引きで決めるとよいでしょう。
進め方(2):ファシリテーターによるゲーム説明
チームわけをしてメンバーが顔あわせをしたら、ファシリテーターによるゲーム説明がおこなわれます。
ファシリテーターは、ゲームの概要説明や制限時間、進めるうえでのポイントなど、個々のチームで概要理解に差が生まれないように注意し、全員に理解が行き渡る説明を意識しましょう。
進め方(3):個人で意見をまとめる
ゲームの内容を理解したら、個人で課題を解く時間を設けましょう。
制限時間が過ぎたら、個人でまとめた意見を、どうしてそのような回答になったのかすべての項目についてメンバーを納得させられるように説明していきます。
進め方(4):チームで意見をまとめる
個人の考えを共有できたら、よりよい方向性を模索しながら、チームとしての意見をまとめましょう。
一人ひとりが自分の意見をしっかりと発表し、周りの人は個々の意見を尊重しながらよく聞いたうえで意見をまとめていきます。
この段階では、複数人の話をまとめるのが得意な人や、話の矛盾点を見つけるのが得意な人、発話頻度が少ない人の意見を促すのが得意な人など、それぞれの役割が浮き彫りになりやすいです。
自分の組織のなかの役割も発見できるでしょう。
進め方(5):チームの意見を発表する
チームでひとつの意見をまとめたら、代表者が話しあった結果を発表します。
その回答にした理由を端的に説明できるようにしましょう。
また、ほかのチームの発表で、参考になるような考えや異なる価値観があったらメモをしておくと、効果的な振り返りにつながります。
進め方(6):講評や感想発表をおこなう
最後に、ゲームを通じて感じたことやほかのグループの発表を聞いて考えたことなど、新たな気づきなどを共有しましょう。
運営側からの講評もこのタイミングでおこないましょう。
ゲームを通して経験したことを、実際の業務でも活かせるように、実務で活かせるポイントやこのゲームを踏まえて考えて欲しいことなどを講評として話すとよいです。
コンセンサスゲームの具体例
コンセンサスゲームのメリットや進め方について確認してきましたが、ここからは実際のゲームの内容についてみていきましょう。
コンセンサスゲームにはいくつかの種類があるため、目的や参加するメンバーによって、実施するゲームを決めるようにしましょう。
ここではコンセンサスゲームの代表例を5つ紹介します。
具体例(1):NASAゲーム
「NASAゲーム」は、NASAが宇宙飛行士の採用試験のために作成したもので、月面に不時着してしまったことを想定し、無事に助かる方法を話し合うゲームです。
このゲームでは、15の決められた物のなかから、母船に無事に辿り着くために必要なものを重要度の高い順番に並び替える必要があります。
優先順位のつけ方には、個人個人の価値観や解釈などが色濃く表れるでしょう。
異なる意見や価値観を認めながら、明確な理由をもって優先度をつけることが求められるゲームです。
具体例(2):船長の決断
「船長の決断」は、緊急事態にどのように対応するかをテーマに作られたゲームです。
このゲームでは、自分が船長であることを想定して、ほかの舟と衝突してしまうトラブルが発生した際に、船長としての責務を果たしながら、どのように処置していくかを決める必要があります。
「船の衝突」という不測の緊急事態を前にして、どのような行動をとるのかが試されるゲームで、リスクマネジメント能力などを擬似的にみることができます。
具体例(3):小さな泥棒
「小さな泥棒」は、コンビニで万引きを繰り返す少年とコンビニ店員A、コンビニ店長の3人が登場人物のゲームで、「一番間違っている人はだれか」「間違っている人の順番」を求められるゲームです。
これは「正式な正解がないゲーム」のため、個人がもっている価値観によって意見が大きくわかれるのが醍醐味です。
おにぎりを毎日万引きする少年を防犯カメラでみた店長は、店員Aに、男の子を捕まえるよう指示しましたが、店員Aは捕まえませんでした。
この事実を知った店長は、店員を辞めさせてしまったというところから、一番悪いのはだれかを探るゲームです。
答えがないゲームのため、もやもやする可能性もありますが、異なる価値観にふれたり、考えを共有したりなど、コミュニケーションスキルの向上に効果的なゲームでしょう。
具体例(4):無人島での出来事
「無人島での出来事」も、無人島に流れついた5人の登場人物のなかから、許せないメンバーを決めていく答えがないコンセンサスゲームです。
ある日の嵐により、そこに載っていたメンバーが、それぞれ二隻の舟に分かれて二つの無人島にながれつきました。
とある事件が起こるなかで、登場人物のだれが許せないかの順番をつける必要があるのですが、答えがないため、個人の価値観や意見を共有し、チームとしての意見を見つけていく必要があります。
組織のなかでの自分の役割を見つけ出すきっかけや、自分の価値観を見つめ直すきっかけにすることもできるでしょう。
具体例(5):聖夜のケーキ店
聖夜のケーキ店も「正式な答えがない」ゲームのひとつです。
とあるケーキ店の仕事現場が舞台のゲームで、登場人物はオーナーと店長、そのほか2人の店員となっています。
オーナーから、クリスマスケーキの必ず守って欲しい作成数を言い渡されたことからストーリーが展開されていき、登場人物のだれがもっとも悪いかを探るゲームです。
このゲームにおいても、自分とは異なる意見をもつ人と、どのようにひとつの意見を作りあげていくかを考える必要があるでしょう。
コンセンサスゲームを成功させる3つのポイント
コンセンサスゲームを効果的におこなうためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。
このポイントをおさえられていないと、ゲームが逆効果になってしまったり、効果を享受することができなくなったりしてしまいます。
このポイントについては、ファシリテーターからゲームの参加者に伝達するようにしましょう。
ポイント(1):意見を否定しない
それぞれの考えや価値観をもとに答えを導き出しているため、相手の意見を否定せずに最後まで聞くことが大切です。
自分と意見が異なる場合には、相手の考えを尊重しうけ止めたうえで、自分の考えを述べるようにしてください。
結論をだすときには、相手や周囲と話しあいながら、物事を吟味したうえで決めていきましょう。
ポイント(2):多数決はしない
多数決をしてしまうとコンセンサスゲームの意義や目的が失われてしまいます。
それぞれの意見を集めたうえで、理由や意見を聞いて、最も正しいと思われるものを話しあいにより決めていく必要があります。
ひとつの意見を作りだすとなると、多数決をしてしまいがちなため、注意が必要です。
ポイント(3):直感で決めない
意見をまとめる際は直感で決めずに、「なぜこの順番にしたのか」や「なぜこの結論に至ったのか」を、自分の価値観や考えで説明できるようにしましょう。
考え抜いたうえでほかの人の意見や模範解答を聞くと、自分の考えや価値観を深めることができます。
コンセンサスゲームをチームビルディングに活用しよう
コンセンサスゲームは、個人でなく複数人のチームで考えを練る必要があるため、論理的思考や意見をまとめるトレーニングにもなります。
目的や解決したい課題にあわせて、研修や採用にとりいれてみるとよいでしょう。
コンセンサスゲームを効果的におこなうためには、3つのポイントをおさえて正しい手順を踏むことが大切です。
事前にチーム分けをおこなう、ルールや概要をしっかりと共有するなどで、コンセンサスゲームの効果的な実施を目指しましょう。
コンセンサスゲームによるトレーニングに加えて、実際にチームビルディングを進めていくためにはチームや社内のコミュニケーションを活性化しておくことも重要です。
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