メタ認知とは?鍛え方や高い人・低い人の特徴をわかりやすく解説
目次
自分自身を客観的に認知する「メタ認知」は、ビジネスシーンにおいても重要なスキルです。
近年注目を集めているメタ認知について、概要や種類、重要性などを解説します。
また、メタ認知が高い人・低い人の特徴、メタ認知を鍛える方法についても紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
メタ認知とは
「メタ認知」とは、自分自身が認知していることを客観的に把握する能力を指し、「自分がなにを認知しているのかを認知すること」をいいます。
「メタ」には、「高次元の」や「超越した」といった意味があります。
そのため、メタ認知には、自分自身の認知のあり方について、より高次な次元から認知して、把握するという意味があるといえるでしょう。
メタ認知の起源・歴史
メタ認知の起源は、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスといわれています。
ソクラテスは、「無知の知」という考え方を唱えた人として有名です。
「無知の知」とは、自分に知識がないことや、なにも知らないことを自覚するという概念・考えです。
そのため、自分が無知であることを自分で認知するという点は、「メタ認知」の起源とも捉えられるでしょう。
また、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベルは、メタ認知を提唱した人物として、著名な人物です。
このジョン・H・フラベルは、1970年代に、「知覚や記憶、学習、思考などを自分が認知していることを客観的に自覚して制御すること」として、メタ認知を定義しました。
2種類のメタ認知
メタ認知には、以下の2種類が存在します。
- メタ認知的知識
- メタ認知的技能
それぞれのメタ認知について、詳しく解説します。
メタ認知的知識
メタ認知的知識とは、「自分で知っている自分についての知識」をいいます。
具体的には、自分の好き嫌いや短所や長所などを指します。
たとえば、「マルチタスクの仕事が自分は苦手だ」「営業や人との交渉が得意だ」など、自分自身を客観的に分析して得た知識を「メタ認知的知識」といいます。
メタ認知的技能
メタ認知的技能とは、メタ認知的知識を活用しながら、自分の現状分析・課題解決をおこなう能力を指します。
具体的にメタ認知的技能には、「メタ認知的モニタリング」と「メタ認知的コントロール」のふたつがあります。
メタ認知的知識をもとに、自分の状態の良し悪しや知識の過不足を確認することを、メタ認知的モニタリングといいます。
メタ認知コントロールは、メタ認知的モニタリングによって得た情報をもとに、課題の解決のための方法を検討し、実際に解決に向けて行動することです。
メタ認知が高い人の特徴
メタ認知が高い人には、以下のような特徴があります。
- 感情をコントロールできる
- 柔軟性が高い
- 周囲へ配慮ができる
業務の進め方と同じように、能力が高い人の特徴を知り、真似できる点を探ることは、自分のスキル向上の近道となります。
メタ認知が高い人の特徴を確認していきましょう。
感情をコントロールできる
メタ認知が高い人は、感情のコントロール能力も高い傾向にあります。
たとえば、「いま自分は寝不足で疲れていて、イライラしている」という感情の状態を認識した時には、「人にイライラをぶつけないように気をつけよう」と考え、感情を制御できます。
自分の感情をコントロールできるようになると、感情に左右されず、論理的に判断がくだせるようにもなるため、メタ認知の高さは、業務を進めるうえでも重要なスキルです。
柔軟性が高い
メタ認知が高い人は、状況が変化したときに、自分になにが必要なのかを把握する能力があるため、柔軟性が高いのも特徴です。
たとえば、他の人から新しいアイデアを提案されたとき、まずはアイデアを受け入れて前向きに検討し、試してみるということもできるでしょう。
急激な環境や事態の変化があっても、自分になにが足りていないのかを把握し、解決方法を考えて実行できます。
周囲へ配慮ができる
周囲への配慮が行き届いている点も、メタ認知が高い人の特徴のひとつです。
メタ認知が高いと、自分自身が周囲の人からどうみられているかをモニタリングする能力も高い傾向にあるため、自分以外の人の状態についても視野が広がり、周囲への配慮もしやすくなります。
たとえば、誰かが困っている様子や疲れている様子を見かけたら、さりげなくサポートしたり、なにかを手伝ったりという行動をするでしょう。
周囲の人の状況に気がつけるようになると、声かけもしやすくなり、職場で信頼されるようにもなるでしょう。
メタ認知が低い人の特徴
逆に、メタ認知が低い人の特徴について紹介します。
メタ認知が低い人は、これまで紹介したメタ認知が高い人の特徴の逆の特徴をもっている傾向があります。
一例として、以下のような特徴が挙げられます。
- 感情コントロールができない
- 柔軟性が低い
- 周囲への配慮ができない
自分自身を客観視する能力にかけるため、周囲への配慮やセルフマネジメントができていない傾向がみられるでしょう。
メタ認知をトレーニングするメリット
メタ認知は、自分を客観的にみつめ、自分で問題解決をしていくために必要な能力です。
メタ認知の高さは、ビジネスシーンにおいても、仕事の成果にもつながりやすく、重要なスキルとして注目されています。
メタ認知の高さ、またメタ認知の鍛錬は、人材育成の観点からも重要といえるでしょう。
メタ認知の鍛錬により、以下のようなメリットを期待できます。
- セルフマネジメント能力向上
- 変化対応能力の向上
- コミュニケーション能力の向上
それぞれのメリットについて紹介します。
セルフマネジメントができるようになる
メタ認知を鍛えると、セルフマネジメントの能力向上が期待できるようになります。
メタ認知の能力が高ければ、自分で自分の状態を客観的に把握できます。
「自分はいま怒っている」「自分はとても疲れている」といった状態を自覚できるため、適切な対処行動につなげられます。
変化対応力が高い人材になる
近年、ITやAI技術の発展など、日々目覚ましい変化が起こっていますが、このような変化の時代のなかで、メタ認知の能力が高ければ、自分の知識や技術が古くなっていないか、自分は時代に適応できているかを把握できます。
高いメタ認知で、時代の変化と自分のギャップを適切に把握できると、変化に柔軟に対応できるようになるでしょう。
コミュニケーション円滑化につながる
メタ認知をコミュニケーションに活用すると、自分が適切な受け答えができているかをモニタリングできます。
客観的な自分を把握できると、円滑にコミュニケーションをとるための方法を具体的に考察でき、実行していけるようになるでしょう。
メタ認知を鍛える方法
メタ認知は、ビジネスパーソンとしても重要なスキルです。
メタ認知を鍛えるうえでは、メタ認知的モニタリングを鍛える方法と、メタ認知的コントロールを鍛えるふたつのアプローチがあります。
それぞれの鍛え方について、詳しく解説します。
メタ認知的モニタリングを鍛える方法
メタ認知を鍛えるためには、まずは自分自身を客観的にみつめて、自分自身について知る「メタ認知的モニタリング」の能力向上が大切です。
自分自身について知るための問いかけをいくつか紹介するので、下記のような問いかけを、自分におこなってみましょう。
- 自分はいまどんな感情をもっているのか
- 自分の長所はなにか
- 自分の短所はなにか
- どのような状況で自分はどんな行動をしがちなのか
自分の現状を把握する習慣により、メタ認知的モニタリングを高められます。
メタ認知的コントロールを鍛える方法
メタ認知モニタリングで得た情報をもとに、具体的な課題解決方法を考え、実践していく「メタ認知的コントロール」も重要なスキルです。
たとえば、モニタリングから「締め切り前になると自分はイライラしやすい」という自身の傾向がわかったら、以下のような具体的な解決方法をだしてみましょう。
- 締め切り前は会議などの予定を入れない
- 締め切りで焦らないように前倒しで仕事を進める
具体的な解決方法を検討してみると、自分にあう方法、あわない方法についての情報も得られて、よりメタ認知能力を高められます。
解決方法を検討する際は、実現可能性などに縛られず柔軟な視野で考え、自分に合う方法を検討するようにしましょう。
メタ認知トレーニング(MCT)
メタ認知を鍛える方法のひとつに、「MCT(Meta Cognitive Training)」という方法があります。[※]
MCTは、2007年に、ドイツのハンブルク大学のモーリッツ教授が開発した、統合失調症などの精神疾患の治療のために開発された心理的介入技法のひとつですが、健康的な人にも効果があるとされています。
MCTを活用すると、自分の思い込みや飛躍した考え方などの認知バイアスに無理なく気づけるとされています。
MCTの研究によると、下記フローの段階的な実践により、低下したメタ認知機能を回復できるとされています。
MCTは、3人以上10人以下のグループワークで進めるもので、通常精神科医かコメディカル・スタッフがトレーナーをつとめますが、企業でおこなう場合は、人事担当者などが進めるとよいでしょう。
日常でできるメタ認知トレーニング
メタ認知には、自分を客観的にみる能力が必要不可欠です。
自分を客観的にみるために、日常でできるトレーニング方法には、以下のようなものがあります。
- 日記を書く
- フリーライティング
- 瞑想
- セルフモニタリング
フリーライティングは、自分の考えや悩みなどを10~20分ほどかけて、手を止めずに紙に書き出す方法です。
日記やフリーライティングによって、自分の感情や考えを可視化し、自己を客観視する能力を鍛えられるでしょう。
また、瞑想やセルフモニタリングで自分と向き合い、「いま自分はなにを感じているのか」「いま自分はどんな状態なのか」を意識的にとらえる活動も効果的です。
自分を客観的に見つめることは、普段の業務を円滑に進める効果以外にも、キャリアや価値観を見つめ直す機会にもなります。
仕事で壁にぶつかった時や、業務の区切りがいい時など、さまざまなシーンで活用してみましょう。
>マインドフルネス瞑想のやり方と活用方法に関する記事はこちら
メタ認知のトレーニングにも「Chatwork」
メタ認知とは、自分自身を客観的にとらえる能力を指します。
メタ認知の能力を鍛えることで、自身をコントロールし、仕事での成果も出しやすくなるでしょう。
変化が激しい時代のなかで、求められるスキルや能力も多様化しています。
このような時代のなかで、自分を客観視し、柔軟に変化させられるメタ認知は、ビジネススキルとしても注目されており、社会人であればメタ認知を高める努力もしていきたいものです。
ビジネスチャット「Chatwork」は、社内外を問わずにコミュニケーションを円滑にするチャットツールですが、自分だけしかみられない「マイチャット」という機能が搭載されています。
マイチャット機能は、自分のタスク管理などにも活用できますが、日々の日記や自分の思ったこと、感じたことなどを可視化して、メタ認知を鍛える目的での活用も可能です。
仕事で毎日使うツールを活用すれば、別のツールを開いたり、立ち上げたりする必要もないため、気軽に実践できるでしょう。
メタ認知のトレーニングにも活用できる「Chatwork」は、無料で使用を開始できます。
まずは、個人やチーム、部署などの単位で使いはじめ、コミュニケーションや業務の変化を実感してみてください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※]出典:「メタ認知トレーニング(MCT)の理論と実践」
http://kouken-saitama.org/cms/wp-content/uploads/2016/12/%EF%BC%AD%EF%BC%A3%EF%BC%B4%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E5%AE%9F%E8%B7%B5.pdf