エスカレーションとは?意味と使い方、フローの作り方や運用方法まで解説

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エスカレーションとは?意味と使い方、フローの作り方や運用方法まで解説

目次

エスカレーションとは、ビジネス上で対処できない問題が起きたときに、上長に相談して指示を仰いだり、対応を委ねたりすることを指します。

業界・業種、職種によって、エスカレーションの意味合いや使い方が異なるため、正しく理解しておきましょう。

また、インシデント発生時のエスカレーションについて定めた「エスカレーションフロー」を作成することも重要です。

今回は、エスカレーションの意味や使い方、エスカレーションフローの作り方、運用方法を解説します。

エスカレーションとは?

そもそもエスカレーション(escalation)とは、「上昇」や「拡大」などを意味する言葉で、ビジネスにおいては「段階的な上位へのアプローチ」といった意味で使います。

例えば、担当者では対処できない事態が起きたときに、上長に相談して指示を仰いだり、対応を委ねたりすることを指します。

エスカレーションと混同しやすい言葉が「報告」です。

「エスカレーション」では、トラブルやアクシデントに発展しそうな出来事・事案(インシデント)が起きた際に報告・相談して指示を仰ぎますが、一方で「報告」には、対応を委ねたり、指示を仰いだりすることは含まれません。

報告は、現状を伝えることのみを意味します。

エスカレーションと報告の違いを理解して、正しく使うようにしましょう。

>インシデントの意味とアクシデントとの違いに関する記事はこちら

エスカレーションはどんなときに使われるか

エスカレーションは、緊急を要する問題や担当者の権限では判断できない事態が起きた際に使われます。

例えば、以下のようなケースがあげられます。

  • 無理な価格交渉やクレームなど、担当者では判断が難しい場合
  • 商品やサービスに関して、知識やスキルの範囲を超えたサポートが必要な場合
  • 重大なシステム障害や情報漏洩が発生した場合

エスカレーションをおこなう場合は、簡潔に状況を説明し、必要な指示やサポートを求めることが大切です。

業界・業種ごとのエスカレーションの意味

エスカレーションは、業界・業種、職種によって意味合いや使い方が異なります。

ここでは、以下の業界・業種、職種での意味や用いるシチュエーションを解説します。

  • コールセンター
  • SE(システムエンジニア)
  • IT業界
  • サービス・接客業

コールセンター

コールセンターでのエスカレーションは、オペレーターでは対応しきれない際に責任者や司に転送することを指します。

特に多いのが、無理な要求やクレーム対応に関するエスカレーションです。

クレーム対応の担当者やセンターの責任者などに、対応を引き継ぐケースが多いでしょう。

また商品やサービスに関して、担当者では回答できないような質問をされた際にエスカレーションすることもあります。

>クレームの社内共有に関する記事はこちら

SE(システムエンジニア)

SE(システムエンジニア)のエスカレーションは、主にシステム導入やサーバー管理などを受託している顧客に対して使います。

システム障害などインシデントが起きた場合、ただちに顧客へエスカレーションすることが重要です。

トラブルの内容や対応作業、復旧の目処などを報告し、サービスにどのような影響があるのかを報告することが欠かせません。

IT業界

IT業界では、上司やシステム管理者などに対応を引き継ぐときに用います。

サービスデスクでは対応できない専門的な問い合わせの場合に、確認を依頼し、対応をお願いすることが多いでしょう。

また、問題が起きた際の対応範囲を広げたり、段階を引き上げたりするときにエスカレーションを使うこともあります。

サービス・接客業

サービス・接客業のエスカレーションは、接客態度や提供サービスなどに対する顧客からのクレーム対処を上司に依頼することを指します。

過度な要求をしてくるケースや、顧客が感情的になっているケースは、責任者や本社に報告し引き継いで対応することで、解決につながりやすくなります。

エスカレーションでよくある問題

ビジネスにおいてエスカレーションがうまくいかない理由としては、以下の3つがあげられます。

  • エスカレーションすべきかどうか判断ができない
  • エスカレーション先がわからない
  • 関係者との情報共有ができていない

エスカレーションでよくある問題を解説します。

エスカレーションすべきかどうか判断ができない

エスカレーションでよく起こるのが、担当者で判断ができないといった問題です。

エスカレーションを判断する基準が決まっていないと、担当者ごとに対応方法が分かれてしまいます。

エスカレーションの基準が明確になっていない場合、担当者ごとに対応の質が異なり、さらに大きなトラブルにつながる恐れもあるでしょう。

適切に判断するには、エスカレーションの基準を決めて運用することが重要です。

エスカレーション先がわからない

エスカレーション先がわからないと、報告や対応に時間がかかってしまいます。

スムーズにエスカレーションするために、事前に「どの部署に連絡するのか」「誰にどのような手段で報告するのか」といったルールを決めておきましょう。

問い合わせやクレームなど内容によっては、他部署との連携が必要な場合もあります。

問題を迅速に解決するには、社内の運用体制を構築することも欠かせません。

関係者との情報共有ができていない

複数の担当者で対応するときに注意したいのが、情報共有のプロセスです。

問い合わせやクレーム内容、対応履歴などを関係者同士で共有できていないと、同じ質問を繰り返してしまったり、的外れな対応をしてしまったりする恐れがあるからです。

また社内に情報共有しやすい環境が整っていない場合は、顧客情報を見つけ出すまでに時間がかかり、顧客のストレスや不満につながりやすくなります。

エスカレーションの失敗を防ぐには、情報共有しやすい仕組みを作ることは大切です。

>社内の情報共有を効率良くする方法に関する記事はこちら

エスカレーションをスムーズにおこなうためのポイント

エスカレーションをスムーズにおこなうためにおさえたいのが、以下の4つのポイントです。

  • ルールや基準を明確にして周知する
  • 報告者に対して責任を問わない
  • エスカレーションしやすい職場環境を作る
  • 事実を正確に伝える

ポイントをひとつずつ解説します。

ルールや基準を明確にして周知する

前述したとおり、判断基準や報告する手段など、スムーズに運用するにはエスカレーションに関するルールや基準を明確化しておくことが重要です。

しかし、ルールや基準を定めても、周知されていなければ意味をなしません。

講習会の実施やメール・チャットでの連絡など、全社に伝わりやすい手段で周知する必要があります。

ルールや基準は、実際に運用しながら改善し、更新するようにしましょう。

報告者に対して責任を問わない

エスカレーションをおこなったときに注意したいのが、報告者に対して責任を問うことです。

責任を避けるために、エスカレーションを控えるようになってしまうと、インシデントに迅速に対応できなくなってしまいます。

「報告したら上司から怒られるのでは」「報告せずに内々で解決してしまおう」といった事態を避け、報告者が萎縮しないようなルールや環境を整えておきましょう。

エスカレーションしやすい職場環境を作る

大きなトラブルを回避するには、迅速に報告できる体制を作る必要があります。

まずはルールの明確化とともに、エスカレーションしやすい職場環境を構築することが欠かせません。

「こんなことを報告してもよいのだろうか」「誰に報告すべきかわからない」といった状態では、エスカレーションが遅れてしまい、早い段階でインシデントに対応できなくなってしまいます。

報告しやすい仕組みや、躊躇わずにエスカレーションできる職場環境を作りましょう。

事実を正確に伝える

緊急性が高い問題に対して適切に対応するには、上司や責任者に正しい状況を伝える必要があります。

情報を正確に伝えたいときは、「5W1H」を意識して伝達事項をまとめるようにします。

さらに、顧客の性別や年齢、職業といった属性や対応履歴などの情報も事前に調べておきましょう。

電話など口頭だけでは情報の抜け漏れが起きやすくなるため、メールやチャットなど正確に情報を伝えられる媒体を用意しておくと安心です。

エスカレーションフローとは

スムーズにエスカレーションをおこなうために作成しておきたいのが、エスカレーションフローです。

エスカレーションフローとは、インシデント発生時のエスカレーションをおこなう流れをシステム化したものを指します。

事前に対応フローを作り、仕組み化しておくことで、客観的な行動が取れるようになります。

エスカレーションフローの作り方

大きなトラブルを未然に防ぐには、インシデント発生時にエスカレーションをおこなう流れを作成しておきましょう。

エスカレーションフローを作るときは、以下の手順で進めます。

  • ステップ(1):エスカレーションが必要となるインシデントを規定する
  • ステップ(2):インシデントのレベルを分ける
  • ステップ(3):エスカレーションのルートを決める
  • ステップ(4):記録をデータベース化する
  • ステップ(5):エスカレーションフローを定期的に見直す

それぞれのステップを順番に解説します。

ステップ(1):エスカレーションが必要となるインシデントを規定する

まずは、エスカレーションが必要かを判断する、規定を定めることから始めます。

インシデントが起きた際は、現場で冷静に判断することが困難です。

「どのような事態が起きたらエスカレーションが必要か」「現場で対応するか、または上司や責任者に引き継ぐか」といった線引きを決めておきましょう。

ステップ(2):インシデントのレベルを分ける

インシデントの規定を定めたら、事案の内容に応じてレベル分けします。

どのレベルのインシデントで、誰が対応するかを決めておくとよいでしょう。

例えば、IT業界であれば以下のようにレベル分けができます。

レベル 概要 内容 対応者
初期対応 基本的な問い合わせ パスワードリセット、基本的なトラブルシューティング サポートデスク
中程度の問題 サポートデスクで解決できなかった場合 ソフトウェアのエラー、ネットワーク接続の問題 ベテランサポートデスク
高度な問題 複雑な技術問題、一部システムの障害 システム障害、データベースのトラブル 技術スタッフ
重度の問題 ビジネスプロセスに影響を及ぼす場合 サービス全体の停止、重要なセキュリティ問題 部門マネージャー、プロジェクトマネージャー
緊急対応 企業全体に影響を与える重大な問題が起きた場合 大規模なデータ漏洩、自然災害によるサービス停止 管理職、経営陣

ステップ(3):エスカレーションのルートを決める

エスカレーションを迅速におこなうには、あらかじめ報告するルートを決めておく必要があります。

「誰に連絡するのか」「報告する手段・媒体」「インシデント発生から何分以内に報告するのか」などを、レベルごとにルートを定めましょう。

ステップ(4):記録をデータベース化する

エスカレーションをおこなった際は、必ず記憶を残し、データベースの作成が欠かせません。

記録を残しておけば、同じようなインシデントが起きたときにデータベースを確認しながら、担当者ベースで対応できるようになるでしょう。

また、クレームやアクシデントが起きやすいポイントが把握できれば、サービスや業務改善をおこなうきっかけにもなります。

ステップ(5):エスカレーションフローを定期的に見直す

運用しながら定期的にエスカレーションフローを見直し、最適化していく必要があります。

重点的に確認すべきなのが、「社内に浸透しているのか」「現在の業務に沿ったフローになっているのか」「適切なタイミングでエスカレーションがおこなわれているのか」といった点です。

エスカレーションフローを改善する際には、情報を周知するための手段もあわせて見直しておくとよいでしょう。

円滑なエスカレーションをおこなうなら「Chatwork」

担当者では対処できないインシデントが起きたときは、適切にエスカレーションをおこなうことが重要です。

エスカレーションを迅速におこなうには、迅速に正しい情報を共有することが欠かせません。

円滑なエスカレーションをおこなう際に役立つのが、ビジネスチャット「Chatwork」です。

「Chatwork」では、個人間だけではなく複数人でグループを作成して、部署内で情報共有することもできます。

>Chatworkのグループチャットに関する記事はこちら

音声やビデオでの通話もできるので、組織のコミュニケーション活性化にも役立ちます。

>Chatworkの通話機能(ビデオ/音声通話機能)に関する記事はこちら

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