ラベリング効果とは?ビジネスの具体例と活用方法を解説

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ラベリング効果とは?ビジネスの具体例と活用方法を解説

目次

ラベリング効果とは、先入観や固定観念で物事を見てしまう心理のことです。

相手にラベルを張って決めつけるだけでなく、自分自身に対してラベリングする場合もあります。

ポジティブなラベリングもあれば、ネガティブなラベリングもあるので、どのような使い方をすればよいのか知っておくといいでしょう。

ビジネスシーンで活用するためにも、ラベリング効果が起きる原因や効果的な活用方法を見ていきましょう。

ラベリング効果とは?

ラベリング効果とは、人や物事に対して「○○だ」「○○ではない」と、根拠もなく判断し、思い込んでしまう心理をいいます。

人は気づかないうちに、先入観や固定概念で物事や相手を決めつける言動を取ることがあります。

ラベリング効果には、ポジティブなラベリングもあれば、ネガティブなラベリングもあり、もしも相手に悪いラベリングを貼ってしまうと、人間関係がこじれる原因になるでしょう。

ラベリング効果に陥ると、客観的に物事を見るのが難しくなります。

自分にラベリングすることもある

ラベリング効果は、自分自身に対してもおこなうことがあります。

人は自信がないときや、自信過剰になってしまうときは、どちらも物事を正確に見るのが難しくなります。

たとえば、自信がないときは「どうせ自分には何の能力もない」というラベリングをしてしまう可能性があります。

自分が勝手に思い込んでいるケースも少なくないので、冷静に物事を見るには、客観的な視点やアドバイスが必要です。

ラベリング効果に関わるラベリング理論について

ラベリング理論とは「他人や社会からのラベリングにより、社会的な逸脱行動が生み出される」ということを提唱した概念です。

主に犯罪心理学や刑罰学などで用いられる理論で、逸脱行動をした人に対してネガティブなラベルを貼ってしまうと、さらに逸脱行動を生み出してしまうという考えです。

たとえば、一般的に世間では、犯罪者に対して「悪い人、怖い人」というラベリングをします。

その結果、本人が改心していたとしても、周囲からのラベリングにより精神的に追い詰められ、再び罪を犯しやすくなります。

つまり、「周囲が形成したラベルによって逸脱した行動をしてしまう」ということがラベリング理論となります。

ラベリング理論は、ラベリング効果の由来といわれています。

ピグマリオン効果との違い

ピグマリオン効果とは、ほかの人から期待されると「結果を出したい」という心理が働いて、学習の成績や仕事の成果が上がる現象です。

ラベリング効果の場合、ポジティブな内容とネガティブな内容の両方が含まれますが、ピグマリオン効果は、ポジティブな内容を指します。

また、ピグマリオン効果は、相手の「期待」から影響を受けますが、ラベリング効果は相手や自分の「決めつけ」から影響を受けるという点に違いがあります。

>ピグマリオン効果に関する記事はこちら

ラベリング効果が起きる理由

ラベリング効果は意識的に使う場合もありますが、ほとんどは無意識的に起きています。

相手からのラベリングにより効果が作用する場合もあれば、自分自身が過去の経験や思い込みで相手に対してラベリングしてしまうケースもあります。

ラベリング効果が起きる主な理由としては、以下が挙げられます。

  • 承認欲求
  • 社会的認知
  • 予言の自己成就
  • 自己概念の変化

無意識に起きがちなラベリング効果を回避できるよう、起きてしまう理由についても知っておきましょう。

承認欲求

承認欲求とは、ほかの人から認められたい気持ちや、自分の価値を認めてほしいと感じる欲求のことです。

相手からポジティブなラベリングをされると、その期待に応えて認められたいという欲求が出たり、相手からネガティブなラベリングをされると、承認欲求を満たせずにやる気が失われる原因になったりする場合もあります。

社会的認知

人は、日常生活で大量の情報に直面するため、効率的に処理するために情報をカテゴリ化・簡略化します。

その過程で、他者や自分自身に関する情報も整理され、ステレオタイプやラベルが形成されます。

過去の経験則に基づき、複雑な情報を簡略化して処理速度を上げる一方で、他者や自己への固定的な認識が生じる場合があります。

>ステレオタイプに関する記事はこちら

予言の自己成就

予言の自己成就とは「こんな可能性があるかもしれない」という予感があるときに、たとえ思い込みだったとしても、無意識に達成するための行動を取ってしまうことです。

予言の自己成就では言葉のとおり、根拠や真実かどうかがわからなくても、いつの間にかその予言が現実になるという結果を引き出します。

たとえば、「怠け者」とラベルを貼られると、そのラベルを受け入れて怠けがちになることがあり、これが予言の自己成就としてラベリング効果を強化します。

自己概念の変化

自己概念の変化とは「自分はどのような人なのか」という概念が変わる現象を指します。

自分にネガティブなラベリングをすると、思い込んだ内容がいつの間にか現実になってしまう可能性があります。

自分の評価以外にも、ほかの人からのラベリングにより、自己概念が変化していく場合もあります。

ラベリング効果の具体例

ラベリング効果がどのような影響を与えるのか、以下のシーン別に具体例を見ていきましょう。

とくに、職場では上司と部下という関係でラベリング効果が作用すると、良くも悪くも影響が大きいと考えられます。

モチベーションがアップする場合もあれば、心を傷つけて業務に支障が出てしまう可能性もあり、注意が必要です。

職場や教育などの現場における、ラベリング効果の具体例を見ていきましょう。

職場

職場では、周りの評価が「従業員の能力を引き出す」という点で、ラベリング効果が影響します。

人は周りの期待に応えようとする心理があるため、評価の仕方によって言動や行動が変わる場合があります。

たとえば、上司が部下に「仕事が早くて優秀だ」と、ポジティブなラベリングをすると、部下は上司の期待に応えられるように今以上に仕事をこなすでしょう。

反対に、上司から部下に対して「仕事ができない」「協調性がない」と、ネガティブなラベリングされると、実際は違ったとしても上司からのラベリングにより、そのとおりになってしまいます。

教育

教育の場においては「先生から生徒」「親から子ども」に向けて、ラベリングをおこなう場合があります。

たとえば「勉強を習得するスピードが早い」など、ポジティブなラベリングをすると、相手の期待に応えたい気持ちになり、さらに勉強をするという行動がうながされます。

一方で「勉強を習得するまでに時間がかかっている」など、ネガティブなラベリングをすると、勉強のモチベーションが下がる原因となり、結果として本当に勉強の習得に時間がかかってしまうことがあります。

教育の場では成果を引き出すためにも、ポジティブな言葉を多く使用することが大切だと考えられています。

性別

性別におけるラベリングは、決めつけになりやすい例のひとつです。

たとえば「女性なのだから○○すべきだ」「男性なのだから○○あるべきだ」など、性別のイメージでのラベリングが当てはまります。

性別と個人の性格などは、あくまでもイメージにすぎない部分なので決めつけられないものといえます。

性別のラベリングをすると、ハラスメントにつながる原因にもなるので、日頃の言動を振り返り注意する必要があります。

>ハラスメントに関する記事はこちら

ラベリング効果のビジネスにおける活用方法

ラベリング効果はうまく活用できると、ビジネスシーンでとても役に立ちます。

とくに、マネジメントにおいてポジティブなラベリングを効果的に活用できれば、部下の育成やチームの雰囲気作りがしやすくなります。

マネジメントを含め、ラベリング効果の活用方法としては以下の例が挙げられます。

  • 従業員のマネジメントに使う
  • 商品を営業・販売する場面で使う
  • 自己管理に使う

ビジネスシーン別の活用方法を3つ、紹介します。

従業員のマネジメントに使う

上司が部下をマネジメントする際は、ポジティブなラベリングを使うのがおすすめです。

仕事ぶりを褒める言動にもつながるので、部下のモチベーションを引き出せるようになります。

たとえば「よく気がついてくれるから助かる」など、部下の具体的な行動を褒めるようにしましょう。

上司に認められると、さらに仕事を頑張ろうと思うきっかけになり、職場全体の雰囲気がよくなります。

商品を営業・販売する場面で使う

ラベリング効果は、商品の営業をかけるときや販売する場面でも使えます。

ビジネスの場においてポジティブなラベリングを使うと、顧客の共感を得られやすいからです。

たとえば、化粧品を販売するときに「肌がとてもきれいですね。普段はどのようにスキンケアをされているのですか?」と伝えると、顧客は承認欲求が満たされるでしょう。

店員から「美容に関心がある人」というポジティブなラベリングをされると、顧客が自社の商品に興味をもってくれるきっかけをつくれます。

自己管理に使う

ラベリング効果を活用する方法として、自分自身にポジティブなラベリングをする方法もあります。

仕事では、自身のモチベーションを管理しながら、目標達成に向けた行動を取る姿勢が重要です。

たとえば、ミスやトラブルから自信を失いそうになったときは「ピンチに強いから何とかできる」など、自身にポジティブなラベリングをかけてみましょう。

物事を前向きに受け止めやすくなり、自身のメンタルを調整していく工夫につながります。

ラベリング効果を使う際の注意点

ラベリング効果は使い方次第で、相手にとっても自分自身にとってもマイナスに働いてしまう恐れがあります。

意図的にラベリングを使いたい場合には、以下の点に気を付けるといいでしょう。

  • 嘘のラベリングでなく事実をラベリングする
  • ネガティブなラベリングを使わない
  • ラベリングにとらわれすぎない

ラベリング効果を使う際に注意しておきたいポイントについて、詳しく解説します。

嘘のラベリングでなく事実をラベリングする

たとえポジティブなラベリングだとしても、嘘のラベリングをすると嫌味に聞こえてしまうかもしれません。

たとえば、厳しい言動が多い上司に向かって「いつもやさしい言葉をかけてくれますね」と伝えると、「思ってもないことを言うなんて嫌味な人だ」と思われかねません。

相手からの印象が悪くなる原因になるので、嘘のラベリングではなく、事実でポジティブなラベリングを伝えましょう。

ネガティブなラベリングを使わない

相手に嫌な思いをさせないためにも、ネガティブなラベリングの使用は避けましょう。

相手を傷つけてしまう可能性もあり、人間関係がこじれる原因になります。

また「いつも自分のペースを大切にしているね」など、何気なく褒めた一言が、相手によってはネガティブなラベリングに聞こえる場合もあります。

相手の立場や状況を考え、ポジティブなラベリングの使用が大切です。

ラベリングにとらわれすぎない

ラベリングにとらわれすぎてしまうと、相手や自分を思い込みで見る機会が増えてしまいます。

ポジティブなラベリングだとしても、使いすぎると気づかないうちに「相手が○○なはずなのに、○○ではない」など、相手と自分の間でイメージのズレが生じる場合もあります。

ポジティブなラベリングは、あくまでも相手との関係性を良好にするために使うと覚えておくと活用しやすいです。

ラベリングにとらわれすぎて、本末転倒にならないように注意しましょう。

ラベリング効果はビジネスにも応用できる

ラベリング効果は、ビジネスの場において従業員のマネジメントにも活用できます。

上司から部下に向けて、ポジティブなラベリングをすると、仕事のモチベーションを高める効果が期待できます。

部下のマネジメントや職場の雰囲気作りには、ラベリング効果のようなコミュニケーション術が欠かせません。

円滑なコミュニケーションには、このような心理学の活用とともに、適切なツールの導入も効果的です。

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>Chatworkのグループチャットに関する記事はこちら

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