公開日：
更新日：
BPMとは？注目される理由やビジネスプロセスを改善するメリット・推進方法を解説
目次
BPM（ビジネスプロセスマネジメント）とは、現在注目を集めている業務管理手法のことで、取り組みによって企業にさまざまなメリットをもたらします。
BPMを推進するには、PDCAサイクルに則って業務プロセスの改善やモニタリングをおこなうことが大切です。
成功させるために、BPMの推進方法や成功のポイントを把握しておきましょう。
BPMの意味や注目を集める背景、メリット、推進方法と成功のポイントを解説します。
BPMとは
BPMとは、「Business Process Management（ビジネスプロセスマネジメント）」のことで、業務プロセスを整理して可視化し、生じている課題を改善していく継続的な業務管理手法を意味します。
業務プロセスの例として、採用業務では、「募集」「選考・面接」「内定」「入社」という過程があります。
BPMは、継続的に業務プロセスにある課題を見つけ、改善していくことで、生産性を向上させたり組織力を高めたりすることが目的です。
BPMの特徴
BPMには、プロセス志向とモデル化という2つの特徴があります。
データで問題点を洗い出すのではなく、作成した業務プロセスを中心として情報収集や分析をおこなう「プロセス志向」によって、エンドユーザーに近い距離で情報収集などが可能です。
また、業務プロセスをモデル化することで、経営全体を可視化できるようになり、経営に関する新たな選択肢や気付きを得られます。
BPMとBPRとBPMSの違い
BPRとは、「Business Process Re-engineering（ビジネスプロセス・リエンジニアリング）」の略称で、自社の業務プロセスを抜本的に再設計することを意味します。
BPRは、トップダウンで全社的に一度のみおこなわれる業務改革ですが、BPMは現場からボトムアップで業務改善がおこなわれる手法のため、意味が異なります。
また、BPMSとは、「Business Process Management System（ビジネスプロセスマネジメントシステム）」を表す言葉で、BPM実現に向けて必要なツールのことを指します。
BPMにBPMSを活用することで、業務プロセスの自動化や可視化を効率的におこなえるため、時間短縮が可能です。
BPMが注目を集める理由と背景
BPMが注目を集める理由と背景を解説します。
ビジネス環境に変化がみられるため
近年、IT技術の急速な発展やグローバル化、新型コロナウイルスの蔓延、円安などによって市況の変化が激しく、顧客ニーズも多様化しています。
企業が変化や多様化する顧客ニーズに適用するには、継続的にPDCAサイクルを回して、業務プロセスの課題発見と改善をしていくことが必要なため、BPMが注目を集めています。
IT活用による業務効率の動きがみられるため
請求書のデジタル化や脱はんこなど、DXの加速にともなって業務へITツールを導入したり効率的な手順に切り替えたりする企業も増えています。
無駄を省き生産性を高めるといった、業務プロセスの最適化や効率化が注目を浴びるようになったため、業務プロセスの改善につながるBPMが注目されています。
業務の属人化解消を目指す動きがみられるため
日本企業は、業務が属人化しやすいため、担当者がいないと仕事が進まない、同僚の具体的な業務がわからない、秀でた技術が継承されないなどのケースが多いです。
業務が属人化していると、作業効率が上がらなかったりトラブルを招いたりするため、属人化解消を目指す動きが日本企業でみられており、業務プロセスの全体像を可視化でき、課題抽出と改善が可能なBPMへの期待が高まっています。
BPMのメリット
BPMにはさまざまなメリットがあります。
BPMのメリットを具体的に紹介します。
業務の全体像や進捗状況が可視化できる
BPMのメリットとして、業務の全体像や進捗状況を可視化できる点があげられます。
日本企業は縦割り組織が多く、同じ部署内では連携がとれていても、他部署との連携はうまくとれない、進捗状況がわからないというケースがよくあります。
BPMによって全体像などが可視化できると、組織の横の連携もとりやすくなり、組織全体のコミュニケーション活性化にもつながるでしょう。
業務課題・要因の特定ができる
複雑もしくは工数が多い業務プロセスは、流れの整理や全体像の把握が難しく、効率化できるポイントや省ける業務があっても気付きづらいです。
BPMによって業務プロセスの整理や可視化ができれば、見えなかった業務課題や非効率となっていた要因の特定につながり、改善策の実施が容易になります。
業務の標準化による品質の安定化を図れる
BPMで業務の詳細まで可視化されると、業務フローの標準化を図ることが可能です。
業務の標準化ができれば、業務の属人化を防げたり、担当者による質のばらつきを抑えられたりします。
また、製品やサービスの品質も安定するため、取引先や顧客などのステークホルダーの満足度も高めることができるでしょう。
業務プロセスの変更や追加が容易になる
継続的に業務プロセスの課題発見と改善をおこなっていくBPMは、業務プロセスの変更や追加が容易になるメリットがあります。
ビジネス環境の変化が激しい近年において、柔軟に市況に合わせられるBPMは、組織力の維持や強化を実現できます。
部署・チーム間の連携強化につながる
BPMは部署間、チーム間の業務プロセスを可視化できるため、相互理解を深められ、協力体制を敷けたり業務改善における共通認識を持てたりします。
チーム意識を高めることもでき、同じ組織の一員として助け合う文化の醸成によって、組織力が強化されます。
また、スムーズな意思疎通やフォローは、限りある時間を有効活用することにもつながるでしょう。
BPMのデメリット
BPMのデメリットは、業務プロセスの整理や洗い出しに時間と労力がかかることです。
業務担当者に業務内容やフローをテキスト化、図式化してもらったり、課題を抽出したりする作業は、通常業務を圧迫する恐れがあります。
ただし、洗い出しの作業が終われば業務を可視化でき、改善につなげられるため、メリットを考えるとかけるべき労力といえます。
BPMの推進方法
BPMは、PDCAサイクルに則って推進していきます。
BPMのステップを詳細に解説します。
ステップ（1）：モデリング（プロセスの分析）
まずは、業務プロセスの洗い出しをおこないます。
「Business Process Model & Notation（ビジネスプロセスモデルノーティション）」の略語であるBPMNという国際標準のフレームワークを活用すると、業務プロセスの全体像をスムーズに可視化できます。
業務プロセスをすべて可視化しようとすると大幅な時間がかかってしまうため、BPMをおこないたい業務を事前に決めておくといいでしょう。
ステップ（2）：再設計（プロセスの設計）
業務プロセスをBPMツールなどを使って再設計していきます。
再設計する際のポイントは、業務をなくしたり、シンプルにしたり、組み替えたりすることです。
業務改善を念頭に置いて再設計すると、BPMを実現できます。
ステップ（3）：展開（改善プロセスの展開）
改善した業務プロセスを展開していきます。
展開前に、業務プロセスについて共有し、組織全体から理解を得ておくと、スムーズに適用できるでしょう。
また、展開してからマイナスな影響が起きないように、展開によって起こりうる事態や影響をあらかじめ調査し、クリアにしたり組織に伝えておいたりすることも大切です。
ステップ（4）：モニタリング（プロセスの監視）
改善した業務プロセスが問題なく適用しているか、効果的かをモニタリングします。
業務プロセスを改善したことに満足し、効果検証を怠ると、真に改善できているのか、新たな問題が起きていないかを把握できません。
モニタリングの際には、業務フローごとに精査するのではなく、業務プロセス全体に目を向けて課題がないかをチェックします。
ステップ（5）：PDCAの運用（プロセスの改善）
BPMは、一度きりの取り組みではなく、継続的な実施が求められます。
新たな課題を解決するために、PDCAサイクルを運用し続けて業務プロセスの改善を図っていきましょう。
BPMを成功させるためのポイント
BPMの効果を得るには、長期的な取り組みが必要であり、短期的には効果が期待できないことを念頭に置いておきましょう。
長期的な取り組みが求められるBPMを成功させるポイントについて解説します。
実施目的を明確にする
BPMを実施する目的を明確にして、BPM自体が目的化しないように気を付けましょう。
BPMが目的化してしまうと、取り組んだことに満足して、質の高い業務改善ができていない恐れがあります。
業務効率化や改善のためにBPMを実施するということを忘れず、また、誰もが目的を見失わないように、「作業時間の短縮化：〇％」など、具体的な数値目標を定めることをおすすめします。
また、改善すべき業務プロセスに優先順位をつけることで、効果が大きく出るところにリソースを割けられたり、わかりやすい効果に組織全体のモチベーションも高まったりするでしょう。
継続的にPDCAを運用する
BPMは長期的な取り組みで効果を発揮するため、継続的にPDCAを運用することが大切です。
PDCA運用が定着する前から大がかりに取り組むと、運用が挫折する恐れがあります。
また、運用体制が未整備な状態でのBPMの実施も、従業員が業務に追われ、PDCA運用を後回しにするなどで、効果を得づらいです。
そのため、まずは小規模な業務プロセスの改善とPDCAサイクルの運用から取り組んで、定着化や体制の整備を図ることが求められます。
現場担当と協力して取り組む
BPMを成功させるには、関係者全員で共通認識を持ち、協力して取り組むことが大切です。
業務プロセスを洗い出す必要があるBPMは、現場担当者にとってほかの業務を圧迫する手間のかかる取り組みです。
現場担当者の理解を得られないままBPMを進めると不満を感じさせたり、本質的な改善ができなかったりする恐れがあるため、現場担当者や関係者全員がBPMの重要性を理解して、協力体制を整えることが必要です。
ITツールを活用する
BPMの成功には、ITツールの活用もおすすめです。
たとえば、BPMシステムを活用すると、業務プロセスをフローチャート化して作業が視覚的にわかりやすくなったり、改善した業務プロセスをシミュレーションして影響が及ぶ範囲を予測してくれたりします。
また、気軽に使えるビジネスチャットを導入すれば、業務プロセスの洗い出しや改善策の提案、モニタリングの情報共有などを活発におこなえるでしょう。
自社に合ったITツールを使えば、そもそも業務効率化や改善への効果が大きいため、BPMの推進にも拍車がかかります。
BPMを効率的に運用するならビジネスチャットの「Chatwork」
BPMは、業務プロセスを可視化して課題を改善していく、継続的な業務管理手法のことです。
BPMによって業務改善を図れるだけでなく、希薄な関係性だった他部署とのつながりを強化できたり、変化の激しい市況への対応力が高まったりするメリットもあります。
BPMを成功させるには、ITツールの導入が効果的なため、ビジネスチャット「Chatwork」の活用をおすすめします。
「Chatwork」は、チャット形式でメッセージのやりとりができるオンラインツールで、部署ごと、チームごとなどのグループチャットの作成も可能です。
グループチャットで業務プロセスを洗い出せば、スムーズに業務を把握できたり漏れを防げたりします。
また、ファイル添付機能を用いれば、ファイルにまとめたBPMに関する組織全体への共有事項や改善結果などを、一度に全社員へ伝えることも可能です。
BPMの効率的な運用に、ビジネスチャット「Chatwork」をぜひご活用ください。
今すぐChatworkを始める（無料）
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
