属人化のメリットとリスクはどちらが大きい?解消方法をわかりやすく解説

目次
社内でマニュアルや手順が共有されていない状態は、属人化と呼ばれています。
社員同士でどんな業務に取り組んでいるのか、概要は把握していても、業務の細かい内容まではわからないことも少なくありません。
意識して属人化の体制を取り入れている場合もあれば、意識せず属人化の状態につながっている場合もあります。
企業の全体的な生産性や作業効率をあげるためにも、属人化のメリットとリスクを知って対策につなげましょう。
属人化にはメリットはある?
属人化とは、仕事の担当者ひとりだけが業務の手順を把握しており、ほかの社員にノウハウの手順が十分に共有されていない状態を指しています。
仕事とは本来、部署内の社員が誰でもカバーできる体制をつくっておくのが理想ですが、現実的にはマニュアルの作成不足や担当者に依存してしまい、属人化が起こることも多いのかもしれません。
ただ、属人化はデメリットが中心に取り上げられがちですが、企業や社員にとってメリットもあるのです。
業務に裁量権がある
仕事の心理的なストレスの軽減には、どのくらい業務内容がコントロール可能なのか、という裁量権は大切なポイントです。
属人化の場合は、ひとりに業務が任せられるため、自分のペースで仕事を進めても、基本的に周りから咎められにくいメリットがあります。
担当する業務がひとりで進行を任せられる内容なら、自分のペースで残業する日時を決めて調整しやすい利点もあるでしょう。
属人化には、社員が仕事の区分を自分のさじ加減で決められるメリットもあるのです。
専門性が高まりスキルアップになる
属人化ではひとりで業務を任される形になるため、同じ業務を日々継続するうちに、自分なりの効率化の方法論や工夫の余地が見つけられます。
たとえルーティンの業務であったとしても、スピードが少しずつあがっていき、独自の改善策を取り入れてさらに業務を効率化するアイデアを思いつくこともあるでしょう。
自然に専門性が高まりやすくなるため、業務のスキルアップになるメリットがあげられます。
顧客から信頼される人材になれる
属人化の影響で顧客や取引先にお馴染みの人物だと認識されると、信頼して仕事を任されやすくなります。
営業担当で直接対面しなければいけない場合は、ノウハウが周りに共有されにくい問題はあるものの、信頼されている社員に任せることで次の取引決定や商品購入につながりやすいメリットもあるでしょう。
社員同士の間でも「この仕事は〇〇さんに任せておけば問題ない」という安心感にもつながるため、社内と社外の両方から信頼される人材になれるメリットが属人化にあげられるのです。
属人化のリスクと悪影響
社内の属人化が進むことにはリスクだけでなく、業務に支障をきたす悪影響につながる危険性もはらんでいます。
属人化のリスクと悪影響には、具体的にどんな内容があるのか見ていきましょう。
ほかの社員が業務を担当できない
属人化が日常的になると、担当者がいなくなったときに問題が浮上しやすくなります。
業務を把握しているのが担当者だけなので、ほかの社員は仕事の進め方がわからず、作業がストップしてしまうのです。
マニュアルがあった場合も担当経験がないと処理に時間がかかり、ほかの業務にも支障が出てしまい、全体的な生産性が下がります。
担当者が退職するような状況にならないと問題点が放置されやすいため、悪影響につながる前に社員同士が内容を共有する機会を設けることが必要です。
ミスに気づきにくい・隠蔽されやすい
担当者がひとりだけで仕事を進めるデメリットには、ミスに気づかずトラブルに発展するリスクがあることです。
共同で仕事に取り組むときは、途中でほかの社員からチェックが入るため、影響が少ないうちに異変に気づきやすいメリットがあります。
担当者の置かれた状況によっては、あとから小さなミスに気づくとそのまま黙って隠蔽されやすいリスクもあるでしょう。
属人化には、仕事全体のミスやトラブルに発展して、あとから周りが対応に追われてしまう危険性があるのです。
担当者の負担が大きくなりやすい
属人化の領域が広い場合、ほかの社員がサポートしたくても介入できないこともあります。
たとえば、担当者の専門性が高すぎるときは、ほかの社員が真似できないレベルになり、担当者は周りに協力を仰ぎにくくなるのです。
ほかにも、営業担当がひとりで取引先のクレーム対応に追われてしまうなど、担当者がひとりだけになると、抱える心理的な負担やリスクが大きくなります。
仕事の責任が分散できない状況が続くと、社員が仕事にプレッシャーを感じてしまい、離職率があがる可能性もあるでしょう。
このように、属人化には働く社員の心身が疲弊してしまう悪影響もあるのです。
属人化のメリットとリスクはどちらが大きい?
ひとりに業務の負担がかかりやすい属人化は、メリットよりもリスクのほうが大きくなります。
仕事内容の専門性が高くて属人化が進んでいる場合は、企業のサービス向上につながる部分もあるでしょう。
しかし、周りの社員が業務のマニュアル化ができず、スキルやノウハウを共有できない危険性もあります。
企業のサービスが属人化の社員を軸に支えられていると、社員が退職してしまったときは、穴埋めや対応に追われてしまう影響も考えられるでしょう。
基本的に業務の基礎になる部分は、できる限り社員全員が共有できるような標準化を目指した対策に取り組み、リスクを減らしておくことが大切です。
経営陣や管理職の方は、属人化のメリットよりもリスクのほうが大きいことは、あらためて認識しておきましょう。
属人化のリスクを解消するための対策
企業の経営陣や管理職にあたる方は、属人化の問題点が浮きぼりになる前に対処することが大切です。
社内でできる属人化のリスクを解消するための対策を見ていきましょう。
マニュアル作成で手順を共有する
ソフトやツールを使うルーティンの仕事に取り組むときは、業務ごとのマニュアルを作っておきましょう。
万が一担当者が休んでしまったときも、PCの共有フォルダにデータとして残しておけば、締め切りまでに作業を進められます。
マニュアルは誰が見てもわかる書き方にしておき、工程ごとにスクリーンショットの画像を貼りつけて説明すると親切です。
文章で説明するのが難しいときは、注意点や問題点を箇条書きにして共有しておくなど、工夫しながら作成を進めてみてください。
マニュアルを作成したあとは、メールやチャットで連絡して保存場所やデータを情報共有しておくとリスクを解消できます。
業務フローを見直して簡潔にする
社員同士で業務内容を共有するには、業務の流れをできる限りコンパクトにまとめることが大切です。
作業工程が複雑すぎることが原因で属人化につながる場合もあるため、上司が仲介に入って社員同士で業務に関する改善案がないか話し合いの機会を設けてみましょう。
業務フローを見直してなるべく手間を省けるようにしていけば、ほかの社員が共有しやすい内容に変えていけるため、属人化のリスクを解消する対策につながります。
コミュニケーションツールで情報共有する
属人化は社内のコミュニケーション不足が起こりやすく、業務がほかの社員に見えづらい問題点もあります。
誰がどんな仕事を担当中なのか、進捗を把握するための方法として、コミュニケーションツールの導入もおすすめです。
社内の情報共有のためにタスク管理の機能を使えば、仕事の進捗を報告し合えます。
作業内容が目で見てわかりやすくなれば、事前に問題点に気づきやすくなり、リスクマネジメントにもつながるでしょう。
業務内容の全体がほかの社員に共有されることで、属人化から起きやすいミュニケーション不足を回避できます。
>コミュニケーションツールの選び方のポイントに関する記事はこちら
>Chatworkの「タスク管理機能」とは?に関する記事はこちら
属人化のメリットとリスクを適切に把握しよう
属人化のメリットとリスク、対策を見てきました。
属人化には、ひとりで仕事が担当できて、仕事の裁量権があることやスキルアップにつながり、顧客から信頼されやすいメリットもあげられます。
ただ、リスクと悪影響の面から考えたときには、担当者以外の社員に手順が共有されておらず、ひとりの負担が大きくなりやすいリスクなどもあげられるでしょう。
属人化はメリットよりもリスクのほうが大きい懸念があるため、対策を取り入れてリスクを解消する必要があります。
対策には、マニュアル作成や業務フローの見直しなど、業務全体を簡略化して情報共有する改善が大切です。
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