急務の「自治体DX」とは?とりくむべき課題や事例を簡単に解説

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働き方改革
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急務の「自治体DX」とは?とりくむべき課題や事例を簡単に解説

目次

近年、企業に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていますが、自治体に対してもDXへのとりくみが求められています。

自治体DXとは、自治体がデジタル技術を活用し、住民の利便性や行政サービス向上を目指すとりくみのことです。

自治体DXが求められている理由や自治体がとりくむべき課題、自治体DXの事例を解説します。

自治体DXとは

自治体DXとは、住民に身近な行政をおこなう自治体がデジタル技術を活用し、住民の利便性や行政サービスを向上させていくことです。

自治体DXは、政府が提示しているビジョン「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」を実現するためにとりくみが求められています。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、人々の生活をよりよくすることや、企業の競争優位性を確立することを目的としています。

自治体に求められているDXは、デジタル技術により住民の利便性向上や職員の職務負担軽減などのメリットとなるような状況をうみだすことのため、競争優位性を確立する企業がとりくむDXとは目的が違います。

>DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する記事はこちら

なぜ自治体DXは必要なのか

自治体にDXが求められる背景には、少子高齢化があります。

総務省の調査によると、2020年における75歳以上の人口は1860万人、20歳から64歳の人口は6938万人ですが、2025年には75歳以上の人口が2180万人、20歳から64歳の人口が6635万人になると予測されています。[※1]

高齢者が増加する一方で、労働力のある世代の人口は減少するため、地域の生活に根ざしたインフラやゴミの収集などの活動の維持が難しくなってくるでしょう。

また、総務省の調査によると、地方公務員の人数は令和3年4月1日時点で280万661人、最も人数の多かった平成6年と比較すると、約48万人減少しています。[※2]

地方公務員の減少は、自治体の円滑な行政サービスの提供に影響を及ぼす恐れがあるため、利便性を高めた行政サービスを提供できる可能性のある自治体DXが必要とされています。

自治体がとりくむべき課題とは

自治体DXをすすめるにあたり、自治体がとりくむべき課題を解説します。

職員数の減少

地方公務員の職員数は、令和に入り徐々に増加してきていますが、平成6年のピーク時と比較すると減少しています。

職員数が減少した場合、ひとりあたりの業務負担が増加するため、業務負担をカバーできるような体制が必要でしょう。

アナログ文化からの脱却

自治体の多くは、デジタル化が浸透しておらず、手続きなどを紙でおこなっていることが多いでしょう。

紙で手続きをおこなったり、書類を管理したりすることは、書類の保存場所の確保の手間や紛失の恐れがあります。

また、書類をPCのソフトに入力し直す手間もあるため、スムーズな業務をおこなうためにもアナログ文化からの脱却が求められます。

デジタル人材の採用

自治体DXをすすめるためには、デジタル人材の確保が必要です。

アナログ文化が残る自治体でデジタル化をはかるためには、ITリテラシーが高く高度なデジタル技術をもった人材の採用が求められるでしょう。

デジタル人材が自治体業務で能力を発揮し、自治体DXを推進するには、部門ごとに適した人材を配置することが大切です。

>DXに必要なスキルに関する記事はこちら

自治体DX推進計画の6つの重点取組事項とは

自治体DX推進計画とは、総務省がまとめた自治体DX推進に向けた計画のことで、2021年1月から2026年3月までの対象期間に、自治体が重点的にとりくむべき事項や内容がまとめられています。

自治体DX推進計画にまとめられている、自治体が重点的にとりくむべき事柄について解説します。

(1)自治体の情報システムの標準化・共通化

自治体における手続きをオンライン化するだけでなく、審査や決裁、書類の保存といった手続きに関する一連の業務をデジタル化することを目指しています。

各自治体は情報システムを独自に活用してきましたが、2025年までに児童手当や選挙人名簿管理など主要な17業務を処理するシステムの標準化、共通化をおこなうことで、システムの改修対応にかかる自治体の負担を軽減できる可能性があります。

(2)マイナンバーカードの普及促進

マイナンバーカードはデジタル社会の基盤となるものとして、令和4年度末には国民のほとんどにマイナンバーカードがいきわたることを目指しています。

総務省は、マイナンバーカード普及促進のために、個人番号カードの交付事務によって増加する人件費や窓口の設置費用などを補助する意向を見せています。

(3)行政手続のオンライン化

行政手続きをオンライン化することで、住民の利便性や職員の業務効率化を高められることから、令和4年度末までにマイナポータルからマイナンバーカードを使用したオンライン手続きの実現を目指しています。

オンライン化をすすめている手続きは、子育て関係の場合、児童手当の請求や氏名変更、介護関係の場合、要介護認定の申請や被保険者証の再交付申請など、31手続きです。

(4)AI・RPAの利用推進

AI・RPAを導入することで、自治体職員の業務効率化をはかることを目的としています。

AIは人工知能と呼ばれ、人間と同じように学び、さまざまな事柄に対応できるコンピューターのことです。

一方で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、業務の自動化をはかるロボットのことをさします。

AIとRPAの導入により、機械でもできる業務はAIとRPAに任せられるため、人間は人間がおこなうべき業務に注力できるようになるでしょう。

(5)テレワークの推進

地方自治体がテレワークを実施できた場合、介護や育児で仕事との両立が難しい職員が働きやすくなったり、出社が難しい職員が活躍できたりする可能性があるため、推進されています。

新型コロナウィルス感染症が蔓延している現代において、また、のちに新型コロナウィルスのような感染症が蔓延し非常時に陥った場合でも、自治体職員がテレワーク可能であれば、感染症防止や円滑な業務維持につながるでしょう。

>テレワークに関する記事はこちら

(6)セキュリティ対策の徹底

自治体は、行政手続のオンライン化やテレワークの推進にともない、セキュリティ対策を徹底することが求められています。

総務省は、自治体がセキュリティ対策を徹底するために、総務省が設定した高セキュリティレベルのセキュリティクラウドへの自治体情報の移行を支援するとしています。

自治体DXを成功させるポイント

自治体DXを成功させるポイントを解説します。

スモールスタートにする

自治体DXには、まずは小規模でとりくみましょう。

はじめから大規模にとりくんでしまうと、困惑した住民からの問い合わせが増加し、職員の業務に支障をきたす恐れがあります。

また、職員も業務に慣れず、エラーやミスが発生して通常業務もままならなくなるかもしれません。

小規模で自治体DXにとりくみ、住民の意見や実際にやってみた気づきを次のとりくみに活かしていくことで、無理なく自治体DX推進ができるでしょう。

組織の垣根をこえた体制構築

自治体DXを部門や組織ごとに実施した場合、手続きが統一されていなくて連携がとれず、円滑な業務をできなくなる恐れがあります。

組織間や職員間で混乱が生じた場合、住民が納得できる行政サービスのオンライン化の説明や利用案内をできない可能性があるため、自治体DXに関わる職員や関連する組織にいたるまで、自治体DXにとりくむ体制を構築することが大切です。

デジタル人材の採用・育成

アナログ文化が根づいている自治体にとって、自治体DXを推進するためにはデジタル人材が必要です。

行政サービスのオンライン化やAI、RPAの利用は高度なデジタル技術が求められるため、ITに関する高度な技術や知識をもったプロ人材を採用したり、自治体DXを推進できる人材を育成したりするといいでしょう。

DX計画を策定する

自治体DXにとりくむにあたり、とりくむべき事柄の期間を決めるなど、計画を策定しましょう。

計画を策定することで、職員は自治体DXの実現に向けてとりくむべき事柄の順序がわかり、とるべき行動を把握できます。

また、住民に対して提供するオンラインサービスの告知時期を決めやすくなったり、あらかじめ告知しておくことで、オンラインサービスの導入がスムーズになったりするでしょう。

自治体DXのとりくみ事例

自治体DXで実際にとりくまれている事例を紹介します。

AIチャットボットによる自動回答

AIチャットボットを導入した自治体は、住民からの質問に対しAIチャットが自動回答することにより、職員がいる日中に自治体へ問い合わせができない住民からの質問にも答えられる体制を構築できました。

AIチャットボットは、現在も幅広い分野の質問に回答できますが、今後対応分野のさらなる拡大を目指しています。

>チャットボットに関する記事はこちら

押印レスやキャッシュレス決済を実現

デジタル化に対して積極的なとりくみを見せる自治体は、押印レスやキャッシュレス決済を導入し、窓口における手続きのデジタル化を実現しました。

また、来所できない住民のために、オンラインで相談対応をしています。

申請手続きを電子化

自治体に対する申請手続きを電子化した自治体は、当初は少数の手続きしか対応できませんでしたが、現在では幅広い手続きの電子申請化に成功しています。

また、電子申請の手続きも簡易化するなど、住民の利便性を重視したとりくみをおこなっています。

自治体DXにChatworkが有効な理由

自治体DXを成功させるには、まず小規模におこなうことが大切です。

そのため、まず自治体内のペーパーレス化や電子申請化をはかるために、ビジネスチャット「Chatwork」の活用をおすすめします。

「Chatwork」は自治体内で活用できるワークフローシステムで、電子化された文書を職員間で共有したり、タスクを管理できたりします。

電子化された書類は紙書類と違い、紛失や改ざんがされにくいため、セキュリティ強化にもつながります。

また、自治体外部の人ともコミュニケーションがとれるため、テレワーク推進や、外部の組織との連携にも役立てられるでしょう。

まずは自治体内でデジタルに慣れ理解を深めるためにも、「Chatwork」の活用をご検討ください。

DXの第一歩にChatworkを活用しましょう

自治体DXは、住民の利便性向上や職員の負担軽減のために政府からとりくみが求められています。

自治体には、アナログ文化からの脱却やデジタル人材の採用などの課題がありますが、総務省がまとめた自治体DX推進計画に沿って活動していくことで、自治体DXの実現へと近づけるでしょう。

ビジネスチャット「Chatwork」を活用し、DXの第一歩を踏み出しましょう。

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[※1]出典:厚生労働省「我が国の人口について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html
[※2]出典:総務省「地方公務員数の状況」
https://www.soumu.go.jp/iken/kazu.html
※本記事は、2022年10月時点の情報をもとに作成しています。


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