【臨床心理士監修】人見知りとは?特徴や原因、改善方法を解説
目次
「初対面の人と会うとき、緊張してうまく話せない」「環境が変わるとうまくやれるのかすごく不安になる」など、いわゆる「人見知り」で悩んでいる人は多いでしょう。
この記事では、人見知りとはなにか、特徴や原因、対処方法についてわかりやすく解説します。
「人見知り」とは
人見知りとは、一般的に以下のような特徴をもつ人を指します。
- 緊張して初対面の人とうまく話せない
- 人前でなにかをするのが苦手(プレゼンやスピーチなど)
- 新しい環境で緊張しやすい
初対面の人との交流や、新しい環境で緊張したり警戒心が強くなったりするのは、ある意味自然な反応です。
しかし、人見知りの人は、その傾向がとくに強く、本人が強いストレスに悩んでいるケースも多くあります。
「人見知り」の人の10の特徴
より具体的に人見知りの10の特徴について紹介します。
(1):コミュニケーション能力に自信がない
自分のコミュニケーション能力にそもそも自信がない場合、人との会話で緊張しやすいでしょう。
人見知りの人は、「どんな話題をふればいいのかわからない」「会話を盛り上げられる気がしない」など、自分のコミュニケーション能力に自信のない人が多いです。
(2):初対面の人と話すことに苦手意識がある
初対面の人との会話は、相手がどんな人かわからない状態から少しずつ関係を構築していく必要があります。
人見知りの人は、強い不安や緊張を感じやすいため、初対面の人と話すことに苦手意識を感じているケースが多いでしょう。
(3):警戒心が強い
人見知りの人は、警戒心が強いという傾向もあります。
初対面の人や新しい環境に対して、「大丈夫だろうか」「危険はないだろうか」という警戒心の強さが、人見知りの人にはよく見られます。
(4):傷つきやすい
人見知りの人のなかには、メンタルが傷つきやすく、「傷つきたくない」という気持ちから人見知りになっている人も少なくありません。
また、過去に実際に傷ついた経験が、より人見知りの傾向を強くしている場合もあります。
(5):周囲からの評価が気になる
人見知りの人は、周囲からの評価を気にしすぎてしまう人も多いです。
初対面の人とのコミュニケーションや、新しい環境では、わからないことも多く、失敗する可能性が高い状況といえます。
「失敗して周囲からの評価を下げたくない」という気持ちが、初対面の人とのコミュニケーションや新しい環境で強い緊張や不安を感じる原因となっているケースがあります。
(6):緊張しすぎてしまう
人見知りの人は、もともと性格的に緊張しやすく、人前などで緊張しすぎてしまうのも特徴のひとつです。
緊張のし過ぎはストレスとなり、その状況を避けるために、人とのかかわりを避けている人も少なくありません。
(7):自分に自信がない
人見知りの人は、自分に自信がない人も多いです。
自分に自信がないと、さまざまな場面において、「きっと失敗してしまう」「どうせうまくやれない」などの思いから、人とのコミュニケーションを避けてしまうケースがあるでしょう。
(8):人に興味・関心がない
人見知りの人のなかには、そもそも人に対する興味・関心がないという人もいます。
人に対する興味が薄く、人と積極的な交流をもたないため、人見知りのように見えてしまう人もいるでしょう。
(9):自己主張ができない
人見知りの人は、コミュニケーションに対する苦手意識などから、自己主張も苦手な傾向にあります。
「自分の意見をいっていいのかわからない」「否定されるのが怖い」など、さまざまな理由から、人見知りの人は自己主張ができないケースが多いです。
(10):人を信用できない
人を信用できない人は、自分から積極的にコミュニケーションをとらないため、人見知りのように見える場合があります。
また、人との交流に常に不信感をもっているため、うまくコミュニケーションをとることができません。
「人見知り」になる原因
人見知りになる原因について紹介します。
ひとつだけあてはまるという人もいれば、複数あてはまるという人もいるでしょう。
自分に当てはまるものがあるかどうかも、確認してみましょう。
自己防衛心の働き
人見知りになる原因としてよくあるのが、「傷つきたくない」「ストレスを避けたい」といった自己防衛心の働きです。
新しい人や環境とのかかわりは不安や恐怖などをともなうため、それらを避けようとした結果、人見知りとなってしまうケースは多いでしょう。
人間関係で失敗した経験
過去に人間関係で失敗した経験があると、「また同じ目にあうのではないか」「もう失敗したくない」という気持ちから、人見知りになってしまうケースがあります。
人間関係での失敗経験が多いほど、人見知りの傾向が強くなり、人間関係での成功体験を得る機会を失い、さらに人見知りが強くなるという悪循環に陥ってしまいます。
コミュニケーション方法がわからない
コミュニケーションに限らず、やり方を知らない物事をうまくこなすのは困難といえます。
外交的で社交的な人であれば、多くの人と交流し、そのなかでさまざまなコミュニケーション方法を学べます。
しかし、内向的な性格で、これまで人とかかわる機会も少なく、コミュニケーション方法についての知識が不足してしまったため、結果として、人見知りになってしまった人もいるでしょう。
ストレスの多い環境
ストレスが多い環境によって、人見知りになるケースもあります。
強いストレスを感じている状況では、できるだけストレスのもととなるものを避けたくなります。
たとえば、疲れているときに、「だれとも話したくない」「なにもしたくない」という気持ちになるのは、多くの人にとって経験があるのではないでしょうか。
ストレスの多い環境では、回避的な行動が多くなり、人見知りのような傾向が見られるケースがあります。
ビジネスシーンにおける「人見知り」の問題
人見知りによって、ビジネスシーンでは、以下のような問題が生じる場面が予想されます。
- 社内外の人とうまく人間関係を築けない
- プレゼンなど、人前でなにかをする場面でひどく緊張してしまう
- パーティーや式典でうまく振舞えない
- 人間関係をうまく構築できないために孤独を感じやすい
人見知りによるさまざまな問題を防ぐためにも、人見知りの具体的な改善方法を、確認していきましょう。
「人見知り」の5つの改善方法
人見知りを改善する5つの方法について紹介します。
- 緊張を受け入れる
- 人に興味・関心をもつ
- 自尊心を高める
- 周囲の評価を気にしすぎない
- 過去の失敗を気にしすぎない
自分がなぜ人見知りになっているのかの原因を知ったうえで、自分にあった方法で、人見知りの改善を目指しましょう。
方法(1):緊張するのは当たり前と受け入れる
まずは、新しい人や環境で緊張を感じるのは当たり前だと受け入れてみましょう。
「こんなことで緊張するなんて自分はダメなんだ」と落ち込んだり、「緊張してはいけない」と自分を追いつめてさらに緊張してしまったりと、自分で自分の状況を悪化させている人は多いです。
緊張は集中力を高め、パフォーマンスを向上させるなどのメリットもあります。
そのため、緊張する状態を悪と捉えずに、緊張するのは自然な反応であると覚えておきましょう。
方法(2):人に興味・関心をもつ
コミュニケーションが苦手な人がいきなりコミュニケーションの練習をしようとすると、むしろストレスになる恐れがあります。
「うまくコミュニケーションをとれるように練習しなければ」など深刻に考えず、まずは人に興味・関心をもつところからはじめてみましょう。
たとえば、異動先の新しい同僚に対して、「この人はどんな人なんだろう」と興味・関心をもてば、「この部署には何年くらいいるんですか」などの話題が思い浮かぶようになります。
方法(3):自尊心を高める
自尊心を高めて、自分に自信をもてるようになると、積極的にコミュニケーションをとれるようになるでしょう。
ただし、自尊心とは、その人が長年かけてつくり上げてきたもので、一朝一夕に自尊心を上げることは、難しいです。
まずは、「今度の商談で新しく会う人には、自分から先に挨拶をする」など、小さな成功体験を積み重ねていき、自尊心を少しずつ高めてみましょう。
方法(4):周囲の評価を気にしすぎない
周囲の評価を気にしすぎると、人見知りになってしまうほか、自分の本来のパフォーマンスを発揮できないなど、さまざまなデメリットが予想されます。
うまくやれなくても、そのあとで「なぜ失敗したのか」など、自分で振り返ったり、人に相談してみたりする取り組みで、さらに成長するきっかけとできるでしょう。
「自分は周囲の評価を気にしすぎていないだろうか」と一度、自問自答をおこない、気にしすぎている場合は、意識的に気にしないようにすることが大切です。
方法(5):過去の失敗を気にしすぎない
過去の失敗経験があると、「もう失敗しないように」と、失敗した状況そのものを避けるようになります。
しかし、過去に失敗したからといって、次も絶対に失敗するわけではありません。
また、人に相談すると「気にしすぎじゃない」と言われ、自分が気にしすぎなだけだったと気づく場合もあるでしょう。
過去の失敗に対する自分の評価を適切におこなうことが重要です。
「人見知り」を改善するコミュニケーションのポイント
人見知りを改善するためには、具体的なコミュニケーションのポイントを知っておくと役に立ちます。
人見知りに悩んでいる場合は、ぜひ、コミュニケーションのポイントを確認してみてください。
相手に5W1Hで質問してみる
5W1Hとは、以下の英単語の頭文字をとったものです。
- Who:だれが
- When:いつ
- Where:どこで
- What:なにを
- Why:なぜ
- How:どのように
たとえば相手が、「この前、水族館に行ってきたんですよ」といった場合、「いつ行ったんですか」「どこの水族館に行ったんですか」など、5W1Hをもとにした質問をしてみましょう。
リフレーミングを意識する
リフレーミングとは、物事の捉え方を変え、別の枠組みで捉え直すことです。
たとえば同僚が、「この前のプレゼン、全然盛り上がらなかったよ」といってきたときには、「すごい落ち着いたプレゼンでよかったと思う」など、ネガティブな発言に対してポジティブな意味づけをするのがリフレーミングです。
ポジティブなリアクションで相手を励ませば、相手との関係性を良好な状態にできるでしょう。
沈黙を恐れない
人見知りの人のなかには、会話の沈黙に恐怖を感じていたり、「沈黙はダメなんだ」「うまく会話ができていない」と思っていたりする人も多いです。
しかし、相手との関係性などTPOによっては、しゃべりすぎるのがむしろ適切ではない場面もあります。
また、沈黙はコミュニケーションの失敗を意味するものではありません。
沈黙があっても、気にしているのが自分だけで相手は気にしていない場合もあります。
沈黙をおそれず、まずは自分なりにできる範囲でコミュニケーションをとっていきましょう。
語彙力を高める
語彙力を高めると、会話のなかで幅広い言語表現ができるようになり、コミュニケーションがとりやすくなります。
また、相手の発言の意味を、正確に理解するのにも役立ちます。
知らない言葉の意味を調べるようにするなど、語彙力を高めてみる取り組みも、コミュニケーションへの苦手意識をなくす方法のひとつになるでしょう。
ストレスの軽減をはかる
強いストレスを感じていると、そもそも人とかかわること自体を避けたくなるものです。
初対面の人と会うにも、新しい環境に慣れていくにも、まずは自分がいいパフォーマンスを発揮できるようにコンディションを整えておくことが重要です。
強いストレスを感じている人は、ストレスの軽減をはかってみましょう。
オンオフのメリハリ作りに「Chatwork」
人見知りとは、初対面の人とのコミュニケーションや新しい環境で緊張や不安を感じやすい人のことです。
人見知りで強い緊張や不安で悩んでいる人は、改善方法を実践してみましょう。
とくに仕事ではストレスを感じる場面も多いため、仕事とプライベートのメリハリをつけて、日々のストレス軽減を目指す取り組みは重要です。
たとえば、仕事とプライベートで使うコミュニケーションツールが同じだと、業務の連絡が、休み中にもくるといった状況になってしまい、オンオフのメリハリをつけることは難しいでしょう。
ぜひ、仕事とプライベートのコミュニケーションツールは切り分けて、オンオフのメリハリをつけることを実践してみてください。
ビジネスチャット「Chatwork」は、ビジネス専用のチャットツールで、業務時間外の通知をオフにできるため、オンオフのメリハリをつけやすいコミュニケーションツールです。
「Chatwork」は、社内外問わずに無料で使用を開始できるため、たとえば、複数社が関係するプロジェクトなどのコミュニケーションを円滑に進めたいときにも役立ちます。
また、チャット機能だけでなく、音声/ビデオ通話機能も搭載されているため、状況に応じて、最適なコミュニケーション手段を選択できます。
オンオフのメリハリ作りにも効果的な「Chatwork」を、ぜひご活用ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
記事監修者:山崎 ゆうき(やまざき ゆうき)
臨床心理士・公認心理師の資格を所持。司法・障害福祉領域などでの勤務を経て、独立開業。メンタルヘルス系の記事を中心に、心理学の知識をいかした記事執筆・監修を担当。心理学の知識をわかりやすく、日常でも実践しやすい形で発信しています。