ゼネラリストとは?スペシャリストとの違いやメリット・デメリットを社員・企業視点で解説
目次
ゼネラリストとは、「万能タイプ」の人材を指す言葉であり、スペシャリストの対義語です。
ゼネラリストやスペシャリストには、適性やメリット・デメリットがあるため、就業者はキャリア形成を目的として、企業は効率的な人材戦略を目的として、それぞれの適性についての理解が大切です。
ゼネラリストとスペシャリストの違いやメリット・デメリットを、社員・企業それぞれの視点から確認していきましょう。
「ゼネラリスト」の意味とは
ゼネラリストとは、幅広い知識、経験、スキルを持つ人材を指す言葉で、一般的に人材登用などのビジネスシーンで用いられる用語です。
「全体的」「全般的」という意味をもつ、英語の「general(ゼネラル)」が語源となっており、「専門家」を意味する「スペシャリスト」の対義語でもあります。
「ジェネラリスト」と同じ意味で使われる
英語の「general(ゼネラル)」は、日本語表記における「ジェネラル」に近い発音になるため、「ジェネラリスト」と呼ばれる場合もあります。
呼び方に違いはあっても、一般的に「ゼネラリスト」と「ジェネラリスト」は同じ意味で使用されます。
「ゼネラリスト」の特徴
ゼネラリストは、対応範囲の広さから「万能家」とも呼ばれます。
特徴を理解するうえでは、知識・スキルの幅や、視点の広さ、ゼネラリストになる背景に注目すると分かりやすいでしょう。
ここからは、ゼネラリストの特徴をおさえながら、ゼネラリストがどのような人材なのかより深く理解していきましょう。
豊富な知識やスキルをもっている
ゼネラリストは、幅広い知識や、スキルを身につけている特徴があります。
ゼネラリストの大多数は、社内で多様な職種や部署を経験するため、多岐に渡る分野の知識や経験を積み重ねる機会に恵まれます。
経験を通して得た知識やスキルは、どのような部署や業務に就いても、万能に活躍できる力として活きるでしょう。
多様な視点に長けている
ゼネラリストは、物事を多様な視点から見る能力に長けています。
経験を通して得た、幅広い分野の知識や経験を活かし、物事を多角的な視点からみられるようになるためです。
また、ひとつの分野に偏らずに、さまざまな視点からバランスよく物事を見る能力も高められるため、ビジネスで課題が生じた際は、いままでにはない斬新なアイデアや、解決策・打開策を思いつくなどの強みもあるでしょう。
客観的な判断ができる
ゼネラリストはキャリア形成の過程で、ビジネスのさまざまな分野の知識や経験を身につけられるため、特定の分野の意見に偏らずに、客観的な視点から意見を発せられる特徴があります。
また、公平性に優れた視点や意見は、組織を公平な視点が求められる管理職や監督職に就く際にも欠かせないものです。
そのため、客観的な視点による判断は、ゼネラリストのキャリア形成では、高めておきたい重要なスキルといえるでしょう。
臨機応変な対応力に優れている
ゼネラリストの豊富な知識や経験は、臨機応変な対応が必要な場面でも力を発揮します。
ビジネスシーンでは、時代の流れや社会情勢によって、これまでの考え方や仕事のやり方が通用しなくなるなど、臨機応変な対応力を求められる場面が多くあるでしょう。
知識や経験に偏りや不足があると、不足の事態に陥ったときにスムーズに対応できないかもしれませんが、ゼネラリストは、豊富な知識や経験を活かし、場合に応じた対応をスムーズにおこなえます。
コミュニケーション能力に長けている
ゼネラリストの仕事には、コミュニケーション能力が求められる場面が多くあります。
多様な性格や考え方の社員がいる組織内で、それぞれから考えや意見を引き出してまとめるためには、コミュニケーション能力が欠かせません。
また、専門的な知識が必要な場面では、スペシャリストに協力を仰ぐなど、組織内のやりとりを円滑におこなう際にも役立つでしょう。
「スペシャリスト」とは
ゼネラリストと対極のタイプとして、「スペシャリスト」があげられます。
スペシャリストとは、特定の分野に特化している高い専門性をもつ人材で、一般的に「専門職」と呼ばれます。
ゼネラリストとは正反対の特性があるため、両タイプの特性を正しく理解して、目指す側はキャリア形成に悩んだときに、採用する側は効率的な人材戦略に活かしましょう。
スペシャリストの特徴や職種
スペシャリストは、特定の分野に特化し、高い専門性をもち、高度な技術と豊富で深い知識をもつ人材で、ひとつのことに熱中して取り組み、知識や経験を深めるという特徴があります。
スペシャリストの具体例としては、以下の職種などがあげられます。
- 医師
- 看護師
- 弁護士
- 会計士
- 経理
- 研究員
なお、スペシャリストは、特定の分野において高い実力を発揮する一方で、得意な分野以外での対応が苦手な傾向があります。
「エキスパート」や「プロフェッショナル」との違い
スペシャリストに似た言葉として、「エキスパート」や「プロフェッショナル」があります。
「エキスパート」とは、特定の分野における専門的な知識やスキルの熟練度が高い人材を指す用語です。
一方で「プロフェッショナル」は、高い専門的な知識やスキルをもちつつ、多角的な視点や相手の要望をヒアリングできるコミュニケーション能力などを兼ね備えている人材をいいます。
プロフェッショナルは、ゼネラリストとスペシャリストの長所を併せもった人材ともいえ、今後はプロフェッショナルのように、長所を併せ持った人材の需要が高まる状況が予想されます。
「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」の違い
ゼネラリストは、広い分野の知識や経験をもつ「万能家」であり、スペシャリストは特定の分野の知識や経験を深める「専門家」である点に違いがあるでしょう。
また、ゼネラリストは、「総合職」ですが、スペシャリストは「専門職」といえます。
適職もそれぞれ異なっており、たとえばゼネラリストは、強みである多角的な視点を活かせる管理職やマネージャーなどが向いている一方で、スペシャリストは、一点を深く追及する強みを活かせる、経理や研究員などが向いています。
両タイプの違いをわかりやすくまとめると、以下の表のとおりです。
ゼネラリスト | スペシャリストth> | |
---|---|---|
知識・スキル | 広範囲の知識・経験・スキルをもつ(広く浅いタイプ) | 特定の分野において専門的な知識・経験・スキルをもつ(狭く深いタイプ) |
専門性 | 低い | 高い |
視点 | 広く浅い(多角的) | 狭く深い |
職種例 | 管理職、監督職、人事、総務、マネージャー、プロデューサーなど | 医師、看護師、弁護士、会計士、エンジニア、デザイナー、ディレクター、経理、研究員など |
採用タイプ | 総合職 | 専門職 |
キャリアイメージ | さまざまな職種や部署を経験して、総合的な知識を身につけたのち、全体を管理する能力や総合判断能力の向上によりでキャリアアップする | 特定の職種や部署に就き、専門性の向上によりキャリアアップする |
「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」の適正
前述のとおり、「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」は、正反対の特性をもっています。
仮に目指したいタイプがあったとしても、不向きの場合は上手くいかないかもしれません。
どちらを目指すべきなのか悩んだときは、まず自身における適性の見極めが大切です。
「ゼネラリスト」に向いている人
以下の項目に当てはまる内容が多い人は、ゼネラリストに向いている可能性が高いでしょう。
- いろいろな分野に興味をもてる
- 新しい分野への学習意欲が旺盛
- 他人の意見に耳を傾けられる
- 人をまとめるのが得意
- 指導の経験が豊富な
- キャプテンや生徒会長などを務めた経験がある
- 学校の成績をバランスよく点数をとれる人
- コミュニケーション能力が高い
- 多趣味な性格
「スペシャリスト」に向いている人
以下の項目に当てはまる内容が多い人は、スペシャリストに向いている傾向があります。
- だれにも負けない得意分野がある
- 興味がある物事に強い探求心がある
- 強い意思や忍耐力がある
- ひとつの物事に集中する性格
- 満足するまで追及する
- とことん打ち込む凝り性
- 長く続けている趣味がある
- 学問や仕事で好きな分野がある
- 黙々と作業するのが得意
組織の運営には、どちらも不可欠な人材であるため、適性を見極めて適材適所に就ける状態が理想です。
「ゼネラリスト」になるメリット・デメリット
ゼネラリストとしてのキャリア形成には、メリットとデメリットがあります。
就業者は、キャリア形成や転職活動などでミスマッチを起こさないよう、メリットとデメリットをあわせて知っておきましょう。
組織内でポジションを築きやすい
ゼネラリストには、組織内でポジションを築きやすいというメリットがあります。
組織運営では、まとめ役が欠かせないため、人の意見に耳を傾けたり、客観的に物事を判断する視点に優れていれば、管理職や監督職として重宝されます。
また、特定の分野でスキルを高めたり追及するのが苦手なひとでも、ゼネラリストとしてのスキルを高めていくと、組織内でポジションを築くことができるでしょう。
出世で有利になりやすい
ゼネラリストは、出世で有利になりやすい利点もあります。
ゼネラリストのスキルや経験は管理職として重宝されるため、組織のまとめ役としての能力を高め、ゼネラリストとして経験を積み重ねていけば、早い段階でも管理職に就任できるでしょう。
異動への適応力が高い
ゼネラリストは、さまざまな部署異動を経験するため、異動への適応力が高い傾向にあります。
人事から総務への異動など、職種が異なる異動にも、柔軟に対応できるのはメリットでしょう。
また、未経験の分野への異動も、スキルや経験値の向上に役立てられるため、ゼネラリストにとってはメリットといえます。
器用貧乏になりかねない
ゼネラリストに向いている人は、どのような分野でも器用にこなせてしまう傾向がありますが、経験を積む過程で知識やスキルの向上を怠ると、どの分野も中途半端になってしまう恐れがあります。
デメリットが際立たないよう、どの職種や部署に就いても、知識やスキルを磨く努力を怠らないようにしましょう。
具体的な強みを提示するのが難しい
さまざまな分野の知識や豊富な経験は強みですが、その強みを具体的に示すのが難しい点がデメリットといえます。
たとえば、コミュニケーション能力やチームの統制力などは数字で表しにくいため、わかりやすい言葉や定量的な指標を用いて、他者に向けて強みを提示するのは難しいでしょう。
転職で不利になる可能性がある
社会や経済のグローバル化により、転職市場では、特定の分野に突出した人材が求められる傾向にあります。
そのため、近年の転職活動では、ゼネラリストよりも、スペシャリストのほうが有利な傾向があります。
また、特定の分野の知識やスキルが突出していないゼネラリストは、ほかの人材との差別化が難しく、転職活動が難航するかもしれません。
転職活動を有利に進めるためには、アピールがしやすく、ほかのゼネラリストと差別化のできる得意分野をもつ必要があるでしょう。
「ゼネラリスト」を採用するメリット・デメリット
企業がゼネラリストの採用により得られるのは、メリットばかりではありません。
人材戦略などを効率的に進めるためにも、デメリットもあわせておさえましょう。
チームリーダーや管理職の確保につながる
社内にチームリーダーや管理職を任せられる人材が不足している場合、ゼネラリストの採用により不足を補えるメリットがあります。
さらに、他社ですでにチームリーダーなどの経験を積んだ人材であれば、即戦力として活躍してくれる可能性が高まるでしょう。
将来の管理職候補の確保につながる
労働人口の減少などによって、将来的に管理職が不足する悩みを抱える企業は少なくありません。
管理職の資質をもつゼネラリストを採用できれば、将来の管理職不足を解消できる可能性があるでしょう。
細分化する業務のまとめ役が期待できる
近年、市場の細分化やビジネス環境の細分化が進んでいます。
また、組織の拡大により、部署が増えたり、業務が細分化したりする場面もあるでしょう。
ゼネラリストの雇用により、細分化した業務のまとめ役を担い、効率的に業務をおこなえるようになるかもしれません。
組織の成長が鈍化する恐れがある
組織の成長には、新しい技術開発やチャレンジが必要になるため、積極的にスペシャリストを採用する企業が増えています。
ゼネラリストは、マネジメントスキルなどに長けている一方で、一点突破の戦略には不向きな傾向があるため、ゼネラリストばかりを採用してしまうと、組織の成長を鈍化させてしまう恐れがあります。
しかし、スペシャリストばかりを採用しても、まとめ役の人材が不足して統率を欠いてしまいます。
ゼネラリストとスペシャリストのどちらも、バランスよく採用することが大切です。
企業は今後どちらを雇用すべきか
市場の変化などにより、近年、ゼネラリストは時代遅れとの声もあがっています。
企業として「今後どちらを雇用すべきなのか」と悩む場面もあるでしょう。
雇用すべきタイプは、企業の方針や状況によって異なるため、自社の現状を把握したうえで方針を決めましょう。
メンバーシップ型雇用なら「ゼネラリスト」
メンバーシップ雇用とは、長期雇用を前提に、新卒で一括採用して育成する方法で、終身雇用や年功序列のシステムが例としてあげられます。
長期雇用が前提であるため、さまざまな部署や業務の経験を与えることができ、人事異動や業務変更にも柔軟に対応できる人材を育てることも可能です。
今後、業務の細分化によってスペシャリストが増加しても、組織のまとめ役としての役割を果たしてくれるでしょう。
ジョブ型雇用なら「スペシャリスト」
ジョブ型雇用とは、職務内容を限定して、就業者と雇用契約を結ぶ雇用方法です。
あらかじめ職務内容を明確化しているため、求める分野やスキルのレベルに合った人材を雇用できるでしょう。
スペシャリストの特徴である、専門性の高さや、知識スキルを明確にしやすい点と相性のよい方法でもあり、企業と就業者のミスマッチが起きにくいメリットもあります。
「ゼネラリスト」の育成方法
ゼネラリストには向き不向きがあるため、まずは育成するまえに、素質のある人材を慎重に見極める必要があります。
育成するときは、CDP(キャリア・デベロップ・プログラム)を適用して、時間をかけた育成が効果的です。
CDPは、中長期的な視点で、社員のキャリア形成を支援する取り組みであるため、社員本人が主体的に目標を設定し、企業側は全面的に支援することがポイントです。
「ゼネラリスト」や「スペシャリスト」は適性を見極めることが大切
ゼネラリストは、幅広い知識や経験を活かし、臨機応変な対応や客観的な判断を得意とし、将来的にはマネージャーや管理職として重宝される人材です。
一方でスペシャリストは、専門的で深い知識や経験を活かし、専門的な職務で組織の成長をさせてくれるでしょう。
ゼネラリストとスペシャリストは正反対のタイプであるため、キャリア形成をする社員側も、雇用する企業側も、ミスマッチによって苦しまないように、適性を見極めることが大切です。
社内の良好なコミュニケーションに「Chatwork」
企業が持続的な成長を目指していくためには、ゼネラリストとスペシャリストは、どちらも必要な存在です。
また、それぞれの得意を活かしながら、協力していくことも重要でしょう。
社員同士の協力や連携を、良好に進めるためには、円滑なコミュニケーションも欠かせません。
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