折衝とは?意味や使い方・折衝力を高める方法について例文付きで解説
目次
「折衝」とは、お互いに利害が一致しない場合に、折り合いをつけるために話し合いをするという意味をもつ言葉です。
主に、政治やビジネスの現場での使用が一般的な表現で、折衝力の向上により、円滑なコミュニケーションができるようになります。
「折衝」の意味や使い方、折衝力を高める方法などを、例文付きで解説します。
「折衝」の意味とは?
「折衝(せっしょう)」とは、お互いに利害が一致しない場合に、折り合いをつけるために話し合いをするという意味をもつ言葉です。
ビジネスシーンでは、取引先との商談や業務を進める際に使われる場合が多く、関連用語としては、「折衝業務」や「折衝経験」などの言葉があります。
折衝の語源
「折衝」は、「晏子春秋」という中国の書物に書かれた言葉が語源といわれています。
「晏子春秋」では、斉(中国の王朝)の宰相である晏子が、酒の席でのやりとりにおいて、戦争を防いだというエピソードがでてきます。
この話を聞いた中国の孔子が、「敵の矛を折るのは、斉の宰相の得意なことだ」と評価した言葉が「折衝」の語源といわれています。
孔子の言葉に出てくる「矛(衝)」には、「武器」や「攻める」という意味があり、それを「折る」、つまり争いになる前に、矛を折ることで、「折衝」という言葉ができたのです。
「折衝」の使い方と例文
「折衝」という言葉を聞いた経験があっても、正しい使い方を知らないという方は多いでしょう。
「折衝」の使い方を、例文付きで解説します。
折衝する
折り合いがつくように話し合う行為を表す際は、「折衝する」という表現を活用します。
- 取引先や顧客と折衝する役目を担ってもらう。
- 午後から取引先に向かい折衝する。
折衝をおこなう
「折衝する」と同じ意味で、「折衝をおこなう」という表現を使う場合もあります。
- 折衝をおこなうことで、取引先に納得してもらえた。
- 今日は取引先を訪れて、折衝をおこなう。
「折衝」は、個人間で使われるケースは少なく、会社間などのオフィシャルな話し合いなどに適切な表現です。
「折衝」を使う際の注意点を確認していきましょう。
「折衝」を使う際の注意点
前述した通り「折衝」は、個人間の話し合いに使われるケースは少ない表現です。
正しく使うためにも、「折衝」を使う際の注意点について確認していきましょう。
個人間の話し合いには使わない
「折衝」は、個人同士のやりとりや、企業と個人間の話し合いには適さない表現です。
取引先との企業間や、政治に関わる国同士が話し合う場面などに適切な表現のため、基本的には、集団同士が妥協点を探る場面で使うと覚えておきましょう。
利害が異なる相手に対して使う
「折衝」は、利害が一致している相手には適さない表現です。
あくまでも利害が一致しないもの同士で、妥協点を探る場面で使うようにしましょう。
「折衝」に関わる言葉
「折衝」が用いられた言葉には、さまざまなものがあります。
本記事では、その中でも、以下の4つの言葉を紹介します。
- 折衝力
- 折衝経験
- 折衝業務
- 対人折衝
それぞれの言葉の意味を解説します。
折衝力
「折衝力」とは、折衝に関わる能力がどのくらいあるのかを表現する際に使う言葉です。
折衝力が高い人とは、会話の中で要点を掴むのが上手い人が多く、たとえば「○○さんは人当たりが良く、折衝力が高い」といった使い方がされます。
「折衝力」に関する詳しい内容は後述します。
折衝経験
「折衝経験」とは、業務を通して折衝した経験がどのくらいあるのかを表現する際に使う言葉です。
たとえば、「営業の仕事で、折衝経験がx年ほどあります」といった使い方ができます。
転職活動の際などに、過去の職務経歴において、折衝経験に関わるスキルが重要視されるケースもあるでしょう。
折衝業務
「折衝業務」とは、折衝に関わる業務という意味です。
顧客に対して折衝をおこなうという意味では「顧客折衝」と呼ばれる場合もあります。
たとえば「○○さんには、折衝業務(顧客折衝)を担当してもらいます」といった使い方がされます。
折衝に関わる職種には、販売職や接客業、営業職、エンジニアなどがあげられます。
対人折衝
「対人折衝」とは、物事を有利に進められるように、さまざまな人間関係を調整することです。
たとえば、「対人折衝の能力を高めて、だれとでもコミュニケーションを図れるようにしたい」といった使い方ができます。
ビジネスシーンに限らず、プライベートな人間関係を始め、幅広い場面に使用できる表現です。
「折衝」の類義語
「折衝」は、折り合いをつけるために話し合いをするという意味がある言葉ですが、ビジネスシーンにおける「話し合い」は、折り合いをつける目的でおこなわれるものだけではありません。
そのため、適切な「話し合い」の意味を表現できるように「折衝」の類義語についても、確認しておきましょう。
言葉の正しい意味を知り、適切な表現を活用できるスキルが、円滑なコミュニケーションの鍵となります。
交渉
「交渉(こうしょう)」とは、ある問題について相手と話し合いをするという意味がある言葉で、「交渉」と「折衝」は、相手と話し合うという意味では同じです。
ただし「折衝」のほうが、「駆け引きをして相手との妥協点を探る」という意味合いが強くなる点に注意が必要です。
また、「交渉」は、日常的に使われる傾向がある一方で、「折衝」は、会社間や国間での話し合い・ネゴシエーションの場で使われる表現のため、適切な場面が異なる表現です。
同じ意味ととらえて、言い換え表現として活用しないように注意しましょう。
- 雇用条件について、企業と交渉する。
- 新規商品の契約をとるために、取引先との交渉を重ねる。
渉外
「渉外(しょうがい)」とは、外部との交渉や連絡をおこなうこと、またはその仕事を指す言葉です。
たとえば、外国との交渉や連絡をする仕事は、「渉外業務」と呼ばれるケースがあり、日本では、百貨店や金融機関の仕事において、顧客に営業をかける際に「渉外業務」と呼ばれます。
「折衝」とは適切な場面が異なるため、こちらも混同しないように注意しましょう。
- 異動先では、渉外業務に関わることになった。
- 将来的に渉外業務に関わりたい。
談判
「談判(だんぱん)」とは、ある事件や揉めごとが起きた際に、相手と話し合いをおこなうことです。
解決に向けて、お互いの落としどころを見つけるための話し合いを「談判」と呼び、利害が一致していない点は「折衝」と同じですが、「談判」の方が、やや喧嘩腰のニュアンスがある表現です。
また、「折衝」は個人に対して使わない表現であるのに対し、「談判」は個人間の話し合いにも活用されます。
- 社内の問題について談判する。
- 相手と談判した結果、問題が解消した。
「折衝力」が高い人の特徴
前述した「折衝力」について、詳しくみていきましょう。
「折衝力」は、折衝に関わる能力がどのくらいあるのかを表現する際に使う言葉で、話し合いで要点を掴むのが上手い人などが、折衝力が高いといわれます。
ビジネスシーンのやりとりを円滑に進めるためには、「折衝力」の向上が効果的です。
折衝力を高めるためにも、まずは、折衝力が高い人の特徴や傾向を確認していきましょう。
相手の立場や状況を客観的に把握できる
折衝力が高い人は、相手の立場になって、物事を考えたり、状況を把握できたりする傾向があります。
利害が一致していない人と折り合いをつけるためには、まずは、相手に寄り添い、なぜ話し合いに決着がつかないのかを考える必要があるでしょう。
たとえば、「上司からプレッシャーをかけられているのではないか」「緊張しやすい性格の人ではないか」など、相手の立場や状況を考えると、新たな考え方ができるようになります。
話し合いに折り合いがつかない理由がわかれば、新たな提案や打開策が思いつき、話し合いを前に進めることができるでしょう。
具体的な代替案を提案できる
折衝力が高い人は、話し合いの妥協点が見つからない場合、ほかの具体的な代替案を提案できます。
たとえば、一定の経験を積んでパターンを把握したり、事前にシミュレーションして代替案をたてていたりすると、話し合いに折り合いがつけやすいでしょう。
また、相手の反応を見ながら、どのような提案なら妥協してくれるのかを探る能力も高い傾向があります。
要求をわかりやすく伝えられる
折衝力が高い人は、自分の要求をわかりやすく伝えられる特徴もあります。
状況の説明や要点をわかりやすく伝えられると、話し合いをスムーズに進めやすくなります。
また、お互いにどのような内容を求めているのかを把握できると、話の方向性を掴めて、お互いの妥協点を探りやすくなるでしょう。
折衝力がある人がまとめ役になれば、お互いの不満点や状況を客観視しやすくなり、会話の理解度を高める効果が期待できます。
「折衝力」を高める方法
ビジネスパーソンとしても重要な「折衝力」は、どのように高めればいいのでしょうか。
最後に「折衝力」を高める方法をみていきましょう。
話の結論や構成を考えてみる
自分の要求や希望を端的にわかりやすく伝えるためには、話の結論や構成を意識する必要があります。
要点をわかりやすくまとめられると、相手に会話の意図を伝えやすくなるでしょう。
たとえば、PREPの活用により、結論・理由・事例・結論の構成で話ができるようになります。
短時間でわかりやすく物事を伝えるためにも、日常の会話でも、結論から話すことや構成を意識してみてください。
事前準備や情報収集を欠かさない
話し合いの場でスムーズに情報を整理するためにも、日頃から事前準備や情報収集を欠かさないようにしましょう。
たとえば、商品やサービス、業界に関わる知識などを勉強しておけば、相手が話している言葉の意味を理解しやすくなります。
ほかにも、妥協点はどこなのかなどを事前に決めておくなど、社内で準備や話し合いをして、情報をまとめておくことも重要です。
傾聴力を鍛える
傾聴力をの鍛錬により、相手の話が理解しやすくなるだけでなく、「話を聞いてくれた」という満足感を、相手に与えられます。
人は、自分の要求を伝えたいあまり、相手の話を聞かずに意見を押しつけてしまう場合が多いですが、自分が話したい気持ちをおさえつつ、相手の話にあいづちや適度な質問を投げかけると、相手からの信頼を得やすくなります。
たとえば、「○○というのは、どういうことでしょうか」など、相手の意見を引き出せるような話し方を意識しましょう。
笑顔や思いやりを忘れない
話し合いを円滑に進めるためには、話術だけでなく、笑顔や相手への配慮なども大切です。
たとえば、目を見て話すことで、相手に興味をもっているというサインを送れるので、誠実な印象を与えられます。
また、専門用語ばかりを使うのではなく、理解しやすい言葉で、わかりやすく伝えることも、円滑なコミュニケーションの実現には大切な要素です。
お互いにとって有意義な場にするためにも、相手への配慮の気持ちをもって、話し合いを進めるようにしましょう。
「折衝」はビジネスの人間関係で重要
「折衝力」は、ビジネスシーンの話し合いを有意義なものにするために重要なスキルです。
折衝力を高めるためにも、日ごろから、結論や構成を考えて話すことを意識してみてはいかがでしょうか。
近年、テレワークやリモートワークなどの場所を選ばない働き方が拡大しつつあり、対面ではなく、オンラインで折衝をおこなう場面もあるでしょう。
オンラインで折衝をスムーズにおこなう方法として、ビジネスチャット「Chatwork」の活用がおすすめです。
「Chatwork」は、チャット形式でやりとりができるビジネスツールで、ビデオ通話機能が搭載されているため、Web会議の実施もできるツールです。
社内外問わずに活用できるので、プロジェクトや取引先とのやりとりなどをおこなうグループチャットを作成すれば、メールや電話よりも気軽にやりとりができます。
また、ファイル管理機能が搭載されているため、書類や議事録のやりとりなども、簡単におこなえます。
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