人的資本経営とは?開示が必要な理由や注目されている背景について解説

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目次

企業は従業員という「人材」の力を得て機能しているため、従業員の能力を高めたり、働きやすさを追求したりすることはとても重要です。

「人材」を「資本」としてとらえる人的資本経営をおこなうことで、社会イメージ向上などさまざまなメリットを得られます。

国外だけでなく、日本でも情報開示義務化がすすめられている人的資本について、注目されている背景やメリット、人的資本を強化する方法などを解説します。

人的資本とは?

人的資本とは、能力や才能をそなえた「人材」を「資本」としてとらえる経済学用語です。

人材の能力や才能を最大限に活かして、企業価値を継続的に向上させていく経営方法を人的資本経営といいます。

人的資本の定義は、各国の会計基準や国際機関などによりさまざまですが、OECD(経済協力開発機構)は「個人的、社会的、経済的厚生の創出に寄与する知識、技能、能力及び属性で、個々人に具わったもの」と定義しています。[※1]

人的資本とその他の資本は異なるのか

企業は、人的資本を含む6つの資本によって成り立っており、2つの有形資本と4つの無形資本にわけられます。

借入や株式などによって得られる資金の「財務資本」、建物や設備などの「製造資本」が有形資本です。

一方で、特許や著作権などの「知的資本」、ステークホルダーなどとの関係の「社会・関係資本」、環境資源の「自然資本」、人々の能力の「人的資本」が無形資本です。

人的資本は、その他の資本と異なり対象が「人材」であるため、従業員のモチベーションや能力などが企業価値向上に大きく関わることから、人材の能力向上に投資することが求められます。

人的資本と人的資源は異なるのか

資源とは、人間や産業の活動のために利用される物質や材料のことをいいます。

一方で、資本とは企業が活動するために必要な要素のことです。

そのため、人的資源は従業員の能力に関わらず、企業が生産活動をおこなうための人員として考えることであり、人的資本は、従業員をただの人員として考えるのではなく、能力や才能を資産として考えるという違いがあります。

人的資本の開示が必要な理由とは?

人的資本の開示は、企業の将来性を推し量るために外部から要請されており、ISO30414でガイドラインも設定されています。[※2]

現在は多様な働き方があり、従業員を均一的に育成することが難しくなっています。

従業員の個々の能力を伸ばすことに注力し、人的資本の強化具合を開示することで、現代に適応した企業であることを外部に伝えられるでしょう。

人的資本経営が注目されている背景

人的資本経営が注目されている背景を解説します。

ESG投資への関心

企業の持続可能性を評価して投資するESG投資への関心の高まりから、企業の人的資本にも注目が集まっています。

ESG投資とは、企業の財務状況以外に環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)も含めて投資を判断するため、労働環境などが該当する「社会」に従業員も含まれるとして、人的資本もESG投資の評価のひとつとなっています。

無形資産の重要性の高まり

建物や設備などの有形資産ではなく、金銭で購入できない人材の能力などの無形資産の重要性が高まっています。

著作権などの知的財産や、ブランドなどは無形資産であり、無形資産をうみだす能力は人的資本にあるため、人的資本を重視することは企業の競合優位性につながると考えられています。

製造主体経済から知識労働主体への変化

従来の経済は、製造業主体だったため、有形資産である設備へ投資し生産性の向上をはかることが可能でした。

しかし、現在はIT社会となり、イノベーションをうみだすアイデアの提案など「人」の能力が継続的な企業経営に必要とされているため、知識労働主体の社会に適応する人的資本が注目されています。

少子高齢化

現代の日本は少子高齢化が進行しており、企業にとって人材の確保が難しい状態です。

また、人材が確保できた場合でも、ミスマッチやライフイベントなどで早期離職される恐れがあるため、人材不足に陥るかもしれません。

人材不足に陥った際に、従業員の個々の能力が高ければ、企業は安定した経営を維持できるため、人的資本を向上させることは重要です。

人的資本の開示に関する動きについて

人的資本の開示に関する動きについて、国外、国内の動きとISO30414にわけて解説します。

人的資本の開示に関する国外の動き

人的資本の開示については、2018年12月にISO(国際標準化機構)が世界初となる人的資本に関するガイドライン「ISO30414」を発表しました。

その後、2020年8月にはSEC(米国証券取引委員会)が米国の上場企業へ人的資本の開示を義務化しました。

ISO30414の情報開示ガイドライン

ISO30414は、人的資本に関して、社内で議論すべき指標と社外へ開示すべき指標を整理して記載したガイドラインです。

人的資本の指標は11領域、49項目ありますが、いずれの企業にも適応する内容となっています。

<人的資本の11領域/th> 内容
コンプライアンスと倫理 コンプライアンスに関する指標
コスト 人材コストに関する指標
多様性 従業員の多様性に関する指標
リーダーシップ マネジメントに関する指標
組織文化 従業員満足度に関する指標
組織の健康、安全、福祉 労災に関する指標
生産性 人的資本の生産性に関する指標
採用、離職 人事に関する指標
スキルと能力 従業員のスキルや能力に関する指標
後継者育成 後継者育成計画に関する指標
労働力 従業員数に関する指標
 

人的資本の開示に関する国内の動き・状況

経済産業省は、2020年9月に、人的資本についての議論をまとめた「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」を公表しました。[※3]

その後、人的資本経営に向けての検討会を重ね「人材版伊藤レポート2.0」と実践事例集を公表しています。[※4]

また、2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、人的資本について追記されました。

経済産業省は、人的資本の情報開示を義務づける方針を示しているため、今後、日本企業は人的資本の情報開示の義務を負う可能性が高いでしょう。

人的資本を開示するメリットとは

人的資本を開示するメリットを解説します。

社会的イメージの向上

人的資本の開示は、国外で義務づけられていたり、日本でも義務化の動きが進んでいたりするほど、外部からの要請が強いです。

外部に対し、優良な人的資本を開示できた場合、従業員の個々の能力を伸ばし大切にしている企業というよいイメージが向上し、優秀な人材が求職したり、商品やサービスの利用が増加したりするでしょう。

企業価値の高まり

人的資本の情報開示は企業イメージにつながるため、企業は人的資本を向上させるために従業員に対して労働環境の整備などを実施するでしょう。

その結果、従業員は働きやすくなったり、個々の能力を発揮しやすくなったりするため、生産性が向上し、企業の継続的な価値を高めていくことにつながります。

投資してもらえる確率があがる

人的資本はESG投資家に注目されているため、人的資本を開示し企業が評価された場合、投資してもらえる確率があがります。

投資してもらえることで、株価が向上し企業価値の向上につながるだけでなく、売却した株の資金を人的資本へ投資することにより、人的資本を充実させていく好循環をうみだせます。

人的資本を強化する取り組みとは

人的資本は、向上させることで投資を受けやすくなったり企業価値があがったりするため、とりくみを強化していくことが大切です。

人的資本を強化するとりくみについて解説します。

人的資本の考え方を経営戦略に取り入れる

人的資本を強化するためには、人的資本の考え方を経営戦略にとりいれ、企業全体でとりくんでいく必要があります。

経営戦略にとりいれた場合、経営層が主体となってとりくむため、従業員の意識に変化が起き、PDCAサイクルをまわしやすくなるなど、人的資本強化へ向けた活動が活発になるでしょう。

従業員への研修や教育を整備する

人的資本を強化するために、人材である従業員への研修や教育を整備し、能力を高めていくことが大切です。

日常業務の能力を強化するだけでなく、意欲があればほかの業務の研修も受けさせることで、多方面でのスキルを磨けて業務の幅を広げられるでしょう。

また、企業内研修だけでなく、社外から講師を招いたり、社外の研修を受けさせたりするのもスキルアップにつながるでしょう。

働き方を多様化する

働き方改革の推進により、現在ではリモートワークやフレックスタイム、副業解禁などを実施する企業が多いです。

従業員の働き方を多様化することで、従業員は通勤のストレスから解放されたり、スキルアップや収入アップをはかれたりするため、モチベーションが向上します。

また、多様な働き方を受け入れる企業として、社会からの企業イメージも向上するでしょう。

従業員満足度を高める

従業員満足度を高めることで、従業員の意欲が向上し、業務効率があがったり、積極的な業務へのとりくみで個々の能力が高まったりするでしょう。

従業員の能力の向上は人的資本の強化につながるため、従業員満足度を高めるために、ワークライフバランスを重視したり、職場環境を整備したりすることが求められます。

人的資本を理解して、企業価値を上げましょう

人的資本とは、能力や才能をそなえた「人材」を「資本」としてとらえることです。

人的資本を強化することで、投資を受けやすくなったり、社会からのイメージがあがったりするメリットがあります。

人的資本を強化するためには、従業員満足度を向上させたり、多様な働き方を導入したりすることが大切なため、ビジネスチャット「Chatwork」の導入をおすすめします。

ビジネスチャット「Chatwork」は、チャット形式でコミュニケーションがとれるため、従業員への声かけが気軽におこなえます。

また、「Chatwork」にはビデオ通話機能もあるため、リモートワークでもMTGなどをオンラインで対面実施が可能です。

人的資本を強化し企業価値をあげるために、ビジネスチャット「Chatwork」の導入をぜひご検討ください。

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[※1]人的資本の測定に関する指針
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/satellite/jinteki/contents/pdf/190604_honyaku.pdf

[※2]人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html

[※3]持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/20200930_report.html

[※4]人材版伊藤レポート2.0
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220513001/20220513001.html

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Chatworkの中の人です。お役立ちコラムの編集者として、ワークスタイルの変化に伴うコミュニケーションと組織のあり方など発信していきます。

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