ヒヤリハットの原因とは?事例を参考に対策方法と報告書の書き方を解説
目次
どの業種においても、仕事をしているときに「もう少しで事故になりそうだった危ない経験」をしたことのある人もいるのではないでしょうか。
「もう少しで事故になりそうだった危ない経験」を、日本では「ヒヤリハット」と呼びます。
この記事では、ヒヤリハットの定義、なぜヒヤリハットが発生するのか、どのような事例と対策があるのか、ヒヤリハットの報告を習慣化する方法について解説します。
ヒヤリハットとは
ヒヤリハットという言葉について、厚生労働省は以下のように定義しています。
仕事をしていて、もう少しで怪我をするところだったということがあります。このヒヤっとした、あるいはハッとしたことを取り上げ、災害防止に結びつけることが目的で始まったのが、ヒヤリハット活動です。仕事にかかわる危険有害要因を把握する方法の1つとして、効果的です。[※1]
厚生労働省「安全衛生キーワード」
結果として怪我や事故には至らなかったものの、重大な事故に至る可能性のあったできごとをヒヤリハットといいます。
ヒヤリハットが発生する原因
なぜヒヤリハットが発生するのか、以下の3つの原因が考えられます。
- 情報共有やコミュニケーション不足
- 設備や環境の不徹底
- ヒューマンエラー(人的要因)
ひとつずつ解説します。
情報共有やコミュニケーション不足
仕事において、情報共有やコミュニケーションが不足すると、必要な情報が必要な人に伝わらなくなってしまいます。
その結果、必要な作業手順がとられず、知ってさえいれば防げた事故が発生してしまうケースがあります。
設備や環境の不徹底
設備や物理的な環境面の不具合によって、ヒヤリハットが発生することもあります。
設備については、日ごろのメンテナンスをしっかりおこなうことが、ヒヤリハットや重大事故の防止につながるでしょう。
ヒューマンエラー(人的要因)
疲れが出たり、なにかに気をとられたり、ついぼーっとしてしまったりという理由から、ミスが発生してしまうことがあります。
たとえば、疲れていて周囲の確認を怠り、重機を誤操作して事故につながるといった事例があります。
ヒヤリハットの事例と対策
具体的にどのようなヒヤリハットがあるのか、また発生を予防するためにはどのような対策が必要なのか、業種別にくわしく解説します。
オフィスのヒヤリハット事例・対策
オフィス内にはパソコンやモニター、コピー機などさまざまな機器があり、床に電源タップを置いているオフィスも多いでしょう。
オフィス内で、床に置いていた電源タップに床掃除用のモップの水がかかり、ショートして停電したという事例があります。
モップを持っていた本人に感電はしなかったものの、一歩間違えば感電だけでなく火災などの重大事故につながる可能性があったといえます。
電源タップはフックやマグネットで壁にかけたり、縦に取り付けたりできるタイプもあります。
電源タップの設置方法を見直すことで、事故の予防が可能です。
また、電源タップの近くでは、水がかからないようにモップをよく絞るなど清掃方法のマニュアル化も役立つでしょう。
製造業のヒヤリハット事例・対策
製造業では、フォークリフトを使う現場もあります。
作業場内でフォークリフトがバックしてきたときに、激突されそうになった事例も少なくありません。
フォークリフトの作業状況について全体に伝達しておく、フォークリフトの作業中には誘導員を配置するなど対策が必要です。
介護現場のヒヤリハット事例・対策
介護現場にも、さまざまなヒヤリハットがあります。
たとえば、利用者の薬の飲み忘れや朝と昼などのタイミング間違えなどのヒヤリハットも、多く報告されています。
薬は本人が飲んだところまでしっかり確認することで、飲み忘れを防げるでしょう。
薬の管理については、確認がしやすいボックスで管理するなど環境面を整えることで、忙しい介護現場でも事故の発生するリスクを減らせます。
ヒヤリハット報告書とは
一般的に、企業内においてはヒヤリハットの報告に「ヒヤリハット報告書」が使われます。
ヒヤリハット報告書について解説します。
ヒヤリハット報告書の重要性
ヒヤリハット報告書があることによって、重大事故につながる可能性のあるヒヤリハットの情報を企業側が効率よく収集できます。
社員にとっても、ヒヤリハット報告書があることによって、ヒヤリハットを経験した際にも「報告しなければ」という意識が働きやすくなるでしょう。
重大事故を防ぐために、ヒヤリハット報告書は重要な存在です。
ヒヤリハット報告書の基本項目
会社ごとにフォーマットは異なるものの、共通してよくつかわれる基本項目には、以下のようなものがあります。
- ヒヤリハットの発生日時、場所
- ヒヤリハットが発生した状況
- ヒヤリハットの発生原因
- どのような事故につながった可能性があるか
- 再発防止策
ヒヤリハット報告書を書くときのポイント
ヒヤリハット報告書を書くときのポイントを解説します。
5W2Hを意識する
5W2Hはヒヤリハットに限らず、報告・連絡・相談などビジネスシーンのさまざまなコミュニケーションをおこなう場面で役立ちます。
5W2Hとは、以下の英単語の頭文字をとったものです。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:だれが
- What:なにを
- Why:なぜ
- How:どのように
- How many:どれくらい
この5W2Hをヒヤリハット報告書にも含めることで、ヒヤリハットの発生状況が報告書を読んだ人にもわかりやすくなります。
客観的事実に基づいた記述をする
ヒヤリハット報告書では、客観的な事実を記述するようにしましょう。
ヒヤリハット報告書の目的は、重大事故の防止です。
誰かを責めたり、責任のなすりつけ合いをするためのものではありません。
主観的な意見を入れずに見たまま、聞いたままを書くことが大切です。
具体的な改善策を提示する
ヒヤリハットを報告するだけでは、重大事故の予防にはつながりません。
どのような改善策が必要なのか考えることも大切です。
ヒヤリハット報告書のなかで、実際に報告書を提出する本人の視点から、どのような改善策が必要なのか提示するようにしましょう。
ヒヤリハットの報告を習慣化する方法
ヒヤリハット報告書などの仕組みを作るだけでは十分ではありません。
実際にヒヤリハットが発生したときに、情報が組織内で共有されてこそ、ヒヤリハット報告書は効果を発揮し、重大事故の予防につながります。
組織内において、ヒヤリハットの報告を習慣化する方法について紹介します。
書き方をきちんと指導する
書類の書き方がわからないと、ヒヤリハットが発生しても報告書に記載ができません。
ヒヤリハット報告書の書き方を事前に指導しておくことで、いざヒヤリハットが発生したときもスムーズに報告書を提出できます。
必要なタイミングで新入社員や新しく配属されてきた人に、ヒヤリハット報告書の書き方を伝えておきましょう。
記入しやすいフォーマットを用意する
記入しにくいフォーマットでは、「面倒くさいから」「忙しいから」といった理由でヒヤリハットの報告がされないままになってしまう可能性があります。
ヒヤリハットを報告する心理的なハードルを少しでも下げておくために、記入しやすいかフォーマットかどうかをチェックしてください。
記入しにくい箇所があれば、改善するようにしましょう。
報告しやすい体制・雰囲気を作る
ヒヤリハットが発生したときに、誰かの責任を追及するような雰囲気では、ヒヤリハット報告書も提出しにくいでしょう。
ヒヤリハットが誰かを責めるためのものではなく、重大事故を防ぐためのものであることを周知徹底し、ヒヤリハットを報告しやすい体制や雰囲気を作っておくことが重要です。
研修の機会で事前にヒヤリハットの目的について説明しておくことや、ヒヤリハットが発生したときに管理職が適宜声掛けをするなど、地道なとりくみでヒヤリハットを組織内で共有しやすい雰囲気を作っておきましょう。
ヒヤリハットの報告にビジネスチャット「Chatwork」
ヒヤリハットとは、あと少しで重大事故につながる可能性のあった体験のことを指します。
組織内で発生したヒヤリハットを把握することにより、重大事故の予防につながります。
そのためには、ヒヤリハットが発生したときに、速やかに情報共有ができる仕組みづくりが大切です。
ビジネスチャット「Chatwork」は、手軽かつ速やかに情報を共有できるチャットツールです。
メールや電話に比べて、チャット形式で簡単にやりとりができるうえ、タスク管理機能もあるので、たとえばヒヤリハット報告の抜け漏れも予防できます。
グループチャット機能も備わっているので、必要なメンバーに必要な情報を確実に届けることも可能です。
>Chatworkのグループチャット機能に関する記事はこちら
ビジネスチャット「Chatwork」は無料で簡単に使い始めることができます。
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[※1]厚生労働省 「ヒヤリハット[安全衛生キーワード]」 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo26_1.html