RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは?事例や導入の効果をわかりやすく解説
目次
人手不足により、従業員の業務負担が増加していると感じている企業もあるのではないでしょうか。
オーバーワークで従業員が疲弊している場合は、定型業務の効率化をはかれるRPAを導入するといいでしょう。
RPAとはどのような機能なのか、メリットや企業の活用事例とあわせて解説します。
RPAとは
RPAとは、ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略称で、PCで人間がおこなう業務を自動化することです。
RPAは、プログラミングなどの難しい専門知識が不要で、ドラッグ&ドロップなど直感的な操作でロボットに業務を覚えさせられるため、コストを抑えつつ業務効率化をはかるのに適しています。
VBAとの違い
VBA(Visual Basic for Application)とは、Excelなどの機能にそなわっているマクロを作るプログラミング言語のことです。
VBAは業務を覚え、自動化できる点ではRPAと同じですが、プログラミングの知識が必要であったり、データの処理に時間がかかったりします。
また、自動化をおこなう範囲も、VBAはExcelなどのアプリ上のみで、RPAはPC上の業務全般のため、RPAのほうがより利便性が高いでしょう。
ITシステムとの違い
ITシステムは、業務の自動化の範囲にあわせて開発していくため、プログラミング知識が必要です。
また、自動化を求める部署とシステムを開発する部署の認識のすり合わせに時間がかかる可能性もあるため、早期完成が難しいかもしれません。
一方で、RPAはプログラミングの知識がなくても設定できるため、業務効率化に向けて迅速な対応ができるでしょう。
AIとの違い
AI(人工知能)は、データ処理の過程で知識を身につけるなど、学習機能をそなえており、自ら判断する特徴があります。
一方でRPAは、人間が覚えさせた業務をおこなうのみのため、学習機能や自分で判断する能力がありません。
RPAの導入が増えている理由
PCで人がおこなっている事務業務を、人間に変わって自動化できる「RPA」を導入する企業が増えています。
RPAを導入する企業が増えている理由を解説します。
人手の不足
日本は深刻な少子高齢化社会となっており、2025年には20~64歳の働き世代の割合が54%、2040年には50%と減少していく予測です。
働き世代が減少するだけでなく、DX推進などにより需要が高まっているIT人材も2030年には79万人が不足するといわれているため、プログラミングの知識がなくても業務の自動化を設定できるRPAを導入する企業が増えています。[※1][※2]
働き方改革の影響
政府が推進している働き方改革では、効率的な業務によって生産性を向上させながら、長時間労働をなくすことを企業に求めています。
そのため、定型業務などがRPAによって自動化した場合、人材や時間などのリソースをほかの業務にあてられ、限られた時間で生産性向上を目指せるでしょう。[※3]
RPAの代表的な機能
RPAは、バックオフィス関連の定型業務で活用することができます。
- データの登録
- システム管理
- 情報収集
- データの同一性の確認
- アプリケーションをまたいだ処理
具体的にどのような業務でRPAを活用することができるのかを見ていきましょう。
データの登録
RPAは、請求書や注文書、勤怠のデータなどをあらかじめ作成しておけば、ほかのアプリに自動的に入力してくれます。
RPAの活用により、データ入力にかかる手間を省けるでしょう。
システム管理
RPAは、社内外のシステムとも連携が可能なため、たとえば営業支援システム(SFA)や会計システムと連携させることで、データ入力や操作の自動化がはかれます。
情報収集
RPAには業務に必要な情報をWebから収集する機能があるため、情報収集にかけていた時間をほかの業務にあてられたり、欲しかった情報を一度に見られたりします。
たとえば、自社商品のECサイトでの価格や、ユーザーのクチコミなどを集めることが可能です。
同一性の確認
RPAは、会計システムに記帳した売掛金と入金額のチェック、顧客データのチェックなど、データの同一性を自動で確認できます。
データのチェックは、人間がおこなうと労力や時間がかかる作業のため、RPAの導入によって効率化をはかれるでしょう。
アプリケーションをまたいだ処理
RPAはシステムだけでなく、アプリケーションとも連携できるため、メールアプリなどと連携すると自動でメールを送信できます。
たとえば、条件付けをした顧客に催促メールを送ったり、リマインダーを設定して作業漏れがないようにしたりできるでしょう。
RPAの自動化レベル
RPAには自動化の段階(クラス)があり、段階があがると、自動化できる業務の範囲が広がります。
3つのRPAの段階について解説します。
クラス1:RPA
RPAは、定型業務の自動化に対応しています。
従来のレベルのRPAのため、データの登録や同一性のチェックなど、バックオフィスの業務に向いています。
クラス2:EPA
EPA(Enhanced Process Automation)は、AIと連携して自動化をはかれるため、データ分析や画像解析などの非定型業務も可能です。
クラス3:CA
CA(Cognitive Automation)は、高度なAIと連携しているため、学習機能や自己判断機能があります。
自動化できる業務範囲も広いため、より業務効率化をはかれるでしょう。
クラス(段階) | 対応範囲 |
---|---|
RPA(Robotic Process Automation ) | 定型業務の自動化が可能データ登録や同一性のチェックなどに向いている |
EPA(Enhanced Process automation) | AIと連携して自動化をはかることが可能 データ分析や画像解析などの非定型業務に向いている |
CA(Cognitive Automation) | 高度なAIと連携して学習・自己判断が可能 ディープラーニングや自然言語処理に向いている |
RPAを導入するメリット・効果
RPAの導入によって得られるさまざまなメリットを解説します。
従業員満足度が向上する
RPAの導入により、データ入力やデータのチェックなどの単純な定型業務が自動化するため、従業員はより重要な案件に集中できるなどして、満足度が向上する可能性があります。
定型業務によってほかの業務が圧迫され、残業が発生していた場合は、残業の減少につながりワークライフバランスも保ちやすくなるでしょう。
業務の精度を高められる
人間は、集中力の低下による見落としや失念などのヒューマンエラーによって、業務ミスを起こすことが誰にでもありますが、RPAの場合はロボットのためミスが起きづらいです。
RPAによって業務の精度を高められることで、従業員はミスの修正などで余計な時間をとられずにすむでしょう。
RPAを導入する企業の活用事例
RPAを導入する企業の活用事例を紹介します。
1年半で約9.5万時間の業務削減した企業
住宅ローンを主力商品としているネット銀行は、顧客が増える一方で事務負担の多さに悩みを抱えていました。
一度RPA導入を試みたものの失敗し、意欲が低下していましたが、RPA導入に成功している企業も増加してきたことから、RPA推進室を立ち上げて再度導入を進めることにしました。
複数のRPAツールを比較検討し、使い勝手がよかったツールを導入すると、1年半で約9.5万時間の業務を削減できました。
業務の自動化は、残業や入力ミスをなくしたり、従業員の業務負荷の減少にもつながったりしています。
給付金の支給を迅速におこなえた自治体
特別定額給付金の支給にあたり、RPAを導入した自治体がありました。
自治体は、RPA導入前に、給付金支給のために20名以上の職員を追加で動員しても、支給完了までに2か月以上かかると予測していました。
また、業務に関して時間外労働が増えるなど職員の負担が増加することも懸念していました。
RPA導入後は、1日に何千件もの申請の処理ができ、追加動員が不要となったり、職員が人にしかできない業務や、通常業務に専念できたりしました。
給付金支給の期間も、当初の予測よりも早い、3週間で完了できました。
RPAと「Chatwork」を活用して業務効率化を目指そう
RPAとは、人間がPCでおこなうバックオフィス関連の定型業務をロボットによって自動化できるため、業務ミスの発生を防げたり、人材や時間などのリソースをほかの業務にあてたりできます。
社内の業務効率化には、RPA推進とともに、コミュニケーションを円滑にするビジネスチャットの導入もおすすめします。
ビジネスチャット「Chatwork」は、メールや電話に比べてチャット形式で気軽にやりとりができるうえ、「Chatwork」と連携できるRPAもあるため、業務効率化に役立ちます。
無料で簡単に使いはじめることができるため、コミュニケーションコストの削減による業務効率化につなげる足がかりとして、まず一度、使い勝手を試してみてはいかがでしょうか。
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RPA導入とあわせて、さらなる業務効率化を実現するために、ぜひ「Chatwork」の導入もご検討ください。
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[※1]出典:厚生労働省「我が国の人口について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html
[※2]出典:経済産業省「IT人材育成の状況等について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf
[※3]出典:厚生労働省「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」
https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf
※本記事は、2022年12月時点の情報をもとに作成しています。