MECE(ミーシー)とは?フレームワークの活用法をわかりやすく解説

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MECE(ミーシー)とは?フレームワークの活用法をわかりやすく解説

目次

MECE(「ミーシー」または「ミッシー」)とは、物事を要素ごとに分類して、問題を把握するための考え方のことです。

「漏れなく」「ダブりなく」物事を分類して、問題をみつけるMECEな思考は、商品開発や調査分析などが必要な、マーケティングや営業などのビジネスシーンでも活用されています。

今回は、MECEの意味やMECEな思考をするためのアプローチ方法、フレームワークを解説します。

MECEの言葉の意味とは

MECE(ミーシー)とは、物事を要素ごとに分解して問題を把握する論理的思考(ロジカルシンキング)の手法です。

MECEは、下記の言葉の頭文字をとった言葉で、要約すると「漏れなく」「ダブりなく」という意味をもちます。

  • Mutually:互いに
  • Exclusive:排他的・重複しない
  • Collectively:全て合わせて・まとめて
  • Exhaustive:漏れなく網羅的に

MECEな思考は、物事全体を抜けや漏れがないように要素でわけることで、問題に対する最適な解決方法をみつけだせます。

>ロジカルシンキングとは?に関する記事はこちら

MECEな思考が求められる理由

MECE的な思考とは、漏れやダブりがないように、物事を順序立てて考えることを指します。

たとえばマーケティング戦略を考えるときに、非論理的で抜けや漏れが多い状態では、繰り返し同じ施策を検討しなければいけません。

このような事態を避けるためにも、客観的な視点から、論理的に問題を捉えられるようになるMECEな思考が求められるようになりました。

ビジネスパーソンにとって、物事を漏れやダブりなく論理的に考えられるMECEな思考は、身につけておきたいスキルといえるでしょう。

MECEでない状態とは

MECEな思考をとりいれる際に、漏れやダブりが生じて、MECEでない状態に陥ってしまうケースがあります。

なぜ、MECEでない状態に陥ってしまうのでしょうか。

MECEでない状態には、以下の3つの状態があげられます。

  • 漏れがあり、ダブりがない状態
  • 漏れがなく、ダブりがある状態
  • 漏れもダブりもある状態

MECEな思考をとりいれる際に注意すべき、MECEでない状態の例を3つ紹介します。

(1):漏れがあり、ダブりがない状態

MECEでない状態のひとつが、「漏れがあり、ダブりがない」状態です。

たとえば、子供用品の購入者の平均購入金額を調査していたとしましょう。

親世代の20代から40代に限定して調査してしまうと、孫に子供用品を購入する祖父母世代などが漏れてしまいます。

この場合、ダブりはないものの、50代以上の祖父母世代や、20代未満の世代が調査対象から漏れてしまっているわけです。

まんべんなく調査するためには、漏れがないか確認する必要があるでしょう。

(2):漏れがなく、ダブりがある状態

続いて紹介するのは、「漏れがなく、ダブりがある」状態です。

たとえば、ペット向けの商品開発をするために、以下をターゲットの候補としてあげたとします。

  • 猫を飼っている人
  • 犬を飼っている人
  • 鳥を飼ってしている人
  • その他

ペットを飼っている人をターゲットにしているため漏れはありませんが、なかには猫と犬を飼っている人や、犬と鳥を飼っている人もいるわけです。

上記のようなケースは、漏れがないものの、ターゲットにダブりがある状態といえるでしょう。

(3):漏れもダブりもある状態

MECEでない状態のなかには、「漏れとダブりのどちらもが生じてしまう」場合もあります。

たとえば、職業についてアンケートをおこなったときに、以下の選択肢を用意したとしましょう。

  • 会社員
  • 契約社員
  • パート・アルバイト
  • 学生
  • 主婦

上記のアンケートでは、自営業とその他の選択肢がありません。

そのため、自営業やフリーランス、未就園児など無職の人が漏れてしまっています。

また、会社員のなかには主婦や学生の人もいるため、ダブりも発生してしまっているわけです。

MECEな調査を実施したい場合は、調査対象者の設定やアンケートの選択肢などに、漏れやダブりが起きていないかを、細かく確認する必要があるでしょう。

MECEな思考をするためのアプローチ方法

漏れやダブりを防いで、MECEな思考をするためには、以下のアプローチ方法が最適です。

  • トップダウンアプローチ
  • ボトムアップアプローチ

物事を要素に分解して、俯瞰したうえでとらえないと、漏れやダブりが生じやすくなります。

MECEな思考をするためのアプローチ方法をひとつずつ紹介します。

トップダウンアプローチ

物事の全体像が把握できているときに有効なのが、トップダウンアプローチです。

トップダウンアプローチとは、物事の全体像から、要素ごとにこまかく分類していく方法を指します。

全体像が把握できているため、ゴールを設定しやすく、俯瞰でみながら分類できる点がメリットです。

ただし、全体像を見誤ってしまうと、漏れやダブりが発生しやすくなります。

ボトムアップアプローチ

全体像が把握できず、要素ごとの分類が難しいときは、ボトムアップアプローチが最適です。

ボトムアップアプローチとは、要素を一通り洗い出してからグループ化して、全体像を構築していく方法を指します。

全体像を把握する前に、取り組めるメリットがあります。

一方で、全体像がわからないまま進めるため、漏れやダブりがでてくる恐れもあるでしょう。

MECEな思考をするための切り口

漏れやダブりがなく論理的に考えるためには、さまざまな観点から物事を捉える必要があります。

MECEな思考をする際に役立つのが、以下の4つの切り口です。

  • 要素分解
  • 因数分解
  • 時系列・ステップ分け
  • 対照概念

それぞれの切り口から、どのように思考するのかを確認していきましょう。

要素分解

要素分解とは、全体像から要素を切り分けて分類していく方法で、分類した要素をあわせたときに、全体像が把握できなければいけません。

要素を「足していく」方法をとるため、「足し算型」とも呼ばれます。

要素の足しあわせにより、全体像が把握でき、漏れやダブりがなく分類できていることがわかるようになります。

因数分解

因数分解は、計算式を用いて全体像を分解する切り口です。

たとえば、「来店数×平均単価=売上」のような計算式を使った要素の分解が、因数分解にあたります。

かけあわせることから、「かけ算型」とも呼ばれています。

時系列・ステップ分け

時系列・ステップ型は、物事を時系列や段階にそって分解していく方法です。

一例として、ユーザーが購買に至るまでの行動は、以下のステップに分類できます。

  • 商品の認知
  • 商品への興味・関心
  • 商品を手に入れたい欲求
  • 商品を購入

時系列やステップに分けて分解することで、漏れやダブりを防げるでしょう。

対照概念

対照概念の切り口では、物事を相反するものに分けて、要素を分解していきます。

たとえば、以下の例があげられます。

  • メリット・デメリット
  • 量・質
  • 固定・変動
  • スピード・クオリティ

反対の性質をもつもので分解することで、対立関係にある要素を把握できるため、マーケティング戦略の立案などに活用できます。

MECEな思考をするためのフレームワーク

MECEな思考をしようと思っても、どのように取り組んでいいのかわからず、うまく活用できない方も多いのではないでしょうか。

MECEな思考をするときは、フレームワークに落とし込んでみると、活用しやすくなります。

MECEな思考をするときに役立つフレームワークを7つ紹介します。

3C分析

3C分析は、「市場・顧客」「競合」「自社」の項目にわけて、業界を取り巻く環境を分析する手法です。

「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の頭文字を取り、3C分析と呼ばれています。

業界の環境を3つの観点から分析するため、経営戦略やマーケティング戦略を立案するときに役立つフレームワークです。

MECEな思考の切り口でみると、3C分析は、要素分解に該当します。

>3C分析のやり方に関する記事はこちら

4P分析

4P分析は、マーケティング施策を立案するときに使われる手法です。

「Product(製品・サービス)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(広告・販促)」の頭文字を取った略語で、複数の視点からマーケティングを分析できます。

4P分析も3C分析と同様に、要素分解に当てはまります。

SWOT分析

SWOT分析は、自社を取り巻く環境を外部と内部にわけて、プラス要因とマイナス要因で分析するフレームワークです。

SWOT分析は、以下の4つの項目に分類をおこないます。

  • Strength(強み):内部環境・自社のプラス要因
  • Weakness(弱み):内部環境・自社のマイナス要因
  • Opportunity(機会):外部環境・プラス要因
  • Threat(脅威):外部環境・マイナス要因

自社の強みや弱みを把握できるため、経営戦略やマーケティング戦略、商品開発などに役立つ分析手法です。

MECEな思考では、要素分解と対照概念の切り口に該当します。

>SWOT分析のやり方に関する記事はこちら

PEST分析

PEST分析は、外部環境を分類して、自社に影響を及ぼす要因を分析するフレームワークです。

「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字を取り、PEST分析と呼ばれています。

将来、自社に影響を与える要素を予測できるため、経営戦略やマーケティング戦略の立案に活用できる分析手法です。

MECEの切り口としては、要素分解に当てはまります。

>PEST分析のやり方に関する記事はこちら

7S分析

7S分析は、組織を7つの要素に分類するフレームワークで、経営戦略の立案などで用いられています。

7つの要素を、ハードとソフトに分類し、漏れやダブりがないように組織をこまかく分解して、課題を見つけ出します。

ハードの3S
  • Strategy:戦略
  • Structure:組織構造
  • System:システム
ソフトの4S
  • Shared value:共通の価値観
  • Staff:人材
  • Style:社風
  • Skill:スキル

7S分析を用いることで、組織の構造を見直し、企業価値を高められるようになります。

MECEな思考では、要素分解の切り口に該当します。

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、市場に製品を投入して撤退するまでの期間を指します。

「プロダクトライフサイクル」とも呼ばれ、売上や利益の動きからマーケティング戦略を分析する手法です。

製品ライフサイクルでは、サービスや商品を以下の5つの段階に分類します。

  • 導入期
  • 成長期
  • 成熟期
  • 飽和期
  • 衰退期

段階に区切ることで、漏れやダブりがなく適切なマーケティング戦略を立案できます。

製品ライフサイクルは、時系列・ステップ型の切り口で思考したい時に最適なフレームワークです。

>プロダクト(製品)ライフサイクルとは?に関する記事はこちら

AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)は、ユーザーの商品を購入するまでの行動を可視化したもので、購買決定プロセスを説明したモデルのひとつです。

AIDMAは、以下の5つのプロセスで分解します。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

ユーザーが購買に至るまでの行動を段階ごとに分けることで、ユーザーの購入検討度にあわせたマーケティング戦略の立案が可能になります。

AIDMAは、購買行動を段階ごとに分けて分解するため、時系列・ステップ型の切り口に該当します。

MECEな思考をするうえでの注意点

MECEは、物事を分解して思考する方法で、さまざまなシーンの課題解決に役立ちます。

一方で、物事の要素を漏れやダブりなく分類しようとすると難しい場合があるなど、MECEな思考をするうえで注意しておきたい点も、いくつかあります。

MECEを活用する際に、気をつけるべき点をみていきましょう。

「抜け漏れ」に注意する

MECEは、漏れやダブりがないように分類して考えることが大切ですが、とくに起こりやすいミスとして、抜け漏れがあげられます。

要素が抜けてしまうと、正しい課題解決方法が導き出せなくなるため、抜け漏れが生じていないかを注意するようにしましょう。

目的を忘れないようにする

MECEは、物事を分類して考えていく思考法ですが、MECEをおこなうなかで、課題解決などの当初の目的を忘れてしまうと、要素分解が目的になってしまいがちです。

目的と手段が入れ替わらないように、どのような目的でMECEを活用するのかを、念頭に置いて取り組む必要があるでしょう。

要素に優先順位をつける

MECEでは、抜け漏れがないように要素を分類していくため、なかには重要度が低い要素も出てきます。

そのため、分類した要素に優先順位を付けておくことが大切です。

また、分類するときに主観に引っ張られてしまうと、正しく分類できず、漏れやダブりが生じてしまいます。

分類する基準を設けて、判断する切り口を定めてから優先順位を付けるとよいでしょう。

分類できないものもある

物事を要素に分解するときに、うまく分類できないものもあります。

たとえば、ダブりが生じてしまい、きれいに分類できないといったケースなどがあげられます。

分類が難しいときは、目的にあわせて分類する判断基準を設けて対応するのも、ひとつの手です。

MECEな思考の具体例

MECEな思考をおこなうときに、漏れやダブりが発生してしまうと、MECEにならず、要素の分解がうまくできません。

具体例をあげて、MECEになっている状態とMECEになっていない状態を解説します。

MECEになっている例

たとえば、MECEになっている年齢ごとの分類は、以下のとおりです。

  • 10代以下
  • 20代
  • 30代
  • 40代
  • 50代
  • 60代以上

この分類にすると、漏れやダブりがなく、すべての年齢をカバーして分類できています。

MECEになっていない例

年齢を以下のように分類すると、漏れやダブりが生じてしまいます。

  • 10代以下
  • 20代~30代
  • 30代~40代
  • 50代~60代

このパターンでは、「20代~30代」と「30代~40代」のどちらの項目にも30代が含まれてしまっており、ダブりが生じていることがわかります。

また、「70代以上」の項目が抜けているため、漏れも発生している状態です。

要素を分類する際は、漏れやダブりが生じていないかを俯瞰で確認するようにしましょう。

フレームワークの活用にも「Chatwork」

MECEは、物事を要素に分類していくロジカルシンキングの手法で、調査分析や課題解決など、経営やマーケティングの分野で活用されています。

MECEな思考を取り入れると、物事を漏れやダブりがないように分類できるため、課題を包括的に把握して、解決方法を発見できるようになります。

MECEな思考をする際に役立つのが、3C分析やSWOT分析などのフレームワークですが、フレームワークを活用するときのコミュニケーション手段として、チャットツールを使うのがおすすめです。

ビジネスチャット「Chatwork」は、チャット形式でコミュニケーションがとれるため、複数人で意見を出し合うことで、客観的に物事を捉えられるようになります。

「Chatwork」で交換した意見は、文章や画像で残しておけるため、時間をおいて分析するときにも便利です。

また、マイチャット機能はメモ代わりにもできるため、自分で思考を整理したい際に、ほかのツールを活用する必要もありません。

ビジネスチャット「Chatwork」は、無料でアカウントを作成して、使用を開始できます。

経営やマーケティング戦略の立案など、MECEに考えるときにも便利な「Chatwork」を、ぜひ活用ください。

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MECE(ミーシー)に関するQ&A

MECEの言葉の意味とは?

MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「漏れなく・ダブりなく」という意味をもちます。

MECEは「ミーシー」または「ミッシー」と読み、直訳すると、Mutually Exclusiveが「互いに排他的(重複しない)」、Collectively Exhaustiveが「全て合わせて(まとめて)網羅的」であることから、日本語では「漏れなく・ダブりなく」と表現されています。

MECEな思考のためのフレームワークは?

MECEな思考のためのフレームワークとして、主に3C分析・4P分析・SWOT分析・PEST分析・7S分析などがあげられます

フレームワークを活用することで、MECEな思考で物事をとらえることができるでしょう。

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