フレックスタイム制の仕組みとは?メリットや導入方法、ポイントを簡単に解説
目次
働き方改革の一環として、フレックスタイム制が注目されています。
フレックスタイム制は、働く時間を労働者が自分で決めることができる制度です。
メリットの多い制度ですが、導入にあたっては注意が必要なこともあります。
フレックスタイム制とはどのような制度なのか、フレックスタイム制のメリットや導入ポイントとあわせて説明します。
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内において、日々の始業時刻と終業時刻、労働時間を労働者が自ら決めることができる制度です。
たとえば、朝9時から夕方5時までというように勤務時間が固定されず、労働者が自分の都合にあわせて、勤務時間を自由に決めることができます。
コアタイムとフレキシブルタイムの違い
フレックスタイム制には、コアタイムとフレキシブルタイムを設けることがあります。
コアタイムでは、一日の労働時間帯を、必ず勤務しなければならない時間帯(コアタイム)と、いつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)に分け、フレキシブルタイムの中であれば自由に出社または退社してもよいとします。
たとえば、コアタイムを午前11時から午後5時とした場合、従業員は午前11時以前、または午後5時以降であればいつ出退勤しても問題ありません。
しかし、一日の労働時間の中で、コアタイムがほとんどを占める場合などは、「基本的に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねたことにはならず、フレックスタイム制とはみなされません」 ので注意しましょう。[注]
残業代も支払われる
フレックスタイム制を導入した場合も、残業代は支払われます。
ただし、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて労働しても、すぐに残業代が支払われるわけではありません。
フレックスタイム制の場合には、3か月を上限とする清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が、時間外労働として計算されます。
たとえば、清算期間が1か月で、1か月の法定労働時間の総枠が160時間の場合に、実際の労働時間が180時間であれば、20時間について残業代が支払われます。
フレックスタイム制を導入する目的
フレックスタイム制を企業が導入する大きな目的は、従業員が働きやすい環境を整えることにあります。
フレックスタイム制を導入することで、自由で柔軟な働き方を実現しやすくなるため、ワークライフバランスが実現でき、通勤ラッシュの回避、メンタルヘルスの安定、残業時間の削減など、さまざまなメリットがあります。
フレックスタイム制のメリット
フレックスタイム制を導入することによって、従業員や企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
フレックスタイム制のメリットや導入による効果について紹介します。
従業員が快適に出勤できる
フレックスタイム制のメリットにまずあげられるのが、通勤ラッシュを避けられることです。
通勤ラッシュは心身ともに疲弊してしまいますが、フレックスタイムが導入されていれば、時間帯をずらして、満員の電車やバスに乗らずに通勤できるようになります。
余計な疲れを感じずに出勤でき、仕事への集中力が向上するでしょう。
また、「早く出社して早く退社したい」「朝起きるのが苦手だからゆっくり出社したい」など、従業員の事情や特性に合わせた出勤ができるため、結果として生産性の向上にもつながる可能性があります。
残業時間の軽減につながる
フレックスタイム制は、残業の軽減つながります。
勤務時間を固定した労働時間制度では、残業をした翌日に仕事の余裕があったとしても、終業時刻までは勤務を続けなければなりません。
しかし、フレックスタイム制では、仕事が少ない日には早めに勤務を終えることができるため、メリハリのある働き方をすることができ、結果的に残業時間を減らすことができるでしょう。
定着率向上につながる
フレックスタイム制は、勤務時間を自分の都合にあわせて決められるため、自由度が高く、働きやすい職場環境が整いやすいことから、従業員の定着率の向上につながるでしょう。
たとえば、フレックスタイム制を導入していれば、各従業員が休暇をとらずとも、フレキシブルタイムのうちに退勤できるよう都合をつけることで、これらの用事とも折り合いをつけることが可能です。
従業員が業務外のプライベートの時間を確保しやすい職場は、従業員にとって魅力的な環境といえるでしょう。
優秀な人材を確保しやすい
フレックスタイム制を導入することによって、従業員は育児や介護などの家庭の事情と仕事との調整を図りやすくなります。
そうすることで、これまでそれらのライフイベントによって退職してきたような人材を引き止めることができるようになります。
またフレックスタイム制の導入は、「働きやすい職場」であることを労働市場にアピールすることにもつながるため、新しい人材の確保という面でもメリットを発揮するでしょう。
フレックスタイム制のデメリット
メリットの多いフレックスタイム制ですが、メリットだけではなくデメリットもともないます。
フレックスタイム制のデメリットを見ていきます。
社外との予定の調整が難しい
フレックスタイム制では、柔軟に出退勤の時間を決められるため、他社の業務時間に自社の担当者が勤務していないという事態が発生する可能性があります。
また、特にフレックスタイム制そのものを知らない企業や、導入に抵抗のある企業は、対応が遅れたことにより信用を損なうという事態も考えられるでしょう。
勤怠管理が複雑になる
フレックスタイム制は、勤務時間の自由度が高くなる分、勤怠管理が複雑になります。
手作業で勤怠管理をおこなっている企業の場合は、正しい給与計算ができなくなるおそれがあるかもしれません。
フレックスタイム制の複雑な勤怠管理を効率よくおこなうためには、システムの導入が必要でしょう。
社内のコミュニケーションが不足しやすい
フレックスタイム制度を導入すると、社内の従業員の間でも出勤・退勤時間がずれる可能性が高くなります。
直接会う機会が減少すると、情報共有がスムーズにおこなえなくなる可能性も否定できません。
また打ち合わせや会議などが、参加する従業員がそろう時間帯におこなわれるため、会議室の取り合いや業務負担の集中が発生する可能性も無視できません。
フレックスタイム制を導入するときのポイント
フレックスタイム制を導入する際には、気をつけなければならないポイントがあります。フレックスタイム制を導入するときのポイントを見ていきます。
就業規則および労使協定を締結する
厚生労働省の定めによると、フレックスタイム制を導入するためには、まずは「始業、終業時刻の労働者による決定」を就業規則に規定することが必要です。
さらに、労使協定において、「対象となる労働者の範囲」、「清算期間」、「清算期間における総労働時間」、「標準となる1日の労働時間」から構成される、フレックスタイム制の基本的枠組みを定める必要があります。[注]
要件を確認し、抜け漏れのないよう制度設計をおこないましょう。
運用体制やルールを決める
フレックスタイム制を導入するにあたって、運用体制やルールの策定は重要なポイントのひとつです。
具体的には、対象となる従業員の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる一日の労働時間、コアタイム、フレキシブルタイムなどがあげられます。
とくに、社内外でやり取りの多い部署では、担当者不在による取引先とのトラブルに発展することも考えられます。
導入を検討する際は、実際に働く現場の意見を尊重しましょう。
また最初の導入段階は、従業員全員が必ず出社する時間のある、コアタイム制を採用するとよいでしょう。
ICTツールを活用する
煩雑になりがちな勤怠管理やスケジュール管理、コミュニケーション不足の課題は、ICTツールの活用によって解決しましょう。
たとえば、勤怠管理システムを導入すれば打刻が自動的に集計され、フレックスタイム制において複雑になりやすい勤怠実態や労働時間の把握・計算がしやすくなります。管理者の負担を軽減できるでしょう。
また、ビジネスチャットや社内SNSなどのコミュニケーションツールを導入し、連絡しやすい環境を整えることで、勤務時間が異なっていても情報共有をスムーズにおこなえるでしょう。
フレックスタイム制の導入にChatworkを活用しよう
フレックスタイム制の導入は、働き方の多様化に対応できるものとして、人材確保や残業コストの軽減など、さまざまな効果が期待されています。
しかし、導入する際には、推進者がメリットを理解した上で、デメリットを克服するための環境整備や従業員の理解を得るための取組をすることが非常に重要です。
なお、フレックスタイム制導入にともなうコミュニケーション不足をおぎなうビジネスチャットに「Chatwork」が活用できます。
チャット形式で、メールに比べスピーティなやり取りが可能になるほか、「タスク管理機能」を活用することで出社時間の異なる従業員間の業務管理も、抜け漏れなくおこなうことができます。
フレックスタイム制をスムーズに運用するためにも、ぜひ「Chatwork」の導入を検討してください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[注]出典:フレックスタイム制を導入するために必要な手続き|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/flextime/980908time02.htm