ソーシャルキャピタルとは?企業に必要な背景とメリットを事例付きで解説

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働き方改革
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ソーシャルキャピタルとは?企業に必要な背景とメリットを事例付きで解説

目次

ソーシャルキャピタルとは、社会や地域など、人と人をつなぐ仕組みの重要性を表す言葉です。

ソーシャルキャピタルへの取り組により、企業は、事業活動の円滑化や職場の関係性を良好にする効果を期待できます。

ソーシャルキャピタルが必要な背景とメリット、事例を解説します。

ソーシャルキャピタルとは

ソーシャルキャピタル(social capital)とは、社会や地域など、人と人をつなぐ仕組みの重要性を表す考え方です。

ソーシャルには、「社会の」という意味があり、キャピタルには「資本」という意味があります。

ソーシャルキャピタルの定義はいくつかありますが、とくに、アメリカの政治学者ロバート・パットナムが提唱したものが広く浸透しています。

従来は、物的資本であるお金や物、人的資本である人材が、社会や企業の資本として重要視されてきましたが、現代ではソーシャルキャピタルも資本のひとつとしてとらえられています。

ソーシャルキャピタルが高い社会では、人々の「信頼」「規範」「ネットワーク」が豊かなため、社会全体の効率性を高められると考えられています。[注1]

ソーシャルキャピタルが必要とされる背景

なぜ、現代ではソーシャルキャピタルが必要とされているのでしょうか。

ソーシャルキャピタルが必要とされる背景について、詳しくみていきましょう。

事業活動をスムーズに進めるため

ソーシャルキャピタルが高い企業では、長期的に見たときに、事業活動を円滑に進められるメリットが期待できます。

ソーシャルキャピタルを高めると、自治体や地域の企業、地域住民とのネットワークができるため、周辺地域の人々から、企業への信頼を獲得できます。

たとえば、地域を活性化させる町おこしイベントの企画・実施により、地域に貢献できる企業としての認知度を向上できます。

企業の事業活動を応援してもらうためにも、自治体や地域住民との信頼関係を構築する取り組みが重要です。

職場の関係性をよくするため

ソーシャルキャピタルの考え方を応用した取り組みで、職場の人間関係を調整できるようになります。

ソーシャルキャピタルは、地域社会や地域住民など、社外とだけの関わりではありません。

社内のなかにも、コミュニティが存在するため、日ごろから信頼関係やネットワークが構築できていると、気軽に相談し合える雰囲気を醸成できます。

仕事の相談がしやすくなるため、悩みごとを抱える前に上司や同僚などに相談できて、社内の離職率を下げる働きかけにもなるでしょう。

ソーシャルキャピタルは、風通しのよい職場づくりを実現する際にも役立ちます。

ソーシャルキャピタルの構成要素

ソーシャルキャピタルは、以下の3つの要素で構成されます。

  • 信頼
  • 規範
  • ネットワーク

構成要素の詳細について見ていきましょう。

信頼

信頼は、取引やビジネスを進めるうえで、重要な要素です。

「信頼」を得ている状態により、さまざまなコストを節約できるようになり、効率化を図れるとも考えられています。

たとえば、顧客との信頼関係ができていると、「納期に間に合わないのではないか」「低品質な商品が完成するのではないか」といった不安を抱かなくて済みます。

反対に、信頼関係がない相手と取引をしてしまうと、納期の催促や調整に追われたり、品質を担保するための確認に時間がかかったりといった弊害が出てしまうかもしれません。

信頼関係が構築されていれば、お互いに安心感が生まれて、スムーズに取引を進められるでしょう。

規範

ソーシャルキャピタルにおける「規範」では、「均衡のとれた互酬性」と「一般化された互酬性」という概念が重要視されています。

互酬性とは、「なにかを受け取った際に返礼をすること」を表す言葉です。

たとえば、「均衡のとれた互酬性」では、「同じくらいの価値を同時に交換する」ことが定義になります。

また、「一般化された互酬性」においては、「現在は不均衡だとしても、将来的に均衡が取れると期待できる交換(また、持続的な関係性)」が定義とされます。

均等のとれた互酬性では短期的な利益を、一般化された互酬性では長期的な利益を期待できます。

規範では、お互いに利益が生まれる関係性かどうかが求められます。

ネットワーク

ソーシャルキャピタルにおける「ネットワーク」とは、人間関係におけるつながりを意味します。

ネットワークには、主に「垂直的なネットワーク」「水平的なネットワーク」の2種類があります。

垂直的なネットワーク 上司や部下など、上下関係がある人間関係やコミュニティ
水平的なネットワーク サークルなど、横のつながりを重視する人間関係やコミュニティ

一般的には、水平的なネットワークのほうが、お互いに利益を得られる方法になるため、ソーシャルキャピタルが高まると考えられています。

ソーシャルキャピタルを高めるメリット

ソーシャルキャピタルを高める取り組みには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ソーシャルキャピタルを高めるメリットを、「企業」「地域社会」「個人」それぞれの観点から確認していきましょう。

企業のメリット

ソーシャルキャピタルを高める取り組みにより、社員同士のコミュニケーションを活性化できるメリットがあります。

上司や同僚と気軽にコミュニケーションがとれるようになると、報告や連絡、相談がスムーズに進むようになるでしょう。

職場で心理的な負担を感じる機会が減ると、ストレスから健康に影響を与えてしまう状況を回避できます。

また、企業内の人間関係が良好になると、長期的に働きたいと感じる社員が増えるため、離職率の低下を期待できるでしょう。

>コミュニケーションの効果とは?に関する記事はこちら

地域社会のメリット

地域社会におけるソーシャルキャピタルの高まりにより、住民が安心して暮らせる街づくりを実現できます。

住民同士のネットワークが強まると、お互いに助け合う文化や声かけの習慣などができるため、地域全体で協力関係を築けるようになります。

たとえば、地域住民の連携により、犯罪が発生しにくい街づくりを実現できるかもしれません。

また、日ごろから連携をとり合うことで、災害に備えた対策を打ちやすくなり、災害時の復旧が早くなるメリットが期待できるでしょう。

個人のメリット

個人においては、プライベートの時間にさまざまなコミュニティに参加すると、ソーシャルキャピタルを向上できます。

たとえば、ボランティア活動や趣味に関するコミュニティなどへの参加により、同じような志をもつ仲間との出会いがあるでしょう。

新しいコミュニティに参加できると、人脈を広げられて仕事のつながりに活かすこともできるでしょう。

自分の異なる職種や業界の人と知り合えると、知見が広がり、新しい事業や企画を立ち上げる機会が生まれるかもしれません。

企業におけるソーシャルキャピタルの形成方法

事業活動の活性化を目指すためにも、企業におけるソーシャルキャピタルの形成方法を紹介します。

今夏は、以下の4つのソーシャルキャピタルの形成方法を紹介します。

  • オフィスレイアウト
  • レクリエーション
  • ジョブローテーション
  • メンター・面談

自社に取り入れやすい方法で、ソーシャルキャピタルの形成を目指しましょう。

オフィスレイアウト

社内の人間関係のネットワークを築く方法として、オフィスレイアウトを変える方法があげられます。

たとえば、フリーアドレスを導入する施策で、席が固定されなくなるため、さまざまな人と交流する機会を増やせるでしょう。

社内全体で導入すれば、別の部署の社員とコミュニケーションをとるきっかけにもなるでしょう。

また、社内のコミュニケーションが活性化すると、意見交換の機会を増加でき、従来では思いつかなかったアイデアが生まれる可能性も期待できます。

>フリーアドレスのメリットに関する記事はこちら

レクリエーション

チームを決めて課題に取り組むレクリエーションには、社内のチームワークを高める効果が期待できます。

日ごろは話す機会がなかった社員とコミュニケーションを図れるようになり、新しい人間関係を構築する機会が生まれるでしょう。

たとえば、参加者全員で楽しめる内容にする場合、簡単なゲームや遊びをとりいれたレクリエーションがおすすめです。

レクリエーションは、新入社員の歓迎会や部署内の交流を深める際などにも活用できます。

>チームワーク向上に効果的なレクリエーション10選に関する記事はこちら

ジョブローテーション

ジョブローテーションを実施すると、部署の垣根を越えて、人間関係を構築できる人材を育成できます。

社内のさまざまな部署を異動するため、それぞれの部署における課題を把握できるようになり、総合的な判断から社内の課題を解消する改善策を提案できるようになります。

また、ジョブローテーションは企業にとって、人材の適性を判断できるというメリットもあります。

>ジョブローテーションを効果的におこなう方法に関する記事はこちら

メンター・面談

メンター制度を導入したり、定期的な面談を実施したりする取り組みで、若手社員が気軽に相談できる体制を整えられます。

たとえば、「仕事の人間関係に悩んでいる」といった相談が聞けるようになると、若手社員の離職や休職を、事前に防止できるでしょう。

また、上司や先輩社員との関係性を深められると、将来的なキャリアを検討する際に相談できるようになります。

上司や先輩社員をモデルケースとして参考にできるメリットもあるでしょう。

>メンター制度のメリットに関する記事はこちら

ソーシャルキャピタルの事例

具体的なイメージをふくらませるためにも、最後にソーシャルキャピタルの事例を紹介します。

ぜひ、自社で取り入れる際の参考にしてみてください。

地域社会の事例

地域社会においては、地域の課題解消、健康の促進などを目的に、交流会やイベントを実施する事例があげられます。

たとえば、以下のような取り組みが例としてあげられます。

  • 中高年の男性を中心に、周辺地域の夜回りやふれあい交流会の企画などを実施
  • 健康維持を目的にウォーキングや体操に取り組むコミュニティをつくる
  • 子育てに悩みを抱える母親、父親が集まるコミュニティをつくる

ソーシャルキャピタルに関わるコミュニティは、地域の自治体などで実施される場合、無料で参加できる内容も多く、だれでも参加しやすいというメリットがあります。

企業の事例

オフィス関係の製造販売メーカーでは、自社ビルをリニューアルして、地域の人々と交流できるスペースを設置してました。

以下のような場として、活用されています。

  • 一般の方向けに、自社製品を扱っているお店の設置やイベントの開催を実施
  • 仕事やサークル活動などが実施できるスペースの設置

一般の方に企業が設置したスペースを利用してもらう施策で、企業の事業活動を認知してもらえる機会につながっています。

ソーシャルキャピタルは企業の活性化に重要

ソーシャルキャピタルは、地域社会や企業の事業活動の活性化にも効果的な取り組みです。

ソーシャルキャピタルを高めるためにも、オフィスレイアウトの変更やレクリエーションの導入などを検討してみてください。

ソーシャルキャピタルを高める方法としては、ビジネスチャット「Chatwork」の活用もおすすめです。

社内全体や各部署、プロジェクトごとのグループチャットを作成できるので、コミュニケーションの流れをスムーズに進められます。

企業のソーシャルキャピタルの活性化に、ぜひ「Chatwork」をご活用ください。

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[※1]出典:厚生労働省「ソーシャル・キャピタル」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011w0l-att/2r98520000011w95.pdf

※本記事は、2023年8月時点の情報をもとに作成しています。


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ソーシャルキャピタルに関するQ&A

「ソーシャルキャピタル」の意味とは?

ソーシャルキャピタル(social capital)とは、社会や地域など、人と人をつなぐ仕組みの重要性を表す考え方です。

ソーシャルは「社会の」、キャピタルは「資本」を意味し、ソーシャルキャピタルが高い社会では、人々の「信頼」「規範」「ネットワーク」が豊かなため、社会全体の効率性を高められると考えられています。

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