パーソナルスペースとは?定義やビジネスシーンで知っておきたいこととは
目次
「パーソナルスペース」という言葉を聞いた経験がある人は多いのではないでしょうか。
パーソナルスペースとは、個人の体から一定距離の空間と定義されているもので、他人に近付かれると不快に感じる空間とされています。
この記事では、パーソナルスペースとはなにか、ビジネスシーンで活かせるパーソナルスペースの知識について紹介します。
パーソナルスペースとは
「パーソナルスペース」とは、個人の体から一定距離の空間をいい、物理的な距離のことを指します。
パーソナルスペースは、他人に侵入されると不快に感じる空間とされており、相手との親密さやシーンによって、変わるものです。
パーソナルスペースの侵害によるストレス
他人がパーソナルスペースに侵入してくる行為は、具体的にどのようなストレスを引き起こすのでしょうか。
パーソナルスペースの侵害によって生じるストレスの内容を具体的に解説します。
心身の不快感
パーソナルスペースを侵害されると、心身に不快感が生じます。
たとえば、他人と体が触れる感触に身体的な不快感が生じたり、他人と距離が近くなることで、精神的にも不安になるなどのストレスが生じたりする可能性があるでしょう。
プライバシーの侵害
パーソナルスペースの確保は、プライバシーが守られているという安心感を得る面でも役立っています。
そのため、パーソナルスペースを侵害されると、行動が制限された感覚に陥りやすく、ストレスを感じるようになります。
たとえば、電車内でスマホを使ってネット検索するときなどに、パーソナルスペース内に人がいると、画面を見られている気がして自由にスマホが使えないといったストレスを感じるケースがあるでしょう。
4種類のパーソナルスペース
パーソナルスペースは、前述した通り、相手との関係性や状況に応じて変わるとされています。
本記事では、パーソナルスペースの種類として、代表的な4つを解説します。
- 公衆距離
- 社会距離
- 個体距離
- 密接距離
それぞれの種類を詳しく見ていきましょう。
(1)公衆距離
公衆距離とは、自分と関係がない他人との適切な距離感をいい、360cm以上の距離を指します。
たとえば、セミナーなどにおける講師と参加者までの距離として、適切な距離とされています。
相手の表情を細かく観察するのが難しい距離のため、親しい人とのやりとりなどには向いていません。
(2)社会距離
社会距離とは、120~360cm程度の距離を指し、一般的に、ビジネスシーンにおいて多く使用される距離感です。
身体的な接触ができない距離であり、お互いに警戒されにくく、不安も感じにくい距離といえるでしょう。
(3)個体距離
個体距離とは、45~120cm程度の距離をいい、仲の良い友達や知り合いとの間で使われる距離感です。
相手の表情も見やすく、会話のしやすい距離感で、手を伸ばせば、軽いボディタッチなどもできる距離です。
(4)密接距離
密接距離とは、家族やパートナーなど、ごく親しい相手と使われる45cm以下の距離です。
スキンシップによるコミュニケーションもできる距離で、親しい相手であれば、不快感はなく、むしろ安心できる距離といえるでしょう。
ただし、親しくない人が密接距離内にはいると、不快感を抱きやすいです。
種類 | 距離の目安 | 相手との関係性の例 |
---|---|---|
公衆距離 | 360cm以上 | 自分と関係のない他人 |
社会距離 | 120~360cm程度 | ビジネスシーンで知り合う相手 |
個体距離 | 45~120cm程度 | 仲の良い友達や知り合いとの距離 |
密接距離 | 45cm以下 | 家族やパートナー |
パーソナルスペースの違いとは
パーソナルスペースは、相手との関係性以外に、以下の3つの要素によって変わるとされています。
- 性別
- 年齢
- 国民性や文化
それぞれの観点から、パーソナルスペースにどのような違いがあるのか解説します。
性別による違い
男女で比較した場合、男性の方が、女性と比較してパーソナルスペースが狭い傾向にあります。
パーソナルスペースは、男女で形が異なるとされており、女性のパーソナルスペースは円形、男性のパーソナルスペースは、前後に広く横に狭い楕円形といわれています。
そのため男性は、横のパーソナルスペースが狭いため、横から距離を詰めやすいといえるでしょう。
一方で、女性は、パーソナルスペースが円形であるため、同じ距離でも、横からの接近に男性より不快感を抱きやすいといわれています。
年齢による違い
赤ちゃんや子どもなど、年齢が低いほうが、パーソナルスペースが狭い傾向があります。
年齢を重ねるとともにパーソナルスペースの意識が生まれ、40歳ころにピークを迎えるといわれています。
ただし、パーソナルスペースは、年齢ではなく他者に対する依存度などのさまざまな要因が影響しているため、一概に年齢によって定義づけることはできません。
国民性や文化による違い
パーソナルスペースは、国民性や文化による違いもあるといわれています。
握手やハグなどのスキンシップが多い国では、パーソナルスペースは狭い傾向があります。
そのため、異なる国や文化圏の人とコミュニケーションをとるときには、相手の国や文化に対する配慮も必要でしょう。
パーソナルスペースが狭い人の特徴・効果的な接し方
パーソナルスペースの広さは個人によって異なります。
パーソナルスペースが狭い人には、以下のような特徴や傾向があります。
- 社交的、外交的
- 友だちが多い
- 人と行動するのが好き
- 外交的
パーソナルスペースが狭い人と接するときは、距離を縮めて積極的なコミュニケーションをとるのが効果的でしょう。
ただし、パーソナルスペースが狭いといっても、相手のプライバシーを侵害する距離には入らないように、一定の注意や配慮は必要です。
パーソナルスペースが広い人の特徴・効果的な接し方
パーソナルスペースが広い人には、以下のような特徴や傾向があります。
- 警戒心が強い
- 人見知り
- 内向的
- ひとりで行動するのが好き
パーソナルスペースが広い人は、自分の領域を守りたいという意識が強く、距離の接近や身体的な接触を嫌う傾向があります。
パーソナルスペースが広い人に対しては、接近し過ぎず、一定の距離を保ってコミュニケーションを取るようにしましょう。
パーソナルスペースの測り方
人と接する時に、個人の性格や性別・年齢・国民性によって広さが異なるパーソナルスペースをどのように測ったらよいものか、悩む場面もあるでしょう。
自分にとっては最適な距離でも、相手によって、近すぎたり、遠すぎたりする可能性もあります。
たとえば、ビジネスシーンであれば、名刺交換のときに、相手がどれくらい近づいてきたかによってパーソナルスペースを推測できます。
また、落とし物を拾ってもらったときに、手渡してすぐ離れる人はパーソナルスペースが広いといわれています。
逆に、落とし物を手渡したあとも距離が近い人は、パーソナルスペースが狭いといえるでしょう。
相手と円滑なコミュニケーションを実現するためには、お互いにとって適切な距離を意識する必要があります。
ビジネスシーンで信頼関係を構築する際にも、パーソナルスペースの意識は重要なポイントになるため、まずは名刺交換の際に相手との距離を確認してみてください。
距離をビジネスシーンで活用する方法
距離の意識は、さまざまなビジネスシーンでも活用されています。
本記事では、ビジネスシーンで効果的に距離を活用する方法を4つ紹介します。
- チームワークの構築
- リーダーシップの発揮
- 商談の成功
- 部下とのコミュニケーション
パーソナルスペースを効果的に活用して、ビジネスシーンのコミュニケーションを円滑に進めましょう。
チームワークの構築に効果的な距離
前述した「個体距離」の45~120cmの距離感は、相手と親しくなるために最適な距離といわれています。
まだ関係性が深くない段階のチームでは、個体距離を使ったコミュニケーションがチームワークの構築に効果的です。
たとえば、コンセンサスゲームやバースデーラインなど、チームビルディングのレクリエーションに取り組む際は、距離感覚の意識づけにより、より効果的に実施できるでしょう。
リーダーシップの発揮に効果的な距離
リーダーシップを発揮するためには、部下や同僚に対して広めの距離をとったコミュニケーションが効果的です。
一定の距離を保つことで、緊張感が生まれやすく、周囲からの注目も集めやすくなります。
机の短辺に座る、上座に座るなどの工夫をして、取り組むようにしましょう。
商談の成功に効果的な距離
商談の際には、100cm以内のパーソナルスペースが効果的とされています。
たとえば、座る位置は、真正面ではなく斜め横など、お互いの視線がぶつからない位置のほうが緊張感なく会話できるでしょう。
商談の内容はもちろん、実際に商談する際の話し方や手振りに加えて、距離の効果により、商談を成功に導きやすくなるでしょう。
部下と距離を縮めたい場合に効果的な距離
部下と距離を縮めたいときには、120cm以内に入り、パーソナルスペースを狭くするのがおすすめです。
たとえば、円卓を使うと、自然に隣に着席できるでしょう。
近づきすぎず、ほどよく距離を詰めることによって、部下の本心も引き出しやすくなります。
ただし、部下との距離が近すぎると、ハラスメントととらえられる可能性もあるため、注意が必要です。
日ごろのコミュニケーションや注意、指導の際にも、つい近づきすぎてしまわないよう気をつけましょう。
パーソナルスペースを職場で確保する方法
パーソナルスペースや距離の意識は、仕事を円滑に進めるうえでも重要な要素です。
人によって、集中しやすい距離感やコミュニケーションがとりやすい距離感は異なります。
企業側は、従業員それぞれが、ストレスなく業務に向き合えるように、オフィススペースにも工夫をしてみるとよいでしょう。
本記事では、パーソナルスペースを職場で確保する方法の例を3つ紹介します。
- プライバシーゾーンの設置
- コミュニケーションエリアの設置
- 集中できる作業スペースの設置
生産性向上につながる可能性もあるため、ぜひ参考にしてください。
プライバシーゾーンの設置
個人個人の机と机の間や作業スペースなどに一定の距離を設けたり、パーテーション(パーティション)や仕切りを使ったりしてプライバシーゾーンを設けると、パーソナルスペースが確保できるようになります。
机と机の距離が近いと、相手の話し声やタイピング音が気になって、なかなか集中できない場面もあるでしょう。
一定のプライバシーが保たれる距離を設けると、自分の作業に集中しやすくなります。
コミュニケーションエリアの設置
オフィスにコミュニケーション専用のエリアを設けることも効果的です。
パーソナルスペースの確保により業務に集中しやすくなる一方で、コミュニケーション量が減ると距離が生まれてしまい、親密な関係を築くのが難しくなる可能性もあります。
適切な量のコミュニケーションや雑談は、業務を円滑に進めたりチームワークを強化したりする上で重要です。
たとえば、業務に集中する時間とコミュニケーションをとる時間のメリハリをつける取り組みで、より仕事に集中しやすくなるでしょう。
効果的にコミュニケーションを活用するためにも、ぜひ、コミュニケーション専用のエリアの設置を検討してみてください。
たとえば、共有の机の設置や、ミーティングルームを作るといった方法があります。
集中できる作業スペースの設置
パーソナルスペースを確保する方法として、集中したい人専用の作業スペースを設置する方法もあります。
私語や電話などの禁止のルールを事前に作っておくと、より効果的に運用できるでしょう。
雑音などが聞こえない静かで集中できるスペースをつくることで、個人が安心・集中して仕事に取り組めるようになります。
多様な働き方とコミュニケーションの関係性
オフィスには出社せず、リモートワークやテレワークといった、多様な働き方を導入する会社が近年増えています。
多様な働き方は、ワークライフバランスの実現に効果的などのメリットがある一方で、従業員同士の接触頻度が減ることや、コミュニケーション時に表情や身振り手振りといった非言語情報をとらえにくいなどのデメリットもあります。
また、対面でコミュニケーションが取れないと、相手がなにを考えているか分かりにくかったり、温度感をはかりかねたり、ズレが生じたりなど、コミュニケーションにストレスが生じやすいです。
多様な働き方を円滑に運用するためには、改めてコミュニケーションの重要性を認識し、工夫する必要があるでしょう。
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>Chatworkのリアクション機能とは?に関する記事はこちら
コミュニケーション活性化に「Chatwork」
パーソナルスペースとは、個人の体から一定距離の空間と定義されているもので、他人に近付かれると不快に感じる空間とされています。
性別や年齢、国民性に応じて、また相手との関係性に応じて、パーソナルスペースの広さは変わります。
相手に不快感を抱かせず、円滑なコミュニケーションが実現できるように、距離の意識をもつようにしましょう。
距離の意識は、ビジネスシーンでも効果的に活用できます。
本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ活用してみてください。
相手との距離がはかりにくいテレワークでは、コミュニケーションの量や質に工夫することが大切です。
ぜひ「Chatwork」を活用して、コミュニケーションの活性化を目指してください。
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