連勤は何日まで可能?違反になるケースや労働基準法のルールを解説

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働き方改革
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連勤は何日まで可能?違反になるケースや労働基準法のルールを解説

目次

飲食業界や介護業界をはじめとする人手不足が深刻な業界において、10連勤や14連勤、中には20連勤以上など、連勤の常態化が問題視されています。

勤怠管理やシフトを組む担当の方で、「連勤は何日まで許されるのか」「週またぎでは例外があるのか」「違法な労働環境になっていないか」など、不安を抱きながら業務をおこなっている方がいるかもしれません。

労働法に違反した会社には、行政指導や刑事処分などの重い罰則が科せられる可能性がありるため、正しい知識をもって、従業員に適切な職場環境を提供する必要があります。

連勤の上限日数や違法になるケース、上限を超えないための方法などを確認していきましょう。

連勤の上限日数とは

連続勤務(連勤)の上限日数は、労働基準法の第35条で休日について定められている項目から換算され、原則12日とされています。[注1]

ただし、変形休日制を採用している場合は、最大48日間の連勤が可能です。

また、36協定を締結している範囲内であれば、労働基準法に反しない例外的なケースとして連続勤務日数12日を超過しても問題ありません。

パートやアルバイトについても「労働者」として、正社員と同じく適用される点に注意が必要です。

労働基準法に基づく場合の連勤上限

前述のとおり、労働基準法において、原則「1週間に1日」は必ず休日を設けなければならないと定められています。

そのため、連勤の上限は12日になりますが、36協定や変形労働時間制を適用する場合は、12日を超えて連勤させることができます。

しかし12日を超えて連勤させる場合は、以下の3点を遵守する必要があります。

  • 所定労働時間を設定して週40時間に収める、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える
  • 週40時間を超えて就労させる場合は、労働者との間で労使協定(36協定)を締結する
  • 36協定の上限を超えて時間外労働や休日労働をさせない

一般的に週休2日を設けるべきといったイメージがありますが、労働基準法に則ると、1週間に1日の休日でもよいということになります。

変形労働時間制を採用する場合の連勤上限

変形労働時間制とは、労働者の合意を得て、法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

変形労働時間制は、日や週を定めておき、一定期間において平均して週の法定労働時間を超えない限り違法ではないとする制度で、変形休日制は、4週間を通じて4日以上の休日を確保すれば違法にはならないとする制度です。

変形労働時間制のうち、1か月の変形労働時間制の場合は、最大で24日、変形休日制の場合は最大で48日の連勤が可能です。

ただし、連勤をさせる場合は、労働者の健康や生活に大きな影響を与える可能性に配慮し、十分に労務管理ができる体制を整える必要があります。[注2]

>変形労働時間制に関する記事はこちら

連勤が違法になるケース・罰則

連勤をさせる際は、従業員と企業が結んでいる就業基礎機や労働基準法によって、法律違反になるケースもあるため、十分な注意が必要です。

たとえば、あらかじめ締結しておくべき契約や、採用している労働時間制度によって連勤可能日数が異なったり、休日の種類によって割増賃金が発生したりするケースがあります。

知らず知らずのうちに違反をしていたという事態に陥らないないように、ここでは、会社側が理解しておきたい連勤についてのルールを解説します。

労働基準法違反

前述したとおり、労働基準法に則った連勤の最大日数は12日、変形労働時間制や変形休日性を採用した場合は、最大48日の連勤が可能です。

この上限を超えて連勤させることは、労働基準法違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、労働者から、労働基準監督署に連続勤務に関する相談があると、事実確認の後、会社に対して改善指導が入ります。

改善指導が入ったにもかかわらず、会社が改善しないなどの、悪質な事案が発生した場合は、検察官に送致されることになります。

労働基準法違反が発覚すると、労働基準監督署による調査が入り、事件化される上、悪質と認められるケースでは、各労働局のサイトにて社名が公表される可能性もあります。

労働基準法に違反した事実が公表されると、企業の社会的信用が失われる恐れもあるため、企業は従業員に対して、労働基準法に遵守した働き方をさせる必要があります。[注1]

>労働基準法に関する記事はこちら

労働契約法違反

労働契約法第5条において、使用者である企業は労働者に対して、生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるように配慮をする義務が課されています。

この義務は「安全配慮義務」といわれ、使用者が労働者の健康を害する連勤を強いることは、安全配慮義務違反となります。

たとえば、労働基準法で定められた12日の連勤上限を超えていなくても、労働者の健康が害されてしまうと、安全配慮義務違反となってしまいます。

安全配慮義務に違反すると、使用者である企業は労働者に対して損害賠償責任を負うことになります。[注3]

労働安全衛生法違反

労働安全衛生法において、企業は労働者に対して、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じ、職場における労働者の安全と健康を確保することが義務付けられています。

労働者の安全と健康、また、快適な職場環境を提供するためには、企業は単に労働災害を防止するという最低基準を守ればよいわけではありません。

連勤が続くと、労働者の健康が阻害され、快適な職場環境ではなくなってしまうケースがあるでしょう。

これは労働安全衛生法違反となり、企業には行政指導が入る可能性があります。

連勤の範囲が、労働基準法などのほかの法律違反にならない範囲でも、労働者の健康と安全を確保できない場合は、労働安全衛生法違反となる点に注意しましょう。[注4]

>労働安全衛生法に関する記事はこちら

連勤上限の日数を超えた場合のリスク

従業員を連勤させることは、人手不足の現場において、短期的にはメリットが期待できる可能性がありますが、中長期的に見た場合にはさまざまなデメリットやリスクが存在します。

たとえば、前述したとおり労働基準法に違反すると、労働基準監督署の調査が入り、労働局のサイトにて、社名が公表される可能性もあります。

そのほかには、どのようなリスクやデメリットがあるのでしょうか。

連勤の上限日数を超えて働かせることのリスク・デメリットを解説します。

法律違反になるリスク

法定休日が週1日の場合は12日連勤、変形休日制の場合は48日連勤が上限です。

この上限を超えて労働者を連勤させることは、前述したとおり労働基準法違反にあたります。

また、時間外労働の時間数や休日労働(法定休日における労働)の日数は、労働者側との間で締結した労使協定(36協定)のルールに従う必要があります。

36協定の上限を超えて時間外労働や休日労働をさせている場合も、労働基準法違反です。

労働基準法に違反する連勤を指示した場合、労働基準監督署による行政指導や刑事罰の対象となります。

休日に関する規定は、労働基準法第35条で定められており、違反した場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。[注1]

従業員の健康を阻害するリスク

連勤は、従業員の心身の健康を阻害するリスクがあります。

常に仕事をしている状態が続くと、身体的にも精神的にも大きなストレスになります。

また、心身に疲れが残ったままでは、本来の生産性は発揮されず、業務効率が悪化する恐れもあります。

場合によっては、休んでも休んでも体力が回復せず、プライベートにも悪影響を及ぼされるリスクもあります。

あまりに連勤が続くと、身体的な負担だけでなく、燃え尽き症候群やうつ病などのメンタルヘルスに影響が出る可能性も考えられます。

従業員エンゲージメント低下のリスク

連勤ばかりの職場は、従業員の自由がなく、休みがとりづらい職場といえます。

どんなに好きな仕事をしていても、適度な休みがなければ、辛くなってしまうのは当然でしょう。

また、連勤や残業が常態化してしまうと、従業員から労働環境が整備されない職場だと思われてしまい、企業に対する信頼は失われてしまうでしょう。

従業員から企業に対する信頼が失われ、満足度が確保できなければ、離職者が増えるなどの問題も想定されます。

また、連勤や残業などの過重労働の現実が公表されると、悪い評判が拡がり、採用活動が難化する恐れもあります。

限度を超えた連勤は、従業員エンゲージメントを低下させ、結果的に会社の業績悪化にもつながるでしょう。

>従業員エンゲージメントの必要性に感する記事はこちら

生産性低下のリスク

連勤が続くと、生産性が低下するリスクもあります。

休息が得られず、身体と脳に疲労が溜まると、集中力が途切れやすくなり、ミスが増えてしまうでしょう。

また、精神疲労が溜まると、新しいアイデアや創造性も失われやすいです。

適度な休息は、新しい発想やひらめきを生み出す上で重要な役割を果たします。

生産性を維持するためにも、休息を適切に取れるように、連勤を管理しましょう。

労災が適用されるリスク

連勤が原因で従業員が体調を崩す、怪我をする、あるいは、メンタルヘルスに影響がでた場合、労災が認定される可能性があります。

労災が認定されると、会社には次のようなリスクがあります。

  • 従業員から損害賠償請求を受ける可能性がある
  • 労災にあった従業員の解雇が制限される
  • 行政の入札で指名停止処分を受ける可能性がある
  • 業種によっては行政処分を受ける可能性がある
  • 刑事罰を受ける可能性がある
  • 報道などにより社会からの批判を受ける可能性がある

労災リスクを回避するためにも、従業員が健康的に働ける就業環境を整備する必要があります。

連勤の上限日数を超えないための4つの対策

観光業、飲食業、運送業などは、繁忙期の波や、長距離運転など、勤務時間の長短がやむを得ず、連勤が常態化しているかもしれません。

しかし、連勤の上限日数を超えてしまうと、従業員の心身に悪影響が出る恐れもあるため、企業側は、連勤に適切に対処する必要があります。

連勤の上限日数を超えないように管理する方法を4つ解説します。

自社が取り入れる方法を探し、連勤の削減に取り組んでみてください。

対策(1):人員体制や業務フローの見直し

労働者一人当たりの労働量が増えてしまう原因として、人手不足が挙げられます。原因

人手不足を改善せず、業務量も変えないと、労働者一人当たりの負担は増え続け、連勤が常態化してしまいます。

連勤が常態化すると心身に疲労が溜まり、生産性が低下するため、結果として、組織全体の業績悪化が招かれる可能性もあります。

人手不足による悪循環を解決するためには、まずは、人手不足を解消するための採用活動、また、業務フローの見直しをする必要があります。

たとえば、いままで人が対応していた業務を、ITツールなどを活用して自動化できると、業務量が減り負担を軽減できます。

また、人員増加はコストがかかると思っている場合でも、改めて確認してみると、増員した方が、人件費の削減になるケースもあります。

ぜひ、人員体制の見直しや、自動化できる業務の棚卸しをおこない、労働量の削減を図りましょう。

業務の自動化は、人的ミスをなくし、人件費のみならず、紙の使用量や書類の回覧の待ち時間など、業務にかかる「ムダ・ムリ・ムラ」と呼ばれる3Mを削減するため、企業全体としてのコストカットの実現も可能です。

連勤が常態化している場合、人員体制や業務フローを見直ししましょう。

対策(2):労働時間・勤務状況の適切な把握

連勤や残業などの労働時間を適切に管理するためには、まずは、勤務状況を適切に把握する必要があります。

紙やExcelなどのアナログな管理方法では、リアルタイムで正しく管理するのは難しく、人的コストもかかってしまいます。

とくに、紙での管理の場合は、書類の改ざんもしやすく、人的ミスも発生しやすいため、適切な管理には好ましくありません。

リアルタイムの正しい情報を把握するためには、勤怠管理のシステムの導入がおすすめです。ます。

システムを活用して、各従業員の労働状況をリアルタイムで把握すれば、連勤の実態を掴みやすく、適切な対処へとつなげやすくなるでしょう。

また、オンラインであれば、一覧性も高く、管理もしやすくなります。

勤怠管理に加え、シフト作成などを手助けするシステムもあるため、あわせて活用し、適切な勤怠管理と勤怠管理の担当者の負担軽減を実現しましょう。

対策(3):休暇取得の奨励

休暇取得を積極的に奨励する取り組みも、連勤の上限日数の対処として効果的です。

2019年4月から導入された、年次有給休暇の計画的付与制度によって、すべての会社において、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対して、「年5日の年次有給休暇を取得させる」ことが義務付けられました。

年5日の有給取得は、努力義務ではあるものの、会社は有給休暇取得の促進を進めなくてはならない状況になっています。

そこで、従業員が計画的に休みを取りやすくするための施策として、有給休暇の取得を奨励する日を設定し、従業員が計画的に休むように選択できる施策が広まっています。

たとえば、「x月x日は有給奨励日」と周知する施策をとれば、従業員も休みやすくなるでしょう。

定期的な休暇取得を促す取り組みにより、労働者の健康を守り、業務効率の維持も期待できます。

また、定期的に休暇を取得するようになれば、従業員は心身ともにリフレッシュができ、組織全体のモチベーションアップにもつながるでしょう。

>有給休暇の義務化に関する記事はこちら

対策(4):勤務間インターバル制度の導入

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から翌日の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとする制度です。

「労働時間等設定改善法」(労働時間等の改善に関する特別措置法)が改正され、2019年4月1日より勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。

たとえば、残業が長くなってしまったら、翌日の始業時間を遅らせることで、、一定の休息時間を確保します。

勤務間インターバル制度を導入すると、終業から始業までに一定の休息時間が生まれるため、心身の健康維持を図れます。

また、ずっと仕事をしている状態がなくなり、心身の疲労が軽減されると、生産性の向上も期待できるでしょう。

一定の条件を満たす中小企業が勤務間インターバル制度を導入する場合、一政府に申請すれば、達成状況に応じて助成金を受けることができます。

導入を検討する際は、ぜひチェックしてみてください。[注5]

>勤務間インターバル制度のメリットに関する記事はこちら

労働時間の適切な把握に「Chatwork」

上限を超えた連勤は、従業員の心身の健康を蝕むことに加え、企業の社会的信用を失うリスクもある重大な問題です。

企業は、従業員が快適に健康に働くことができるように、職場環境を整え、連勤や残業の削減を目指しましょう。

本文内で紹介した業務フローの見直し方法のひとつとして、コミュニケーション手段の効率化が挙げられます。

たとえば、ビジネスメールの作成に時間がかかっていたり、上司や取引先への確認業務に時間がかかったりしている場合は、コミュニケーション手段の見直しが、業務時間の削減に効果的でしょう。

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[注1]出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
[注2]出典:兵庫労働局「労働時間」
https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/_79872/roudoujikan.html
[注3]出典:厚生労働省「労働契約法のあらまし」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/13.pdf
[注4]出典:厚生労働省「労働安全衛生法(◆昭和47年06月08日法律第57号)」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74001000&dataType=0&pageNo=1
[注5]出典:厚生労働省「勤務間インターバル制度について」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/interval01.html

※本記事は、2024年12月時点の情報をもとに作成しています。


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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記事監修者:白根 敦子(しらね あつこ)

プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー。 1994年に慶應義塾大学 環境情報学部卒業後、外資系下着メーカー勤務。1996年に父の会社である株式会社キャリア・ブレーン取締役に就任。 日本酒好きの趣味が高じて、日本酒アカデミー株式会社を設立。著書に『ネ・コーチング』(NaNaブックス)『新卒がすぐに辞めない採用方法』(経営書院)50代以降の転職起業塾、発達障害者と家族向けの親子就活塾などキャリア弱者を幅広く支援。

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