「結構です」は敬語?目上の人への使い方や意味、言い換え表現を解説

目次
「結構です」は、肯定と否定の意味のふたつの意味をもつ言葉で、肯定の意味では「十分である」、否定の意味では「それ以上必要としない」ことを表します。
ビジネスシーンに限らずさまざまなシーンで使う機会がある「結構です」という言葉ですが、使い方によっては相手に誤解や不快感を与えるおそれがあるため注意が必要です。
「結構です」の意味やビジネスシーンでの使い方、言い換え表現などを例文を交えて解説します。
「結構です」の意味とは
「結構です」は、肯定と否定のふたつの意味で使用できる言葉です。
肯定と否定それぞれの意味をもつため、自分が使う際は、ミスコミュニケーションの発生を防ぐために、明確に意思表示をする必要があります。
また、会話の中で相手が「結構です」を使った場合は、肯定の意味なのか否定の意味なのか、前後の文脈や話の流れで正しく汲み取る必要があります。
「結構です」が表す肯定・否定の意味を確認していきましょう。
肯定の「結構です」
肯定の意味で使う「結構です」は、「十分である」「問題ない」「満足している」という意味を表します。
たとえば、取引先から「こちらをお送りしてもよろしいでしょうか」などと尋ねられた際に、「問題ない」ことを伝える代わりに「結構です」を使うことがあります。
否定の「結構です」
否定の意味で使う「結構です」は、「それ以上必要としない」という意味を表します。
たとえば、取引先が商品パンフレットを「もう1冊お送りしましょうか」と提案してきた際に、必要ないという意思表示を「結構です」で伝えることができます。
「結構です」は、前後の文脈がないと、肯定なのか否定なのかが非常に分かりづらい表現です。
- A:○○の資料をお送りしてもよろしいでしょうか。
- B:結構です。
相手に誤解を与えてしまい、本来の意図とは異なる意味で伝わってしまわないように、前後の文脈を工夫したり、適切な表現で言い換えたりする必要があります。
「結構です」は敬語表現なのか
「結構です」は、「それでいいこと」「満足な様子」などを表す「結構」に、助動詞の「です」をつけた丁寧語のため、正しい敬語表現です。
そのため、上司や取引先、顧客など、目上の人にも問題なく使用できます。
「結構です」を使う際の注意点
「結構です」は、肯定と否定の両方の意味で使えるため、使えるシーンが多く便利な言葉ですが、使用する際は、誤解を招いたり相手を不快にさせたりしないように注意が必要です。
それ以外にも「結構です」を使用する際に気を付けておきたいポイントを4つ紹介します。
- 肯定か否定かを明確にする
- 疑問系にはしない
- 使う相手や場面に配慮する
- クッション言葉とあわせて使う
4つのポイントを詳しく確認していきましょう。
肯定か否定かを明確にする
「結構です」は、肯定と否定の両方の意味をもつ言葉のため、使用する際は、肯定の意味なのか否定の意味なのかを明確にして使う必要があります。
たとえば、肯定する際には「はい、結構です」、否定する際には「いいえ、結構です」のように、「はい」や「いいえ」でわかりやすく意思表示してから「結構です」をつけると、相手に明確に伝わる可能性が高いです。
また、言葉に加えて、うなずく、首を振る、身振り手振りなどの非言語コミュニケーションを交えると、より相手に伝わりやすくなります。
疑問系にはしない
「結構です」は、自分の意思表示に使う言葉のため、「こちらで結構でしょうか?」などと疑問形で使うのは誤りです。
自分以外に対して「問題ないか」などの意志を確認する際は、「こちらでよろしいでしょうか」と表現することが適切です。
使う相手や場面に配慮する
「結構です」は、上述したとおり敬語表現のため、目上の人に対して問題なく使うことができますが、尊敬語や謙譲語よりも敬意が低い言葉です。
そのため、相手によっては敬語表現ではないと捉えたり、「結構です」を一言だけで使うことを失礼だと感じたりするケースがあります。
たとえば、取引先から提案があった際に、「結構です」の一言だけで断ると、冷たい印象や高圧的な印象を与えるかもしれません。
そのため「結構です」を使用する際は、「ご提案ありがとうございます。今回は結構です。」のように感謝や相手を気遣う言葉とともに使うようにしましょう。
相手やシーンに応じて、言い換え表現を使うことも効果的です。
クッション言葉とあわせて使う
前述したとおり「結構です」を単体で使うと、冷たい印象や高圧的な印象、また、相手によっては不快な印象を持たれる恐れもあるため、相手の提案や厚意を断る際は、クッション言葉とあわせて使うことを意識しましょう。
また、断る理由や残念な気持ちも伝えると、マイナスな印象を与えづらくなります。
たとえば、「ありがたいのですが、次の予定がありますので結構です」や「あいにくですが、昼食は済ませてしまったので結構です」のように、クッション言葉で印象を良くしつつ理由を伝えると、相手も事情が理解しやすく、納得してくれるでしょう。
「結構です」の使い方と例文
「結構です」の肯定的な使い方と否定的な使い方を、例文を交えて解説します。
肯定の「結構です」の使い方
肯定の意味で「結構です」を使う場合は、「はい」や「問題ありません」などの肯定の意図が伝わる言葉を添えるようにしましょう。
ミスコミュニケーションの発生を防ぐためには、明確な意思表示が重要です。
- A:パンフレットを同封してもよろしいでしょうか。
- B:はい、結構です。
- A:次の会議は一週間後の13時でよろしいでしょうか。
- B:結構です。問題ありません。
- A:10時に電話してもよろしいでしょうか。
- B:結構です。よろしくお願いします。
否定の「結構です」の使い方
否定の意味で「結構です」を使う場合は、否定の意図だけでなく、相手への配慮の言葉もあわせて伝えるようにしましょう。
断りの連絡は、今後の良好な関係性を構築できるか否かに関わってくる重要なコミュニケーションです。
お互いに不快な印象を抱かないように、言葉遣いや表現に配慮するようにしましょう。
- A:お茶のおかわりはいかがでしょうか。
- B:ありがとうございます。そろそろおいとましますので、結構です。
- A:こちらの商品のお試しはいかがですか。
- B:すでに使用しているので、結構です。
- A:明後日の夜、食事でもいかがですか。
- B:申し訳ございませんが、先約がありますので結構です。また別日にでもお願いいたします。
「結構です」の言い換え表現
ここまで確認してきたとおり「結構です」は、肯定・否定のどちらの意味ももつ言葉のため、使い方によっては認識の齟齬やミスコミュニケーションが生まれやすいです。
認識齟齬やミスコミュニケーションの発生を防ぐ方法として、相手やシーンに応じて、適切な言い換え表現を使うことが効果的です。
肯定・否定の「結構です」、それぞれの言い換え表現を紹介します。
肯定の「結構です」の言い換え表現
肯定の意味で使う「結構です」は、下記のような言葉で言い換えることができます。
- 差し支えございません
- お願いいたします
- 問題ございません
- 構いません
- はい
- 大丈夫です
目上の人に対して「結構です」を使いたい場合は、「差し支えございません」「お願いいたします」「問題ございません」などの表現で言い換えることができます。
「大丈夫です」は、「結構です」と同様に、肯定・否定の両方の意味で使われる表現のため、「はい、大丈夫です」のように、意図を明確にする必要があります。
ビジネスシーンにおける「大丈夫です」の使い方やマナーについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご参照ください。
>ビジネスシーンにおける「大丈夫です」の使い方に関する記事はこちら
否定の「結構です」の言い換え表現
否定の意味で使う「結構です」の言い換え表現には、下記が挙げられます。
- 遠慮させていただきます
- お気持ちだけいただきます
- お気遣いなく
- お断りいたします
否定の意思表示をする際は、「結構です」と同様にクッション言葉を添えることがマナーです。
たとえば相手の提案などを断る際は、「恐れ入りますが、お断りいたします」や「おなかがいっぱいですので、せっかくですが遠慮させていただきます」のように、相手に配慮した表現を添えましょう。
「結構です」と言われた際の対応方法
相手から「結構です」といわれた際に、肯定か否定かの判断がつかない場合は、必ず正しい意志を確認するようにしましょう。
相手の意思と反対の意味で「結構です」を受け取ってしまうと、ミスコミュニケーションとなり、相手の意図しない言動をして、関係に不和が生じる恐れがあります。
そのため、相手から「結構です」と言われた場合は、「こちらは不要ということですね」などと改めて意思疎通を図り、円滑なコミュニケーションを実現しましょう。
円滑なビジネスコミュニケーションに「Chatwork」
「結構です」は、肯定と否定のどちらの意味でも使える言葉のため、使用する際は、明確に意思表示をする必要があります。
相手に反対の意味で「結構です」が捉えられると、ミスコミュニケーションが発生してしまい、思いがけない事態に陥るかもしれません。
自分の意志を伝える際は言い換え表現を用いるなどの工夫を、相手の意志を聞く際は、別の言葉で再確認をするなどの工夫をおこないましょう。
自分の意思や考えを、相手に適切に伝えながら円滑なコミュニケーションを実現する方法として、ビジネスチャット「Chatwork」の導入がおすすめです。
「Chatwork」は、チャット形式で気軽にコミュニケーションが取れることに加え、絵文字を活用したリアクション機能も搭載されているため、テキストだけでは伝わらない意図や温度感なども伝えることができます。
また、一度送信したメッセージを編集することができるため、相手に伝わりにくいと感じた文章を修正することも可能です。
ぜひ、「Chatwork」を活用して、円滑なコミュニケーションの実現を目指してみてください。
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