キャリア自律とは?意味や求められる背景、メリットを解説

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キャリア自律とは?意味や求められる背景、メリットを解説

目次

「キャリア自律」は、雇用制度の見直しや働き方の多様化などにより、個人が主体的にスキルを形成することが求められる現代において、重要な考え方です。

企業は、従業員にキャリア自律をうながすサポートをおこなうことで、組織の活性化や生産性向上などのメリットを享受することができます。

キャリア自律が求められる背景やメリット、企業がキャリア自律を支援する方法について解説します。

キャリア自律とは

「キャリア自律」とは、従業員自らが主体的にキャリアの形成に努め、自主的にスキルアップや勉学にとりくむ状態を指す言葉です。

トレンドや求められるニーズの切り替わりがはやい現代社会では、企業側に自分のキャリアを委ねるのではなく、従業員自らが、自分のキャリア形成のために成長することが求められるようになりました。

キャリア自律をおこなうことで、目標に向かって生き生きと働くことができ、また自分の意思をもって、自己実現をすることが可能になるとされています。

また従業員が、キャリア自律をすることで、企業側にもメリットがあるため、注目を集めています。

「自律」と「自立」の違いとは

「自律」と「自立」は、読み方が同じで、似た意味をもつ言葉ですが、それぞれ異なる点があるため、違いについて確認しておきましょう。

「自立」とは、他人の力を借りずに、一人で物事をおこなうことを指す言葉で、自分以外の他社や物事との協調という意味はもちません。

一方で「自律」は、なにかに依存したり囚われたりすることなく、自分の意思で自由に選択し、自己実現のために行動することを表す言葉です。

また、自己実現に向かいながら、自分の意識と他者の存在や意識を把握し、正しく協調することができるという意味も、「自律」には含まれています。

一見同じ意味にみえますが、「自立」は、ひとりで物事をおこなった後で、他者とのつながりの意味はもたないため、独りよがりになり、自己満足で終わってしまう可能性があります。

キャリア自律では、「自律」の表現が用いられています。

そのため、キャリア自律は、「個人で」「独立で」という単独のキャリア形成の意味ではなく、「協力」「協調」しながら、キャリア形成をはかるという意味をもつことがわかります。

キャリア自律が求められる背景

企業にも従業員にもメリットがあるとされている「キャリア自律」ですが、なぜ注目を集めるようになったのでしょうか。

キャリア自律が求められるようになった背景についてみていきましょう。

雇用制度の見直しの影響

企業のグローバル化やジョブ型雇用の導入によって、新卒一括採用や終身雇用の制度は崩壊しつつあります。

このような変化のなかで、「ひとつの企業に自分のキャリアを委ねる」という考え方が少なくなっていき、個の能力やスキルを磨き、「自分のキャリアの責任を自分でもつ」という考え方が増えてきました。

能力やスキルを磨くことで、自分が求めるキャリアを自分で形成していけるようになったことが、キャリア自律が注目されるようになった背景のひとつといえるでしょう。

>ジョブ型雇用とは?に関する記事はこちら

働き方の多様化の影響

働き方改革により、テレワークの推進や時短勤務、本業とは別の副業をする人が増加するなど、主体的に自分が望む働き方をする人が多くなったことも、キャリア自律が求められるようになった背景のひとつです。

自分の人生の充実度や満足度を重視する人が増え、より柔軟性の高い働き方を模索する人が増えています。

このような、仕事に対する考え方の変化が、「自分のスキルを磨き、自己実現をはかっていく」というキャリア自律を後押ししているといえるでしょう。

>多様な働き方とは?に関する記事はこちら

組織に依存しない自己実現のため

雇用制度の見直しや働き方の多様化の影響で、組織に依存しないキャリア形成が求められるようになったことも、キャリア自律が注目を集める要因のひとつと考えられます。

従来のキャリア形成は、企業主導の異動やジョブローテーションがきっかけでおこなわれることが一般的でしたが、「ひとつの企業に執着しないという」働き方が一般化したことで、企業主導ではなく、自分自身でキャリア形成をおこなうという考え方が増えてきました。

受け身でなく、主体的にスキル形成をおこなうことで、さまざまな企業で力を発揮できるスキルを身につけられ、組織に依存しない自己実現が可能になります。

スキルや能力が低いと、今の職場でしか働けないのではないかと感じ、企業に対して依存しやすくなってしまいますが、能力を磨くことで、付随する業務ができるようになったり、やってみたい事業に挑戦したりと、自己コントロール感を持って自己実現ができるようになるでしょう。

キャリア自律のメリット

キャリア自律が求められる背景について解説してきましたが、実際にキャリア自律にとりくむには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

キャリア自律のメリットについてみていきましょう。

組織が活性化する

キャリア自律にとりくむと、体得したい能力やスキル向上の目標をもちながら仕事をおこなう従業員が増えるため、ポジティブな気持ちで働く人が増加し、組織が活性化するというメリットがあります。

組織が活性化すると、コミュニケーションが円滑化されるとともに、業務改善や業務最適化について、自主的に共有しあう社員も増えるでしょう。

企業は、従業員の業務効率化とともに、企業成長も期待することができます。

>組織活性化とは?に関する記事はこちら

生産性が向上する

キャリア自律にとりくむと、スキルやキャリア形成のために、目の前の仕事にも意味を見出し、どうしたら効率的にできるかを意識するようになるため、生産性の向上が期待できます。

生産性が向上すると、今までよりも短い時間で成果を出せるようになるため、その時間を、別の業務にあてることや、集中すべき業務に時間を割くこともできるようになるでしょう。

>生産性向上とは?に関する記事はこちら

モチベーション向上につながる

キャリア自律にとりくむ状態は、キャリアの目標をもっている状態のため、さまざまな仕事に対して意欲的にとりくむことができます。

自分が実現したいキャリアに直接関係ないものでも、「いつか必要になるかもしれない」など、間接的な意味を見出すことで、モチベーションを維持できるでしょう。

担当業務をいかに効率的におこなうことができるかを考えるだけでも、スキル向上につながるため、意識的にとりくむことが大切です。

キャリア自律を企業が支援する方法

キャリア自律は、従業員・企業の双方にメリットがあるとりくみです。

企業側は、メリットを享受するためにも、積極的にキャリア自律のサポートをおこないましょう。

企業が、キャリア自律を支援する具体的な方法について紹介します。

従業員支援の体制を整備する

就業規定で副業を認める、キャリア開発の研修を実施するなど、従業員自らがスキルアップをはかれるように、従業員支援の体制を整備しましょう。

副業を認めることで、従業員は、スキルアップをはかりたい業務に特化した仕事を請け負うことができます。

また、キャリア開発の研修をおこなう際は、従業員それぞれが、身につけたいスキルにあわせてコースや受講内容を選べるなど、個人の主体性を重視したものを設定すると、効果的におこなえるでしょう。

しかし、副業を認めると、社外のつながりができ、スキルアップした社員が、転職してしまう危険性もあります。

このような危険性も認識したうえで、優秀な従業員が定着してくれるような、制度や社内規定を整備することが大切になってくるでしょう。

>副業とは?に関する記事はこちら

各従業員のキャリアに向きあう

各従業員に対してアンケートを実施したり面談をおこなったりするなど、従業員一人ひとりのキャリアに向きあうことも、企業がとりくむべき支援方法のひとつです。

従業員のキャリア目標を知ることができると、その目標を実現する手段を提供することができるようになります。

ゴールがはっきりしている社員には、その目的達成につながるような業務を与え、積極的にとりくんでもらうことができるようになるでしょう。

また、目標がはっきりしていない社員に対しては、どのような人生を歩んでいきたいか、キャリアを通してどのような自己実現をしたいかなどを話しあいながら、キャリア形成を支援することができるようになります。

このようなとりくみを、企業側が積極的におこなうことで、「従業員のことを考えてくれている」という意識を従業員に芽生えさせることができるため、エンゲージメント向上の効果も期待できます。

>エンゲージメントとは?に関する記事はこちら

帰属意識をもたせる

キャリア自律を支援することは、従業員の市場価値を高めることにもつながるため、転職や離職を意識する社員が生じることが考えられます。

そのため、キャリア自律の支援をおこなう際は、帰属意識をもたせる仕組みづくりを同時におこなうことが大切です。

従業員一人ひとりのキャリアに、日頃から向きあい、企業内で自己実現がはかれる方法を提案したり、希望するキャリアを選択できるようにしたりなどのとりくみが効果的でしょう。

また、目標設定や社内公募制度を活用して、従業員同士が切磋琢磨し、スキルアップをはかっていける職場環境にすることも良いでしょう。

キャリア自律を支援している企業事例

キャリア自律の具体的な支援方法について紹介してきましたが、実際にキャリア自律を支援している企業は、どのようにとりくんでいるのでしょうか。

キャリア自律を支援している企業事例についてみていきましょう。

生命保険会社の例

生命保険を営む会社では、独自の人材教育のポータルサイトを開設し、トップメッセージや、チャレンジの施策などといったコンテンツを配信することで、キャリア自律を支援しています。[※1]

このサイト内では、個々の従業員が、自分のプロフィールを作成して、担当業務や経歴などを掲載し、ほかの従業員が、それを検索できる仕組みになっています。

この仕組みは、キャリア自律にとりくんでいる従業員の参考として、また、キャリア自律にとりくんでいない従業員の、とりくみのきっかけとしても活用されています。

電子部品製造会社の例

電子部品を製造する企業では、企業によって選ばれた従業員のみでなく、だれでも平等にキャリア形成の機会が享受できるように、すべての従業員に同じ研修機会を提供しました。[※1]

また、従業員それぞれのレベルにあわせた目標設定が可能になるように「職能要件書」を整備して、定期的な上司との面談を通じ、目標設定が達成できるフォロー体制を整えました。

結果、社内の活性化や、目的の明確化につながり、自主的に自己啓発をおこなう環境づくりに成功しました。

円滑なコミュニケーションにChatwork

キャリア自律は、従業員自身の自己実現につながるメリットや、組織の活性化・生産性向上などの、企業側にもメリットがあるとりくみです。

企業側は、従業員の支援体制を整備したり、一人ひとりのキャリアにしっかり向きあったりすることで、キャリア自律をサポートすることが大切です。

ビジネスチャット「Chatwork」は、会話のようにスムーズなコミュニケーションが、オンラインで実現できるコミュニケーションツールです。

複数人のグループを作成し、すぐにチャットをはじめられるので、自主的なスキルアップのための勉強会や、メンバー同士の意見交換にも活用することができ、社内コミュニケーションの活性化にもつながるでしょう。

また、個人間のチャットやタスク管理機能を活用することで、目標達成のサポートやアドバイスをおこなうこともできます。

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[※1]出典:厚生労働省
「社員の自律的なキャリア形成を 支援する企業の先進事例」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000190138.pdf

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

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