内製化とは?メリット・デメリットや成功のポイントを解説
目次
「内製化」とは、システム開発やコンサルティングなど、専門企業や個人に委託していた業務を社内リソースで対応することです。
内製化によって、コスト削減や業務効率化などのメリットがある一方で、人材育成のコストがかかるなどのデメリットもあるため、慎重に進める必要があります。
内製化する目的やメリット・デメリット、成功に導くポイントを詳しく解説します。
内製化とは
内製化とは、外部に委託していた業務を自社のリソースで対応することです。
たとえば、システム開発やコンサルティングなど、専門知識をもった個人や企業に依頼していた業務を社内リソースで対応することが該当します。
内製化により、外部委託していた分のコストを削減でき、ノウハウの蓄積による人材育成や業務効率化などの効果が期待できるとされています。
内製化は、英語では「インソーシング(insourcing)」と呼び、内製化の対義語である外部委託・外注は「アウトソーシング(outsourcing)」と称します。
業務によって、内製化に向いているもの・アウトソーシングが向いているものがあります。
それぞれ最適な判断ができるように内製化・アウトソーシングの比較ポイントも後述します。
内製化の目的
内製化に取り組む目的としては、以下の2つがあげられます。
- コスト削減
- 業務効率化
内製化の目的をそれぞれ解説します。
コスト削減
外部委託をする場合、業務ごとに費用がかかったり、月額固定費やオプション追加料などが定期的に発生したりする場合がほとんどです。
社内リソースで対応できるようになれば、外部に支払っていた委託費用を抑えられるため、コストを大幅に削減できるでしょう。
業務効率化
内製化を推進する目的のもうひとつが、業務効率化です。
外部委託をしている場合、イレギュラーやトラブルが発生した際などに臨機応変な対応が難しく、依頼から対応完了までに時間を要するケースも多いでしょう。
また、委託先は、自社体制やリソースをすべて把握しているわけではありません。
依頼内容によっては、社内体制や業務内容などを情報共有する必要があり、対応完了までに時間も手間もかかってしまいます。
社内で対応が完結できるようになると、イレギュラーやトラブルなどにスピーディに対応できるようになるでしょう。
内製化のメリット
内製化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
内製化のメリットの代表例を4つ紹介します。
- 業務スピードを上げることができる
- ノウハウやナレッジの蓄積ができる
- セキュリティの強化につながる
- 臨機応変な対応が可能になる
それぞれ詳しくみていきましょう。
業務スピードを上げることができる
内製化に成功すれば、業務効率化が進み、作業スピードを上げることができるでしょう。
外部企業に委託している場合、業務開始までに契約締結や情報共有などの時間がかかるケースが多いです。
また、委託先と社内とのスケジュール調整や、認識のすり合わせが必要になる場合もあります。
社内で業務を完結できれば、このような時間を短縮できるので、業務スピード向上のメリットが得られるでしょう。
ノウハウやナレッジの蓄積ができる
内製化の推進により、社内ノウハウやナレッジの蓄積につながります。
業務を外部委託すれば、社内リソースを使用せず業務を完遂できますが、専門的な業務を委託してしまうと、作業工程が把握できずブラックボックス化しやすい課題が出てきてしまいます。
外部委託の業務が増えると、社内にノウハウやナレッジが溜まらず、また、自社で業務に対応できる担当者がいないといった事態に陥る場面も少なくありません。
このような状況を避けるために、内製化を進めることで、知識やスキルの獲得、ノウハウ・ナレッジの蓄積ができるようになり、従業員の育成にもつながります。
ビジネスにおけるノウハウの活用や、知識やスキルを共有するナレッジマネジメントについては、以下の記事をご覧ください。
セキュリティの強化につながる
業務を外部に依頼する際は、委託先に必要なデータを共有する必要があります。
社内にいないと知り得ないデータや機密情報を外部に渡す可能性もあるため、業務のアウトソーシングは、情報漏洩などのリスクが高まる状態にもなります。
業務内容によっては、社内システムやツールを利用する場合もあるため、不正アクセスなどのトラブルが起きる場面も想定して対策しておく必要があります。
内製化を進めると、社内で完結できるようになり、外部に機密情報を渡す必要もなくなるため、データ持ち出しや情報漏洩のリスクが下がり、セキュリティ強化につながるでしょう。
情報漏洩の原因やリスクについては、以下の記事で解説しているのでお役立てください。
臨機応変な対応が可能になる
社内で業務を完結できる内製化は、スケジュール調整やイレギュラー対応などに柔軟に対応できるメリットがあります。
外部に委託する場合、ひとつの業務を進めるに当たっても、委託先と社内とでの調整が欠かせません。
たとえば、思わぬトラブルなどでスケジュールを変更する必要が出てくると、委託先と相談してスケジュールを組み直す必要があります。
また、追加で業務が発生した場合は、追加料金がかかってしまう恐れもあるでしょう。
内製化していれば、社内だけで調整ができるようになるため、急な業務にも臨機応変に対応できます。
内製化のデメリット
内製化には前述したようなメリットがある一方で、デメリットも存在します。
メリットばかりに気を取られて内製化を進めてしまうと、思わぬデメリットが発生し、かえって非効率になってしまう危険性もあるため、注意が必要です。
内製化のデメリットは、以下のとおりです。
- 初期運用のコストがかかる
- 人材育成のコストがかかる
- 時間がかかる可能性がある
内製化に取り組む前に、デメリットも理解しておきましょう。
初期運用のコストがかかる
内製化の体制を整えるためには、設備投資などの初期運用コストが必要になります。
いままで外部に委託していた業務を社内でおこなおうとすると、たとえば、サーバーやパソコンなどのハードウェアをはじめ、業務で使用するツールの導入などが新たに必要になる可能性があります。
そのため、内製化を検討する際は、内製化する業務のフローを作成し、必要な設備や機材などを洗い出して、初期運用のコストを算出しておきましょう。
「代替品がないか」「より安価なツールがないか」など、コストを削減できる方法がないかを検討する備えも大切です。
コスト削減のアイデアについては、以下の記事で紹介しているので、コスト削減を検討する際はぜひご参照ください。
人材育成のコストがかかる
外部委託から内製に切り替える場合、専門知識やスキルを取得するまでに時間やコストがかかるケースを考慮しておく必要があります。
社内の人材に知識やスキルをつけてもらう場合、研修やトレーニングなどを実施する場合、研修費がかかるケースも多いです。
また、社内に適切な人材がいない状況、専門知識やスキルをもった人材を新たに採用する場合は、採用活動に費用がかかる点にくわえて、求める人材を探す時間的なコストもかかります。
人材育成や人材採用で内製化を進める場合は、短期的・中長期にかかるコストを算出して、内製化と外部委託のどちらを選択するか慎重に検討する必要があるでしょう。
時間がかかる可能性がある
内製化の体制を作ったとしても、業務が軌道に乗るまでには時間がかかるものです。
中長期的にみれば、ノウハウやナレッジを蓄積できるメリットがある一方で、人材が育ち、実務をおこなうまでには時間がかかる点を理解しておきましょう。
内製化とアウトソースの比較ポイント
「業務を内製化すべきか」「アウトソーシングすべきか」自社にとってどちらが適しているのか判断に悩む場面も少なくありません。
内製化とアウトソーシングのどちらを選ぶべきか悩んだときは、以下の4つのポイントを比較して判断するとよいでしょう。
- コスト
- 専門性
- 範囲
- 継続性
比較ポイントをひとつずつ解説します。
アウトソーシングの形態やメリットについては、以下の記事で解説しているので、あわせてご参照ください。
ポイント(1):コスト
コスト面では、内製化とアウトソーシングで費用がかかる項目が異なります。
内製化でかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 初期費用(設備投資、開発、運用コストなど)
- 研修費
- 採用費
一方アウトソーシングでかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 業務委託料(月額固定費、オプション追加料など)
アウトソーシングの場合は、委託する業務やスポットか常駐か、また、依頼する期間などの状況によって費用が変動します。
内製化とアウトソーシングでそれぞれ中長期的に運用した場合に、どのくらいの費用が必要になるのかを算出した上で判断するとよいでしょう。
ポイント(2):専門性
内製化とアウトソーシングを比較するときに、求められるスキルや専門性で判断するのもひとつのポイントです。
内製化は、専門知識やスキルを獲得して業務に活かせるようになるまでの育成に、時間やコストがかかります。
ただし、人材育成が成功すればノウハウやナレッジが溜まり、対応できる業務の幅が広がるでしょう。
一方でアウトソーシングは、専門知識をもった即戦力が必要な場合や、高度なスキルがもとめられる業務の場合に依頼すると有効です。
また、スポット的に発生する業務などで、自社で対応が難しい業務の課題解決にも役立ちます。
ポイント(3):範囲
内製化とアウトソーシングで迷ったときに検討すべきなのが、業務の対応範囲です。
アウトソーシングから内製化に切り替える際は、依頼していた業務をすべて内製化するのか、または一部業務を内製化するのかを検討する必要があります。
すべての業務を短期間で内製化することが難しい場合は、段階的に対応できるように推進するのもひとつの方法です。
自社で対応できる範囲を考えた上で、どちらが適しているのかを検討してみましょう。
ポイント(4):業務の継続性
内製化とアウトソーシングを選ぶ際は、業務の対応期間も検討項目にいれましょう。
たとえば、長期的に業務を依頼してしまうと、自社にノウハウやナレッジが溜まらず、業務に対応できる人材が育ちません。
アウトソーシングする期間が長くなればなるほど、自社で対応するのが難しくなっていきます。
一方で、スポットや短期間の依頼であれば、人材育成などに与える影響も少ないため、費用が調整できれば、対応完了までのスピードを上げられるでしょう。
将来的に内製化を見据えて、専門知識やスキルの獲得を目指すのであれば、業務の継続性にも留意して選ぶ必要があります。
内製化を成功に導く方法・ポイント
内製化に取り組む際は、以下の4つのポイントを抑えておくようにしましょう。
- 内製化の範囲や対象を明確にする
- 費用対効果を検証する
- 人材育成に力を入れる
- 内製化を目的にしない
内製化を成功に導くポイントを詳しく解説します。
内製化の範囲や対象を明確にする
内製化をスムーズに進めるためには、内製化する業務の範囲や対象を、事前に決めておく必要があります。
やみくもに進めてしまうと、どのくらいの人員が必要で、どのような業務に対応する必要があるのかを判断できず、リソースの確保ができません。
業務内容やフローを見直して、内製化する業務範囲や必要な人員を把握する取り組みが、内製化の第一のステップになるでしょう。
費用対効果を検証する
内製化の推進により、外部に支払っていた委託料などは削減できるようになりますが、自社で業務対応や運用するための費用が新たにかかるようになります。
たとえば、システム開発や設備投資などの初期費用をはじめ、人件費や採用費などのコストが新たにかかる状況が想定されます。
そのため、内製化を進める際は、内製化によって発生するコストを試算し、費用対効果を検証してから取り組むようにしましょう。
以下の記事では、費用対効果の指標や改善方法を紹介しているので参考にしてください。
人材育成に力を入れる
内製化を成功させるには、業務を進めながら人材育成をおこなう必要があります。
実務をこなしつつ、スキルや知識を養っていく取り組みで、専門性が高まり、業務の質を向上させることができるでしょう。
また、ノウハウやナレッジが社内に蓄積されていけば、従業員教育にもつながり、社内全体の業務スピード向上を期待できます。
内製化を進める際は、研修やトレーニングなど、人材育成を強化できる環境の整備も大切です。
内製化を目的にしない
内製化を成功に導くためには、内製化のメリットとデメリットを把握し、本来の目的を達成できるかを検証しておくことが成功のカギとなります。
内製化は、あくまでも課題解消の手段のひとつのため、コスト削減や業務効率化などの課題解決につながるか否かを検証した上で推進するべきです。
たとえば、すべての業務を内製化するとリスクが大きい可能性がある場合は、一部の業務から内製化を進めていくなども検討する必要があります。
内製化は、どのような課題を解消するために取り組むのかを今一度見直し、「内製化すること」が目的にならないように注意しましょう。
コミュニケーション円滑化に「Chatwork」
企業や個人などの外部に委託していた業務を社内リソースで対応することで、コスト削減や業務効率化などのメリットを期待できるようになります。
内製化をスムーズに進めるためには、業務フローを見直して業務の対応範囲や、必要な人員を把握してからおこなう必要があります。
業務フローの見直しや最適化をはかる際は、担当者や関係者から状況をヒアリングする必要があるでしょう。
このような社内コミュニケーションを円滑に進める方法として、ビジネスチャット「Chatwork」の活用が便利です。
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たとえば、関係者が多い業務の内製化を進める際、内製化の推進者だけで話し合うと、業務フローの見落としや考慮漏れが発生しがちです。
「Chatwork」を活用して、関係者全員が見える場所で協議をおこなえば、どのような業務をどの範囲まで内製化するのか、アウトソーシングと比較した際の費用対効果はどうなのかなどの議論を効率的に進めることができるでしょう。
また、チャットの履歴に議論の内容が残るため、後から見返す際も、流れを追いやすく便利です。
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