DX推進の課題とは?具体的な解決方法を解説
目次
デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を見聞きすることが多くなりましたが、大企業の中には取組みを始めている事例が見られるものの、中小企業にとってDX導入への取り組みにハードルを感じる部分があるのではないでしょうか。
また、デジタルトランスフォーメーションを進めるうえで課題を感じてしまっている場合もあるかもしれません。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるうえでの現状と課題、解決策について解説します。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
企業に求められるデジタルトランスフォーメーションとは、「新しいデジタル技術を活用して既存のビジネスモデルから脱却し、新たな価値を生み出すための再構築」という概念です。
デジタルトランスフォーメーションの正式表記は「Digital Transformation」です。
略して「DX」と表記することも多いですが、なぜ、「DT」ではなく「DX」表記なのか、単語がもつ意味とともに解説していきます。
デジタルトランスフォーメーションとは、「コンピューターやインターネットに関連するものの総称」を表す「Digital」と、「変革」「変容」を表す「Transformation」を組み合わせた造語です。
英語圏における「trans」は、「あるものをクロスして横切る」の意味を持ちますが、さらにクロス(cross)には十字の形の意味もあることから「X」が用いられることも多く、結果として、「T」や「C」を使わずに「DX」と略記されています。
「企業のDX化」は、「企業活動の全面的なデジタル化」を指し、これによって競争力を高めると言い換えることもできます。
>DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?に関する記事はこちら
デジタルトランスフォーメーション(DX)の概念
デジタルトランスフォーメーションの概念は、2004年にスウェーデンで生まれました。
2018年9月、経済産業省のデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会により、『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』が発表されました。
レポートでは、IT専門調査会社「IDC Japan株式会社」によるデジタルトランスフォーメーションの定義を参考情報として引用しています。
[注]企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
なお、レポートタイトルの「2025年の崖」とは、「2025年までに既存システムの刷新がなされなければ、経済損失が最大12兆円/年にのぼる」という、経済産業省の推定を意味しています。
DXの活用は企業の生き残り戦略
経済のV字回復が見込めないなか、変化の激しい新時代を生き抜くには、デジタルトランスフォーメーションの概念の下変革する必要があります。
企業が生き残るために実行する必要があることは以下の5点です。
- 新しいデジタル技術を積極的に活用すること
- 顧客や市場の変化に対応すること
- 従来の企業体制を変革すること
- ビジネスモデルを変革すること
- ユーザーへの新たな価値を創出すること
DXの活用目的は、これまでの企業体制や事業モデルを見直しつつ、新しいデジタル技術を活用してユーザーに利便性を提供することで、より競争力の強い企業となることです。
日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進状況
経済産業省による『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』からは、日本企業におけるデジタルトランスフォーメーションの現状がみえてきます。
- 実現に向けた投資が十分ではない
- 経営戦略の方向性が定まっていない
- 結果、実際のビジネス変革にはつながっていない
また、デジタルトランスフォーメーション推進の実態を示す、客観的な調査結果が出ています。
世界デジタル競争力ランキング/スイスのビジネススクールIMD
2019年、スイスのビジネススクール・IMDがおこなった「世界デジタル競争力ランキング」によると、1位はアメリカ、2位はシンガポール、3位はスウェーデンでした。
日本は世界的にもアジア圏でも順位が低く、韓国の10位、中国の22位に次ぐ、23位です。
調査結果からは、日本のデジタル競争力は後れをとっていることがわかります。
デジタル化実態調査・日経BP総合研究所イノベーションICTラボ
2019年7月から8月にかけて、日経BP総合研究所イノベーションICTラボは、「デジタル化実態調査」を独自に実施しています。
約900社の大手・中堅企業の情報システム部門責任者に対し、DXの推進状況や本気度と成果、経営トップの関与、社内の推進状況、人材状況など7つの視点から全20問を質問し、回答の分析を一部公開しているので紹介します。
まず、DXの推進状況は、推進している企業が36.5%に対し、まったく推進していない企業は61.6%という結果です。
企業規模を無視すると、およそ1/3の企業しかDXを進めていないことがわかります。
また、DXプロジェクトの本気度と成果については、本気で取り組んで一定の成果を上げている企業が25.1%と本気で取り組んでいるものの、成果が上がっているのは1/4の企業にとどまることがわかります。
中小企業のデジタルトランスフォーメーションの課題
デジタルトランスフォーメーションに日本企業が取り組まなければいけない状況のなか、現状と関連してどのような課題を抱えているのかみていきましょう。
DX推進を阻む主な課題は、以下の5点です。
- 約8割の企業が、ITシステムの技術面の老朽化問題を抱えている。さらに肥大化、複雑化によってブラックボックス化し、経営・事業戦略上の足かせになっている
- IT関連費用の約8割が現行ビジネスの維持・運営に当てられており、戦略的なIT投資に資金や人材を振り分けられない
- DXの必要性を理解しながらも、経営層の関与が薄いことにより、既存システムの刷新に踏み切れない
- 老朽化システムを把握する人材の定年退職によりノウハウが失われ、運用・保守ができる人材が枯渇している
- ITエンジニアの教育・確保が困難なため、ベンダー企業に頼らざるを得ない
日本の中小企業が抱える課題は、ITシステムが老朽化しているにもかかわらず、資金面の調達ができないことや、IT人材の不足が深刻な課題として浮き彫りになりました。
さらに、老朽化システムの属人的な運用・保守を存続させたことでブラックボックス化し、その有効活用やデータ連携が困難になっています。
デジタルトランスフォーメーション課題の解決策
これまでみてきたデジタルトランスフォーメーションの現状や課題を踏まえ、どのような解決策で対応すればよいのか提案します。
- 経営陣自ら変革の先頭に立つ
- 企業体質の見直しをする
- 変革すべきポイントを明確にする
- DX推進システムガイドラインを策定する
- 専門家と連携する
具体的にどのような解決方法があるのか確認していきましょう。
経営陣自ら変革の先頭に立つ
とくに中小企業では経営者の判断によって事業内容が左右されるため、情報システム部門の担当者任せではなく、自らが強い関心をもつ必要があります。
そのうえで、企業全体でシステム運用の見直しをおこなうことが大切です。
DXに造詣の深いベンダー企業からの提案を受けながらも、経営者自身が将来のビジネス・モデルを描くことも求められます。
企業体質の見直しをする
企業の歴史が長くなるほど、組織体制や文化に執着しやすくなるほか、従業員の自由な発言が阻害されやすくなったり、刷新への反対勢力が生まれたりします。
デジタルトランスフォーメーションにより大きな変革を起こすには、まずは社内の風通しをよくし、活発なコミュニケーションができる環境を整えましょう。
変革すべきポイントを明確にする
課題とともに、自社で変革すべきポイントは何かを洗い出します。
見合った先端デジタル技術の情報を得るとともに、積極的に取り入れるチャレンジ精神も必要です。
既存のシステムが陳腐化している状況であれば、思い切ったシステムの刷新も検討しましょう。
DX推進システムガイドラインを策定する
経済産業省の『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』には、DX推進システムガイドラインの策定やDX人材の育成・確保、ITシステム刷新の見通し明確化など、対応策を策定しているので、参考にしてDX推進システムガイドラインを策定するといいでしょう。
専門家と連携する
IT知識に長けた人材が不足しているようであれば、DXに精通したベンダー企業との連携を検討し、合わせて専門家との連携も図りましょう。
デジタルトランスフォーメーションのワークショップなどに参加すると、よりいっそう理解が深まります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)課題の解決を目指そう
デジタルトランスフォーメーションとは、「新しいデジタル技術を活用して既存のビジネスモデルから脱却し、新たな価値を生み出すための再構築」を意味します。
デジタルトランスフォーメーションが求められるのは、なにもIT産業だけに限りません。
一見、ITと直接関連性が薄いようにみえる不動産業界やアパレル業界など、日本企業全体にデジタルトランスフォーメーションが必要です。
内向きな経営姿勢になりがちな中小企業ですが、レガシーシステムの維持・運営に執着して課題を放置し続けていては、コストが経営を圧迫するだけです。新時代の競争において生き残るためにも、中小企業の経営陣には、先端デジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーションに取り組むか否かが迫られています。
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[注]出典:経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会 DXレポート
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf