【社労士監修】コンプライアンスとは?意味や違反事例、対策の重要性をわかりやすく解説

働き方改革
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目次

コンプライアンスについて、コンプライアンスの意味、そもそもの定義、関連する概念との区別なども交えて分かりやすく解説します。

今一度、コンプライアンスについての基礎的な部分も含めて、理解を深めましょう。

コンプライアンスとは何か

一般的に日本でコンプライアンスと言えば、もっぱら企業に課せられるもの(企業コンプライアンス)として定着しています。

そもそもコンプライアンスは、ストレートに訳すると「法令遵守」つまり「各種の法律を守りましょう」という意味合いとなります。

しかし、現代ではコンプライアンスが差す、その意味は「法令遵守」だけでなく、「社会規範」をも含む、幅広いものとなっています。

つまり、法令(政令、省令、規則等)だけをしっかり守ってさえいれば、コンプライアンスは完璧とうわけではなく、社内で整備した就業規則やその他社内規則も含まれる場合があります。

また、情報漏洩や、法令では明確に規制されてはいないものであっても、企業倫理に照らして会社が守るべきこと(ハラスメントや差別等)もコンプライアンスには含まれているということになります。

このように法律だけでなく、企業を取り巻く社会や株主、取引先、従業員などの利害関係を持つ人々に対して、会社が守るべき様々なルールを包括してコンプライアンスと定義づけされています。

 

コンプライアンスが重視される背景

2000年代に入り、コンプライアンスというワードを耳にする機会が増えたことの要因として、IT技術やSNSの発達等で、個人が情報を容易に摂取し、また情報を拡散することも可能になったことが挙げられるでしょう。

情報を得るツールが、テレビや新聞などの一部のメディアのみであった、時代では取り沙汰されることのなかったような、会社の不祥事が、瞬く間にSNSで拡散されることもあります。

時にはそれが会社経営に致命的な影響を及ぼす事例も見受けられるようになり、こうした事態を会社としても無視できなくなりました。

今や、会社に対する監視の目は、一個人にまで広がっている現代において、些細なルール違反でも会社にとって命取りになりかねません。

そのリスク予防としてコンプライアンスが重要視される流れになりました。

>コンプライアンスの重要性とは?に関する記事はこちら

 

コーポレートガバナンスとの違い

コンプライアンスとよく混同されることが多いワードで、「コーポレートガバナンス」がありますが、これは「企業統治」を意味します。

一般的には、企業における組織的な不祥事を防止する為、社外取締役や社外監査役等の外部の人間が、経営陣を監視する仕組みを指します。

一方、コンプライアンスは、経営陣が社内において、法令違反や、各種規範違反がないか監視・コントロールするものであり、いずれも「会社の健全化」という目的を持っていることに変わりはありませんが、監視・コントロールする主体・対象が異なることとなります。

もっとも、仮に会社で不祥事が起きた場合、コーポレートガバナンス、コンプライアンスともに欠如していたという結論になることもあるため、両者においてある程度リンクする部分はあると言えるでしょう。

 

CSR(社会的責任)との違い

もう一つコンプライアンスと混同しがちなものとして、「CSR」(企業の社会的責任)があります。

これは会社が利潤追求ばかりに傾倒するのではなく、社会全体に対して企業としての説明責任を果たし、企業価値の向上を図る趣旨のものです。

法令や社会規範などのルールを遵守するコンプライアンスと、やはり似ているようにも感じますが、両者の関係としては、CSR(企業の社会的責任)が土台にあり、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの基礎となっていると考えることができます。

CSRは、企業の不祥事だけでなく、環境問題など幅広い概念もその射程圏内に据えており、昨今耳にすることも多くなったSDG's(持続可能な開発目標)などもCSRの一環として注目されるようになりました。

>CSRとは?に関する記事はこちら

コンプライアンス違反が起きる原因

ニュースや新聞だけでなく、インターネットやSNSなども、今日では、企業の不祥事の記事を見ない日は無いほど、様々なコンプライアンス違反の事例が見受けられます。

「とはいえ、コンプライアンス違反が起きるのは大きな会社だけなのでは?」と思われる中小企業の経営者も多いことかと思いますが、企業の規模に関わらずコンプライアンス違反の火種は少なからず存在します。

なぜコンプライアンス違反が起きてしまうのか?この辺りについて解説していきましょう。

 

コンプライアンスへの意識・知識不足

コンプライアンスの対象となる概念は、法令だけに留まらず、社会規範や社内ルールなど非常に多岐に渡ります。

社会人としての一般常識である程度はカバーできるものの、網羅的にこれらのルールを従業員全員が認識している状態というのは難しいでしょう。

知識不足から、知らず知らずのうちにコンプライアンス違反に繋がってしまうこととなります。

また、一般常識とされているルールであっても、その遵守に関する意識は、個々人で差があることも否めません。

例えば「社内の情報を口外してはいけない」というのは、おそらく誰もが認識する一般的なルールですが、どこまでが社内の情報なのか、どこからが口外することにあたるのか、この辺りの判断は、画一的に行うことが困難であり、個々人の意識によってバラツキが生じます。

その上で、いわゆる「口が軽い性格」の人はこの判断を誤り、情報漏洩のリスクにつながることとなります。

 

環境に問題がある

そもそも、企業は利益を追求するものであり、当然、経営陣も従業員も、その目標に向かって行動しているため、コンプライアンスを軽視してしまう場面もあるかもしれません。

また、故意に不正をしようと意図していなくとも、大切な顧客データの取扱いについてルールがない、権限に関係なく従業員全員が重要情報にアクセスできるなど、ずさんな環境の下では、過失によりうっかり社外の情報を漏洩させてしまった、又は大事な社外秘に関わる書類を紛失させてしまったという事態は、起こりえます。

このように、図らずも、コンプライアンス違反が発生しやすい環境になっている職場は、少なくありません。

特に、創業から歴史が浅く、利益を確保する方向に、経営資源を集中せざるを得ない中小零細企業にこの傾向はよく見受けられます。

 

内部牽制が機能していない

 

コンプライアンス違反が起こりやすい環境では、コンプライアンス違反を予防・是正する仕組みがない(仕組みを作る余裕がない)ことも多く、そればかりか、経営陣がコンプライアンス違反の事実を認識できていない実情さえ見受けられます。

このような状態の場合、何かの折に、コンプライアンス違反が発覚した際、会社の存続自体が危ぶまれる事態に発展する可能性もあります。

また、仮に是正可能であっても、多大なリソースを割く羽目になるでしょう。

コンプライアンス違反が起きた場合どうなる?

コンプライアンスが重要視されることが一般化している現代のビジネスシーンにおいては、いたるところにコンプライアンス違反のリスクが点在しています。

多少は大丈夫と高をくくっていた経営者がコンプライアンス違反で痛い目を見る事例も増加しています。

コンプライアンスに違反するとどのようなペナルティが待っているのか、項目を分けて解説していきましょう。

>コンプライアンスの重要性に関する記事はこちら

 

損害賠償請求

コンプライアンス違反の結果、相手方に損害が生じた場合、当然その賠償を求め、相手方と交渉することとなります。

首尾よく示談など、穏便な内容で事態を収めることができれば大事は避けられますが、交渉がまとまらず、訴訟沙汰に発展すれば、事態の収束に多大な時間と労力を割くことになるでしょう。

訴訟沙汰を起こしたという事実に、世間は過敏に反応することでしょう。

損害額が大きく、損害賠償をすれば経営が立ち行かなくなるといった事態も想定できます。

企業の活動範囲が、広範にわたる現代においては、思わぬ形で損害を与えてしまうリスクも増大しており、このリスクが現実のものとなった際、会社が被るダメージは大きいものとなります。

 

企業のイメージダウンによる損失

インターネットやSNSが発達した現代では、企業の不祥事は、瞬く間に拡散され、世間が知ることとなります。

コンプライアンス重視の取引先から取引の中止や契約の見直しを迫られる可能性もあります。

また、不特定多数の個人が、自由に発信することから、事実に尾ひれがついて、事実に比して過大な批判になることで、大きな事態に発展することもあります。

これは、誰もが知る有名企業が特に警戒している事項の一つでもあります。

情報が瞬く間に拡散される現代においては、コンプライアンス違反は企業のイメージに深刻なダメージを与えてしまう要素となります。

コンプライアンス違反の事例

コンプライアンスに違反する行為は、想像よりも身近に存在しています。

コンプライアンス違反に該当する事例について、いくつかみていきましょう。

SNSへの投稿

SNSは、個人が気軽に発信が可能なツールですが、そのぶん発言内容には注意が必要です。

会社の内部情報や、取引先・同僚への不満など、個人のアカウントで気軽に投稿した内容が、想定外に拡散されてしまい、世間からバッシングを受けた事例が度々報道されています。

個人が気軽に投稿した内容が、考えられないほどの被害を及ぼす可能性があるため、たとえ個人のアカウントだとしても、社会人として自覚ある使い方を徹底させる必要があります。

SNSの取り扱い方法を含んだコンプライアンス研修をおこなうなど、企業としてのリスク対応が求められるでしょう。

情報漏洩

上司や同僚と何気なく話している内容が、情報漏洩になっている可能性があります。

オフィスのエレベーター内やランチ先のカフェ、駅のホームでの電話など、公共の場の会話は、どこで誰が聞いているかわかりません。

さらに、社名を出した会話や、社員証をつけたままの会話は、情報漏洩のリスクが高まります。

このような事柄は、日常でおこっているため、取り締まることが難しいですが、被害が発生した場合、会社側が管理体制の甘さを指摘されてしまいます。

被害の発生を防ぐためには、コンプライアンス違反のリスクを、従業員ひとりひとりにしっかりと認識させる必要があるでしょう。

>コンプライアンスの違反事例について詳細はこちら

コンプライアンス遵守に向けた取り組み

コンプライアンスが果たせる企業づくりには、「仕組みづくり」が欠かせません。

時間が掛かるため敬遠する経営者が多いですが、取り組みを疎かにすると、結果的に中途半端な取り組みに終わってしまい企業の体質改善に繋がるどころか、従業員を振り回してしまうことになります。

どういったことに留意しながらコンプライアンス体制構築に向けて取り組むべきか、ステップごとに解説します。

 

内部統制システムの構築

まずは、ルール作りからスタートすることになりますが、不正やミスが起こらないように、複数段階でチェックができる(例:直属の上司→課長など)関所を設けるようにしましょう。

せっかくルールを作っても、特定の従業員に任せきりにしてしまうと、不正が行われていても発覚が遅れてしまいます。

また、「明確」であることもポイントの一つです。

チェック、報告、指示等を誰が、いつまでに、誰に対して、どのような形式で行うのか、はっきりしておかないと、ルールとして職場に定着しにくいものとなってしまいます。

 

マニュアルの作成と周知

マニュアル作成となると億劫に感じる方も多いことかと思いますが、マニュアル化することで曖昧な部分が浮き彫りとなり、これらをマニュアル化の過程で改善していくことで、より洗練されたルールとなります。

書面で残すことに固執する必要はありませんが、文言として具体化することで、実践する従業員にとっても分かりやすく、また、分かりにくいポイントを指摘することで、実態に即したルール改善につなげることも可能となります。

マニュアル化した直後は、まだまだ、改善の余地が残る状態かもしれませんが、まずは試行的に実践が重要です。

ある程度、内容が煮詰まってきた段階で、職場全体に周知し、ルールを実行し、適宜ルールの施行状態をチェックし、必要があれば改善して、さらに実行するというPDCAサイクルを通して、定着化を図りましょう。

 

研修の実施

コンプライアンスの体制作りは、その範囲も多岐に渡るため、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。

場合によっては、従業員のコンプライアンスに対する意識から改善していかなければならない場面も考えられます。

特に、今までコンプライアンスについて言及したことがほとんどないという会社では、いきなりコンプライアンスを掲げても、従業員も戸惑って追随してくれないという可能性もあります。

そういったときは、まずは従業員の意識を変えるべく、研修の時間をとってみるのも一つの手段です。

コンプライアンスの意識が高まっている中、外部研修も充実しており、これらを活用することで、準備の為のリソースを割くことなくある程度品質の優れたインプットを得ることができます。

 

内部通報窓口の設置

コンプライアンス違反につながる、不正を見かけた場合、その情報を上層部に吸い上げるための仕組みも必須となります。

不正と断定できずとも、疑わしいといった内容でも、従業員が気軽に相談できるような窓口を構築しましょう。

相談や報告の受け皿となる人員については、ある程度、職位があり従業員からの人望がある人材が好ましいでしょう。

>社内相談窓口の効果的な運営方法に関する記事はこちら

コンプライアンス対策を徹底しよう

ひと昔前まで、聞きなれなかったコンプライアンスは、今や企業にとって無視できない重要な位置づけを占めています。

また、コンプライアンス上求められる体制は、時代によって多種多様に変化しており、時代の変化に応じて臨機応変に体制構築を進めていかなければなりません。

まずは着手できるところから少しずつ、体制構築を進めて、社会から信頼される企業づくりを目指しましょう。

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:國領卓巳(こくりょうたくみ)

2009年京都産業大学法学部卒業、2010年に社会保険労務士の資格を取得。建設業界、製造業、社会保険労務士兼行政書士事務所での勤務を経て独立開業。行政書士資格も取得。中小企業の社長さん向けに「労務管理代行、アドバイザリー事業」「助成金申請代行事業」「各種補助金(事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金など)」を展開、企業経営をサポートしています。

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