ESG・SDGsの違いは?企業がとりくむメリット・導入方法、事例を解説
目次
ESGとは、環境・社会・ガバナンスの意味がある言葉で、事業活動を長期的に継続するうえで重要な要素のひとつです。
一方、SDGsとは、持続可能な開発目標を指す言葉で、2030年の目標達成を目指して世界中でとりくみが実施されています。
企業がESG・SDGsに関わる活動をとりいれることで、どのような恩恵を得られるのでしょうか。
ESG・SDGsの違い、メリットと導入方法、事例を解説します。
ESG・SDGsの違いとは
ESGとSDGsの違いについて解説します。
ESGとは
ESG(イーエスジー)とは、事業活動を長期的に継続するうえで重要な要素のひとつです。
具体的には、以下の3つの要素が含まれます。
- 環境(Environment):環境の課題を解消すること
- 社会(Social):社会の課題を解消すること
- ガバナンス(Governance):企業の自己管理体制を整えること
上記の3つの要素に関わる活動にとりくむことで、企業は投資家から注目されやすくなり、ESGに関わる事業投資を受けやすくなります。
SDGsとは
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、持続可能な開発目標を指す言葉です。
2015年9月の国連サミットによって決められた内容で、2030年の目標達成を目指して、世界中でとりくみが実施されています。
具体的には、貧困の解消や教育の推進、ジェンダー平等や健康福祉の充実など、17項目の目標が掲げられている内容です。
企業では、事業活動やボランティア活動をとおして、SDGsの目標達成に向けたとりくみが実施されています。
CSR・SRIとの違い
CSRとは、企業の「社会的責任」を意味する言葉です。
事業活動の継続にあたり、企業は自社の利益だけを追求するのではなく、環境や人々に配慮する姿勢が求められます。
たとえば、周辺環境や地域住民への配慮、投資家や社員全体に向けた配慮など、社会全体を豊かにするとりくみが必要です。
一方、SRIは「社会的責任投資」という意味があり、企業の社会的責任を踏まえて、投資先や内容を検討します。
SRIは倫理的な側面を起点にした投資方法、ESGはリターンを踏まえて投資を検討する方法という認識で違いがあります。
また、SDGsは課題解決の項目が決められている一方、CSRでは課題解決の方法を自社で自由に決められるという違いがあげられます。
ESGとSDGsの関係性
ESGは企業がとりくむべき課題である一方、SDGsは世界全体でとりくむ目標という意味で違います。
ただ、ESGの活動は、SDGsの目標達成にもつながることが多いでしょう。
たとえば、ESGから地球環境に配慮する経営をおこなうことで、結果的にSDGsの環境配慮に関わる目標達成を目指せます。
ESG・SDGsが広まった背景
ESGは、日本が2015年に国連責任投資原則(PRI)に、署名したことをきっかけに広まりました。
国連責任投資原則とは、投資に関する約束ごとをまとめた内容で、ESGを踏まえた投資をおこなうことで、持続可能な社会の実現を目指せると考えられています。
一方、SDGsは、2015年9月の国連サミットを機会にして、少しずつ企業や社会に広まりました。
また、SDGsを掲げる前には、2015年までの目標達成の8項目として、MDGs(ミレニアム開発目標)が掲げられていた背景もあり、追加要素を加える形でSDGsに引き継がれています。
SDGsでは、地球温暖化や貧困など、世界に関わる社会問題の解消を目指すことで、人々が持続的に暮らせる世界を実現できると考えられています。
ESG・SDGsを経営戦略に活かすメリット
ESG・SDGsを経営戦略に活かすメリットを解説します。
ESGのメリット:投資家の目に留まりやすくなる
ESGに注目する投資家は、事業活動の利益だけでなく、社会貢献をしている企業かどうかを判断基準に投資先を決めます。
たとえば、環境に配慮した製品を開発することで、ESGのとりくみについて意識が高い企業だと認識されるでしょう。
結果が出て実績につながると、投資家や銀行からのイメージアップを図れるようになり、投資が優遇される可能性があります。
ESGのメリット:従業員満足度向上に期待できる
ESGのとりくみを実施することで、従業員に配慮した働きやすい職場づくりを推進できます。
たとえば、従業員の待遇を改善したり、残業時間を削減するとりくみを実施したりすることがあげられるでしょう。
労働改善をおこなうことで、従業員の満足度を始め、仕事のモチベーションを向上させやすくなり、顧客に提供するサービスの質を高める効果も期待できます。
SDGsのメリット:新商品やサービスの開発につながる
SDGsは、世界規模の視点で課題を見つめる機会にできるので、従来にはない新商品やサービスを開発する機会が生まれます。
たとえば、土に還ることが可能な素材を使うことで、地球環境に配慮したとりくみにつながります。
ほかの企業にはない商品や価値を提供できるなど、競合他社との差別化を図りやすくなるでしょう。
SDGsのメリット:国際的な企業価値が向上する
SDGsに関わる事業活動やボランティアをおこなうことで、各国の企業や団体と接点ができて、国際的な企業価値を高める働きかけにつながります。
たとえば、世界の各地域に社員を派遣して、現地の子どもたちに教育を実施したり、学校建設の活動に参加したりするといった方法があげられるでしょう。
SDGsは、世界中の企業や人々が注目している内容なので、企業がSDGsに関わるとりくみを実施することで、企業イメージの向上が期待できます。
ESGの視点から経営戦略に活かす方法
ESGのとりくみから、企業の経営戦略に活かす方法を解説します。
事業のビジョン・課題などを振り返る
ESGにおいて、具体的な活動内容を検討するために、事業に関わる内容全般について振り返りましょう。
たとえば、自社のビジョンや企業理念を始め、事業活動で達成したい目標や現状の課題、自社の経営資源などを洗い出します。
自社に関わる情報収集や分析をおこなうことで、ESGの「環境・社会・ガバナンス」に関わる課題を見つけやすくなるでしょう。
>MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に関する記事はこちら
中長期的な目標設定を決める
自社の目標や課題などを洗い出したあとは、どのような課題解消にとりくむのか、ESGに関する目標を決めましょう。
ESGの「環境・社会・ガバナンス」に該当する項目から、目標を設定します。
イメージが浮かばないときは、ほかの企業の事例を参考にしながら決めましょう。
中長期的にとりくみながら、改善と評価を繰り返して調整していきます。
ESGの目標を達成したときは、投資家や顧客に向けて、内容を報告することで自社のとりくみを知ってもらう機会にできます。
SDGsの視点から経営戦略に活かす方法
SDGsのとりくみから、企業の経営戦略に活かす方法を解説します。
SDGsの実施内容を情報開示する
SDGsの目標17項目について、自社のとりくみと関連がある内容は、ホームページやメディアに掲載しましょう。
実施内容を知ってもらえるチャンスが増えることで、ほかの企業や顧客の目に留まりやすくなります。
また、自社のとりくみを知った企業から、SDGsに関わる商品開発を共同でおこなうといったオファーがくるかもしれません。
社会貢献に働きかけている企業として、社会全体からの信用を獲得しやすくなります。
社内研修でSDGsの概要を広めていく
SDGsについて概要を知らない社員が多いときは、社内研修で学ぶ機会を設けましょう。
たとえば、SDGsとは何か、企業や社員ができることは何かなど、事業活動との関わりについて説明します。
企業のSDGsのとりくみは、事業活動やボランティアをとおして実施するため、社員の協力が必要不可欠です。
そのためにも、まずはSDGsの概要を理解してもらうことが大切になります。
SDGsの社内研修をはじめ、社内広報による情報発信をおこなうなど、定期的にSDGsの情報に触れる機会を増やしましょう。
ESG・SDGsにとりくむ企業事例
ESG・SDGsにとりくむ企業事例について解説します。
ESGにとりくむ企業事例
製造業の事例では、ESGのとりくみとして、環境・社会・ガバナンスに配慮した経営を実施しています。
また、二酸化炭素(CO2)排出量削減目標を達成するために、太陽光発電などを利用しています。
SDGsにとりくむ企業事例
不動産事業の事例では、SDGsの17項目すべてに関するとりくみを実施しています。
たとえば、家庭で使わなくなった衣服を集めて、世界各地で困っている人々に寄贈する活動など、さまざまな活動をおこなっています。
ESG・SDGsは企業の責任を果たすために重要
ESG・SDGsを事業活動にとりいれることで、社会貢献活動にとりくめます。
企業がESGを実施することで、投資家の目に留まりやすくなり、SDGsは新商品の開発につながったりするなど、恩恵を受けられるでしょう。
また、ESGのとりくみはSDGsの目標達成にもつながるので、積極的に事業活動やボランティア活動を実施してみてはいかがでしょうか。
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