兼業とは?副業の違いやメリット、注意点をわかりやすく解説
目次
近年よく耳にするようになった「兼業」という働き方を知っていますか。
正社員や終身雇用制度にこだわらない多様な働き方が増加している昨今、兼業は、今後ますます注目されることが想定されています。
本記事では、兼業の意味や副業との違い、兼業のメリットや注意点を解説します。
「兼業」の働き方とは
「兼業」という働き方に、法的な定義は存在しませんが、一般的に本業のほかに他の業務を兼ね営むことが兼業とされています。
厚生労働省の「副業・兼業の促進ガイドライン」によると、近年、兼業の希望者は増加傾向にあるとされています。
兼業の働き方には、企業に雇用されるもの(正社員、パート・アルバイト)、自ら起業 して事業主になるもの、コンサルタントとして請負や委任をするものなど、さまざまな働き方があります。[※1]
兼業と副業の違いとは
副業という働き方を耳にした経験がある方は多いと思いますが、「兼業」と「副業」は、区別されないケースが多いです。
副業は、「収入を目的とする本業以外の仕事のこと」で、本業よりも収入や費やす時間、労力が少ない本業のサブ的な仕事のイメージです。
兼業と副業の働き方の両者には、大きな違いはありません。
兼業が注目を集める背景
近年、兼業が注目を集めている背景には何があるのでしょうか。
具体的に見てみましょう。
厚生労働省「モデル就業規則」改訂
平成30年1月に、厚生労働省の「モデル就業規則」が改訂されました。
この改正で、労働者の労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由になりました。
労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。厚生労働省「モデル就業規則について」
年々増加傾向にある副業・兼業希望者の要望にこたえるかたちに改訂された背景がわかります。[※2]
働き方の多様化・変化
新型コロナウイルス感染症の拡大状況も後押しし、多様な働き方が広がりました。
リモートワークやテレワーク、またフレックスタイム制度や時差出勤制度などを導入する企業も増え、労働者は、効率的な時間の使い方ができるようになりました。
このような働き方の変化や、予測が難しいVUCA時代を生き抜くために、自身の能力を向上させたいという労働者が増えています。
働き方や時代の変化は、兼業ワーカー増加の大きな要因になったと考えられます。
兼業のメリット:企業側
企業が兼業を認めると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
企業側の目線で、兼業のメリットをご紹介します。
従業員のスキルアップが望める
兼業を認めると、従業員のスキルアップが期待できます。
本業とは異なる兼業により、社内では経験できないような物事が経験できると、スキルの向上が見込めます。
結果的に、学びや働きを自社へ還元してもらう効果も期待もできるでしょう。
従業員のモチベーション向上につながる
兼業により、収入アップに成功したり、やりたい仕事が見つかったりすると、従業員のモチベーション向上を見込めます。
活躍の場が広がると、本業にも高いモチベーションをもって取り組めるようになるでしょう。
人材流出の防止につながる
兼業を認めると、人材流出の防止にもつながります。
兼業を認めず、「規則が多く働きにくそう」と思われる企業が多い中で、兼業を許可すれば、従業員の満足度向上が見込めるでしょう。
自由に働ける環境が整備できると、優秀な人材が流出しづらく、人材確保にも期待が寄せられます。
兼業のメリット:従業員側
従業員による兼業への取り組みには、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
具体的なメリットを見てみましょう。
収入増加につながる
従業員側の大きなメリットとしては、収入増加があげられます。
会社員の場合、月収を増やすために数年かかるケースがありますが、兼業は、自分が取り組んだ業務量分の収入を得られます。
その結果、生涯賃金の向上やQOLの向上が期待できるでしょう。
キャリアアップにつながる
キャリアアップにつながることも、兼業におけるメリットのひとつです。
本業ではなかなか習得できないスキルも、兼業を通して向上できます。
新しい経験や知識の習得により、より高い能力を身につけて自身の経歴をブラッシュアップできるでしょう。
キャリア形成の幅が広がる
兼業により、キャリア形成の幅が広がるメリットがあります。
「特定の分野について学びたい」「新しい環境に飛び込みたい」と思っていても、本業ではなかなか叶わないケースが多くあるでしょう。
また、兼業を通じて新たなキャリア形成が見込めると、本業の企業に貢献できる可能性もあります。
兼業のデメリット:企業側
企業が兼業を認める場合には、メリットだけではなくデメリットも存在します。
兼業を容認する企業側にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
デメリットについても理解したうえで、兼業を許可するか否かを決めるようにしましょう。
業務への影響が懸念される
兼業を容認すると、本来やるべき業務への影響が懸念されます。
兼業に取り組むためには、時間も労力もかかります。
そのため、兼業をしている従業員が疲労を感じ、居眠りをする、作業スピードが落ちるなどの悪影響が懸念されます。
これまでと比較して業務効率が低下した場合には、注意が必要です。
労働時間の把握・管理対応が増える
労働時間の把握や管理対応が増えるデメリットがあります。
労働基準法では、従業員が企業に雇用されるかたちで兼業をした場合、労働時間を通算する必要があります。
本業と兼業の労働時間を合計し、規定を超える場合には、届出や割増賃金の支払いが求められるので注意しましょう。
情報漏洩のリスクがある
兼業の許可により、情報漏洩のリスクも、デメリットとして考えられます。
たとえば、兼業先で本業に関して、「うっかり口を滑らせてしまう」「USBを通して意図的に情報漏洩する」など、さまざまなケースが考えられます。
セキュリティ対策を徹底するほかに、兼業をする従業員には、情報漏洩の危険性を認知させる対策が大切です。
兼業のデメリット:従業員側
兼業のデメリットは、企業側だけでなく、従業員側にもあります。
デメリットを事前に理解したうえで、兼業をはじめるようにしましょう。
労働時間が増える
兼業により、労働時間が増えるデメリットを理解しておきましょう。
本業にくわえて、別の仕事が増えるため、労働時間が伸びて、負担が増加します。
また、兼業に注力しすぎて、本業の業務効率が低下すると、社内及び社外の信頼感の喪失につながりかねません。
労働時間や負担をきちんと把握したうえで自己管理をし、バランスをとった働き方が、兼業においては重要です。
責任や負荷が増える
兼業により、責任や負荷が増えるケースも考えられます。
複数業務のかけもちにより、責任はおのずと増えていきます。
その分、心労が増え、ストレスや疲労の原因になるケースもあるでしょう。
自分のキャパシティを把握して、適切な分量の業務を受けるようにしましょう。
>仕事がキャパオーバーのときのサインとは?に関する記事はこちら
雇用保険の対象外になる可能性
兼業により、雇用保険の対象外になる可能性があります。
「雇用保険」とは、失業などをした際の収入保障のための社会保険ですが、そのほかにも、育児や介護で収入が減った際に労働者を保護する役割があります。
雇用保険加入の条件として、所定労働時間が週20時間以上の勤務先がひとつでもある場合は雇用保険に加入できますが、ひとつもない場合には加入できません。
仮に、「A社で15時間+B社で15時間」の場合には、雇用保険の対象外になるため注意しましょう。
兼業の注意点
兼業をはじめる際には、デメリットや注意点を、事前に理解しておくことが大切です。
- 就業規則に則って行動する
- オーバーワークに注意する
周囲からの信頼を失わず、健康的に働き続けるためにも、兼業の注意点を把握しておきましょう。
就業規則に則って行動する
兼業をする場合には、きちんと就業規則に則って行動するようにしましょう。
就業規則の中に、「企業秘密の漏洩がないか」「長時間労働を招くものではないか」などが記載されているケースも多くあります。
働く企業の就業規則に違反がないように、事前によく確認をして、注意することが大切です。
オーバーワークに注意する
兼業をはじめると、つい夢中になってしまい、オーバーワークになる危険性があります。
「自分はできる」と思っていても、キャパシティを超えてしまい、気づいた頃には心身ともに疲労困憊という状態も十分起こり得ます。
また、本業の方の納期が遅れ、クライアントに迷惑をかけてしまうケースも考えられます。
週ごとに働く時間を決めるなど、自己管理を徹底しましょう。
兼業とそのほかの働き方の違い
副業のほかにも、兼業と似た働き方が存在します。
「複業」「ダブルワーク」「サイドビジネス」の働き方の特徴は以下のとおりです。
複業 | 本業となるような仕事を複数かけ持ちしていること |
---|---|
ダブルワーク | ふたつの仕事をかけ持ちすること |
サイドビジネス | 本業以外で収入を得ること(副業と同意) |
それぞれ似たような意味にはなりますが、それぞれの仕事の比重や働き方には違いが見られます。
現状の働き方を見つめ直し、どのような働き方が自分に合っているのかを考えて選択することが大切です。
コミュニケーション円滑化に「Chatwork」
「兼業」は、本業のほかに他の業務を兼ね営む働き方で、今後ますます一般的になることが予測されます。
企業側は、優秀な人材を確保し、企業の持続的な成長を実現するためにも、従業員が健康的に働ける環境を整備することを検討しましょう。
たとえば、リモートワークやテレワーク、フレックスタイム制度や時差出勤制度を採用するなどがあげられますが、多様な働き方の実現に役立つツールとして、ビジネスチャット「Chatwork」の活用がおすすめです。
「Chatwork」は、チャット形式でやりとりができるビジネスツールで、社内外問わずに無料で使いはじめることができます。
「Chatwork」は、電話やメール、FAXなどの従来のコミュニケーション手段と比較して、スピーディで気軽なコミュニケーションが実現できるツールです。
離れた場所にいても、円滑なコミュニケーションが可能になるため、多様な働き方を採用したい場合、便利に活用できるでしょう。
ぜひ、円滑なコミュニケーションの実現に「Chatwork」をご活用ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf
[※2]出典:厚生労働省「モデル就業規則について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
※本記事は、2023年7月時点の情報をもとに作成しています。