2040年問題とは?社会への影響や企業ができる対策をわかりやすく解説

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働き方改革
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2040年問題とは?社会への影響や企業ができる対策をわかりやすく解説

目次

2040年の日本は、超高齢化社会を迎え、社会や経済に深刻な影響が及ぶと予測されています。

企業の事業継続や成長を目指す上では、2040年に向けた対策が必要不可欠です。

本記事では、2040年問題の本質と社会への影響を解説するとともに、企業が取るべき具体的な対策についてわかりやすく解説します。

2040年問題とは

2040年問題とは、1971年から1974年に生まれた「団塊ジュニア世代」が65歳以上になることで生じるさまざまな社会問題の総称です。

日本が2040年を迎えるころには、生産年齢人口(15歳〜64歳)が、人口全体のちょうど半分を占めるまでに減少すると推計されており、限られた労働力や財源でどのように対応するかが大きな課題となっています。

また2040年には、高齢者人口の伸びは落ち着き、少子化により現役世代が急激に減少する見込みもあります。

超高齢化社会の課題を解消するためには、就業者数の増加や医療・福祉現場の労働環境改善など、さまざまな取り組みを日本全体で実施する必要があるとされています。[注1][注2]

2040年問題と20xx年問題との違い

昨今、「2040年問題」に限らず、「2025年問題」「2030年問題」など、「20xx年問題」が話題に出る機会が増えています。

それぞれの問題は、2040年問題と比較してどのような違いがあるのでしょうか。

2025年・2030年・2035年の3つの年問題を、2040年問題と比較して解説します。

2025年問題との違い

2025年問題とは、いわゆる「団塊の世代(1947年から1949年生まれ)」が、75歳以上の「後期高齢者」となることで発生する社会的問題の総称です。

この問題の主な焦点は、医療需要の急増や介護需要の拡大にあります。

後期高齢者が増加すると、慢性的に疾患を抱える人の数も増えるため、医療費の負担が大きくなることが予想されます。

また同時に、認知症患者の増加も予測され、介護施設や在宅介護サービスの需要の高まりも見込まれています。

一方で、2040年問題は、2025年問題の影響をさらに深刻化させつつ、より広範囲の社会経済問題を含んでいます。

医療・介護だけではなく、労働力不足の深刻化や社会保障制度の持続可能性が危ぶまれる懸念があります。

2025年問題についてより詳しく知りたい方は、下記の記事をあわせてご参照ください。[注3]

>2025年問題に関する記事はこちら

2030年問題との違い

2030年問題とは、日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)が3割を超えることによって生じる問題の総称です。

2030年には生産年齢人口の減少が加速し、さらに認知症患者数が約830万人に達すると予測されており、医療・介護の負担も大きくなることが予想されます。

また、2030年には輸送能力が34.1%低下するともいわれており、一般消費者だけでなく企業にも大きな影響が出ることが考えられます。

一方で2040年問題とは、この2030年問題がさらに進行し、より深刻な社会課題の表面化が予測されている問題を指している点に違いがあります。

2030年問題についてより詳しく知りたい方は、下記の記事をあわせてご参照ください。[注4][注5]

>2030年問題に関する記事はこちら

2035年問題との違い

2035年問題とは、日本の高齢化率が33%を超え、3人に1人が高齢者となることで起こる問題の総称です。

2040年問題は、団塊ジュニア世代が65歳になることで生じる社会課題にフォーカスしている点で2035年問題と違いがあります。

2035年頃には、65歳以上人口が総人口の3分の1を超えることが予測されているため、社会構造の大きな変化が求められます。

2040年には高齢化がさらに進行し、約35%に達すると予想されており、顕在化した社会課題がより拡大していくことになるでしょう。[注6]

2040年問題が社会・企業にもたらす影響

2040年には、人口減少と少子高齢化が進行することでさまざまな分野で深刻な課題が生じる見込みです。

以下は、2040年に起きると予想される主な影響です。

  • 人手不足の深刻化
  • 医療・福祉人材の不足
  • 社会保障費の増大
  • 地方の過疎化・自治体の消滅
  • インフラの老朽化
  • 採用競争の激化

2040年問題が社会や企業にもたらす影響について、それぞれ詳しく確認していきましょう。

人手不足の深刻化

2040年には、生産年齢人口(15歳から64歳)が2025年の推計から約1,100万人減少すると予測されています。

大幅な労働力の減少は、日本経済全体に深刻な影響を与えるでしょう。

また、労働力不足により、多くの企業で事業運営が難航し、結果的に経済成長が鈍化することも予想されます。

とくに中小企業では、人材確保が困難になることで事業の継続自体が危ぶまれる可能性もあるでしょう。

医療・福祉人材の不足

高齢者人口の増加にともない、医療や福祉サービスの需要が急増することが予想されます。

一方で、生産年齢人口は減少するため、医療・福祉分野における人材確保のさらなる難化も予想されます。

医療・福祉分野における人材不足は、医療・介護サービスの質の低下や老人ホームの入所待機者の増加、医療・福祉従事者の労働環境の悪化による離職率の上昇などの問題を引き起こす可能性があるでしょう。

社会保障費の増大

2040年には、社会保障給付費が165兆円にのぼり、2020年度の約1.25倍に膨らむことが予測されています。

とくに医療・介護給付費の伸びが大きく、2015年と比べて約1.7倍の81兆円にまで膨らむ見通しです。

社会保障費の増大は、国や地方自治体の財政悪化や現役世代の負担増加などの影響をもたらす可能性があるため、地域の医療・介護の提供体制を再編し、効率化を図るなどの大きな変化が求められています。[注7]

地方の過疎化・自治体の消滅

人口減少と高齢化の進行により、とくに地方では過疎化がさらに深刻化すると予想されています。

地方の過疎化は、単に人口が減少するだけでなく、地域社会の存続自体を脅かす可能性があります。

公共サービスの縮小や質の低下、財政基盤の弱体化による自治体の消滅などの問題を引き起こす恐れがあるためです。

インフラの老朽化

人口減少と財政難により、インフラの整備や維持管理が困難になることが予想されます。

とくに、高度経済成長期に集中的に整備されたインフラの多くが、2040年までに耐用年数を迎えることが懸念されています。

インフラの老朽化は、安全性の低下と事故リスクの増大や維持管理コストの急増などの問題を引き起こす可能性があります。

採用競争の激化

労働力人口が減少する中で、企業間の人材確保競争が激化することも予想されます。

とくに高度なスキルを持つ人材は、あらゆる業界で求められ、採用コストが上昇する懸念があります。

採用競争が激化することで、中小企業や地方企業の人材確保が難しくなり、給与水準や福利厚生の格差拡大などの影響がもたらされるでしょう。

2040年問題に向けて企業が取るべき対策

2040年問題は日本の企業に大きな問題をもたらしますが、同時に革新と成長の機会にもなりえます。

企業は、2040年問題に向けて以下のような対策を講じる必要があります。

  • 多様な働き方の実現
  • 女性やシニアの活躍躍進
  • DX推進やICTの活用
  • 企業ブランディングの強化
  • 従業員の健康維持
  • キャリア開発やリスキリングの支援

2040年以降も企業が成長を続けていくためには、従業員にとって働きがいや働きやすさが整備されている必要があります。

具体的にどのような取り組みが求められているのか確認していきましょう。

多様な働き方の実現

多様な働き方を導入することで、優秀な人材の採用や長期雇用が期待できます。

たとえば育児や介護など、ライフスタイルの変化を理由として優秀な人材がキャリアを諦めてしまうケースを、テレワークやフレックスタイム制の導入により防止できるでしょう。

従業員にとって働きやすい環境を整備し、離職率の低減や新たな人材の確保を目指しましょう。

>多様な働き方の種類とメリットに関する記事はこちら

女性やシニアの活躍躍進

女性の就労支援や高齢者の雇用促進を積極的におこなうことで、労働力を最大限に活用できます。

たとえば、育児や介護と両立しながら働ける環境整備や、シニア世代が持つ経験を生かした労働力は、企業の競争力強化につながるでしょう。

DX推進やICTの活用

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やICT技術の活用も、企業が取るべき重要な2040年問題対策のひとつです。

AIやRPAの導入により、業務の自動化や効率化を実現すると、人手不足を補うことが可能になります。

また、技術を活用したデータ分析や業務改善も、企業の競争力の向上につながります。

たとえば、AIを活用した需要予測や在庫管理、ロボットによる製造工程の自動化、ビッグデータ分析による顧客ニーズの把握などが考えられます。

これらの技術導入にともない、従業員のデジタルスキル向上も重要となるため、継続的な教育・訓練プログラムの実施も必要になります。

DX人材の育成方法や求められるスキルなどについて、より詳しく知りたい方は下記の記事もあわせてご参照ください。

>DX人材の育成方法に関する記事はこちら

企業ブランディングの強化

企業の魅力を高め、ブランドイメージを確立することは、優秀な人材の確保に欠かせません。

とくに、採用市場における競争が激化するなかで、企業が提供する価値やビジョンを明確にし、求職者にとって魅力的な選択肢となるためのブランディング戦略は重要です。

企業ブランディングを認知させる方法としては、企業の社会的責任(CSR)や企業文化の発信、地域社会との連携強化などが考えられます。

また、従業員満足度の向上や、それを通じた口コミによる企業評価の向上もブランディングの重要な要素となります。

従業員の健康維持

従業員の健康管理は、長期的に安定した労働力を確保するための大切な施策の一つです。

健康経営を取り入れ、定期的な健康診断やメンタルヘルスケアを徹底することで、従業員の健康寿命を延ばし、結果的に企業の生産性や持続可能性を高めることができるでしょう。

具体的には、職場での健康増進プログラムの導入やメンタルヘルスのケア、快適なオフィス環境の整備などが考えられます。

また、テレワークの増加にともない、在宅勤務時の健康管理サポートも重要になってきています。

従業員の健康維持は、医療費の削減や生産性の向上だけでなく、企業の社会的評価の向上にもつながるため、積極的に取り組みましょう。

>健康経営の取り組み方に関する記事はこちら

キャリア開発やリスキリングの支援

従業員のキャリア開発やリスキリングの支援は、人材の定着率向上に加え、企業の競争力を維持・向上させるためにも重要です。

従業員にスキルアップの機会を提供し、最新技術や知識を習得できる環境を整えることで、従業員のモチベーションが向上すれば、従業員のスキルアップだけでなく、企業の人材不足にも備えることができます。

リスキリングの学習方法には、eラーニングや社内外の専門家によるワークショップの開催、異業種交流会への参加支援などが考えられます。

また、従業員がリスキリングに取り組みやすい制度や仕組みを構築し、企業全体でスキルを獲得できる環境整備も必要です。

>リスキリングに関する記事はこちら

2040年問題対策の第一歩に「Chatwork」

2040年問題は、日本が超高齢化社会をむかえることで直面する、労働力不足や社会保障費の増大、地方の過疎化などの多岐にわたる社会問題の総称です。

2040年問題への対策として、企業はDXの推進や多様な働き方の実現が求められています。

これらの取り組みを効果的に進めるツールとして、ビジネスチャットツール「Chatwork」の活用が有効です。

「Chatwork」を導入することで、場所や時間にとらわれないコミュニケーションが可能になり、テレワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方が実現しやすくなります。

また、チャット機能以外にも、タスク管理機能やファイル管理機能などのビジネスを円滑に進める機能が搭載されているため、業務の効率化や生産性の向上にも貢献し、人手不足の解消も期待できます。

2040年問題は避けられない課題ですが、いまから対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることができます。

ぜひ「Chatwork」の導入を通じて、未来に向けた働き方改革の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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[注1]出典:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21483.html
[注2]出典:厚生労働省「平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容」
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/dl/1-01.pdf
[注3]出典:東京福祉局「東京フィフティ・アップBOOK」
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/tokyo50upbook/contents/part3.html
[注4]出典:厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf
[注5]出典:公益社団法人全日本トラック協会「物流の2024年問題を知っていますか?」
https://jta.or.jp/logistics2024-lp/
[注6]出典:内閣府男女共同参画局「高齢男女をめぐる状況等」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/honpen/b1_s04_01.html
[注7]出典:日本放送協会「"社会保障給付費 2040年には165兆円に"民間シンクタンク試算」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240611/k10014477491000.html

※本記事は、2024年12月時点の情報をもとに作成しています。


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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記事監修者:北 光太郎

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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