ロールモデルの意味とは?設定するメリットや効果、設定方法をわかりやすく解説
目次
ロールモデルとは、考え方や価値観などが、他の人の模範となる人物のことを指す言葉です。
従業員がロールモデルを設定することで、成長速度が高まる、組織全体の活性化につながるなど、企業はさまざまな効果を期待することができるでしょう。
今回は、ロールモデルの設定方法や導入手順、もたらす効果などについて、詳しく解説します。
ロールモデルの意味
ロールモデルとは、考え方や価値観、実際の行動が、他の人の模範となる人物のことを指す言葉です。
ビジネスシーンにおいては、キャリア形成のうえで、他の従業員や新入社員の手本となる人物のことを、ロールモデルと呼ぶことが多いです。
ロールモデルが注目される背景や、設定方法、定めるべき人物の特徴について、詳しく見ていきましょう。
ロールモデルが注目される背景
近年、リモートワークやテレワークなどの新しい働き方や、正社員にこだわらない雇用形態、また女性の社会進出など、働き方に多様化がみられるようになりました。
この変化が影響して、個人の価値観や考え方も多様化し、複雑になっていることが、ロールモデルが注目を集めるようになった背景です。
働き方や価値観が、複雑で多様になると、どれを選択すべきなのか、どれが正解なのか迷ってしまうことも多いでしょう。
このようななかで、働き方や価値観の手本となる先輩や上司がいると、自分の目標やキャリアプランを明確にする手助けとなります。
また、その人のようになりたいと努力することで、自身が実現したい未来や人物像に近づくことができます。
人生100年時代といわれ、働く時間も増えるなかで、より生き生きと、自分らしい働き方を実現させるためにも、ロールモデルは有効な考え方といえるでしょう。
ロールモデルがもたらすメリット・効果
企業と従業員の双方にメリットがあるとされているロールモデルは、以下のようなメリットや効果をもたらすといわれています。
- キャリアプランが明確になる
- 成長速度を加速させられる
- 社内コミュニケーションが活性化する
- 組織全体が活性化する
- 離職率の低減
- 多様な働き方の実現
- 女性の活躍躍進につながる
ロールモデルを導入するメリット・効果について、詳しくみていきましょう。
キャリアプランが明確になる
ロールモデルの価値観や、歩んできたキャリアを参照できると、自分と比較したうえで、適切なキャリアプランを立てることができます。
キャリアプランの参考になるロールモデルの例として、以下のような働き方があげられます。
- 子育てをしながら、家庭と仕事を両立させている人
- 本業とともに副業にも力をいれている人
- 将来を見据えて、資格取得をおこなっている人
- ワークライフバランスを実現している人
ロールモデルを設定すると、自分が理想とする人や似た立場にいる人が、どのように働いているかを参考にすることができます。
目指すべきキャリアプランを立てられると、高いモチベーションをもって、仕事に向き合うこともできるでしょう。
成長速度を加速させられる
ロールモデルを設定することで、手本となる人に近づきたい、自分も能力を高めたいと思うようになるため、成長速度を加速させることができます。
また、ロールモデルから直接スキルやノウハウを教えてもらうことができれば、モチベーション高く、成長速度を高めることができるでしょう。
社内コミュニケーションの活性化
ロールモデルと接点を持ちたい、話を聞いてみたいという意欲が出るため、社内コミュニケーションを活性化させることができるでしょう。
また、ロールモデル側にとっても、自身の価値観や成長過程を話すことにより、新たな気づきや目標ができるきっかけになるため、相互によい効果があるといえます。
組織全体の活性化がはかれる
ロールモデルを設定することで、組織全体の活性化が期待できます。
たとえば、社内にロールモデルがいる場合、キャリアアップの研修などで、ロールモデルの価値観や仕事に対する向き合い方などを共有することができます。
ロールモデルとなっている人の、模範となる点を積極的に知ることができ、取り入れられる文化ができれば、組織活性化のみでなく、生産性向上にもつながるでしょう。
離職率の低減につながる
ロールモデルを設定することで、離職率を低減させる効果ができます。
社内に見習いたい人(ロールモデル)がいる場合、その人と一緒に働きたい・その人から学びたいという思いで、会社に留まる人も多いでしょう。
離職率を下げることができれば、新たな採用にかかるコストも削減できます。
多様な働き方が可能になる
さまざまな働き方で活躍しているロールモデルを参照することで、自分の働き方を見直し、自分にあった働き方を考えるきっかけになるでしょう。
ロールモデルが、社内の人の場合は、働き方や仕事への向き合い方を聞いて参考にする、社外の人の場合は、働き方に関する情報を集め、ノウハウを習得するなど、さまざまな角度から、自分にあった働き方を考えましょう。
女性の活躍躍進につながる
近年、結婚や出産、育児や介護などのライフイベントと並行して、キャリアプランを描く女性も多く、女性の活躍躍進を推進する企業も増えています。
しかし、まだまだ前例は少なく、プライベートと両立して働き続けることに不安を覚える女性従業員も多いでしょう。
このような状況のなかで、同様のライフイベントを経て働くロールモデルが身近にいると、キャリアビジョンを描きやすくなります。
女性のロールモデルは、女性が活躍する組織づくりにも効果的に働くでしょう。
ロールモデルに設定すべき人物とは
ロールモデルの選び方を確認する前に、ロールモデルに設定すべき人物とは、どのような人物なのかを確認しておきましょう。
社内の先輩や上司
社内の先輩や上司をロールモデルに設定すると、実際の働きぶりや価値観を間近で学ぶことができ、キャリアプランの参考にしやすいでしょう。
ロールモデルにするのは、同じ部署の上司や直属の上司に限らなくても大丈夫です。
尊敬できる部分や理想のキャリアを辿っている先輩がいないか、広い視点で探してみましょう。
接点のある社外の人
ロールモデルに設定するのは、社内の人に限る必要はありません。
同業他社の人や、接点がある取引先の人など、お手本にしたい人がいれば、ロールモデルに設定しましょう。
自分自身が、その人の行動や考え方に共感でき、お手本にしたいと思えることが大切です。
歴史上の人物
ロールモデルに設定する対象は、接点のある人や身近な人に限る必要はありません。
たとえば、歴史上の人物や有名人などを設定することも可能ですが、自分と接点のない人を、ロールモデルに設定する際は、大きすぎる目標や抽象的すぎる理想になっていないか注意する必要があります。
ロールモデルを設定する際は、自分の仕事や業務に還元できるかどうかも確認することが大切です。
企業やブランド、サービス
ロールモデルは一般的に、規範となる人物のことを指しますが、期待するメリットによっては、設定する対象を企業やブランド、サービスにすることで効果が期待できます。
たとえば、個人のロールモデルとなるのは人が多いですが、起業する際のロールモデルとして、老舗の企業や人気のブランド・サービスを目標にするケースもあるでしょう。
就業年数別のロールモデルに求められる要件
ロールモデルは、就業年数に応じて、求められる要件が異なります。
今回は、以下の3つの就業年数別に、ロールモデルに求められる要件を解説します。
- 新入社員のロールモデル
- 中堅社員のロールモデル
- ベテラン社員のロールモデル
就業年数別にどのような違いがあるのかを、詳しく確認していきましょう。
新入社員のロールモデル
新入社員のロールモデルを設定する際は、新入社員と比較的年齢が近く、能力やスキルをうまく使い、活躍している若手社員を定めるようにしましょう。
新入社員は、仕事の進め方や適切なコミュニケーションのとり方、上司との関係構築など、ビジネスの基本的な事項の進め方に迷うことが多いです。
生き生きと働いていて、なおかつ成果を発揮している若手社員は、仕事に対する考え方や業務の進め方において、新入社員の参考になる点が多いでしょう。
中堅社員のロールモデル
中堅社員のロールモデルを設定する際は、いままでに学んだスキルやノウハウを活かし、主体的に業務を進めている従業員を定めると効果的です。
企業が大切にしている価値観をもって行動しているかや、周囲に良い影響を与え、企業に貢献しているかなどを基準に、設定しましょう。
ベテラン社員のロールモデル
ベテラン社員のロールモデルを設定する際は、周囲をよく観察し、チームの能力を最大限に発揮させられる管理職を定めるようにしましょう。
ベテラン社員は、企業の未来を背負っているからこそ、さまざまな人の意見をくみ取りながら、企業をより成長させられる、実行力のある従業員をロールモデルにすることが適切です。
2種類のロールモデルの設定方法
ロールモデルの設定方法は、自分が強い憧れや魅力を感じた際に定める方法と、企業側が独自に定める方法の2種類があります。
それぞれの設定方法について見ていきましょう。
自分で設定する方法
ある特定の人物に対して、尊敬や憧れの気持ちを漠然と抱いた経験があるでしょうか。
尊敬できる人がいる場合、なぜその人に尊敬や憧れの気持ちを抱いたのかを深堀りし、見習いたい・実現したいものであれば、その人物をロールモデルに設定しましょう。
ロールモデルに設定する人は、見習いたい部分が多く、共感する点が多ければ、社内外の人、経営者や歴史上の人物、家族や友人など、関係性を問わず設定することができます。
企業が設定する方法
企業がロールモデルを設定する場合は、経営理念に近く、経営目標に貢献している従業員を設定するようにしましょう。
たとえば、企業が掲げるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を理解し、自ら主体的にMVVに基づいて行動している従業員をロールモデルに設定することで、個人の成長だけでなく、経営理念の浸透やミッションやビジョンの達成に向けた組織の活性化にもつながるでしょう。
また、特定の従業員を、ほかの従業員のロールモデルにする方法もあります。
企業が考える模範的な人物(ロールモデル)が身近にいることで、従業員の仕事へ向かう姿勢を意欲的にさせたり、近づこうと努力させることができるでしょう。
>MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させる方法や企業事例に関する記事はこちら
ロールモデルの設定手順
最後に、ロールモデルを設定する手順についてみていきましょう。
ロールモデルは、無理にひとりに絞る必要はありません。
自分の理想のキャリアプランや、高めたいスキルなどを基準に、お手本にしたいポイントがある対象を選ぶようにしましょう。
手順(1): ロールモデルを設定する
企業側は従業員に対して、ロールモデルに設定したい人物が、社内にいないかを確認してもらいましょう。
たとえば、下記のようなテーマで、仕事をするうえで大切にしたいことや、実現したい理想像を描きその思いに基づいて、ロールモデルを選択するように促します。
- 自分が5年後にどうなっていたいか
- どのようなキャリアを積んでいたいか
- どのように仕事をこなしていたいか
- どんなスキルを身につけたいか
同じ部署の先輩など、身近な存在を設定した場合、間近で仕事ぶりを見ることができ、モチベーションが高まりやすいことも併せて伝えるとよいでしょう。
手順(2): 人材を選定する
従業員が自分でロールモデルを見つけられない場合、企業側でロールモデルとなる人物像の構築をおこない、その従業員をロールモデルに近づけるための教育をおこないましょう。
教育する従業員が多数いる場合は、企業が求めるロールモデル像に向けて、伸ばしてほしい部分を高めるための集合研修や教育をおこないます。
教育する従業員が少ない場合は、理想のロールモデルを企業側から個別で直接伝える方法もあります。
また、従業員の教育にはメンターを活用することで、ノウハウやスキルの習得に加えて、悩みを相談することもできるため、心理的安全性の担保にもつながり効果的です。
手順(3): ロールモデルを分析する
実際に社内に手本となる人物がいる場合は、その人の行動や思想の分析をおこないましょう。
- 仕事で大切にしていること
- 仕事への価値観
- 一日のスケジュール
- 仕事管理の仕方
「仕事への価値観」や「仕事管理の仕方」のように、思想、行動、具体的なノウハウなど、さまざまな観点からヒアリングし、その人がなぜ手本となるのか、従業員から憧れられるのかの原因を突き止めましょう。
手順(4): ロールモデルを周知する
ロールモデルとなる従業員の分析や、ロールモデルになる候補の育成が進んだら、従業員に周知をおこないましょう。
ロールモデルを従業員に周知することで、研修時に紹介することや、人材教育の際に仕事のノウハウを話してもらうなどの施策をおこなうことができます。
ロールモデルを正しく理解して活用しましょう
ロールモデルを活用するためには、導入の効果や導入方法を理解したうえで、導入を検討することが大切です。
企業側でロールモデルを定める場合は、就業年数に応じた理想像を考え、スキルの習熟度や役職に応じたロールモデルを設定してください。
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