みなし残業とは?メリット・デメリットや仕組み・注意点をわかりやすく解説

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業務効率化
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みなし残業とは?メリット・デメリットや仕組み・注意点をわかりやすく解説

目次

みなし残業は、一定の残業をおこなうことを見込んで、基本給に固定の残業代を含めて支給する賃金制度のことです。

適切に導入・運用することで、企業・従業員の双方に、さまざまなメリットがあることから、導入を検討する企業は少なくありません。

しかし、みなし残業の導入・運用は、要件を満たしていない場合、違法になる可能性があるため、事前に注意点やポイントをおさえることが大切です。

みなし残業のメリット・デメリットや、仕組み・注意点について、わかりやすく解説します。

みなし残業の意味とは

みなし残業とは、一定の残業をおこなうことを見込んで、あらかじめ固定給に残業代を含めて支払う賃金制度のことです。

外回りをおこなう営業職など、正確な残業時間の把握が難しい場合に活用されることが多いです。

みなし残業には、「事業場外労働制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の3種類があり、想定される職種や対象業務によって、種類が異なります。

企業側は、みなし残業代を支払うことで、人件費の変動をなくせるため、残業代の算定業務が不要になるなどのメリットを享受できますが、導入の際は必要事項を雇用契約書、就業規則、求人広告などへ明記する必要があるなどの注意点があります。

注意点を遵守しない場合、違法にあたる危険性もあるため、導入を検討する際は、注意事項や必要事項を把握したうえでおこないましょう。

みなし残業の仕組み

みなし残業制度は、企業があらかじめ、一定時間の見込み残業時間を想定し、その時間に対して、固定の残業代を支払う仕組みです。

なお見込んだ残業代には、以下の賃金が含まれます。

 (1)労働基準法によって定められた、1日8時間(週40時間)を超える時間外労働に対する割増賃金
 (2)22時から5時までの労働に対する深夜割増賃金
 (3)休日出勤による労働に対する割増賃金

みなし残業代は、企業が想定する残業時間に対して、支給額が決められていますが、実際の残業時間が、見込まれた残業時間を超過することもあります。

この場合、企業はみなし残業とは別に、超過した時間分の残業代を支払う必要があることを、認識しておきましょう。

みなし残業を適用できる3種類のみなし労働時間制

労働時間の算定方法は、労働基準法によって定められているため、企業側は、始業と終業の時刻の記録などをおこない、労働時間を把握する必要があります。

しかし、特定の要件を満たしている場合のみ、みなし労働時間制を適用することが可能になるため、みなし残業時間をとりいれたい企業は、要件を確認していきましょう。

労働基準法によって定められている「みなし残業を適用できる労働時間制」は、以下の3種類です。

事業場外労働制

労働基準法第38条の2によると、従業員が社外で業務をおこなう必要があり、実際に働いている時間を企業が算定するのが難しい場合は、一定の時間を労働時間とみなすことが可能とされています。

労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。

[※1]

なお、このケースに当てはまる「事業場外労働に該当する職種」としては、以下の職種があげられます。

  • 外まわりをおこなう営業職
  • テレワークをおこなう社員 
  • 在宅勤務をおこなう社員
  • バスガイド
  • 添乗員

また、事業場外労働制が適用される要件として、下記の要件があげられます。

  • 業務を事業場外でおこなう必要がある
  • 実際の労働時間の算定が困難である
  • 労働時間を管理できる者がいない
  • 使用者による指示が受けられない

事業場外で業務をおこなう場合でも、業務をおこなうメンバーの中に労働時間を管理できる人がいる場合は、事業場外労働制は適用されない点に注意が必要です。

また、使用者から携帯電話などで随時指示をうけられる状況や、訪問する時刻と帰社時刻が明確になっており、使用者の指示どおりに業務をおこなったうえで、事業場に戻れる場合も、事業場外労働制には適用しません。

専門業務型裁量労働制

「専門業務型裁量労働制」は、労働基準法38条の3により定められている要件で、研究職などの専門性が高い職種において、手段・方法・時間配分などの裁量を、労働者に任せたほうが、効率的に業務がおこなえると判断された場合に適用される要件です。

なお、対象となる業務は、厚生労働省が指定している19の業務のみです。

  1. 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
  2. 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
  3. 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  6. 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
  7. 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
  8. 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
  10. 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務
[※2]

企画業務型裁量労働制

「企画業務型裁量労働制」は、業務の手段・方法・時間配分を、労働者に任せたほうが効率的に業務が遂行できる場合に適用される要件です。

労働基準法38条の4によると、この要件が適用されるのは、事業の運営に関わる企画・立案・調査・分析の業務に限定されています。

要件を満たす対象業務の一例として、下記の業務があげられます。

  • 人事
  • 労務
  • 経理
  • 財務
  • 広報
  • 経営企画

なお、「企画業務型裁量労働制」の適用は、対象となる業務をおこなうすべての事業場に適用されるわけではない点に注意が必要です。

企画業務型裁量労働制を導入できる事業場の要件は、厚生労働省によって以下と定められています。※[3]

 【1】 本社・本店である事業場
 【2】【1】のほか、次のいずれかに掲げる事業場 

  1. 当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行なわれる事業場
  2. 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場

みなし残業を導入するメリット:企業側

ここまで、みなし残業を適用できる3種類のみなし労働時間制について解説してきましたが、実際にみなし残業を導入するメリットには、どのようなものがあるでしょうか。

また、導入企業が増えている「みなし残業」には、デメリットはあるのでしょうか。

みなし残業を導入するメリット・デメリットを、企業側・従業員側、それぞれの目線から確認していきます。

まずは、企業がみなし残業を導入するメリットを見ていきましょう。

人件費の見通しが立ちやすい

みなし残業を導入すると、人件費の見通しが立てやすくなります。

残業時間ごとに残業代を支給する方法をとっている場合、従業員の労働時間を毎月確認し、残業代を算出するため、毎月の人件費の変動が予想されます。

しかし、みなし残業を導入した場合、残業代が固定の支払いになるため、年間で必要になる人件費の見通しが立ちやすくなるでしょう。

残業代の算定業務が不要になる

みなし残業を導入した場合、残業代の算定業務が不要になるというメリットもあります。

従業員の残業時間ごとに、残業代を算定する場合、残業をおこなった従業員すべての残業代を、毎月算定する必要がありますが、みなし残業を導入した場合、残業代が固定になるため、算定業務が不要になります。

人件費の見通しが立てやすくなるとともに、賃金の処理業務に費やしていた時間を、別の業務に活用することもできるようになるため、企業にとっては、メリットが大きいでしょう。

人件費の変動を抑えられる

みなし残業の導入によって、残業代が固定になると、人件費の変動を抑えることができます。

予算の変動を抑えることで、人件費の見通しが立ちやすくなるため、経営判断や業績の見込みをおこなう際の、精度向上も期待することができるでしょう。

従業員の意欲・生産性の向上につながる

みなし残業を導入すると、人件費のコスト削減や業務効率化にくわえ、従業員のモチベーション向上の効果も期待できます。

みなし残業は、一定の残業をおこなうことを見込んで、あらかじめ固定給に残業代を含めて支払う賃金制度のため、実際の残業時間が、みなし残業の時間を満たしていない場合でも、従業員に残業代が支払われます。

そのため、従業員によっては、仕事を早く終わらせ、効率的に給与をうけとろうとする人もいるでしょう。

仕事を早く終わらせるために、業務の効率化をはかる社員が増えると、生産性の向上も期待できます。

>生産性向上とは?に関する記事はこちら

みなし残業を導入するデメリット:企業側

企業がみなし残業を導入するメリットを確認してきましたが、導入を検討する際は、デメリットについても把握しておくことが大切です。

企業がみなし残業を導入するデメリットについてみていきましょう。

過剰な残業代を支払う可能性がある

みなし残業は、みなし残業として定めた時間より、実際の残業時間が少なくなった場合でも、一定の残業代を支払う必要があります。

適切な運用ができていない場合は、人件費を増やす要因にもなりえるため、注意が必要と言えるでしょう。

サービス残業の促進につながる可能性がある

みなし残業を導入すると、従業員に「一定時間を超えた残業代は支払われない」という誤解を与える可能性があります。

誤った認識がサービス残業を促進してしまう可能性もあるため、導入する際は、制度の詳細を、従業員に周知することが重要でしょう。

>サービス残業とは?に関する記事はこちら

強制的な残業だと誤解される可能性がある

みなし残業として、一定の時間が定められていたとしても、残業しなければいけないわけではありません。

しかし、従業員のなかには、残業をせずに退勤してもよいことを知らず、みなし残業で定められた時間分、残業をしなければいけないと誤解する人が出てくる可能性があるでしょう。

このような誤解を防止するためには、制度の仕組みを周知することが大切です。

また、採用活動をおこなう際に、「残業ありきの仕事ということは、ブラック企業である」と誤解をうける可能性もあります。

求人をだす際は、みなし残業を導入する理由や背景を明記するなど、誤解を生まない工夫が必要になるでしょう。

みなし残業を導入するメリット:従業員側

ここまで、企業がみなし残業を導入するメリット・デメリットについて解説してきましたが、実際に「みなし残業」が適用される従業員には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

まずは、みなし残業の導入で、従業員が得られるメリットについて見ていきましょう。

安定した収入を得られる

みなし残業によって、毎月の給与額を安定させられるというメリットがあります。

残業時間によって残業代が決まる場合、毎月の給与額が変動してしまいますが、みなし残業の場合は、残業代が固定になるため、毎月決まった額の収入を得ることができます。

毎月の収入が一定になることで、収入の増減による不安感がなくなったり、生活の見通しが立てやすくなったりする点が、従業員側のメリットといえるでしょう。

モチベーション維持につながる

みなし残業の場合、定められた労働時間よりも、実際の労働時間が下回った場合、金銭的に得をすることになります。

仕事を早く終わらせれば終わらせるほど、金銭的なメリットが大きくなるため、仕事へのモチベーション維持につながるでしょう。

仕事を早く終わらせるためには、効率的に仕事をおこなう必要があるため、生産性の向上や従業員自身の成長も期待できます。

>業務効率化の手法に関する記事はこちら

みなし残業を導入するデメリット:従業員側

自分が所属している企業や、転職先の企業が、みなし残業を導入する場合、デメリットも確認しておきましょう。

とくに、転職を検討している際は、残業の有無や、残業代の支払い方法は注視したいポイントです。

みなし残業の導入によって考えられる、従業員のデメリットについて、みていきましょう。

サービス残業が暗黙の了解になる可能性がある

みなし残業制がとられていると、サービス残業が暗黙の了解になってしまう危険性もあります。

みなし残業が導入されると、定められた時間以上の残業には、残業代が支給されないと誤解する人がいるかもしれません。

また、このような誤解が原因で、みなし残業の規定を超えた残業代の申請をせずに、サービス残業をおこなってしまう可能性も考えられるでしょう。

仮に、制度を正しく理解していたとしても、上司や先輩社員が残業代を申請しない環境の場合、申請しづらい雰囲気になってしまい、サービス残業が暗黙の了解になってしまうこともあります。

サービス残業は、モチベーションやエンゲージメントの低下、離職率の向上にもつながる行為です。

企業側は、みなし残業を超えた場合の残業代の申請がしやすい環境を整える、制度の正しい理解を促進するなどの対応が求められるでしょう。

>エンゲージメントとは?に関する記事はこちら

残業代が支払われない可能性がある

企業によっては、みなし残業で決められた時間を超えた残業時間に対して、残業代を支払わないと通告する企業もあります。

しかし、みなし残業の時間を超過した場合の残業代を支払わないのは違法であり、企業の存続に影響を与えるほどのダメージになりえます。

みなし残業を導入する際は、適法で運用できるように、違法になるポイントに留意しましょう。

企業側が、正しく運用することも大切ですが、心理的安全性の高い職場環境を構築するためにも、従業員一人ひとりが、正しい知識をつけることも大切です。

>未払い賃金の違法性に関する記事はこちら

>労働基準法を違反した場合の罰則に関する記事はこちら

みなし残業を導入するときの注意点

みなし残業は、労働基準法で定められた要件にのっとって運用しないと、違法になる可能性があります。

適切に導入・運用するために、みなし残業を導入する際の注意点を見ていきましょう。

みなし残業を従業員に周知する

みなし残業を導入する場合、企業は従業員に周知する義務があります。

また、周知する際は、口頭で説明するのではなく、雇用契約書などの書面で周知する必要があります。

書面に必要事項の記載がされていない場合、違法になる可能性があるため、注意しましょう。

雇用契約書・就業規則に必要事項を明記する

みなし残業に関する必要事項を、雇用契約書・就業規則に明記していない場合、違法になる可能性があります。

適法で運用するためには、以下の事項の記載が必要になります。

  1. 固定残業代を除いた基本給の金額
  2. みなし残業として定める残業時間と金額
  3. みなし残業代の計算方法
  4. 規定のみなし残業を超えた場合の残業・休日労働・深夜労働に対して
    別途で残業代の支払いをおこなう旨

トラブルを防ぐためにも、必ず必要事項を明記するようにしましょう。

求人情報に必要事項を明記する

みなし残業を導入している企業が、求人広告を掲載する場合、みなし残業の内容を明記する義務があります。

違法にならないためには、以下の項目の記載が必要です。

  1. みなし残業代を含まない基本給の金額
  2. みなし残業として定める時間数
  3. みなし残業代として定める金額
  4. みなし残業代を求める計算式
  5. 規定のみなし残業時間を超えた場合の残業・休日労働・深夜労働に対して
    別途で残業代の支払いをおこなう旨

なお、必要事項を適切に明記しない場合、トラブルになる可能性もあるため、必要事項の適切な明記を徹底しましょう。

みなし残業は月45時間以内で設定する

36協定(時間外・休日労働に関する協定届)により、法定労働時間の上限は月45時間と定められています。

そのため、みなし残業の時間を設定する際は、45時間を超えないように設定をおこないましょう。

なお、みなし残業を含む残業時間が、やむをえず45時間を超える理由がある場合は、労働基準監督署への申請で許可される場合もあります。

残業時間を適切に把握する

みなし残業を導入した場合でも、企業は残業時間を把握する必要があります。

そのため、勤怠を正しく把握できるツールを導入するなど、残業時間を管理できるよう努めましょう。

>出退勤管理システムを導入するメリットに関する記事はこちら

給与明細を正しく記載する

みなし残業代を基本給に含めて給与明細に記載した場合、違法になる恐れがあります。

給与明細には、基本給とみなし残業を区別して記載し、みなし残業の時間と金額を明確に記載することで、適切に運用できるでしょう。

月給が最低賃金を下回らないようにする

みなし残業代を含めたひと月の給与が、労働基準法によって定められた最低賃金を下回ると、違法とみなされます。

給与額を決める際は、最低賃金を把握したうえで、みなし残業代を含めた月給を設定しましょう。

 

みなし残業が違法になるケース

みなし残業を導入する際の注意点について確認してきましたが、みなし残業は要件をみたして、正しく運用すれば、違法にはなりません。

しかし、以下に該当する場合は違法行為にあたります。

  • みなし残業代を含めた月給が、最低賃金を下回っている
  • 雇用契約書などにみなし残業制の詳細を記載していない
  • 就業規則にみなし残業代が、どの割増賃金に該当するか記載していない
  • 労働時間の把握・管理ができていない
  • みなし残業を超過した残業時間分の残業代を支払っていない

みなし残業の導入・運用が違法にならないよう、注意点とポイントをおさえ、適切に運用していきましょう。

みなし残業で違法・トラブルを防止するポイント

最後に、みなし残業で違法・トラブルにならないように、正しく運用するためのポイントを解説します。

ポイントをおさえて、みなし残業のメリットを享受しましょう。

みなし残業の時間を適切に設定する

みなし残業の時間を、適切に設定できていない場合、残業代の算定が必要になるなど、メリットが得られなくなります。

部署やチーム単位などで、必要なみなし残業時間を細かく明確にしたうえで、適切なみなし残業時間を設定しましょう。

また、状況が変わることで、規定時間が変更になる可能性もあるため、みなし残業時間は、定期的に確認・見直しをおこなうことも大切です。

残業代を申請しやすい環境を整える

みなし残業時間を超過した場合の残業代を支払わない場合、故意の有無に関わらず違法になります。

そのため、従業員にみなし残業の詳細を周知するほか、従業員が残業代を申請しづらい雰囲気にならないよう、上司が率先して申請するなど、残業代を申請しやすい環境を整えることも重要です。

記載する必要事項の内容を明確にする

みなし残業を正しく運用するためには、法律で定められた必要事項を、必要書類に記載する必要があります。

部署などによってみなし残業時間が異なると、記載する必要のある内容が社内で複数あるケースも出てきます。

導入するまえに、必要事項の内容をすべて明確にしておくようにしましょう。

導入の要件を確認する

みなし残業の導入には、複数の要件を満たしている必要があります。

正しく運用するために、以下の要件を満たしているかを確認しましょう。

  1. 厚生労働省が定めるみなし労働時間制の要件を満たしている
  2. みなし残業に関して、従業員に周知する必要がある
  3. みなし残業時間を超過した場合、別途で残業代を別途支払う義務がある
  4. みなし残業として定める時間と金額を、書面へ明確に記載している

なお、不明点などがある場合は、必ず労働基準監督署などに相談し、違法にならない導入・運用であることを確認したうえで、導入をはじめましょう。

みなし残業は正しく運用することが重要

みなし残業は、要件を満たした業務や事業場に対して、適切に導入・運用することで、企業や従業員にとってさまざまなメリットがある制度です。

しかし、要件を満たしていない場合は、故意の有無に関わらず違法となるため、注意点やポイントをおさえ、正しく導入・運用することが大切です。

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[※1]出典:e-Govポータル
「昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法」(2022年8月15日時点)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

[※2]出典:厚生労働省「専門業務型裁量労働制」(2022年8月15日時点)
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/

[※3]出典:厚生労働省「企画業務型裁量労働制」(2022年8月15日時点)
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/kikaku/


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