「QOL(クオリティ オブ ライフ)」とは?向上させる方法やメリットを解説
目次
「QOL(クオリティ オブ ライフ)」は、「人生の質」を意味する言葉で、従業員の健康維持などに効果を発揮するとして、昨今取り組む企業が増えています。
従業員の人生の質を高めるためにも、企業側はQOLの意味を理解し、積極的に取り組むようにしましょう。
本記事では、QOLの意味や構成要素、向上させる具体的な方法を解説します。
「QOL」の意味・定義とは
「QOL」とは、「Quality of Life(クオリティ オブ ライフ)」の略語で、「生活の質」や「人生の質」を意味する言葉です。
QOLは、WHO(世界保健機関)によって「個人が暮らす文化と価値の体系を背景とした、その個人自身が置かれた生活の状況についての認識であり、当該個人にとっての目標、期待、基準及び関心に関連するもの」と定義づけられており、主に医療や福祉の現場で活用されています。
一方で、ただ生きるのではなく、心身ともに満たされた状態で生きること、生活することを指す「QOL」は、従業員の健康維持などの観点から、ビジネスの場でも注目を集めている考え方です。[注]
企業が「QOL」を重要視すべき理由
近年は、働き方改革が進み、ワークライフバランスを重要視する従業員が増えてきています。
たとえば、仕事を定時に終了し、趣味の時間を楽しんだりゆったりと過ごしたりして生活の質が向上すると、残業続きによって疲労がとれない・インスタント食品しか食べられていないといった状態にならず、従業員の満足度が向上し仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
また、従業員のワークライフバランスが実現すると、残業ゼロを達成できたり、有休消化率が高まったりなど、採用活動などでアピールできるポイントができ、企業側にとってもメリットとなるでしょう。
従業員が健康的に働ける環境の整備や、企業の持続的な成長を目指すうえでも、企業はQOLを重視する必要があるでしょう。
「QOL」を構成する要素とは
「QOL」を構成する要素の一例を紹介します。
- 心身の健康
- 自立した生活
- 社会との関わり
どのような要素がQOLを構成するかを知ったうえで、向上の取り組みができるようになりましょう。
心身の健康
豊かな生活を送るためには、心身共に健康である必要があります。
食事や運動、睡眠などに気を配り、規則正しい生活を送れば、心身の健康を維持できます。
QOLの向上には、身体と精神どちらの健康も欠かせない点を覚えておきましょう。
自立した生活
自立した生活を送れている状態も、QOLを高めるうえで必要な要素のひとつです。
お金がないなどで生活が厳しくなると、食べるものや着るもの、また趣味など、生活を充実させるために必要なお金が減ってしまい、生活水準が下がって、空腹やストレスを感じるようになってしまうでしょう。
そのため、自分の力でお金を稼ぎ、自立した生活を送っている状態は、心身を充実させるうえで重要です。
社会との関わり
さまざまな人とコミュニケーションをとったり、人の役に立ったりなど、社会との関わりがあると、社会に所属している実感ができて自己肯定感が高まるなど、QOLを向上できるでしょう。
ビジネスシーンに限らず、友人、知人、お店の店員とのやりとりなども、社会との関わりとしてあげられます。
ビジネスシーンでQOLを低下させる要因
QOLを低下させる要因は、プライベートだけでなく、ビジネスシーンにも多く存在します。
本記事では、ビジネスシーンでQOLを低下させる恐れがある要因の一例を紹介します。
- メンタルヘルス
- 仕事の質や量
- 人間関係
- ハラスメント
要因のなかには、企業側の取り組みで防げるものもあります。
従業員のQOL低下を招かないために、QOLの低下を招く要因を把握しておきましょう。
メンタルヘルス
メンタルヘルスの不調は、QOLの低下を招きやすいです。
心身に不調が生じてしまうと、仕事だけでなく、日常生活でも満足感を得られなくなり、場合によっては通院による金銭的、時間的な負担がかかる恐れもあります。
また、休業や退職となった場合は、経済面の心配が生じ、心身ともに満足のいく生活が送れなくなってしまう可能性もあるでしょう。
仕事の質や量
仕事の質や量が自分に合っていない場合、働きづらさや不満が生じてしまい、QOLが低下してしまう可能性があるでしょう。
たとえば、自分には難しすぎる、あるいは簡単すぎる仕事や、周りと比べて業務量が多すぎるといった状況は、適切に評価されていないと感じる要因になったり、残業が増えたりして、不満を感じやすくなります。
また、このような状況が続くと、企業に対する信頼が低下してしまい、エンゲージメントの低下や離職増加を招きかねません。
企業側は、従業員それぞれに適切な仕事の質や量を提供する必要があるでしょう。
人間関係
ビジネスシーンでは、さまざまな人と関わる必要があるため、人によっては、合う合わないがある可能性が高いでしょう。
また、部署異動や転勤がある企業では、現状は良くても、異動後に人間関係のストレスやトラブルが発生するケースもあります。
人間関係の悩みを解決・改善できないと、従業員の心身の不良につながり、休業や離職に至ってしまうリスクもあります。
ハラスメント
パワハラやセクハラなどのハラスメントが発生すると、被害にあっている従業員に限らず、周りの従業員にもマイナスの影響が生じてしまうでしょう。
とくに、被害者は心身に大きな傷を負い、仕事へのモチベーションが下がったり、体調を崩して休業したりするケースもあります。
ハラスメントの防止は、企業の義務でもあります。
まずは、ハラスメントに対する正しい知識をつけ、ハラスメント研修をおこなったり、相談窓口を設置したりなどの対策をおこないましょう。
>【社労士監修】ハラスメントの定義とは?に関する記事はこちら
個人ができるQOL向上の取り組み
QOLを向上させるためには、具体的にどのような取り組みを実践すればいいのでしょうか。
QOLの向上に効果的な個人ができる取り組み、企業ができる取り組みを、2つの視点から紹介します。
まずは、個人ができるQOLの向上方法を5つ紹介します。
- 方法(1):良質で十分な睡眠
- 方法(2):適度な運動
- 方法(3):規則正しい食生活
- 方法(4):趣味などの楽しみ
- 方法(5):なにも考えない時間
簡単に取り組める方法が多いため、自分が取り組みやすいものからはじめてみてはいかがでしょうか。
方法(1):良質で十分な睡眠
質の高い睡眠は、QOLの向上につながります。
睡眠は、心身の疲れをとり、体調を整えてくれるため、日々を元気に過ごすうえで重要なものです。
良質な睡眠をとれるように、寝る前にスマートフォンをいじらないようにしたり、寝具を自分に合ったものにしたりするなどの工夫をしてみましょう。
方法(2):適度な運動
適度な運動は、肥満防止や筋力や体力の維持・向上につながるため、健康の維持にはもちろん、病気になるリスクを抑えるためにも重要です。
また、運動は、心のリフレッシュにもつながるため、ストレスの発散にも効果的でしょう。
方法(3):規則正しい食生活
規則正しい食生活は、身体に必要な栄養をバランスよくとるために重要です。
脂っこい食べ物やお菓子ばかり食べてしまったり、夜食を欠かさなかったりなどの生活を続けてしまうと、体調不良や肥満になる可能性が高くなってしまいます。
QOLの向上には、栄養バランスのとれた食事をしたり、食事をとる時間に気をつけたりなど、生活習慣を改善する必要もあります。
一方で、自分が好きなものを食べる行為は、ストレス発散につながるため、心が満たされる食事を適度にとる食生活も大切です。
方法(4):趣味などの楽しみ
趣味などの楽しみをもっていると、QOLの向上につながります。
仕事へのモチベーションアップやストレス解消を目指すうえでも、仕事以外の楽しみをもっていることは重要です。
また、自分が楽しいと思う物事を追求すると、新たな価値観や交友関係を得られ、よりいっそう人生を充実させられるでしょう。
方法(5):なにも考えない時間
心身のリラックスには、なにも考えない時間を作る意識づけも重要です。
人は、日常生活を送るなかでさまざまな思考をめぐらせているため、意識的になにも考えない時間を作り、思考や不安・ストレスなどから離れることで、気分をリフレッシュさせたり、集中力を高めたりできるようになります。
「マインドフルネス瞑想」を取り入れている企業もあります。
始業前やお昼休みなど、取り入れやすいタイミングで試していくと、より集中して仕事に向き合えるようになるかもしれません。
>マインドフルネス瞑想を企業に導入するメリットとは?に関する記事はこちら
企業ができるQOL向上の取り組み
最後に、QOLの向上に向けて、企業ができる取り組みの一例を紹介します。
- 方法(1):柔軟な働き方の実現
- 方法(2):休暇取得の推進
- 方法(3):残業時間の削減
- 方法(4):定期的な健康チェック
企業が持続的に成長するためには、従業員のQOLの向上も重要な要素となってきます。
ぜひ、QOL向上の重要性を認識し、積極的に取り組んでみてください。
方法(1):柔軟な働き方の実現
リモートワークやテレワークの導入、フレックスタイムや時差出勤など、柔軟な働き方の実現は従業員のQOL向上に効果的です。
柔軟な働き方を導入すると、従業員は、育児や介護、また、副業や趣味などのプライベートの時間を充実させやすくなり、ワークライフバランスの実現に近づくでしょう。
また、通勤がなくなった場合、通勤で生じるストレスや疲れから解放されるため、疲れによる生産性やモチベーションの低下を防止できます。
方法(2):休暇取得の推進
年次有給休暇などを従業員が取得しやすい環境を整備する取り組みも、QOLの向上に効果的な施策のひとつです。
休暇取得は、心身の疲労軽減やリフレッシュにつながるだけでなく、仕事へのモチベーション向上にも効果を発揮します。
また、有給だけでなく、産休や育休、介護休なども取得しやすくすれば、従業員にとって長く働ける職場として整備ができます。
そのため企業は、休暇をとりやすい環境の整備と、積極的な休暇取得ができる風土を醸成しましょう。
たとえば、休暇を取得する従業員がいる場合、休暇を取得しない従業員に業務が偏らないように配慮したり、上司が率先して休暇を取得したりなど、さまざまな方法を検討する必要があります。
方法(3):残業時間の削減
長時間労働による疲労の蓄積や、仕事にプライベートの時間が圧迫される状況は、QOLに悪影響を与えかねません。
企業は、従業員のワークライフバランスを実現し、QOLを向上させるためにも、積極的に残業時間の削減に取り組みましょう。
また、昨今、働き方改革の影響で、労働時間や残業時間に対する意識も高まっています。
多様な働き方の導入や業務効率化ツールの導入などを検討し、従業員が働きやすい職場づくりに取り組んでいきましょう。
方法(4):定期的な従業員の健康チェック
従業員の健康状態に変化がないかに関する定期的なチェックにより、不調の早期発見や対応ができるようになると、休業や離職リスクを抑えることができるようになるでしょう。
また、企業が従業員の健康に意識を向けることで、従業員の企業に対する信頼感や働きやすさが向上し、QOLを高めることにもつながります。
健康診断はもちろん、ストレスチェックやサーベイなど、自社にあった方法で、従業員の健康維持を目指しましょう。
柔軟な働き方の推進に「Chatwork」
「QOL(クオリティ オブ ライフ)」とは、「生活の質」や「人生の質」を意味する言葉で、昨今ビジネスシーンでも注目を集めている考え方です。
従業員のQOLが向上することで、仕事へのモチベーションアップや集中力のアップといったメリットを期待できるため、企業は、積極的にQOLの向上に取り組みましょう。
QOL向上の取り組みのひとつとして、柔軟な働き方の導入を紹介しましたが、柔軟な働き方の推進には、ビジネスチャット「Chatwork」の導入がおすすめです。
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そのため、リモートワークやテレワークを導入して、オンラインでやりとりすることになった場合でも、ストレスなく、円滑なコミュニケーションを実現できるでしょう。
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QOL向上の一助として、「Chatwork」の導入をぜひご検討ください。
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[注]出典:内閣府「QOL向上など成長の「質」を考慮した経済と社会保障のシミュレーション」
https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/archive/new_wp/new_wp060/new_wp058.pdf
※本記事は、2023年12月時点の情報をもとに作成しています。