打刻をする意味とは?打刻漏れのリスクや打刻忘れの対応方法を解説

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働き方改革
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打刻をする意味とは?打刻漏れのリスクや打刻忘れの対応方法を解説

目次

多くの企業で取り入れられている「打刻」は、従業員の勤怠管理をするうえで必要性が高い作業です。

しかし、なかには打刻の必要性が従業員に浸透していなかったり、打刻方法が適切でなかったりして、打刻漏れや打刻忘れが頻出しているという企業もあるかもしれません。

打刻漏れや打刻忘れが多いと、企業にとってさまざまなリスクがあるため、打刻を適切におこなえる環境の整備やシステムの導入が求められます。

打刻をする意味と必要性、打刻管理の種類や打刻漏れの対応方法を解説します。

打刻とは

打刻とは、労働時間の管理のために、タイムカードや勤怠管理システムに、出退勤や休憩の時刻を印字・記録することを意味します。

打刻すると、従業員の出退勤時間や休憩時間が正確に把握できるため、正しい給与計算や残業管理ができるようになります。

打刻をする意味・必要性とは

毎日の出退勤や休憩時にかならずおこなう「打刻」は、以下のような理由で重要視されています。

  • 正確な労働時間を把握するため
  • 正確に給与計算をおこなうため
  • 残業時間を把握するため

ビジネスにおける打刻の必要性・重要性を詳しく解説します。

毎日何気なくおこなっている打刻にはどのような意味があるのか、いち従業員としてしっかり理解を深めておきましょう。

正確な労働時間を把握するため

打刻は、出退勤時間や休憩時間を記録できるため、正確な労働時間の把握が可能です。

使用者には従業員の労働時間を適正に把握する責務があるという観点から、平成29年1月に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定されました。[注1]

ガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置として、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」と記されています。

そのため、客観的な事実として残せる打刻の記録は、健全な企業経営においても重要といえます。

>【社労士監修】労働基準法に関する記事はこちら

正確に給与計算をおこなうため

労働時間を正しく把握できる打刻は、給与計算の正確性を高めます。

残業代や欠勤・遅刻早退控除なども含め、給与は労働時間や労働時間帯に応じて変化する場合が多いでしょう。

給与計算が正しくできるように、打刻は漏れなくおこなう必要があります。

残業時間を把握するため

従業員の労働時間を把握できる打刻は、残業時間の把握や管理にもつながります。

時間外労働は、法律によって「月45時間、年360時間以内」と定められているため、残業時間をきちんと把握した結果、法律違反の防止や、従業員の心身の健康維持が可能になるとされています。[注2]

打刻漏れ・打刻忘れのリスク

打刻は正しい労働時間を把握し、給与計算をおこなうために重要な作業です。

もし打刻漏れや打刻忘れがあると、以下のようなリスクが生じるため、打刻を適切におこなう必要があります。

  • 勤怠を管理する人の業務が増える
  • 残業代の未払いが発生する
  • 罰則が科されるおそれがある

打刻漏れ・打刻忘れのリスクについて、詳しくみていきましょう。

勤怠を管理する人の業務が増える

従業員の打刻漏れや打刻忘れがあると、勤怠を管理する人の業務が増えてしまいます。

退勤時間が打刻されていないなど、労働時間に不自然な点があった場合などに、勤怠管理者は当該従業員へ都度確認しなければならなくなります。

本来なら発生しなかった業務が増え、残業やストレスの発生につながる可能性もあるでしょう。

>【社労士監修】労務管理に関する記事はこちら

残業代の未払いなどが発生する

正しく打刻がされていないと、労働時間を正確に把握できず、残業代の未払いなどが発生するおそれがあります。

サービス残業のような状態になっていると、のちのち当該従業員から未払い残業代を請求される可能性もあります。

過去にさかのぼって残業代を計算するなどの対応に追われたり、社会的な評価が下がったりするリスクが考えられます。

罰則が科されるおそれがある

前述のように、時間外労働は法律によって上限が定められているため、打刻漏れ・打刻忘れなどで従業員の残業時間を適切に把握できていない場合、時間外労働の超過によって法律違反となり、罰則が科されるおそれがあります。

時間外労働の上限規制に違反した場合の罰則は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。[注3]

打刻のおこない方と種類別のメリット・デメリット

デジタル化が進んだ現在、打刻のおこない方には、さまざまな手段があります。

  • タイムカード
  • ICカード
  • Excel(エクセル)などの表計算ソフト
  • 勤怠管理システム

上記に挙げた各手段における管理方法とメリット・デメリットを解説します。

タイムカード

タイムカードでの打刻は、定められた紙を打刻機に挿入して、出退勤時間を記録する方法です。

機械に紙を入れるだけのシンプルさから、誰でも容易におこなえる一方で、他者のタイムカードでも打刻できたり、集計が手作業になったり、打刻漏れに気づきにくいなどのデメリットもあります。

            
メリット デメリット
・誰でも簡単に打刻できる
・低コストで導入しやすい
・打刻の改ざんや不正行為のおそれがある
・打刻漏れを防ぎにくい
・打刻する紙の管理が必要
・集計が手作業となり手間がかかる

ICカード

ICカードでの打刻方法は、個別の識別情報が格納された交通系ICカードやスマートフォンなどを専用の機器にかざすことで、出退勤時間を記録します。

ICカードは従業員が個別に持っているため、他者が勝手に利用するなどの不正行為を防げるでしょう。

また、打刻するとデータとして記録されるため、勤怠の集計もしやすいです。

打刻方法として便利ですが、専用機器の購入や、カードの紛失・破損時の対応などを定めておく必要があります。

メリット デメリット
・簡単にミスなく打刻できる
・改ざんや不正行為を防止できる
・データ化によって勤怠管理が容易になる
・導入のための環境整備や機器購入の必要がある
・ICカードの紛失や破損時の対応を定めなければならない

Excel(エクセル)などの表計算ソフト

Excelは、従業員が自分で出退勤時間を入力するか、勤怠管理者がタイムカードからExcelに入力して、勤怠管理する方法です。

表計算ソフトにはExcel以外にGoogleスプレッドシートなどがあり、いずれも労働時間や給与の計算をおこなえます。

ただし、従業員数が多い場合などは大量のデータを扱うため、効率的に集計・計算するため関数やマクロを駆使したり、データベースとしての構築をおこなったりなど、運用しやすくなるような作り込みが必要です。

また、法改正などがあった場合には、すでにExcelに入力している計算式を変更する手間が発生します。

メリット デメリット
・自動計算によって計算ミスが生じにくい
・すでに導入している場合、コストがかからない
・時間の入力ミスが発生するおそれがある
・従業員の打刻データを収集しなければならない
・Excelの知識が必要
・法改正などがあると計算式の見直しが必要

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、ICカードや専用機器、打刻用やPCなどと併用しながら、システム上で打刻できるようなシステムのことです。

勤務時間、残業時間のほか、有休の申請や取得状況の確認もできるなど、勤怠に関する幅広い情報管理が可能です。

打刻忘れの通知機能があるなど、スムーズな勤怠管理を実現できますが、導入コストや初期設定の手間がかかるデメリットもあります。

            
メリット デメリット
・勤怠に関する情報を一元管理できる
・打刻忘れの通知機能がある
・長時間労働に対する警告機能がある
・打刻を容易におこなえる
・有休などの勤怠に関する申請や承認をおこなえる
・自動集計のためミスのリスクが少ない
・導入コストがかかる
・初期設定や使い方に慣れるまでの手間がかかる
・システムトラブルのリスクがある

>出退勤システムに関する記事はこちら

打刻漏れ・打刻忘れが生じる原因

打刻漏れや打刻忘れが生じると、勤怠管理担当者の手間が発生したり、正確な給与計算ができなかったりするおそれがあります。

打刻漏れや打刻忘れが生じる原因として、以下の要素が考えられます。

  • 打刻する場所に問題がある
  • 打刻に手間がかかる
  • 打刻が習慣になっていない
  • 打刻の重要性が認識されていない
  • 打刻方法が働き方に適していない

それぞれの原因や背景について、詳細をみていきましょう。

打刻する場所に問題がある

打刻する場所が目に入りにくかったり、その場所に行くまでに手間があったりすると、打刻漏れ・打刻忘れが生じる可能性が高いです。

たとえば、打刻する場所がオフィスの奥にある、打刻のためにオフィスとは別の部屋や階に移動するという場合は、打刻を面倒に感じる従業員が多いと考えられます。

打刻に手間がかかる

打刻に手間がかかる場合は、後回しにされて打刻漏れや打刻忘れが生じるほか、従業員にとってストレスとなるでしょう。

たとえば、「入力や操作が必要なため打刻までのステップが多い」「打刻の機器が少なく順番待ちが発生する」など、打刻までに時間を要するケースがあります。

打刻が習慣になっていない

打刻が習慣化されていないと、打刻漏れ・打刻忘れが発生しやすいです。

たとえば、打刻方法が異なる「出社」と「リモートワーク」というふたつの働き方を併用している場合、常に同じ打刻方法ではないため、習慣化しにくいかもしれません。

また、直行直帰が多い営業担当者や、出退勤の時間がほかの従業員と異なるフレックスタイム制度利用者なども、周りに打刻している従業員がいない状況になりやすく、習慣化されにくいでしょう。

>テレワークの勤怠管理に関する記事はこちら

>習慣化に関する記事はこちら

打刻の重要性が認識されていない

従業員に打刻の重要性が認識されていないことも、打刻漏れや打刻忘れの原因の一つです。

打刻の意味や役割を従業員が認識していないと、打刻よりも仕事や業務を優先すべきという考えから、適切な打刻がおこなわれないおそれがあります。

従業員に重要性が認識されていない理由として「打刻は当たり前」という企業側の思い込みによる、説明不足や周知不足が考えられます。

打刻方法が働き方に適していない

現在は働き方改革が進み、リモートワークの導入などによってオフィスに出社せずに働く人も増えています。

一方で、リモートワークなどの多様な働き方に適した打刻方法でない場合は、従業員が打刻できないという状況を招くかもしれません。

たとえば、タイムカードの場合、出社しないと紙を打刻機に挿入できないため、リモートワーク利用者は打刻できません。

それぞれの働き方に適した打刻方法でないと、正確な勤怠管理は難しいでしょう。

打刻漏れ・打刻忘れを防ぐ対応方法

打刻のミスをすべてなくすのは難しいかもしれませんが、極力減らすことは可能です。

打刻漏れ・打刻忘れを防止する方法として、以下の対応策が考えられます。

  • 打刻場所を工夫する
  • 打刻の重要性を周知する
  • 打刻のルールを設定する
  • リマインドやアラートを実施する
  • 簡単に打刻できるシステムを導入する

企業が施すべき打刻漏れ・打刻忘れの対応方法を紹介しますので、課題と感じている方は参考にしてみてください。

打刻場所を工夫する

打刻場所をオフィスの出入り口に設置して目に入りやすくするなど、工夫を施しましょう。

オフィスの出入り口であれば、出退勤時に打刻機器に気づくため、打刻漏れや忘れを防げます。

また、従業員から見えやすい位置や従業員がよく行き来する場所に打刻機器を設置すると、改ざんや不正行為も発生しにくくなるでしょう。

打刻の重要性を周知する

従業員に打刻の重要性を周知して、打刻に対する認識を強めることも効果的です。

周知の方法としては、打刻の役割と法律で定められている時間外労働時間・罰則などを会議やミーティングの場で伝えたり、新入社員の教育時に説明したりするといいでしょう。

また、従業員の目に入りやすい箇所に、打刻忘れ防止や打刻を促すような注意書きのメッセージを貼っておくと、軽視されにくくなります。

打刻のルールを設定する

従業員が適切に打刻できるように、打刻のルールの設定と周知をおこないましょう。

「打刻機器がある場所」「打刻するタイミング」「打刻ミスや打刻忘れがあった際の対応方法」などを決めておき、事前に従業員に伝えておくと、打刻に対する意識や打刻の正確性が高まる可能性があります。

打刻に関して相談できる担当者も定めておくと、打刻方法で困りごとや悩みごとが生じた際にも従業員がスムーズに相談できるため、打刻誤りや不正防止にもつながるでしょう。

リマインドやアラートを実施する

勤怠管理システムや自社で活用しているツールなどのリマインダー機能やアラート機能を活用して、打刻漏れ・打刻忘れを防ぐ方法があります。

たとえば、退勤時間の10分前に、打刻する旨のリマインドメッセージを送るように設定しておくと、従業員に打刻を意識づけできるでしょう。

また、従業員同士で声を掛け合ったり、チャットツールで出退勤を連絡し合ったりすると、打刻を忘れていた従業員にも打刻を促せます。

>リマインドに関する記事はこちら

簡単に打刻できるシステムを導入する

打刻が簡単にできるシステムは、従業員にとってストレスがなく、打刻漏れや打刻忘れのリスクも減らせるため、おすすめです。

たとえば、ICカードをかざすだけ、PCを起動するだけ、特定のメッセージを送るだけで打刻ができると、手間がかからないでしょう。

スマートフォン対応のシステムを導入すれば、営業などで外出中の従業員やリモートワークの従業員でも適切に打刻できます。

また、勤怠管理システム等と連携し、従業員が普段使い慣れているツールでそのまま打刻できるような仕組みを構築すれば、より打刻漏れを防止できるでしょう。

打刻管理の効率化にも「Chatwork」

打刻は、正確な給与計算や、法律を遵守するために重要な作業です。

打刻の方法はさまざまですが、勤怠管理システムは勤怠情報を一元管理でき、また打刻自体も簡単なものが多く、適切な勤怠管理方法として有効でしょう。

勤怠管理システムを導入する際には、ビジネスチャット「Chatwork」もあわせて導入することをおすすめします。

「Chatwork」は、「kincone」「jinjer勤怠」「Focus U タイムレコーダー」などの勤怠管理システムとの連携が可能です。

出退勤を連絡し合うグループチャットを作成し、「おはようございます」「出勤」「退勤」などの特定のメッセージを送信するだけで打刻できるため、手間がかからず、リモートワーク時の打刻にも活用できます。

また、グループチャットでメッセージを送信することで、従業員の打刻に対する意識が高まったり、打刻漏れを防げたりするメリットもあります。

>Chatworkのグループチャットに関する記事はこちら

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[注1]出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf
[注2]出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html
[注3]出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

※本記事は、2024年10月時点の情報をもとに作成しています。


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