インクルーシブとは?実現する方法や意味をわかりやすく解説

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働き方改革
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インクルーシブとは?実現する方法や意味をわかりやすく解説

目次

インクルーシブとは「包括的なさま」や「すべてを包み込むこと」を意味する言葉で、多様性を尊重し、あらゆる人を排除することなく受け入れる姿勢を指します。

昨今、社会や教育、ビジネスシーンなどでも使われる言葉であり、SDGsの観点からも注目を集めています。

本記事では、インクルーシブの意味やビジネスシーンでの重要性、企業で実現する方法などをわかりやすく解説します。

「インクルーシブ」の意味とは

インクルーシブとは英語の「inclusive」に由来する言葉で、日本語では「包括的なさま」「すべてを包み込むこと」を意味する言葉です。

多様性を尊重し、あらゆる人を排除することなく個々の特性や価値観を認めて受け入れ、支え合うことを指します。

インクルーシブは社会や教育、デザインなどの分野でも用いられており、昨今ではSDGsの観点からも注目を集めています。

社会での重要性が高まりつつある理念であるといえるでしょう。

「インクルーシブ社会」とは

年齢や性別、国籍、障害の有無などに左右されず、お互いの多様性を受け入れて認め合いながら暮らしていくことを目的とした社会を、インクルーシブ社会といいます。

高齢者や障害を持つ人が不自由なく社会生活を送ることを目指す「バリアフリー社会」の理念をさらに推進したものといえます。

インクルーシブの関連用語

インクルーシブに関連する用語として、以下の3つが挙げられます。

  • インクルーシブデザイン
  • インクルーシブ教育
  • インクルーシブマーケティング

言葉の意味をそれぞれ確認していきましょう。

インクルーシブデザイン

インクルーシブデザインとは、これまでデザイン制作の対象として除外されがちだった障害者や高齢者、外国人などを考慮してデザインをおこなう手法です。

似ている用語としてユニバーサルデザインが挙げられます。

誰もが使いやすいデザインという点は共通しているものの、ユニバーサルデザインはデザイナー目線で制作します。

一方インクルーシブデザインは、これまでデザインの対象外とみなされがちだった消費者目線でデザインをおこなうという点に違いがあります。

インクルーシブ教育

インクルーシブ教育とは、障害の有無や国籍などに関わらず同じ場で学ぶことです。

1994年にユネスコで採択された「サマランカ声明」にもとづき、教育現場における共生社会の実現を目指すために、文部科学省によって推進されています。

誰ひとり取り残されることがなく、すべての人が質の高い教育を受けられる環境の整備が、インクルーシブ教育を実現するうえで課題となっています。[注1][注2]

インクルーシブマーケティング

インクルーシブマーケティングとは、これまでターゲットから外れていた少数派の視点を重視したマーケティング手法です。

注目されにくかった意見を取り入れることにより、新しい切り口で商品やサービスを生み出しやすくなるとされています。

新たな価値を提供できるようになると、ユーザーの満足度向上や新規顧客の開拓にもつながるでしょう。

インクルーシブと類語との違い

次に、インクルーシブと混同しやすい2つの用語を紹介します。

  • ダイバーシティ
  • ノーマライゼーション

それぞれ、インクルーシブとの違いを確認していきましょう。

ダイバーシティ

ダイバーシティ(diversity)とは、英語で「多様性」を意味する言葉です。

性別や年齢、人種、宗教などの属性や、表面化されていない価値観・思考など、異なるバックボーンを持つ人たちが集まっている状態や状況を指します。

インクルーシブは多様性を受容することを意味するため、ダイバーシティを尊重したうえで取り組んでいくことが欠かせません。

お互いを受け入れ、尊重し合うことでさまざまな個性を持つ人材が本来の力を発揮できる組織や環境をつくることができます。

経営マネジメントでは、上記を考慮した組織構築をD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)と呼びます。

ダイバーシティについてより詳しく知りたい方は、下記の記事をあわせてご確認ください。

>ダイバーシティとは?に関する記事はこちら

ノーマライゼーション

ノーマライゼーションとは、障害の有無に限らず誰もが正当な権利を持ち、生活できる社会を目指す考え方のことです。

一方でインクルーシブは、障害を含め、異なる属性や価値観、思考を持つ人を受容することを指します。

ノーマライゼーションとインクルーシブは対象者の範囲が異なるという点で、違う意味を表す言葉です。

ノーマライゼーションについてより詳しく知りたい方は、下記の記事をあわせてご確認ください。

>ノーマライゼーションとは?に関する記事はこちら

インクルーシブとSDGsの関係

インクルーシブを実現するためには、SDGsで掲げられている目標の理解が欠かせません。

SDGsが掲げる17の目標のうち、以下の4つがインクルーシブに関する内容を取り上げています。

目標4 質の高い教育をみんなに
目標8 働きがいも経済成長も
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを

多様性を認め合い、偏見をなくし、お互いを受け入れる社会を目指すことで、質の高い教育を受けたり、希望の職業に就いたりできる機会がすべての人に行き届くようになるでしょう。

SDGsの目標達成には、インクルーシブの概念を浸透させることが必要と考えられます。

SDGsの目標については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

>SDGsの17の目標をわかりやすく解説!に関する記事はこちら

ビジネスシーンにおけるインクルーシブの重要性

これまで教育分野を中心として取り入れられていたインクルーシブですが、近年はダイバーシティの実現に向けて、ビジネスシーンにおいても重要性が高まりつつあります。

インクルーシブの考えをビジネスに取り入れることで、性別や年齢、学歴、国籍、障害の有無にとらわれず、平等に就業の機会が与えられるようになります。

さまざまな人材が集まり、お互いを尊重し、刺激し合うことができれば、相乗効果によって新たな価値を生み出すきっかけともなるでしょう。

インクルーシブを実現し、すべての人が自分の能力を発揮できる環境・体制を構築することが理想です。

インクルーシブの実現に向けて企業ができること

企業でインクルーシブを実現するためには、どのようなことが必要になるのでしょうか。

企業ができる取り組みを5つ紹介します。

  • 多様な働き方の導入
  • 女性の活躍推進
  • 高齢者雇用
  • 障害者雇用
  • 外国人雇用

インクルーシブの実現を目指す企業の方は、ぜひ参考にしてください。

多様な働き方の導入

従業員がライフスタイルにあわせて働き方を選択できる制度の導入は、インクルーシブの実現に向けて有効な手段です。

たとえば、フレックスタイムやリモートワークをはじめ、出産や介護を理由に退職した社員の再雇用制度などを導入し、柔軟な働き方ができる仕組みをつくるとよいでしょう。

働き方を選べることによって従業員の離職率が下がれば、採用コストの削減などのメリットにもつながります。

>多様な働き方の種類とメリットを解説に関する記事はこちら

女性の活躍推進

ワークライフバランスを充実させ、女性の採用率や管理職率を向上させることもインクルーシブの取り組みといえます。

女性従業員の活躍を推進するうえで、産休や育休によるキャリアの断絶や、不当な降格などを防ぐことが重要です。

また、社内で女性向けの研修や管理職育成プログラムを実施し、サポート体制を構築したりロールモデルを増やしていったりすることも欠かせません。

女性の活躍推進を目指す企業の方は、下記の記事もあわせてご確認ください。

>女性管理職の推進方法とは?に関する記事はこちら

高齢者雇用

インクルーシブの実現においては、業務に必要なスキルや知識、経験を有する高齢者が活躍するための制度を構築することも大切です。

たとえば、定年制度の廃止や再雇用制度の導入などが挙げられます。

年齢を基準に人材を排除するのではなく、働く意欲のある人材を積極的に雇用する仕組みをつくるとよいでしょう。

障害者雇用

障害者の雇用率を高め、社内で活躍できる領域を拡大していくこともインクルーシブにつながります。

障害者と健常者が対等にビジネスをおこなえる関係を築き、尊重し合いながら働ける職場環境の構築を目指すことが重要です。

>【社労士監修】障害者雇用とは?に関する記事はこちら

外国人雇用

外国人が働くうえで障壁となりやすい言語や文化の違いをお互いに理解し、必要に応じてサポートする体制を整えることで、外国人雇用を推進できます。

たとえば、希望者に日本語の学習支援をおこなうといったサポートなどが挙げられます。

国籍を問わず、働きやすい環境をつくっていくことがインクルーシブを加速させるでしょう。

インクルーシブ実現を阻む課題

ビジネスシーンでインクルーシブを実現する際に課題となるのは、体制の整備です。

インクルーシブでは異なる属性を認め合い、すべての人の価値観や特性を受け入れる必要があります。

社内でインクルーシブへの理解が不十分なまま障害者の雇用率や女性管理職の数を増やしたとしても、新たな不満が生まれたり、お互いを受け入れるまでに時間がかかったりしてしまうでしょう。

インクルーシブの理念では取り残される人がおらず、すべての人が自分らしく能力を発揮しなければいけません。

まずは社内の意識から変えていく必要があるでしょう。

インクルーシブ実現に取り組む企業事例

最後に、インクルーシブの推進に成功している企業の事例を2つ紹介します。

大手航空会社の例

大手航空会社では、多様性への対応にくわえ、ダイバーシティとエクイティ(公平性)、インクルーシブを職場環境に浸透させるための取り組みをおこなっています。

利用者に向けた社外的な施策と、社内組織における施策に取り組み、2つの軸で共生社会の実現を目指しています。

社外的な取り組みとしては、金属を使用しない樹脂製車椅子の開発によって保安検査を座ったまま受けられるようにしたり、社員のLGBTQ+への理解を促進したりする施策などが挙げられます。

社内の取り組みでは、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルーシブ)を推進するための部署立ち上げが大きな施策といえ、経営戦略のひとつとしても掲げられています。

多様性を尊重した組織体制の構築を積極的に進めている事例です。[注3]

>【社労士監修】LGBTQ+とは?に関する記事はこちら

大手食品メーカーの例

国内の大手食品メーカーでは、すべての社員が能力を発揮しながら活躍し、インクルーシブの実現とともに組織全体の力を最大化するための体制を構築しました。

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の部署を新設し、人事担当者などと連携しながら、女性管理職や障害者雇用の推進、LGBTQに関するセミナーの実施、さまざまな背景を持つ人材が活躍するための支援制度を導入しています。[注4]

多様な働き方の推進に「Chatwork」

インクルーシブとは、年齢や性別、国籍、学歴、障害の有無に限らず、それぞれの多様性を尊重し、あらゆる人を排除することなく受容することを指します。

近年では、SDGsの目標を達成するための取り組みのひとつとして、重要性や注目度が高まっている概念でもあります。

ビジネスシーンでインクルーシブの実現を目指す場合、まずは社内での理解を深め、すべての社員が活躍するための組織体制や制度の導入が欠かせません。

また、インクルーシブの理念を社内に浸透させるためには、抜け漏れなく、正確に情報を伝達することが重要です。

「Chatwork」はビジネス専用のコミュニケーションツールで、1対1のやり取りはもちろん、グループチャットを活用して、簡単に社内全体へ情報伝達をおこなうことができます。

「Chatwork」は機能がシンプルであるため、初めてチャットツールを使う方や、ITツールに苦手意識を持っている方でも、簡単かつ安全に利用できます。

チャット機能以外にビデオ/音声通話機能も搭載されており、インクルーシブの浸透を促進するためのセミナーや研修も簡単に実施できます。

>Chatworkの特徴・機能はこちら

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[注1]出典:国立特別支援教育総合研究所「基本法令等サラマンカ声明」
https://www.nise.go.jp/blog/2000/05/b1_h060600_01.html
[注2]出典:文部科学省「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321668.htm
[注3]出典:ANAグループ企業情報「ANAグループのDEI | サステナビリティ」
https://www.ana.co.jp/group/csr/diversity_inclusion/promotion_diversity/
[注4]出典:カルビー「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進」
https://www.calbee.co.jp/sustainability/human-resources/diversity.php

※本記事は、2025年2月時点の情報をもとに作成しています。


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