ビジネスメールの締めの言葉が重要な理由とは? 基本マナーと文例を紹介
目次
ビジネスメールの最後に使う「締めの言葉」には、相手に丁寧な印象を与えるとともに、次のアクションを促す効果があります。
締めの言葉を送る際は、状況や相手の立場に応じて使い分けることが重要ですが、どのような言葉を選ぶべきか、迷う人も多いでしょう。
本記事では、締めの言葉の基本マナーや重要性、送る際のポイントについて解説します。
具体的な文例についても、場面ごとに詳しく紹介していますので、ぜひご活用ください。
ビジネスメールにおける締めの言葉の基本マナーとは
ビジネスメールは、「冒頭の挨拶→要旨→詳細」という流れで記載したあと、最後に締めの言葉を入れるところまでが、基本のマナーになっています。
締めの言葉は、メールの最後に入れるものなので、冒頭の挨拶や内容より印象に残りやすいといわれています。
そのため、締めの言葉がメールの内容と合っていなかったり、配慮が感じられなかったりすると、事務的な印象を与えてしまう可能性もあるでしょう。
締めの言葉の基本は「よろしくお願いいたします」ですが、相手との関係性や状況に応じて、適切に使い分けることが大切です。
相手に対する感謝や敬意、配慮などを込めた締めくくりの言葉を送るようにしましょう。
ビジネスメールで締めの言葉が重要な理由
締めの言葉は、一見それほど重要なものにはみえませんが、なぜビジネスメールに入れる必要があるのでしょうか。
ビジネスメールにおいて締めの言葉が重視される理由について詳しく解説します。
相手に丁寧な印象を与えるため
「終わりよければすべてよし」ということわざがあるように、締めの言葉はビジネスメールにおいて最後に読むものなので、とくに印象に残りやすいといわれています。
このように、最後の印象で全体の印象が決まる、また新しい情報が古い情報を塗り替えるという心理的な現象を「新近効果」と呼びます。
締めの言葉を通じて、相手に対する敬意や感謝の気持ちを伝えると、この親近効果が働き、相手に丁寧な印象を与えることができるのです。
一方で、冒頭の挨拶やメール本文での説明が丁寧だったとしても、締めの言葉がないと、やや一方的な印象を与えてしまうこともあるでしょう。
また、締めの言葉を入れていたとしても、状況や関係性にあっていない表現を入れてしまった場合は、信頼が損なわれてしまう可能性もあります。
ビジネスメールならではのマナーを押さえ、締めの言葉を適切に使うようにすると、顧客や同僚、上司などに丁寧で誠実な印象を与えることができるため、意識するようにしましょう。
相手に次のアクションを促すため
締めの言葉には、「今後ともよろしくお願いいたします」のように礼儀として書き添えるものもあれば、メールの要件をまとめ、次のアクションを促すものもあります。
たとえば、「ご確認のほどよろしくお願いいたします」「ご返信をお待ちしております」などのフレーズを活用すれば、確認や返信など、相手に対応してほしい具体的な行動を促すことが可能です。
ビジネスメールでは、要件を手短に伝える必要がありますが、締めの言葉を活用すると、丁寧な印象を残しつつ、相手になにをしてほしいのかを端的に伝えられ、仕事を円滑に進められるでしょう。
ビジネスメールで締めの言葉を送る際のポイント
ビジネスメールにおける締めの言葉は、相手に与える印象を左右する重要な要素です。
毎回同じ言葉で締めくくるのではなく、状況や要件に応じて使い分けたり、クッション言葉をおいたりすると、好印象を与えることができます。
ここでは、締めの言葉を送る際のポイントを4つ紹介します。
- ポイント(1):相手の立場や状況に応じて言葉を変える
- ポイント(2):要件に応じてフレーズを使い分ける
- ポイント(3):「クッション言葉」を添える
- ポイント(4):締めの言葉の後に署名を入れる
どのポイントもすぐに活用することができるポイントなので、ぜひビジネスメールで活用してみてください。
ポイント(1):相手の立場や状況に応じて言葉を変える
ビジネスメールで締めの言葉を選ぶ際には、送信先の相手との関係性を考慮することが大切です。
一般的に、取引先や上司に送る場合は、「お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします」などといった、丁寧で礼儀正しい表現が求められます。
一方で、同僚や部下に対してかしこまった締めの言葉を使うと、冷たい印象を与えてしまうこともあるため、もう少しカジュアルな表現を使うとよいでしょう。
このように、相手との関係性や状況によってふさわしい言葉選びをおこなうと、相手に対する敬意や感謝の気持ちを伝えられるため、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
ポイント(2):要件に応じて使い分ける
締めの言葉を送る際は、立場や状況だけでなく、メールの内容や要件に応じて適切なフレーズを選ぶことも大切です。
たとえば、なにかをお願いする場合は、依頼内容を明確にしたうえで、「ご多忙の折、大変恐縮ですが、ご査収のほどよろしくお願いいたします」「お手数をおかけしますが、ご対応のほどよろしくお願いいたします」などのフレーズを使用するとよいでしょう。
締めの部分であらためて感謝を伝えたい場合は、「この度はご協力いただき、誠にありがとうございました」「重ねて御礼申し上げます」などの締めの言葉を入れるのもおすすめです。
要件に応じてフレーズを使い分けると、要件を端的に伝えられるだけでなく、相手への敬意が伝わるため、誠実な印象を与えることができます。
ポイント(3):「クッション言葉」を添える
クッション言葉とは、相手になにかをお願いしたり、断ったりする際に、前置きとして差し込むことで、相手を気遣い、失礼にならないようにするフレーズのことです。
たとえば、「明日までにご返信いただけますと幸いです」と送りたい場合、「お手数をおかけしますが」「ご多忙の折、恐れ入りますが」などのクッション言葉を添えるとよいでしょう。
相手の都合や状況に配慮する文言をくわえると、相手に伝わる印象が柔らかくなり、コミュニケーションがさらに円滑になります。
ポイント(4):締めの言葉の後に署名を入れる
締めの言葉とは直接関係ありませんが、ビジネスメールの最後には署名欄を設けるのがマナーです。
署名欄には、「会社名」「部署名」「氏名」「携帯電話番号」「メールアドレス」など、名刺と同様の情報を記載し、読みにくい漢字にはふりがなを振っておくとよいでしょう。
また、取引先などに送るものについては、「会社の住所」や「会社の電話番号」「自社サイトのURL」なども記載しておくとより親切な印象になります。
シーン別 ビジネスメールの締めの言葉 文例集
ビジネスメールの締めの言葉は、シーンに応じて使い分けることが大切です。
ここからは、締めの言葉の文例を場面ごとにみていきましょう。
基本の締めの言葉
「よろしくお願いいたします」は、さまざまなビジネスメールで活用できる基本の締めの言葉です。
「今後とも」「引き続き」といった言葉を添えると、状況にあわせてバリエーションをつけることができます。
また、「どうぞ」や「何卒」などをつけると、より丁寧な印象を与えられるでしょう。
社内向けのメールで使う場合は、「よろしくお願いします」にしたり、感嘆符(!)をつけたりして、カジュアルにするのもおすすめです。
- よろしくお願いいたします。
- 引き続きよろしくお願いいたします。
- 今後ともよろしくお願いいたします。
- 何卒よろしくお願いいたします。
- どうぞよろしくお願いいたします。
- よろしくお願い申し上げます。
返信を促す締めの言葉
送ったメールに対して返信をもらいたい場合は、締めの言葉に書き添えると、相手の返信を促すことができます。
返信を急かす際は、クッション言葉を使って、相手への配慮を示すようにしましょう。
- ご返信(お返事・ご連絡)をお待ちしております。
- お忙しいところお手数をおかけいたしますが、x日までにお返事をいただけますと幸いです。
- もし可能であれば、x日までにご返信いただけますと大変助かります。
- お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご回答のほどよろしくお願いいたします。
- ご多忙の折、大変恐縮ですが、至急ご連絡いただきますよう、お願い申し上げます。
お願いするときの締めの言葉
ビジネスメールでなにかをお願いをする場合は、「ご査収のほど」「ご確認のほど」などの文言を締めの言葉に添えると、相手の対応を促すことができます。
- お忙しいところ大変恐縮ですが、ご査収のほどよろしくお願いいたします。
- こちらの都合で大変恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
- お忙しいところお手数おかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- お手数をおかけしますが、ご検討のほどどうぞよろしくお願いいたします。
- お手数をおかけしますが、ご対応いただけますよう、よろしくお願いいたします。
- お手数ですが、お力添えのほど何卒よろしくお願い申し上げます。
感謝の意を伝える締めの言葉
ビジネスメールで感謝の気持ちを伝える際は、締めの部分で「重ねて御礼申し上げます」「心より感謝申し上げます」などの言葉を入れると、感謝の意を強調することができます。
「取り急ぎお礼まで」を使う場合もありますが、「取り急ぎ」は略式のため、目上の人に送る場合や感謝を伝える場合にはふさわしくありません。
急いで感謝を伝えたい場合は、「まずはメールにて御礼申し上げます」など、ほかの言葉に言い換えましょう。
- 重ねて御礼申し上げます。
- 厚く御礼申し上げます。
- 心より感謝申し上げます。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
- この度はご協力いただき、誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
- 迅速なご対応、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
- ご対応いただき、感謝申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
謝罪の意を伝える締めの言葉
メールで謝罪をする際には、締めの部分でもお詫びの気持ちを伝えると、より誠実な印象を与えることができます。
クレームやミスなどの程度がそれほど深刻ではない場合は、謝罪のあとに「今後ともよろしくお願いいたします」「引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます」などの言葉を添えて、締めることも可能です。
- ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
- ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。重ねてお詫び申し上げます。
- この度はご不便をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
- ご期待に添えず、大変申し訳ございません。
- 略儀ながらまずはメールにてお詫び申し上げます。あらためてお電話させていただきます。
提案するときの締めの言葉
メールで提案や相談をおこなう場合は、締めの部分に「ご検討のほど」「ご確認のほど」などの言葉を添えると、検討を促すことができます。
- ご検討のほどよろしくお願いいたします。
- ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- ○○さまのご意見をいただけますと幸いです。お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
- ご確認の上、ご返答をいただけますと幸甚です。何卒よろしくお願いいたします。
- お忙しいところお手数おかけしますが、ご回答のほどよろしくお願い申し上げます。
- 急なご相談で大変恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
手短に報告するときの締めの言葉
ビジネスメールで手短な報告をする場合、事務的な印象を与えてしまうことも少なくありません。
冷たい印象を与えないためにも、締めの言葉を通じて、取り急ぎの連絡であることを伝えると、相手への配慮や感謝の気持ちが伝わり、印象を和らげることができます。
前述したとおり、「取り急ぎご連絡まで」は、目上の人に使うと失礼な印象を与える可能性があるため、「まずは、ご報告のみにて失礼いたします」などの丁寧な表現を活用するようにしましょう。
- 取り急ぎご連絡まで。
- まずは、ご報告のみにて失礼いたします。
- まずは、お礼のみにて失礼いたします。
- 以上、ご報告申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
- 後ほどあらためてご連絡させていただきます。
返信が不要のときの締めの言葉
返信の必要がないことを相手に伝えたい場合、「返信不要」とだけ書くと、冷たい印象を与えてしまったり、失礼にあたったりする恐れがあります。
「返信不要」を締めの言葉として伝える際は、下記のような丁寧な表現を使い、気遣いの気持ちを伝えるようにしましょう。
- なお、本メールへのご返信は無用です。
- 問題がないようでしたら、ご返信には及びません。
- 不備がなければ、ご返信はお気遣いなくよろしくお願いいたします。
- ご返信は無用でございます。何か問題やご不明点がございましたら、お申しつけくださいませ。
お断りするときの締めの言葉
相手の提案や依頼に対して、断りの連絡を入れる際は、謝罪の意のほか、「今回は難しい」「また機会があれば協力したい」というニュアンスを締めの言葉に含めると、よい印象を残すことができます。
- この度はご期待に添えず、大変申し訳ございません。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
- 今回はご希望にお応えすることができず、申し訳ございません。今後とも何卒よろしくお願いいたします。
- お力になれず、誠に申し訳ございません。また機会がございましたら、ご一緒できますと幸いです。
一区切りついたときの締めの言葉
プロジェクトがいったん完了したときや異動する場合などに、挨拶のメールを送ることがあるでしょう。
挨拶メールでは、お世話になった感謝や、相手の活躍を祈る言葉などを入れると、誠実さが伝わり、次のプロジェクトの発注などにつながる場合もあります。
- 今後とも何卒よろしくお願いいたします。
- 今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
- 今後もお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
- 今後も変わらずお付き合いいただけますと幸いです。
- 今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
やりとりを切り上げたいときの締めの言葉
クレーム対応などでメールのやりとりを切り上げたい場合は、その旨を締めの言葉を通じて伝えるのもおすすめです。
相手の意見や意向を尊重する姿勢を示してから締めくくると、相手も納得しやすく、穏便に切り上げやすくなるでしょう。
- 一旦は、この返信をもって最終的な回答とさせていただければ幸いです。引き続きご不明点などございましたら、お知らせください。
- この度は貴重な意見をいただき、誠にありがとうございました。今後とも弊社製品をよろしくお願い申し上げます。
- この度は貴重なご意見をお寄せいただき、ありがとうございました。今後も改善に努めますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
丁寧な印象にしたいときの締めの言葉
ビジネスメールで自分の要件のみを伝えてしまうと、一方的な印象を与えてしまうこともあるため、連絡できる余地があることを示しておくことが大切です。
下記のような締めの言葉を添えると、丁寧で誠実な印象を残すことができます。
- なにかご不明な点がございましたら、お気軽にお申しつけください。
- なにか気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
- ご要望がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
初めて連絡する際の締めの言葉
初めて連絡する相手に対しては、失礼がないようにとくに気を配る必要があります。
締めの言葉を入れる際は、下記の文例のようなクッション言葉を入れたり、相手に判断を委ねるニュアンスにしたりするとよいでしょう。
- 急なご相談で大変恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
- もしご興味をもっていただけるようでしたら、お手隙の際にご返信いただけますと幸いです。
- もしご都合がつきましたら、ご返信いただけますと幸甚です。
>初めての相手にビジネスメールを送るときのマナーに関する記事はこちら
相手の体調を気遣う締めの言葉
メールの締めくくりに相手の体調を気遣う言葉を入れる場合、「元気なお姿を拝見できるのを楽しみにしております。」など、プレッシャーを与えるような表現を使うことは避けましょう。
また、一般的によく使われている「ご自愛ください」は、相手の体調が優れない場合には使えない表現のため、使用する際は注意が必要です。
- お体にお気をつけてお過ごしください。
- くれぐれもご自愛くださいませ。
- お大事になさってください。
- お見舞い申し上げます。
- 一日も早い回復をお祈り申し上げます。
ミスなどを上司に報告するときの締めの言葉
ミスやトラブルなどを上司に報告する際は、同じことを繰り返さないよう注意する旨や、今後の改善策などをメールの締めくくりで伝えるようにしましょう。
- 今後はこのような間違いがないように、十分注意いたします。
- 以後、今回のようなことが二度と起こらないよう、注意いたします。
- このようなミスが起きないよう、管理体制の改善に努めます。
- 今後はご期待に添えるよう、精一杯努力いたしますので、引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。
季節に合わせた締めの言葉
季節の変わり目は、体調を崩す人も少なくありません。
季節の変化に応じて、相手の健康を気遣う言葉をメールの最後に入れると、丁寧で親切な印象を与えることができ、相手との信頼関係をさらに強化することができるでしょう。
- 時節柄くれぐれもご自愛くださいませ。
- 花冷えのころは体調を崩しやすいものです。どうぞご自愛ください。
- 暑い日が続いておりますので、どうぞご自愛くださいませ。
- 秋の深まりを感じる季節、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。
- まだまだ寒さの厳しい日が続きますので、お体にお気をつけてお過ごしください。
1月から12月まで、それぞれの月の適切な時候の挨拶が知りたい方は、下記の記事もぜひご参照ください。
締めの言葉で良好な関係構築を目指しましょう
ビジネスメールの締めの言葉には、相手に丁寧な印象を与え、信頼関係の構築に役立つことにくわえて、次の具体的な行動を促す重要な役割があります。
締めの言葉を送る際は、メールの意図が伝わるように、相手やシーンに応じて適切な言葉を選択するようにしましょう。
本記事で紹介した文例やフレーズを活用して、ぜひ円滑なコミュニケーションや良好な関係構築を目指してみてください。
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記事監修者:長尾素子
拓殖大学商学部教授。株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAY(東京都英語村)取締役COOおよび一般社団法人 社会人基礎力協議会 代表理事を兼務。コミュニケーション論を専門とし、グローバル人材の育成、社会人基礎力の育成に携わる。また、企業・団体における研修事業にも関わっている。