自己評価とは?必要性や書き方、高い人の特徴を解説
目次
人事評価の方法として、自分自身を評価する「自己評価」を実施するケースがあります。
自己評価は、その名のとおり自分自身を評価するものですが、企業が、従業員を評価するためだけに実施されるわけではありません。
では、「自己評価」をおこなうことには、どのような必要性や目的があるのでしょうか。
自己評価の必要性や目的、メリット、自己評価の書き方のポイントをみていきましょう。
自己評価とは
人事評価の一種として実施されることがある「自己評価」は、その名の通り自分自身を評価する評価方法です。
「自己評価」は、企業側が従業員を評価するために実施されますが、実施の背景には、評価以外の目的もあります。
自己評価を実施する目的とは、どのようなものでしょうか。
自己評価をおこなう理由
「自己評価」は、評価する側とされる側の双方が、納得のいく評価を完成させるためにおこなわれます。
他己評価は、評価者から客観的にみた「非評価者の良し悪し」を評価する方法のため、人によっては、自分の実績や行動が正しく評価されていないと感じる人もいるでしょう。
しかし、「自己評価」の場合は、非評価者が「自分自身を評価する」方法のため、他己評価で評価をうけられなかった実績や行動を、評価者に対してアピールすることができるようになります。
また、自己評価をおこなうために、自分自身の行動を振り返る必要があるため、自己成長や課題を発見する機会にもなります。
半期や1年間の自分の実績や行動を振り返る機会を設けることは、自分自身の弱みや改善点の発見にもつながるため、自己成長にも効果的でしょう。
このような理由から、自己評価を必要と判断し、実施する企業が増えているのです。
自己評価の必要性や目的
自己評価をおこなう理由を確認してきましたが、より詳しく目的をみていきましょう。
闇雲に実施するのではなく、正しい自己評価の目的を知ることで、より効果的に実施することができます。
自分を客観視する
「自己評価」は、自分を客観視するために最適な方法です。
自己評価は、半期や1年間の間に、自分自身が「どのようなとりくみをしたのか」や、「どのような結果になったか」などを改めて振り返る機会です。
自己評価の機会を活用して、自分のとりくみや実績を、客観視できると、「なにが良かったのか、悪かったのか」を判断しやすくなり、改善点や弱みがみつかりやすくなり、改善のアクションも計画しやすくなります。
評価をおこなう際は、「客観視できるかどうか」が大事な点になるため、「大変さ」「忙しさ」などの主観的な視点は捨て、数字や周囲からの評価などの客観的事実をもとに、評価をおこなうようにしましょう。
モチベーション向上
「自己評価」は、モチベーション向上にもつながります。
自分で自分自身を振り返り、よい点や反省点がみえてくると、「次はこのようなアクションをとろう」「目標を〇〇にしよう」という次のゴールが定めやすくなります。
また自己評価は、自分の実績と同僚の実績を比較したり、目標とのギャップを正しく認識したりできる機会でもあります。
組織のなかでの自分の能力レベルや実力を知る機会にもなり、成長のモチベーションにつながるでしょう。
周囲の評価と乖離がないかを確認する
「自己評価」は、周囲の評価と自分の認識に乖離がないかを確認するうえでも有効です。
上司からはみえていない成果や行動をアピールすることができる点も、自己評価を実施するメリットですが、自分自身を「過小・過大評価していないか」を認識することができる点も自己評価のメリットです。
「自分では高く評価していた成果が、相対評価的には普通の評価だった」などの可能性もあるため、企業の評価基準に対して、自分が優れているか劣っているかを正しく把握することは重要です。
正しい自己認識をおこない、適切な自己評価ができるようになることで、目標もたてやすくなるでしょう。
自己評価が高い人の特徴
自己評価をおこなう必要性を確認してきましたが、なかでも「正しい自己認識」は重要な要素です。
正しい自己認識は、自己成長につなげることができますが、誤った自己認識は、過大評価や過小評価につながってしまいます。
ここからは、自己評価が高い人・低い人の特徴をみていきましょう。
正しく自己認識ができているか不安な人は、自分と比較してみてください。
プライドが高い
仕事やプライベートにおいてプライドが高い人は、自己評価も高い傾向にあります。
プライドが高い人は、「仕事ができる人間だと思われたい」「ほかの社員よりも優位に立ちたい」という気持ちの表れから、自己評価も高くなりがちですが、プライドに実力がみあっていない場合、マイナスなイメージをもたれてしまいます。
しかし、プライドの高さゆえに努力をし、結果を残すというプラスな面に結びつけることができれば、完璧主義な人として、プラスの評価をうけることもできるでしょう。
プライドが高いという自覚がある人は、自分の実力が、プライドにみあっているのか、いまいちど振り返ってみましょう。
誤った自己評価にならないためにも、正しく自分の実力をとらえる必要があります。
自分に自信がある
自分の能力に自信がある人も、自己評価が高くなりやすい傾向にあります。
能力やスキルに自信があると、周囲からの依頼にも「できます」「大丈夫です」と根拠なく返答をしてしまいがちですが、誤った自己評価は大きなトラブルにつながりかねません。
経験したことのない業務や、工数が想定できないタスクを依頼された際は、時間に余裕をもって、とりくむようにしましょう。
「自分はなんでもできる」「大抵のことはこなせる」という自己過信はせずに、はやめに周りに相談をして、協力を仰ぐことが大切です。
内省していない
内省をしていない人も、自分の弱みや欠点を適切にとらえられておらず、自己評価が高い傾向にあります。
振り返りの習慣がないと、仕事でミスや失敗をしても、深刻にうけとめることができず、同じ失敗をくり返してしまいがちです。
ミスや失敗を引きずらないことで、何事も果敢にチャレンジできるというメリットもありますが、業務進行の弊害となる危険性もあります。
失敗やミスをした際だけでなく、普段の業務をもっと効率化できないかなどの視点で、自分の行動を振り返る習慣をつけるようにしましょう。
また、振り返りの習慣がついていると、自己評価の際に焦って自分の成果や行動を思い出す必要もなくなります。
テキストに残しておく、振り返りの内容を見返す習慣をつけるなどで、日頃から内省をおこなうようにしましょう。
周囲の人に厳しい
自己評価が高い人は、周囲の人を「自分よりも劣っている」と見下しがちです。
自分が一番優れていると根拠なく思い込んでしまい、周囲の人は劣っていると見下すタイプの人は、正しい自己評価ができていない可能性があります。
このような人は、自分の欠点からは常に目をそらし、組織内でミスやトラブルが起こった際は、他人を責める傾向がありますが、自己評価が適切におこなえていれば、他人を下にみるという行動は起きないはずです。
また、自分の実力が低いことを隠すために、人に厳しくしてしまっている人もいるかもしれません。
まずは、自分の実力を正しくとらえ、うけとめ、必要なスキルを身につけるように努力することが大切です。
組織内での自分の能力レベルを認識することができれば、態度を改めることもできるでしょう。
自己評価が低い人の特徴
自己評価の高い人の特徴を紹介しましたが、自己評価が低い人にも特徴があります。
自己評価が低いひとは、自分を過小評価しがちのため、適切な評価をうけられていない可能性もあります。
自己評価が低い人の特徴に当てはまる項目があった場合、客観的事実にもとづいて、再度自己評価をおこなうようにしましょう。
マイナス思考
マイナス思考な人は、自己評価が低い傾向にあります。
マイナス思考の人は、なにごともネガティブな方向に考えてしまうため、ポジティブな出来事が起こっても、「でも」「どうせ」「無理だ」などと、マイナスの方向に変換してしまいがちです。
そのため、周囲から高い評価をうけたとしても、自己評価を低くつけてしまい、結果として適切な評価をうけられないことがあります。
マイナス思考は習慣化されやすく、不安な状態からぬけだせなくなる危険性もあるため、注意が必要です。
意識的に物事をポジティブにとらえるリフレーミングを実践し、思考方法を改善していきましょう。
成果を素直にうけとれない
成果を素直にうけとれない人も、自己評価が低くなりがちです。
このような人は、周囲から「コンペにうかって良かったね」「スキルが上達したね」と褒められても、「そんなことはありません」と否定的にとらえてしまいます。
周囲が高く評価しても、自分で納得しない限り、成果を素直にうけとれないので、自己評価が低くなりがちです。
真面目で謙虚な点は、評価されるべき特徴ですが、適切な評価をうけとれなくなる可能性もあります。
自分の成果を正しく認識するためにも、主観的な視点は捨てて、客観的な事実で評価するようにしましょう。
主体的に動かない
自己評価が低い人は、失敗やトラブルを恐れて、主体的に動かないという特徴もあります。
周囲からの目を気にして「失敗したらどうしよう」という気持ちばかりが先走ってしまうため、主体的に動くことに恐怖心をもっています。
まずは、想像のみでネガティブな気持ちになるのではなく、成功するための計画を立てたり、自信がもてるスキルを身につけようとしたりなどの、主体的な行動をとることが大切です。
行動する前から諦めることはせず、どうすれば失敗しないかを考えるようにしましょう。
>PDCAの実践方法と効果的におこなうポイントに関する記事はこちら
すぐに謝る
「すみません」が口癖の、すぐに謝ってしまう人も、自己評価が低い傾向にあります。
自分が悪くなくても謝ってしまう人は、どんなことも自分が原因だと思い込んでしまいがちで、謝ることをくり返すうちに、自己評価が低くなってしまいます。
すぐに謝ってしまう自覚がある人は、状況に対して一度冷静になり「なにが原因で、自分が悪いのか」を確認するようにしましょう。
「自分が悪くないときは謝らない」「なにかしてもらったときは感謝の気持ちを伝える」などを意識することで、自己肯定感の回復にもつながります。
正しい自己評価のメリット
自己評価は、会社や組織の評価のためにおこなうものと思われがちですが、正しい自己評価は、自己評価をおこなう自分自身にもメリットをもたらすものです。
自己評価を正しくおこなうことのメリットをみていきましょう。
自己成長を感じられる
正しい自己評価を通して、自己成長を感じられるというメリットがあります。
上述もしましたが、自己評価は、半期や1年の単位で、「なにができたか」「なにができなかったか」「改善点はなにか」を知るきっかけにもなり、これまで機会がなく気がつかなかった自分の成長も確認できるようになります。
自己成長を感じることは、仕事へのモチベーションにもなるため、更なる成長につなげることもできるでしょう。
前向きな行動につながる
正しい自己評価をすることは、前向きな行動にもつながります。
自分のスキルや能力に自信がなく、ネガティブな思考になりがちな人も多くいますが、自己評価は、自分のとりくみや成果を見える化し、肯定する機会にもなります。
評価基準と照らしあわせて、自分の成果状況やプロセスを具体的に振り返ることで、自分のとりくみが客観的に評価でき、高い水準をおさめていれば、自信につながるでしょう。
主観的に物事をとらえていると、ついマイナスな思考に引っ張られがちな人こそ、客観的な事実をベースに自己評価をおこなうことがおすすめです。
自己評価が自信につながり、前向きに行動できることが増えるかもしれません。
評価に納得感をもてる
評価に納得感がもてることも、正しい自己評価がもたらすメリットのひとつです。
評価方法が、上司や同僚からの一方通行のみの場合、理由や評価基準に納得がいかない場合もあるでしょう。
しかし、自己評価をおこない、それを踏まえたうえでの評価であれば、納得感をもってうけいれることができます。
自己評価は、組織の評価基準を理解するきっかけになることにくわえ、納得感のある評価をうけられることは、所属する組織や企業に対しての不信感を抱かせない効果も期待できるでしょう。
自己評価の書き方のポイント
自己評価の必要性や目的を確認してきましたが、実際に自己評価を記載する際は、どのようなことを意識すればいいのでしょうか。
効果的な自己評価にするために、自己評価の書き方のポイントをみていきましょう。
客観的に書く
自己評価は、客観的に書くことがポイントです。
まずは、あらかじめ設定をしていた目標と実績を比較し、達成できなかったのであればその理由や改善策を、客観的に探ってみましょう。
このときに、主観的な意見や見解を書きがちですが、達成率や進捗率などの実績値をベースに評価をすることを意識しましょう。
客観的にみても認識が変わらない数字や定量成果を用いることで、客観的な視点で評価をおこなうことができます。
主観的な意見や見解は、プロセス評価や定性評価でアピールすることもできるため、自己評価はなるべく根拠のある評価をおこなうようにしましょう。
事実のみを書く
自己評価には、基本的に事実のみを書くようにしましょう。
振り返りをおこなうと、ついつい主観的な気持ちが前に出て、事実を膨らませた書き方をしたくなるかもしれません。
しかし、事実と異なる評価をしてしまうと、それは虚偽の評価となり、評価が下がる要因にもなりかねません。
「キャパ以上のことにとりくんだ」「未経験の領域にチャレンジした」などの、定量的な事実として現れていないものを自己評価に記載する場合は、その理由も明記するようにしましょう。
数字を用いて書く
自己評価は、誰がみても納得のいく評価にするために、数字を用いて記載するようにしましょう。
たとえば、関わったプロジェクトの規模や、プロジェクトメンバーの人数、数値的な成果状況などを具体的な数字を用いて記載します。
数字を用いることで、評価側も「どれくらいの成果を、どれくらいのプロジェクトの規模感からあげたのか」が判断しやすくなります。
数字にあわせて、自身がとりくんだ工夫や努力などを補記するようにしましょう。
改善点も書く
自己評価は、今後につながるような改善点も書くことで、より効果的になります。
自己評価を人事評価のためだけに記載していると、良かった点と悪かった点を書いて終わってしまいがちですが、振り返りと改善点を自分で考えたうえで記載しておくと、「自分のこれからの行動や目標」を見直すきっかけにもなります。
また、半期や1年の単位で振り返り・目標計画を自分でおこなうと、自己成長を認識することができ、モチベーションにもつながるでしょう。
せっかくの振り返りの機会を効果的に活用するためにも、改善点の記載までおこなうことをおすすめします。
適切な評価で、自己成長を目指しましょう
自己評価は、自分で自分自身を評価する評価方法で、企業の人事評価で用いられるものですが、意識すると自己成長にもつなげることができるとりくみです。
半期や1年の単位で、自分の行動や実績について評価をおこなうことで、自分の実力や改善点を認識でき、次の目標へのモチベーションにつなげることができるでしょう。
より効果的な自己評価をおこなうためには、日頃からの振り返りがおすすめです。
業務でうまくいったことや失敗したこと、トラブルへの対処方法などを日頃から振り返っておくことで、短いスパンでPDCAを回せ、自己成長のスピードをあげることができます。
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