生産性の意味とは?種類や計算方法、7つの具体施策をわかりやすく解説
目次
「生産性をあげよう」「生産性がさがってきている」など、「生産性」という言葉は、ビジネスシーンで頻繁に耳にする言葉です。
しかし、生産性とはなにかを具体的に説明するとなると、うまく言葉にできない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、生産性の意味や種類、計算方法、なぜ生産性が注目されているのか、生産性を向上させる施策例などについてわかりやすく解説します。
生産性の定義とは
「生産性」とは、機械設備や原材料、労働力などを投入したことによって、どれだけの生産物(製品やサービス)が得られたかをあらわすものです。
公益財団法人日本生産性本部は、生産性のことを、「生産諸要素の有効利用の度合いである」と定義づけています。[※1]
そのため、できるだけ少ない投入資源によって、少しでも多くの生産物をつくることができれば、生産性が高いといえるでしょう。
業務効率化との違い
業務効率化という言葉も、生産性向上と似た言葉として、ビジネスシーンでよく使われています。
上述した通り、生産性向上は、できるだけ少ない投入資源で、少しでも多くの生産物を生み出すことです。
一方で、業務効率化は、無駄な業務をなくし、無駄にかかっていた時間や費用を減らすことを意味しています。
そのため、生産性向上は、投入した資源を最大限に活用することを目的としているのに対して、業務効率化は、日々の業務のなかで不要なものをなくし、必要な業務に集中することを目的としているという違いがあります。
生産性が注目される背景
昨今、あらゆる企業において、生産性が注目を集めています。
では、なぜ生産性が注目を集めるようになったのでしょうか。
背景について解説します。
働き方改革の影響
働き方改革の影響で、ワークライフバランスの充実や、残業時間の見直しがはかられるようになり、これまで長時間労働によって支えられていた生産力を維持することが難しくなりました。
そのため、従業員一人ひとりの限られた労働時間で、効率的に成果をあげる必要が増したことで、生産性が注目を集めるようになりました。
また、メンタルヘルスへの関心の高まりもあり、企業にとって、長時間労働の是正をはじめとする、働き方改革の実施は急務となっています。
働き方改革をおこないながら、必要な企業活動をおこなうには、生産性向上が欠かせない要素となったのです。
労働人口減少の影響
日本では、少子高齢化が急速に進んでおり、この状況が進めば、労働人口の減少は避けられないでしょう。
また、労働人口の減少にともない、優秀な人材を確保しようとする人材獲得競争は、激化を続けています。
企業にとっては、労働力を確保できなければ、必要な生産性を維持できません。
減りつつある労働力の減少にいかに対処するかを考えるうえで、生産性に注目が集まっています。
生産性の計算方法
生産性は、下記の式で求めることができます。
産出(output)とは、製品やサービスといった生産物のことで、投入(input)とは、生産にあたって必要とした機械設備や土地、建物、労働力など、生産をおこなうために必要なもののことです。
少ない投入(input)で、多くの産出(output)ができれば、生産性が高いといえます。
生産性の種類と意味
耳にする機会が多い「生産性」には、種類があることをご存知ですか。
生産性は、主に4つの種類があり、それぞれ意味が異なります。
4つの生産性の内容と、それぞれ求める式についてみていきましょう。
労働生産性
「労働生産性」は、生産量、あるいは生産額を生み出すのに、どれだけの従業員数あるいは労働時間が使われたかの割合を示したものです。
企業において「生産性」という言葉が使われる場合、多くは「労働生産性」のことを意味しています。
労働生産性の概念を使えば、ひとりの従業員が、どれだけの成果を生み出しているのか、労働時間あたりの生産量を求めることが可能です。
資本生産性
「資本生産性」における資本とは、保有している機械設備や土地などのことです。
資本生産性とは、資本1単位あたり、どれだけの価値が生み出されたかの割合を示すものです。
資本生産性を計算すると、保有している資産が、どれだけの利益をあげているのかを可視化することができます。
人時生産性
「人時(にんじ)生産性」は、従業員ひとりが、1時間に生み出した生産量をあらわしたものです。
労働生産性と似ている概念ですが、人時生産性は、従業員ひとりの、1時間あたりの生産量という、より限定した生産性を算出することができます。
個人の生産性が可視化されるため、活用することで、個人間の競争力を高めることもできるでしょう。
人時生産性=生産量もしくは生産額÷従業員の総労働時間
全要素生産性(TFP)
「全要素生産性」は、労働力や保有資産など、投入したすべての生産力に対して、どれだけの成果物が得られたかをあらわしたものです。
投入した生産力のすべてを数値化することができないため、全要素生産性は、増減を求めることで評価することが特徴です。
生産性が低下する要因
企業の持続的な成長を目指すうえでも重要な生産性ですが、低下の要因となりうるものをご存知ですか。
生産性を低下させる要因を知らないと、知らず知らずのうちに、社内の生産性が下がってしまうかもしれません。
生産性が低下する要因について、詳しくみていきましょう。
長時間労働
長時間労働は、生産性が低下する大きな要因となります。
長時間労働が続くと、疲労がたまり、作業効率が下がるため、ミスも多くなるでしょう。
また、慢性的な長時間労働は、心身の不調の原因にもなるため、遅刻や欠勤などにつながる可能性もあります。
働く時間を増やせば増やすほど生産性が向上するというわけではなく、むしろ長時間労働によって労働力が減少し、生産性が低下してしまうでしょう。
マルチタスク
集中してとりくめば、短時間で終わる仕事でも、電話や来客対応、メールチェックなど、複数の仕事を同時にこなしながらでは、なかなか終わらないでしょう。
また、複数の作業を同時におこなうと、どの作業をどこまでやったのか混乱するなど、ひとつの業務を終わらせるまでに、かなりの時間がかかってしまい、生産性が低下してしまいます。
従業員の能力差
従業員に能力差があることも、生産性の低下の要因になりえます。
たとえば、優秀な従業員が、自分の作業工程をはやく終わらせたとしても、次の作業を担当する従業員が能力不足で多くの時間をかけてしまう場合、生産性を向上させることは難しいでしょう。
生産性を向上させる7つの施策例
生産性の向上を、課題としている企業も多いと思いますが、具体的にどのようなとりくみで、生産性を向上させることができるのでしょうか。
ここからは、どうすれば生産性を向上させられるのか、7つの施策例を紹介します。
施策例(1):生産性の数値を見える化する
生産性向上には、生産性をあらわす数値を、可視化することが効果的です。
たとえば、従業員一人ひとりが、1時間あたりに何件のテレアポをおこなったのかが、視覚的にわかるようになっていれば、モチベーションの維持や競争力にもつながります。
また、数値で生産性が表されていると、下がったタイミングを、本人や周囲も把握しやすく、原因や対策について、早期に検討することもできるでしょう。
施策例(2):作業指示を明確化する
作業指示が明確であれば、従業員は、自分の作業について質問する手間や時間がなくなり、限られた時間を有効活用できるようになります。
また、個人やチームとしてなにをすべきか、どのような業務の流れなのか、どのような目標があるのかを明確に示されることで、作業もしやすくなるでしょう。
施策例(3):タレントマネジメントを採用する
タレントマネジメントとは、個人の能力や適性にあわせて、効果的に人材を活用することです。
適材適所で人材を配置できれば、従業員それぞれが最大限のパフォーマンスを発揮し、組織全体としての生産性も向上するでしょう。
施策例(4):人材育成を強化する
人材育成を強化することで、個人個人の能力がアップすれば、従業員ひとり当たりの時間単位における作業量が増え、生産性を向上させることができます。
人材育成の方法としては、OJTやメンター制度などの導入はもちろん、社内研修をおこなう、資格取得を支援する制度を設けるなど、従業員個人の能力向上につながる施策の実施も効果的でしょう。
施策例(5):業務マニュアルを整備する
業務マニュアルの作成は、時間や手間がかかりますが、一度つくってしまえば、生産性向上のための効果が長期間期待できます。
また、業務マニュアルを作成することは、新しく入ってきた人への教育にかける時間や労力といったコストを削減することもできるだけでなく、品質の均一化や属人化の防止も期待できるでしょう。
施策例(6):労働環境を整備する
従業員が、会社や自分の仕事に対して、高いモチベーションをもっていることは、生産性にプラスの影響を与えます。
しかし、働きに見合った給料や待遇が得られないと、モチベーションは低下し、組織全体の生産性が低下する恐れもあります。
生産性を向上させるためには、給与や福利厚生などの労働環境を整備する必要もあるでしょう。
施策例(7):ICTツールを活用する
生産性向上には、チャットツールや勤怠管理ツールなどの ICTツールを導入することも効果的です。
ICTツールを活用すれば、情報共有やタスク管理、Web会議などが効率的におこなえるようになるため、直接的に生産性の向上に寄与するでしょう。
生産性向上の注意点
生産性向上を目指すうえで、効率性だけを重視すると、失敗する可能性があります。
たとえば、効率性を高めることを重視して、高度なツールを導入したとして、使いこなせる従業員がいないと、反対に従業員に負担が発生してしまう恐れがあります。
負担が増えると、長時間労働やストレスのかかる仕事が増えてしまい、モチベーションの低下や生産低下が起こりかねません。
生産性向上を目指す際は、効率性だけでなく、自社の従業員の能力や特徴、また、ワークライフバランスなども考えつつ、方法を検討するようにしましょう。
生産性向上には「Chatwork」を活用しよう
働き方改革や労働人口の減少から、生産性の向上は企業にとって、急務の課題となっています。
生産性向上にとりくむ際は、効率性のみを重視するのではなく、社内の課題や従業員の能力に応じて、最適な方法を模索することが大切です。
生産性向上を目指す方法のひとつとして、ICTツールを活用する方法があります。
とくに近年では、テレワークやリモートワークなど、多様な働き方が拡大したことで、多くの企業がさまざまなICTツールを導入するようになりました。
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[※1]公益財団法人日本生産性本部「生産性とは | 生産性運動について」
https://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html