【臨床心理士監修】インポスター症候群とは?原因や特徴、克服方法を解説

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【臨床心理士監修】インポスター症候群とは?原因や特徴、克服方法を解説

目次

仕事をするにあたって、自分の能力を正しく認識することや自信をもつことは大切なことです。

しかし、世の中には十分な実力がありながらも自信をもてない「インポスター症候群」の状態にある人もいます。

自信をもてない、チャレンジを避けてしまうなどさまざまなデメリットがあるため、克服したいと思う人も多いでしょう。

この記事では、インポスター症候群とはなにか、特徴や原因、克服する方法について解説します。

インポスター症候群とは

インポスター症候群とは、能力や実績があるにもかかわらず、自分を過小評価してしまう状態のことです。

インポスター症候群の人は、うまくいったできごとがあっても、「自分の能力ではなく周りのおかげ」「運がよかっただけ」と思い込んでしまいます。

インポスター症候群は女性に多い

インポスター症候群は、一般的に女性に多いといわれています。

女性より男性の方が、主導権を握ることが多く、成果を上げても女性の場合、「自分にはふさわしくない」と思いやすいためです。

また、男女で比較したときに、自尊感情(自分を好ましく思い有能だと信じる程度)が女性の方が低かったという研究結果もあります。[※1]

女性は自分の能力を過小評価しやすい傾向にあるといえるでしょう。

インポスター症候群の特徴・症状

インポスター症候群の主な特徴や症状は以下のとおりです。

  • 自分を過小評価する
  • チャレンジを避ける
  • 成功することに不安を感じる

ひとつずつくわしく解説します。

自分を過小評価する

自分を過小評価してしまうのは、インポスター症候群のよくある特徴です。

仕事などで成功しても、自分の能力ではないと思っており、人からのプラスの評価も負担に感じがちです。

実績や能力に対して、自己評価が低い傾向にあります。

チャレンジを避ける

インポスター症候群の人は、チャレンジを避けることが多いです。

「この前うまくいったのは運がよかっただけ」「周囲のサポートがなければ自分は何もできない」といった思い込みがあるためです。

自分の能力を正しく認識できていないので、自分からチャレンジすることができません。

成功することに不安を感じる

「自分は頑張った」「自分には能力がある」と思っていれば、成功も素直に喜べるでしょう。

しかし、自己を正しく評価できていないと、成し遂げたことと自分が認識している能力との間に差が生じてしまうため、成功を不安に感じてしまいます。

うまくいったのに素直に喜べていないなど、成功に不安を感じるのもインポスター症候群の特徴です。

インポスター症候群に陥る原因

インポスター症候群に陥る原因には、以下のようなものがあります。

  • 心理的な要因
  • 人間関係の要因
  • 家庭環境による要因

それぞれくわしく見ていきましょう。

心理的な要因

インポスター症候群に陥る原因のひとつ目は、心理的な要因です。

たとえば「こんなにうまくいったら自分に対する評価が、よくも悪くも変わってしまう」といった恐怖感などがあります。

成功することへの恐怖、他者からの評価が変わる不安といった心理的な要因が、インポスター症候群に影響しているケースがあります。

人間関係の要因

人間関係は、インポスター症候群の原因となり得ます。

自分に対する周囲からの期待感が高まることで、プレッシャーが強くなり、自信をもてなくなります。

とくに職場では、上司や同僚、先輩・後輩などの複雑な人間関係があり、インポスター症候群に与える影響は少なくありません。

家庭環境による要因

たとえば、自分の兄弟姉妹と常に比較されて育ってきた場合、「どうせ自分はダメなんだ」といった思い込みが強くしみついてしまいます。

また、周りに合わせることを強く教育されてきた人の場合、自分だけが評価されることを恐れやすく、「自分の能力ではなく、周りの人のおかげだ」と考える傾向にあります。

インポスター症候群を克服する方法

自分を過小評価しすぎると、仕事や人間関係において悪影響が出る可能性もあります。

インポスター症候群の特徴に心当たりがある場合は、以下の克服方法を試してみるのも良いかもしれません。

  • 自分を褒める癖をつける
  • 人と比べることをやめる
  • 人に頼りやすい環境に身を置く
  • 感情と事実を切り離して考える
  • 未来や過去でなく現在に集中する
  • 自分の気持ちを共有する

実践しやすそうなものから、取り入れてみると良いでしょう。

自分を褒める癖をつける

まず、成功したときは、自分をほめましょう。

周囲からの評価が自分の頑張り以上のものだと感じていても、少なからず自分が頑張ったことによって、その成果は生まれたものです。

自分自身が頑張ったことを、しっかりと自分でほめる癖をもちましょう。

人と比べることをやめる

「自分はあの人よりも劣っている」など、自分と人を比べてしまうと、自分は能力がないと思い込む原因になります。

人と比べるのではなく、自分が頑張ったかどうかを評価するのがよいでしょう。

人に頼りやすい環境に身を置く

周囲の人に頼ることができれば、過度のプレッシャーを避けられるため、インポスター症候群の人も能力を発揮しやすくなります。

メンタル面でも人に頼れば、自分の自信のなさについて理解やアドバイスが得られる可能性もあります。

感情と事実を切り離して考える

「うまくいっていないと思うこと」と「実際にうまくいっていないこと」は違います。

たとえば、自分では失敗したと思っていても、テストで100点をとっているケースは、不必要に自己評価が下がってしまっている例です。

感情と事実を切り離し、「自分はうまくいかなかったと思っているけど、実際の結果はどうだろう」と客観的に捉えることで、正しい自己評価につながります。

未来や過去でなく現在に集中する

失敗して自分への評価が下がったらどうしよう。

あのときは自分の頑張りではなく、助けてくれる人がいたからうまくいった。

こういった未来に対する不安や過去に対するとらわれがあると、自己評価が下がり、さらには本来のパフォーマンスを発揮することもできません。

仮にそうした不安やとらわれがあっても「それはそれとして自分はいま何ができるか、何をすべきか」を考え、いまやるべきことに集中するのがおすすめです。

自分の気持ちを共有する

周囲からの期待にプレッシャーを感じていることなど、自分のなかにある気持ちを周囲に話してみるのも、インポスター症候群を克服するうえで役に立ちます。

自己評価の低さがあることを周囲の人に知ってもらえば、助けも求めやすくなるなどメリットがあります。

従業員のインポスター症候群を改善する方法

従業員がインポスター症候群である場合にはどのように改善していくのがよいでしょうか。

相手の性質も見ながら、以下のような方法を試してみるとよいかもしれません。

  • 定期的な1on1の開催
  • メンター制度の活用
  • 従業員同士のコミュニケーション機会の設定

それぞれについて、くわしく見ていきましょう。

定期的な1on1の開催

定期的に1on1で、従業員と話す機会をもちましょう。

1対1なら従業員も自分の気持ちを話しやすいので、自己評価が低すぎる従業員に気付きやすくなります。

従業員が自分の能力や実績をどう評価しているのか、確認してみましょう。

>1on1に関する記事はこちら

メンター制度の活用

メンター制度の活用も従業員のインポスター症候群の改善に役立ちます。

話しやすいメンターがいれば、インポスター症候群の従業員も自分が感じているプレッシャーなどを相談しやすいでしょう。

1人で抱え込まず相談できる人がいるだけでも、インポスター症候群の従業員が感じるネガティブな感情が和らぐことがあります。

>メンター制度に関する記事はこちら

従業員同士のコミュニケーション機会の設定

従業員同士がコミュニケーションをとれる機会を会社として設定する方法もあります。

インポスター症候群の人にとって、周囲の人に自己評価の低さや自分が抱えるプレッシャーを知ってもらう機会になり得ます。

場合によっては、「自分も同じような気持ちを抱えている」など、インポスター症候群特有の苦しさを感じているのが、自分だけではないと気づくこともあるでしょう。

コミュニケーションの機会は、インポスター症候群はもちろんそのほかの問題についても、さまざまなメリットが期待できます。

社内コミュニケーション活性化に「Chatwork」

インポスター症候群とは、実績や能力があるにもかかわらず、自己評価が低い状態のことです。

自信をもてない、チャレンジを避けてしまうなどさまざまなデメリットがあるため、克服したいと思う人も多いです。

また、優秀な能力をもち、実績も十分な社員が、その能力を最大限発揮できるような取り組みをしたいと考える企業もあるでしょう。

1on1やメンター制度の導入など、さまざまなかたちのコミュニケーション機会を会社としてつくっていくのもおすすめです。

チャットツールなど、日々のコミュニケーションのなかで相談しやすい雰囲気をつくっておくことも大事です。

ビジネスチャット「Chatwork」では、テキストチャットはもちろん音声通話やビデオ通話で、リモート環境においても1対1で話す機会をつくれます。

気軽な相談をするための専用のチャットルームをつくるなど、従業員同士が気軽にコミュニケーションをとれる場を設定することも可能です。

従業員のインポスター症候群への対策に役立つコミュニケーションの創出に、ぜひビジネスチャット「Chatwork」をご活用ください。

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[※1]岡田涼,小塩真司,茂垣まどか,脇田貴文,並川努「日本人における自尊感情の性差に関するメタ分析」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/24/1/24_49/_pdf


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:山崎ゆうき(やまざきゆうき)

臨床心理士・公認心理師の資格を所持。司法・障害福祉領域などでの勤務を経て、独立開業。メンタルヘルス系の記事を中心に、心理学の知識をいかした記事執筆・監修を担当。心理学の知識をわかりやすく、日常でも実践しやすい形で発信しています。

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